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12 決意する
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初めての共同作業って、結婚してからの事を言うのかしら?
でも、そんなのどっちでもいいわ!
だって、共同作業な事に変わりはないから!
「大丈夫だったか!?」
そんな事を思っていると、ルーが心配げな表情で私の方に駆け寄ってくる。
ここは、普通の令嬢なら怖がるべきよね?
「あ、あの、怖かったです!」
両拳を握りしめてルーを見つめる。
「嘘付け」
すると返ってきた声はルーではなく、頭上からだったので顔を上げると、若い男性が何人か、近くの店の屋根の上から私達を見下ろしているのがわかった。
昨日のお店にいた人もいるから、ルーの部下の人達かもしれない。
「見てたんならなんで助けないんだ!?」
「助ける必要なかったからだよ。お嬢、ボスの助けがなくても1人でやれてたと思うぜ」
ルーが文句を言うと、1人の男性が口をとがらせて答えた。
やっぱり、私をお嬢と呼ぶという事は、ルーのお仲間さんみたい。
皆、暇そうにしているな、と思ったけれど、ビアンカの所から引きあげてきた人達が暇を持て余しているのかもしれない。
「殿下! やはり、あいつらの目的はリアラ様でした。今回は公爵家に頼まれた可能性が…」
騎士の人が近付いて来て、ルーに小声で伝える。
チンピラに関しては、私達が話している間に、騎士さん達が残りを片付けてくれたみたい。
「まったく、大勢の前で婚約破棄だけでもどうかと思うのに、まだ彼女に嫌がらせをしようってのか…」
「ボス、どうする? 俺らがつぶしてこようか? そっちの優等生くん達には無理だろうから」
「女性のピンチに何もしない野蛮人に言われたくないな」
「あんだと!?」
ルーのお仲間さん達と騎士さん達は仲が良くないのかしら?
喧嘩になりそうになったところで、ルーが間に入る。
「止めろ。関係ない人達が周りにいるんだぞ」
「申し訳ございません、殿下」
「ごめん、ボス」
本当はお互いに謝って欲しかったんだろうけど、二人共、それを拒否した感じで、ルーに謝った。
「お前らは毎回、こんな感じだな…。もういい。それより、君は怪我はないか?」
「あ、大丈夫なのですが…」
「どうした?」
「また、我を忘れてしまいまして…。騎士の方にお見苦しいものを見せてしまったのではないかと…」
小さな声で答えると、ルーは意味がわかったのか、騎士さん達の方に振り返る。
「ドレスの中は見てないよな!?」
「大きな声で言わないで下さい!」
「わ、悪い!」
私が叫ぶと、ルーが慌てて自分の口をおさえる。
「お嬢に、他人に見られても良い下着買ってやれよ」
「うるさい! お前らは帰れ! ほんと、俺も含めてデリカシーのない奴らでごめん」
お仲間さんに叫んだあと、ルーは私の方に振り返り、手を合わせて、もう一度謝ってくる。
「ほんとごめん!」
「いいんです。本当は私が考えないといけない事なんですから」
これだけ暴れるなら、見られても良いものを下に履かなければ駄目よね。
「俺は見たいけどなあ、ってうわ!」
先程まで話していた人とは違うお仲間さんの1人で、昨日、私の下着を見たと言っていた、茶髪のヤンチャそうな男性が口を開くと、ルーが腰に巻いていたホルダーから小さなナイフを抜いて、彼の顔めがけて投げたものだから、ヤンチャそうなお兄さんはそれを慌てて受け止めて叫んだ。
「ボス! 俺を殺す気か!?」
「ナイフを受け止めた際に、バランスを崩して、屋根から落ちて頭を打てば良いと思っただけだ」
「こっわ!」
ヤンチャそうなお兄さんはナイフをルーに戻すように投げ返すと、立ち上がって言う。
「お詫びに、そこのチンピラ捕まえるように警察呼んでくるわ。ボスとお嬢はデートを楽しんで! 後は俺らに、お、ま、か、せ」
「気持ち悪い」
ウインクしてきた、ヤンチャそうなお兄さんに向かって、ルーが、苦虫を噛み潰した様な顔をすると、ぎゃはは、と笑いながら、他のお仲間さん達と一緒に去っていった。
すると、騎士さんが1人近付いてきて、ルーに言う。
「殿下、まともな人間もいるのかもしれませんが、付き合う人間は選んだ方が良いです」
「真面目な人間は、お前達の様に騎士になるから、それはそれでいいだろ」
「あんな奴らと一緒では殿下の身が心配です」
騎士さんのリーダー格っぽい、黒髪のイケメン騎士さんが言うと、ルーは苦笑した。
「あいつらはあいつらで良いとこがあるんだよ。何より、俺をボスだと信頼してくれてるしな」
「私共も殿下を信頼しております!」
「……ありがとな」
ルーがはにかんだような笑顔を見せる。
ああ、可愛い。
騎士の人にも部下の人にも好かれてるルーは、きっと良い人なんだと思う。
それに、イケメンで喧嘩が強いのは本当にタイプすぎる!!
ビアンカ、婚約破棄してくれてありがとう!
