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しおりを挟む魔法のお勉強の自作教材を制作中、隣のメアリがいきなりぶるっと震えた。
体調でも悪いのかと思い、今日は帰って休んだ方が良いと言ったら、すっごい勢いで断られた。なんでも…過去の経験上、こういう時は私の傍にいた方が良いらしい。
なんだそれ…とツッコミどころ満載の話だけれど、突っ込まない方がいい気がしたので、止めておいた。
そう言えば、さっき兄様も慌てて装飾用のあの短剣を取りに行っていたなぁ…。
みんなどうしたんだろう?
「あっ、そうだ。メアリ。マーキスにあんまりアホなこと吹き込んじゃダメよ?」
最近、若干突っ走っている感がある兄様の侍従のことを思い出す。
メアリに異常に対抗心を向けたり…いきなり尊敬の眼差しに変わったり。
表情を見ているだけでも面白い侍従なのだが、時々…兄様の侍従があれでいいのか考えてしまう。
昨日は、兄様がマーキスから魔道具制作を相談されたらしいのだけれど、希望する効果をなんの為に使いたいのか、いまいち理解出来ず…どんなシチュエーションで使いたいのかはっきりしないと試作も出来ないと突っ返したばかりだったのだ。
「お嬢様…別に私は、聞かれたことを普通に返しているだけですわよ?」
最近富に女らしさが増し、キラキラ度マックスの笑顔で答えるメアリ。
こういうのをいい女って言うんだろうな………って男だけどね。
「何を聞かれたの?」
試しに聞いてみれば…
「これからもずっと若の傍にいるにはどうしたらいいか?」
という相談だったらしい。
何を見て何を思ってそう思ったのか…兄様に何かあったのかな?
少し考えてみたけれど、兄様と違ってあまり外出しない私にはあまりよく分からない。
ん~…さて…。
「で、それにメアリはなんて答えたの?」
メアリのアドバイスを元に何か考えたであろうと思うので、とりあえず聞いてみる。
「特に変な事を言ったつもりはないのですが…そうですね…確か…」
常に傍にいるだけが侍従の仕事じゃないとか…主人の陰日向となり、必要情報を集めるとか……そんな感じのことを言ったらしいのだ。
まぁ、私から見てもメアリから見ても兄様の侍従は年齢のわりに優秀だ。
あんまり心配はしていない。
若干思考が斜め上の更に上を行くだけで……個人で見るとだいぶ残念な子なだけで、兄様の侍従としては大変好ましいと思っている。
まぁ、本人がまだまだと思っていると言うのだ…向上心…大変良い事だと思う…のだが…。
「マーキスはアーサー様に何を?無理な事をお願いしたのでしょうか?」
マーキスとメアリ(アルベルト)は我が家で仕事を始めた時期も年齢も同じ。いわば同期って奴らしいので、色々心配なんだと思う。
「まぁ、気配を消すとか身体能力…というか、身体を物理的に軽く出来る魔道具は出来ないかって兄様に言ったらしいわよ?」
マーキスの斜め上の思考をまともにとろうとしてもどうせ外れるので無駄はしない。
年上の男性を捕まえて「あの子」と言うのもなんだけど…あの子にはある程度好きにさせた方がいいのだ…と思っている。
何かあって大変なのは兄様とお父様なので、とりあえずは魔道具に組込む属性魔法を考える。マーキスと相性が良い属性がいいわよね。
そう思い、自作教材作りに集中し始めるミーリアであった。
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