上 下
54 / 135

54

しおりを挟む


強制力とは、どの程度働くのか?


実際メアリが魔法士にはなったが、多分おそらく…どうやっても王宮筆頭魔法士にはならないだろうと思う…まぁ、このままレオナルド殿下と私が婚約・婚姻と進んで、私が王宮に行くことになれば判らないけどね。


「お嬢様?あんまり考えすぎると禿げますわよ?」


そんな失礼なことを言いながら、優雅にお茶を入れるメアリ。
最近は若奥様っぷりも上がり、子供の目に毒なお色気要素もちらほら。


おまけに、今回の護衛の中にはメアリのパートナーである、ギルバート・スペンサーも入っている。
始終一緒にいるわけでは無いけれど、夜は必ず一緒…という…もしかしたら、領地にいるよりも一緒にいる時間があるんじゃない?…と、ご機嫌っぷりが半端ない。


まぁ、幸せなのは良い事です。
私も…あんな風に一緒にいるのが幸せと感じれる人と結婚できたら…と思う。
今のこの世界の婚姻事情や御家事情も、知識としては解っているし理解もしている…と思う。


けれど、いかんせん前世での結婚観もあり、納得づくかと言われると………。
ホントに、いっそ庶民ならその辺のズレもそんなになかったのに…とも思うけど、貴族令嬢に転生したからまさきにいとも会えたんだと思うと、なんとも言えない。
結局、過去に戻れるわけでもないので、今をより良くしていくしかないのだけど…。


「お父様が、政略結婚推進派じゃなくて良かったけどね」


一人になった部屋で思わず呟く。
とにかく、今は早急に第二王子ウィリアム殿下にあって、現状確認が第一だ。


前世も今もアクティブな方ではなかったはずなのに、こうして自ら王都に来てしまう腰の軽さが恨めしいが、実際こうして動けてしまうのだからしょうがない。


きっと、こういうところが真純君の目にとまったのかな?
就活の際には事務系に拘っていたはずなのに、気が付いたら現場に立って仕事をしていた自分を振り返る。


今世では「気が付いたら王太子妃になってた」なんてことにならないようにだけしないとなぁ…と、ゆるく決意する。
自分だけで生きているわけじゃないので、自分の意志だけでどうこうできるわけじゃない。
せめて、決める時は自分の意志で…そう思った。



●○●○



場所が王都という以外はあまり変わり映えのない朝。
王都に来たからと言って、世の奥さまやご令嬢方と違って、ドレスの新調をしたり、宝石を買ったり…なんてことはしない。


ドレスもアクセサリーも…女性としては欠点なのかもしれないが、正直興味がない。
購入に至っては、お父様や兄様が手配してくれるし、そもそもまだ社交界デビューもしていないのだ。今ぐらいはそっとしておいて欲しいと言ったら、メアリに「相変わらずですねぇ~」と大笑いされた。
それよりも…。


「お嬢様、ウィリアム殿下とのお会いする時間が取れました」


そう言うメアリの横にはマリーもいて、調べたことの報告をいくつかしてくれた。


マリーの報告によると、ウィリアム殿下の異変はやはりレオナルド殿下襲撃の後目覚めてから。王位継承権の放棄の発表はしたけれど、王命により『誓約』はまだしていないそうだ。
レオナルド殿下が王都に帰還後速やかに制約の儀を行うらしい。


そう…『誓約』とは魔法的契約の事である。
誓約した内容を破ると、かなりの痛みを伴うらしく場合によっては死に至る事もあるらしい。痛みがどの程度なのか、どの程度の制約破棄で死に至るのか…実験するには怖すぎてやっていないが…多分、継承権破棄の制約は破ると相当なしっぺ返しが来るであろう事は、誰にでも分かる。


「殿下方の中身の入れ替わりがあったこと前提で考えるならば、制約の儀の決行はお止めしないと、後々不味いことになりそうかと…」


マリーの提案に、私もメアリも頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)

犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。 『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』 ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。 まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。 みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。 でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。

私のバラ色ではない人生

野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。 だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。 そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。 ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。 だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、 既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。 ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン
恋愛
 前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。  すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?  私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!  そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。 ⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎ ⚠︎誤字多発です⚠︎ ⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎ ⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎

どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。

kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。 前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。 やばい!やばい!やばい! 確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。 だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。 前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね! うんうん! 要らない!要らない! さっさと婚約解消して2人を応援するよ! だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。 ※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

白紙にする約束だった婚約を破棄されました

あお
恋愛
幼い頃に王族の婚約者となり、人生を捧げされていたアマーリエは、白紙にすると約束されていた婚約が、婚姻予定の半年前になっても白紙にならないことに焦りを覚えていた。 その矢先、学園の卒業パーティで婚約者である第一王子から婚約破棄を宣言される。 破棄だの解消だの白紙だのは後の話し合いでどうにでもなる。まずは婚約がなくなることが先だと婚約破棄を了承したら、王子の浮気相手を虐めた罪で捕まりそうになるところを華麗に躱すアマーリエ。 恩を仇で返した第一王子には、自分の立場をよおく分かって貰わないといけないわね。

魔がさした? 私も魔をさしますのでよろしく。

ユユ
恋愛
幼い頃から築いてきた彼との関係は 愛だと思っていた。 何度も“好き”と言われ 次第に心を寄せるようになった。 だけど 彼の浮気を知ってしまった。 私の頭の中にあった愛の城は 完全に崩壊した。 彼の口にする“愛”は偽物だった。 * 作り話です * 短編で終わらせたいです * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...