48 / 135
48
しおりを挟む作ると言っても特別何かするわけじゃない。
今日食べた夕食の中に、味噌に似た調味料ミッソを使った物があったので、それと野菜などの素材を少し買い取らせて貰った。
明日の朝早く仕入れがあるので、少し多めに買い取ってもらってもいいよ~と太っ腹な事を言われたので、お言葉に甘えて多めに買い取った。
メアリ…まさきにいに…と思って。
自分より少し早くこの世界に転生し、庶民の出だと言っていたから、もしかしたら普通に食べてた食材かな?とも思ったけど、一緒に食べたかったから。
それと…まだ言える勇気が無いんだけど、マリーにも知って貰えたら嬉しいなぁと思って。
って言っても、ホントに調理はしない。
野菜を塩で揉んで水分を出した物を、ミッソに埋め埋め…チーズにもミッソをペタペタ。
卵が無かったのがちょっと残念だったけどそれはしょうがない。
ホントは2,3日漬けたいところだけど、持っていくのは難しそうなので、明日の朝食で食べよう。
チーズも本当は一週間位着けて…食べる時には是非お酒も!と行きたいけど、これは流石に……とりあえずこれも我慢。
こうしていると思う。
色々考えて…先立つ物はあるに越したことはないけど…やっぱり自分は普通の…好きな人と結婚をして、好きな人にご飯を作って…という生活に憧れる。
この世界で目覚めて数年。今の暮らしに慣れて来てはいるけれど、どうしようもない違和感はある。"こういうもんだ"と思っている人が大半だと思うけれど…自分はやっぱり「わたし」を捨てきれない。
ウィンステッド公爵家の為…とはいえ、自分の人生を捨ててまで家の為には生きられない。熱烈な恋がしたいんじゃない…そんな贅沢は言わないけど、せめて普通に好きな人と結婚したい。
貴族では難しいのかな?と思うけど…
その日はそう思ったところで眠りについた。
⚫〇⚫〇
「ふっ…ふふっ…あはっ…」
またあの暗い道。
どこからか、投げやりな笑い声が聞こえる。
「あーあっ…笑える。みんな気が付かない。中身が俺だって、誰も。誰が主だっていいんだよ…王族であれば中身が誰だって!…これで、今まで俺を馬鹿にしてた奴を見返してやる。俺を馬鹿にしていたレオナルドの人生を滅茶苦茶にしてやるっ!」
暗闇の中うずくまり叫ぶ人影。
あれは誰?あそこで叫んでいるのは誰?
誰か確かめたいけれど、見つかってはいけないと心の中の警鐘が鳴る。
そう思った途端、急に動けなくなった。
早く…早く!気づかれる前に終わって!
夢の終わりをこんなに心待ちにする時が来るなんて思いもしなかった。
けれど…早く!早くっ!
もうそれしか頭の中に浮かべる事が出来ないくらい焦る自分がいた。
⚫〇⚫〇
汗だくで目が覚め、マリーに濡れタオルを貰い、軽く体を清めシンプルなワンピースに着替える。
様子のおかしい私を見て、気を利かせてくれたのか、アルベルトを連れて来てくれた。
この旅の間は、アルベルトとして同行なのでしょうがないのだけれど…メアリに傍にいてもらいたい私の我儘を聞いてくれ、メアリとして再登場してくれた。
「お嬢様…大丈夫でいらっしゃいますか?」
顔色の悪い私を見て、防音結界を張り隣に座る。
「夢を…見たの。多分、あれはウィリアム殿下よ」
隣に座るメアリがひゅっと息をのんだ。
0
お気に入りに追加
2,918
あなたにおすすめの小説
知らない男に婚約破棄を言い渡された私~マジで誰だよ!?~
京月
恋愛
それは突然だった。ルーゼス学園の卒業式でいきなり目の前に現れた一人の学生。隣には派手な格好をした女性を侍らしている。「マリー・アーカルテ、君とは婚約破棄だ」→「マジで誰!?」
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】真実の愛のキスで呪い解いたの私ですけど、婚約破棄の上断罪されて処刑されました。時間が戻ったので全力で逃げます。
かのん
恋愛
真実の愛のキスで、婚約者の王子の呪いを解いたエレナ。
けれど、何故か王子は別の女性が呪いを解いたと勘違い。そしてあれよあれよという間にエレナは見知らぬ罪を着せられて処刑されてしまう。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」 これは。処刑台にて首チョンパされた瞬間、王子にキスした時間が巻き戻った少女が、全力で王子から逃げた物語。
ゆるふわ設定です。ご容赦ください。全16話。本日より毎日更新です。短めのお話ですので、気楽に頭ふわっと読んでもらえると嬉しいです。※王子とは結ばれません。 作者かのん
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.ホットランキング8位→3位にあがりました!ひゃっほーー!!!ありがとうございます!
