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「お嬢様?寝不足でいらっしゃいますか?」


メアリが心配そうに、ベッドから起き上がろうとする私に聞いてきた。
もうね…説明すんのもなんか変なんだけどね、彼女ね…一応男なんですけど。
一応私、年齢一桁だけど女の子なのよ!


って言ってみたけど、完璧なレディ(メアリ)の前に敗北。
なんでか、屋敷のメイド・侍従も執事も、すっかりメアリに慣れちゃって…。
しまいには、普通に着替えまで任せて出ていこうとしたメイドを慌てて止めましたよ。


まだ嫁入り前…たとえ相手がまさきにいだとしても…前世からの知った仲でも、さすがにお着換えまではちょっと不味いので。


まぁ、メアリはその辺のレディーよりレディーらしいからね。
騙されてもしょうがないんだけど、アルベルトの事も知っているメイドさん達が流されるってどうなのよぉ~って思うんだよね。


「夜中フラフラ歩き回ったり…とかではございませんよねぇ?」


って…私をなんだと思ってるんだか、ちょっと聞き直したいのだけど…とジト目で見返すが、見事にスルー…。


「夢見がね…あんまり。なんだか最近、疲れる夢が多くてね」


そこまで話しを聞いたメアリが、思案顔で呟く。


「精神鑑賞系の魔法でしょうか?でも…結界は正常に働いているし…」


あ~……魔法ね。
夢に干渉する魔法…あるのかな?


そう思いながら、夢の内容を話す。
ちなみに…着替えは別のメイドがちゃんとしてくれたよ。今はヘアセットをメアリがやってくれている。


「神のいたずら……ね」


思うことがあるのか、それだけ呟いて黙ってしまったメアリは、急遽半休を取って屋敷の蔵書室に篭ってしまった。


私が倒れた時に、レオナルド殿下にもサイラス様にも、魔法士だってバレたらしい。
…で、魔法士バレのついでに、お父様から蔵書室への入室許可&蔵書閲覧の許可はもらったみたい。


さすがしっかり…いや…ちゃっかりしてるね。
っていうか、性別は?いやね、差別してるわけじゃないけどね?性別バレは無しなの?


っていう、私の心は置き去りにしたメアリがいないので、私の傍にはメイドさん…またの名を忍者Aがいる…いやいや、本名マリーさんね。


「コードネームはご内密に…」って、どこのスパイだよっ!って思わずツッコミたくなったけど、冗談じゃなくスパイ活動いけるらしい。


あの、どこに向かって成長しているのか解らないマーキスが、直々に仕込んだメイド忍者らしく、情報収集もお手の物だし、いざとなったら私を担いで逃げる位なんともないって。


そう…抱っこでもおんぶでもなく、担ぐです。


前に自己紹介された時、思わず「無理でしょ」といった私に、実力を見せたいと言われ、見事俵抱きされ屋敷の周りを走られたのよね。


前世から通して初めての俵抱き…。
まぁお陰で、いざとなった時の運び方に指導を入れられたから良かったんだけどね。


ホント…俵抱きだけはおすすめできないわ。
走られると、舌は噛むわ振動で気持ち悪くなるわ…。


お姫様抱っこなんて贅沢言わないから、せめて縦抱きにしてって言ったら、小一時間縦抱き抱っこで走る練習に付き合わされたわ…。


もう……この屋敷に来る子ってこんなんばっかなのかしら。
一応、辺境とはいえ公爵家なのに…。ちょっと先が心配だわ。
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