私、絶対にルーの婚約者になるわ!!
でも、そんなのどっちでもいいわ!
だって、共同作業な事に変わりはないから!
「大丈夫だったか!?」
そんな事を思っていると、ルーが心配げな表情で私の方に駆け寄ってくる。
ここは、普通の令嬢なら怖がるべきよね?
「あ、あの、怖かったです!」
両拳を握りしめてルーを見つめる。
「嘘付け」
すると返ってきた声はルーではなく、頭上からだったので顔を上げると、若い男性が何人か、近くの店の屋根の上から私達を見下ろしているのがわかった。
昨日のお店にいた人もいるから、ルーの部下の人達かもしれない。
「見てたんならなんで助けないんだ!?」
「助ける必要なかったからだよ。お嬢、ボスの助けがなくても1人でやれてたと思うぜ」
ルーが文句を言うと、1人の男性が口をとがらせて答えた。
やっぱり、私をお嬢と呼ぶという事は、ルーのお仲間さんみたい。
皆、暇そうにしているな、と思ったけれど、ビアンカの所から引きあげてきた人達が暇を持て余しているのかもしれない。
「殿下! やはり、あいつらの目的はリアラ様でした。今回は公爵家に頼まれた可能性が…」
騎士の人が近付いて来て、ルーに小声で伝える。
チンピラに関しては、私達が話している間に、騎士さん達が残りを片付けてくれたみたい。
「まったく、大勢の前で婚約破棄だけでもどうかと思うのに、まだ彼女に嫌がらせをしようってのか…」
「ボス、どうする? 俺らがつぶしてこようか? そっちの優等生くん達には無理だろうから」
「女性のピンチに何もしない野蛮人に言われたくないな」
「あんだと!?」
ルーのお仲間さん達と騎士さん達は仲が良くないのかしら?
喧嘩になりそうになったところで、ルーが間に入る。
「止めろ。関係ない人達が周りにいるんだぞ」
「申し訳ございません、殿下」
「ごめん、ボス」
本当はお互いに謝って欲しかったんだろうけど、二人共、それを拒否した感じで、ルーに謝った。
「お前らは毎回、こんな感じだな…。もういい。それより、君は怪我はないか?」
「あ、大丈夫なのですが…」
「どうした?」
「また、我を忘れてしまいまして…。騎士の方にお見苦しいものを見せてしまったのではないかと…」
小さな声で答えると、ルーは意味がわかったのか、騎士さん達の方に振り返る。
「ドレスの中は見てないよな!?」
「大きな声で言わないで下さい!」
「わ、悪い!」
私が叫ぶと、ルーが慌てて自分の口をおさえる。
「お嬢に、他人に見られても良い下着買ってやれよ」
「うるさい! お前らは帰れ! ほんと、俺も含めてデリカシーのない奴らでごめん」
お仲間さんに叫んだあと、ルーは私の方に振り返り、手を合わせて、もう一度謝ってくる。
「ほんとごめん!」
「いいんです。本当は私が考えないといけない事なんですから」
これだけ暴れるなら、見られても良いものを下に履かなければ駄目よね。
「俺は見たいけどなあ、ってうわ!」
先程まで話していた人とは違うお仲間さんの1人で、昨日、私の下着を見たと言っていた、茶髪のヤンチャそうな男性が口を開くと、ルーが腰に巻いていたホルダーから小さなナイフを抜いて、彼の顔めがけて投げたものだから、ヤンチャそうなお兄さんはそれを慌てて受け止めて叫んだ。
「ボス! 俺を殺す気か!?」
「ナイフを受け止めた際に、バランスを崩して、屋根から落ちて頭を打てば良いと思っただけだ」
「こっわ!」
ヤンチャそうなお兄さんはナイフをルーに戻すように投げ返すと、立ち上がって言う。
「お詫びに、そこのチンピラ捕まえるように警察呼んでくるわ。ボスとお嬢はデートを楽しんで! 後は俺らに、お、ま、か、せ」
「気持ち悪い」
ウインクしてきた、ヤンチャそうなお兄さんに向かって、ルーが、苦虫を噛み潰した様な顔をすると、ぎゃはは、と笑いながら、他のお仲間さん達と一緒に去っていった。
すると、騎士さんが1人近付いてきて、ルーに言う。
「殿下、まともな人間もいるのかもしれませんが、付き合う人間は選んだ方が良いです」
「真面目な人間は、お前達の様に騎士になるから、それはそれでいいだろ」
「あんな奴らと一緒では殿下の身が心配です」
騎士さんのリーダー格っぽい、黒髪のイケメン騎士さんが言うと、ルーは苦笑した。
「あいつらはあいつらで良いとこがあるんだよ。何より、俺をボスだと信頼してくれてるしな」
「私共も殿下を信頼しております!」
「……ありがとな」
ルーがはにかんだような笑顔を見せる。
ああ、可愛い。
騎士の人にも部下の人にも好かれてるルーは、きっと良い人なんだと思う。
それに、イケメンで喧嘩が強いのは本当にタイプすぎる!!
ビアンカ、婚約破棄してくれてありがとう!
私、絶対にルーの婚約者になるわ!!
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