【完結】ある日突然、夫が愛人を連れてくるものですから…
七瀬菜々
恋愛
皇后シエナと皇帝アーノルドは生まれた時から結婚することが決められていた夫婦だ。
これは完全なる政略結婚だったが、二人の間に甘さはなくとも愛は確かにあった。
互いを信頼し、支え合って、切磋琢磨しながらこの国のために生きてきた。
しかし、そう思っていたのはシエナだけだったのかもしれない。
ある日突然、彼女の夫は愛人を連れてきたのだ。
金髪碧眼の市井の女を侍らせ、『愛妾にする』と宣言するアーノルド。
そんな彼を見てシエナは普段の冷静さを失い、取り乱す…。
……。
…………。
………………はずだった。
※女性を蔑視するような差別的表現が使われる場合があります。苦手な方はご注意ください。
サレカノでしたが、異世界召喚されて愛され妻になります〜子連れ王子はチートな魔術士と契約結婚をお望みです〜
きぬがやあきら
恋愛
鈴森白音《すずもりしおん》は、地味ながらも平穏な日々を送っていた。しかし、ある日の昼下がり、恋人の浮気現場に遭遇してしまい、報復の手段として黒魔術に手を出した。
しかしその魔力に惹き付けられたヴァイスによって、異世界”エルデガリア王国”に召喚された。
役目は聖女でも国防でもなく「子守り」
第2王子であり、大公の地位を持つヴァイスは、赤子の母としてシオンに契約結婚を望んでいた。契約の内容は、娘の身の安全を守り養育すること。
ヴァイスは天才気質で変わり者だが、家族への愛情は人一倍深かった。
その愛は娘だけでなくシオンにも向けられ、不自然なほどの好意を前に戸惑うばかり。
だって、ヴァイスは子をなすほど愛し合った女性を失ったばかりなのだから。
しかし、その娘の出生には秘密があって……
徐々に愛を意識する二人の、ラブロマンスファンタジー
『親友』との時間を優先する婚約者に別れを告げたら
黒木メイ
恋愛
筆頭聖女の私にはルカという婚約者がいる。教会に入る際、ルカとは聖女の契りを交わした。会えない間、互いの不貞を疑う必要がないようにと。
最初は順調だった。燃えるような恋ではなかったけれど、少しずつ心の距離を縮めていけたように思う。
けれど、ルカは高等部に上がり、変わってしまった。その背景には二人の男女がいた。マルコとジュリア。ルカにとって初めてできた『親友』だ。身分も性別も超えた仲。『親友』が教えてくれる全てのものがルカには新鮮に映った。広がる世界。まるで生まれ変わった気分だった。けれど、同時に終わりがあることも理解していた。だからこそ、ルカは学生の間だけでも『親友』との時間を優先したいとステファニアに願い出た。馬鹿正直に。
そんなルカの願いに対して私はダメだとは言えなかった。ルカの気持ちもわかるような気がしたし、自分が心の狭い人間だとは思いたくなかったから。一ヶ月に一度あった逢瀬は数ヶ月に一度に減り、半年に一度になり、とうとう一年に一度まで減った。ようやく会えたとしてもルカの話題は『親友』のことばかり。さすがに堪えた。ルカにとって自分がどういう存在なのか痛いくらいにわかったから。
極めつけはルカと親友カップルの歪な三角関係についての噂。信じたくはないが、間違っているとも思えなかった。もう、半ば受け入れていた。ルカの心はもう自分にはないと。
それでも婚約解消に至らなかったのは、聖女の契りが継続していたから。
辛うじて繋がっていた絆。その絆は聖女の任期終了まで後数ヶ月というところで切れた。婚約はルカの有責で破棄。もう関わることはないだろう。そう思っていたのに、何故かルカは今更になって執着してくる。いったいどういうつもりなの?
戸惑いつつも情を捨てきれないステファニア。プライドは捨てて追い縋ろうとするルカ。さて、二人の未来はどうなる?
※曖昧設定。
※別サイトにも掲載。
愛されなければお飾りなの?
まるまる⭐️
恋愛
リベリアはお飾り王太子妃だ。
夫には学生時代から恋人がいた。それでも王家には私の実家の力が必要だったのだ。それなのに…。リベリアと婚姻を結ぶと直ぐ、般例を破ってまで彼女を側妃として迎え入れた。余程彼女を愛しているらしい。結婚前は2人を別れさせると約束した陛下は、私が嫁ぐとあっさりそれを認めた。親バカにも程がある。これではまるで詐欺だ。
そして、その彼が愛する側妃、ルルナレッタは伯爵令嬢。側妃どころか正妃にさえ立てる立場の彼女は今、夫の子を宿している。だから私は王宮の中では、愛する2人を引き裂いた邪魔者扱いだ。
ね? 絵に描いた様なお飾り王太子妃でしょう?
今のところは…だけどね。
結構テンプレ、設定ゆるゆるです。ん?と思う所は大きな心で受け止めて頂けると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる