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産後のことはお任せを

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出産は難なく終わった。
前世でも出産なんて経験してないから、あくまで知識だけだったけど、この世界にはこの世界ならではの医術がある。なので、私は私ができる範囲で手伝ってサポートしてみた。

あんまり役には立っていなかったけどね。


ミーヤお母様、体調はどう?どこか痛いとか、違和感とかない?赤ちゃんも大事だけど、産後の方が体調を崩しやすいから、まずは1ヶ月。身体を冷やしちゃダメよ。清潔にしておかなければいけないけど、お風呂は1ヶ月後まで我慢。あっ、サウナだったら疲れない程度に入ってもいいと思うわ」


ツラツラと、とりあえず思いついたまま話していたら、処置が終わり部屋の片付けをしながら聞いていたのか、医者とその助手達が興味を示してきた。


「セレーネ様、もしよろしければそのお話、後日でいいので詳しく教えて頂けないでしょうか?出産は命懸けと言いますが、子どもが無事生まれても、産後の肥立ちが悪く亡くなる者もたくさんおります。私どもも色々考えて対応してはおりますが、なにぶん病気ではない為、調薬で対応も難しいのです……」


うとうとしてきたミーヤお母様をそのまま寝かせて、別室にて話をすることにした。


「平民の中では出産ってどういう感じなのかしら?」


ふと気になって聞いてみると、生んで数日後にはすぐに動きだし、産前のように普通に生活するらしい。ちょっとびっくりした。
前世でも海外ではそういう所もあると聞いたけどやっぱり……


「なにかの本で読んだのだけれど、出産によって身体はあり得ないくらいボロボロになるとあったわ。それに、引き続き母乳で育てるんだもん、充分身体を休めないとあっという間に母乳なんて出なくなってしまうわ。これも本からの情報だけど、母親が出すお乳は血液と同じ成分でできていると書いてあったの。それを考えれば、栄養を摂らなければいけないのはもちろん、身体の中の血を増やすような食べ物だったりを中心にしっかり食べないと……」


その後もしばらくお話し…というか講義?は続いて、メイドが夕飯の時間を告げに来るまで話をした。

帰り際医師に『これで少しでもがいなくなればいいなぁと思います』といっていった。


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