上 下
35 / 135

35

しおりを挟む



「ミーリア様?」


物思いに耽ってしまった私を心配して、メアリが声を掛けてきた。
心配性だなぁ~…根本的なところは昔から変わらない彼女を見る。
ちなみに…殿下が来ようとお客様が滞在しようと、メアリはメアリで、アルベルトに戻る気はないらしい。
うん…まぁ…それでこそまさきにいよね…うん。


「う~ん……この滞在中に、殿下に魔力のコントロールを覚えてもらえれば少しは体調も良くなるんじゃなかな?なんて思ってたの」


だから、それを手伝って欲しいと協力を仰ぐ。


兄様と一緒に勉強を始めてのち、いつの間にか講師交代し、私とメアリが魔法学の講師をしていたら、兄様と…もう限界であろうと自分で思っていた講師役の魔法士の魔力が増え…魔力が増えてしまったにも拘らず魔力コントロールもしっかりできた。
……なんて奇跡の出来事が。


まぁ…こんなことがホイホイ出来てしまった…というか教えることが出来てしまった私達に、他人への魔法指導禁止をお父様にされたのは言うまでもない事なんだけど、魔力コントロールができれば、魔力過多症なんて病気なくなるんじゃないか…と思ったのも確か。


一応、お父様にレオナルド殿下への魔法学の指導は頂いている。
ただし、これはあくまでも”ミーリア・ウィンステッドの婚約者”への指導であって、王子殿下への指導ではない。
秘密漏洩防止の為、側近を付けての講義もなしだ。講義を受けられるのはあくまでも婚約者のみ…である。


お父様がなぜ“魔力量が増えコントロールもできる”のを漏らすことに危機を覚えているか…っていうのは、国の…王族の今後に関わってきてしまうかもしれないかららしい。


まぁぶっちゃけ、他に魔力量が多い貴族家が出てくれば、現在ほぼ世襲制できているバイエルン王国の王位が揺れる原因になってしまう…のではないかと。


……言われて初めて思い出したが、我がバイエルン王国は王国と名乗ってはいるが、根本的な国の成り立ちは共和制だと教科書には書いてあった。


魔力の多い者達で国を立ち上げ、その都度魔力の多い者が王になり国を支えてきた。
が…時が過ぎるにつれ、魔力量が少ないものが増えてきた…というか魔力量の多い者が生まれにくくなってきたらしい。


今の王家に魔力量の多い者が生まれやすいのはきっと、魔力量の多い令嬢なり子息を王家の血筋に入れてきたことが理由と思われる。
いわゆる職権乱用ってやつだな。


ちなみに、王家に次いで貴族家…それも公爵家に魔力量の多い者が多い理由は、建国に関わった者の子孫であり、やはり王家と同じく政略結婚での魔力保持者の確保が原因だと思う。


まぁ、そんだけ魔力量が多くないとできない何かがあるのだと思うんだけど、なぜそこまで魔力量にこだわるのかはお父様にも解らないらしい。
我が家の書庫にも古い文献は沢山あるが、それらしい記述がないとの事。
そのうち、許可をもらって書庫漁りを慣行しよう!


そう思いつつ今日に至ったのだけれど、なんだかんだと忙しくて書庫に近づく事もできなかった。
年齢一桁の子供が忙しいってどんだけよ…なんて思ったりもしたけど、この世界では成人も15歳と少し早い。
成人となるとそれぞれ役職についたりなんだり…婚姻も成人すればできる。


レオナルド殿下の婚約者を決定もこの年齢が理由だろう。
たしか、兄様の一つ上だったと記憶しているので、今年14歳。
来年には成人で…王子の成人をもって皇太子が決まる。
このまま無事成人を迎えられればの話だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢を演じて婚約破棄して貰い、私は幸せになりました。

シグマ
恋愛
伯爵家の長女であるソフィ・フェルンストレームは成人年齢である十五歳になり、父親の尽力で第二王子であるジャイアヌス・グスタフと婚約を結ぶことになった。 それはこの世界の誰もが羨む話でありソフィも誇らしく思っていたのだが、ある日を境にそうは思えなくなってしまう。 これはそんなソフィが婚約破棄から幸せになるまでの物語。 ※感想欄はネタバレを解放していますので注意して下さい。 ※R-15は保険として付けています。

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

悪役令嬢なのに下町にいます ~王子が婚約解消してくれません~

ミズメ
恋愛
【2023.5.31書籍発売】 転生先は、乙女ゲームの悪役令嬢でした——。 侯爵令嬢のベラトリクスは、わがまま放題、傍若無人な少女だった。 婚約者である第1王子が他の令嬢と親しげにしていることに激高して暴れた所、割った花瓶で足を滑らせて頭を打ち、意識を失ってしまった。 目を覚ましたベラトリクスの中には前世の記憶が混在していて--。 卒業パーティーでの婚約破棄&王都追放&実家の取り潰しという定番3点セットを回避するため、社交界から逃げた悪役令嬢は、王都の下町で、メンチカツに出会ったのだった。 ○『モブなのに巻き込まれています』のスピンオフ作品ですが、単独でも読んでいただけます。 ○転生悪役令嬢が婚約解消と断罪回避のために奮闘?しながら、下町食堂の美味しいものに夢中になったり、逆に婚約者に興味を持たれたりしてしまうお話。

悪役令嬢は冷徹な師団長に何故か溺愛される

未知香
恋愛
「運命の出会いがあるのは今後じゃなくて、今じゃないか? お前が俺の顔を気に入っていることはわかったし、この顔を最大限に使ってお前を落とそうと思う」 目の前に居る、黒髪黒目の驚くほど整った顔の男。 冷徹な師団長と噂される彼は、乙女ゲームの攻略対象者だ。 だけど、何故か私には甘いし冷徹じゃないし言葉遣いだって崩れてるし! 大好きだった乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気がついたテレサ。 断罪されるような悪事はする予定はないが、万が一が怖すぎて、攻略対象者には近づかない決意をした。 しかし、決意もむなしく攻略対象者の何故か師団長に溺愛されている。 乙女ゲームの舞台がはじまるのはもうすぐ。無事に学園生活を乗り切れるのか……!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

ヒロインに悪役令嬢呼ばわりされた聖女は、婚約破棄を喜ぶ ~婚約破棄後の人生、貴方に出会えて幸せです!~

飛鳥井 真理
恋愛
それは、第一王子ロバートとの正式な婚約式の前夜に行われた舞踏会でのこと。公爵令嬢アンドレアは、その華やかな祝いの場で王子から一方的に婚約を解消すると告げられてしまう……。しかし婚約破棄後の彼女には、思っても見なかった幸運が次々と訪れることになるのだった……。 『婚約破棄後の人生……貴方に出会て幸せです!』  ※溺愛要素は後半の、第62話目辺りからになります。 ※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。 ※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。よろしくお願い致します。 ※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します!

八代奏多
恋愛
 伯爵令嬢の私、リリアーナ・クライシスはその過酷さに言葉を失った。  社交界がこんなに酷いものとは思わなかったのだから。  あんな痛々しい姿になるなんて、きっと耐えられない。  だから、虐められないために誰の目にも止まらないようにしようと思う。  ーー誰の目にも止まらなければ虐められないはずだから!  ……そう思っていたのに、いつの間にかお友達が増えて、ヒロインみたいになっていた。  こんなはずじゃなかったのに、どうしてこうなったのーー!? ※小説家になろう様・カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...