20 / 25
番外編や後日譚
閑話 またもや奪う
しおりを挟む
エレガンさんの身柄を王城警察に預けると、改めて明日の朝に事情を聞きたいと言われました。
精神的にも肉体的にも疲れ切ってしまった私たちは、一度、それぞれの自室に戻ることにしました。
なぜ自室に戻ったかといいますと、私は一度外に出てしまうと、眠る時には、お風呂に入って体を綺麗にしないと気が済まない人間だからです。
お嫁にくるまでは部屋に閉じ込められていましたから、その反動なのかもしれません。
ですが、使用人たちは違う意味で取ってしまったようでした。
「事件が解決したようですし、お子様ができるのは近いのかしら!」
「気が早いわ! プレッシャーになってしまったら大変よ!」
私の体を洗ってくれているメイドたちの心の声が口に出てしまっています。
申し訳ないですが、そんなことをする元気はないのですよ。
「あの……、今日は疲れているから眠りたいのだけど、やはりそういうことをしないと駄目かしら?」
「も、申し訳ございません! そういう意味ではありません!」
メイドたちは声を揃えて謝り、頭を下げてきます。
彼女たちも悪気はないのでしょう。
私が彼女たちの立場なら同じように考えているかもしれません。
それに、今は夜の2時前ですから、こんな時間に私のお風呂に付き合ってくれている彼女たちには感謝しなければなりませんよね。
「あの、ありがとう。いつかは期待に応えられるように頑張りますので、もう少し待ってもらえますか?」
「もちろんでございます! お二人が幸せになってくださることが、わたくし共の願いですから!」
メイドたちは笑顔で言ってくれたあと、私の体を優しくタオルで拭き始めてくれたのでした。
髪を乾かし終えてから寝室に向いますと、部屋の明かりがついていて、ルーラス様はすでにベッドの上で寝ておられました。
そろりそろりと近づいたのですが、警戒されておられるのか、すぐに目を覚まして体を起こされました。
「リルか。ごめん、寝てた」
「寝ていてください。お疲れなんですから」
「疲れてるのはリルもだろ」
ふわぁとルーラス様はあくびをすると、よほど疲れておられるのか、またごろんとベッドに横になってしまわれました。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。気を張って疲れただけだから。あと、魔力も使ったしな」
「お疲れ様でございました」
ルーラス様の横に寝転ぶと、ルーラス様は体をこちらに向けられました。
「リルもお疲れ」
「私は何もしておりません。今日はもう眠りましょうか」
「……そうだな。明日も早いし」
「そうですね」
頷きますと、ルーラス様が私の頬に手を当てます。
「どうかされましたか?」
「いや、その、寝る前に……」
何かしようとされているのかもしれませんが、よっぽど眠たいのでしょうか。
ルーラス様の目はとろんとされていますし、目を開けたり閉じたりしています。
こんなに眠いのに、何をしようとされているのでしょう?
も、もしや、キスをしようとされているのでしょうか!?
やっとリベンジの機会がきたようです!
「ルーラス様! 失礼いたします!」
「……ん?」
不思議そうにしているルーラス様のほうに身を寄せて、ルーラス様の唇に自分の唇を重ねてから、すぐに離します。
「……リ……ル」
「や、やっと大人同士でできましたね! 満足です!」
やりました!
キスのリベンジができたのです!
パチパチと手を叩いて喜んでいますと、ルーラス様は「だから……、何か……違う」と呟いたあと、そのまま眠ってしまわれたのでした。
精神的にも肉体的にも疲れ切ってしまった私たちは、一度、それぞれの自室に戻ることにしました。
なぜ自室に戻ったかといいますと、私は一度外に出てしまうと、眠る時には、お風呂に入って体を綺麗にしないと気が済まない人間だからです。
お嫁にくるまでは部屋に閉じ込められていましたから、その反動なのかもしれません。
ですが、使用人たちは違う意味で取ってしまったようでした。
「事件が解決したようですし、お子様ができるのは近いのかしら!」
「気が早いわ! プレッシャーになってしまったら大変よ!」
私の体を洗ってくれているメイドたちの心の声が口に出てしまっています。
申し訳ないですが、そんなことをする元気はないのですよ。
「あの……、今日は疲れているから眠りたいのだけど、やはりそういうことをしないと駄目かしら?」
「も、申し訳ございません! そういう意味ではありません!」
メイドたちは声を揃えて謝り、頭を下げてきます。
彼女たちも悪気はないのでしょう。
私が彼女たちの立場なら同じように考えているかもしれません。
それに、今は夜の2時前ですから、こんな時間に私のお風呂に付き合ってくれている彼女たちには感謝しなければなりませんよね。
「あの、ありがとう。いつかは期待に応えられるように頑張りますので、もう少し待ってもらえますか?」
「もちろんでございます! お二人が幸せになってくださることが、わたくし共の願いですから!」
メイドたちは笑顔で言ってくれたあと、私の体を優しくタオルで拭き始めてくれたのでした。
髪を乾かし終えてから寝室に向いますと、部屋の明かりがついていて、ルーラス様はすでにベッドの上で寝ておられました。
そろりそろりと近づいたのですが、警戒されておられるのか、すぐに目を覚まして体を起こされました。
「リルか。ごめん、寝てた」
「寝ていてください。お疲れなんですから」
「疲れてるのはリルもだろ」
ふわぁとルーラス様はあくびをすると、よほど疲れておられるのか、またごろんとベッドに横になってしまわれました。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。気を張って疲れただけだから。あと、魔力も使ったしな」
「お疲れ様でございました」
ルーラス様の横に寝転ぶと、ルーラス様は体をこちらに向けられました。
「リルもお疲れ」
「私は何もしておりません。今日はもう眠りましょうか」
「……そうだな。明日も早いし」
「そうですね」
頷きますと、ルーラス様が私の頬に手を当てます。
「どうかされましたか?」
「いや、その、寝る前に……」
何かしようとされているのかもしれませんが、よっぽど眠たいのでしょうか。
ルーラス様の目はとろんとされていますし、目を開けたり閉じたりしています。
こんなに眠いのに、何をしようとされているのでしょう?
も、もしや、キスをしようとされているのでしょうか!?
やっとリベンジの機会がきたようです!
「ルーラス様! 失礼いたします!」
「……ん?」
不思議そうにしているルーラス様のほうに身を寄せて、ルーラス様の唇に自分の唇を重ねてから、すぐに離します。
「……リ……ル」
「や、やっと大人同士でできましたね! 満足です!」
やりました!
キスのリベンジができたのです!
パチパチと手を叩いて喜んでいますと、ルーラス様は「だから……、何か……違う」と呟いたあと、そのまま眠ってしまわれたのでした。
347
お気に入りに追加
6,210
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~
Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪
第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪
◇ ◇ ◇
婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。
【一章】婚約者編
【二章】幼馴染の護衛騎士編
【閑話】お兄様視点
【三章】第二王子殿下編
【閑話】聖女視点(ざまぁ展開)
【四章】森でスローライフ
【閑話】彼らの今
【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)
主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。
スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。
スローライフの相棒は、もふもふ。
各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。
◇ ◇ ◇
【あらすじ】
平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。
聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。
主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。
そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。
良好だった関係は、徐々に崩れていく。
婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。
自分の身は自分で守れるわ。
主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。
※ちょっと男性陣が可哀想かも
※設定ふんわり
※ご都合主義
※独自設定あり
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
病弱な妹に婚約者を奪われお城に居場所がなくなったので家出したら…結果、幸せになれました。
coco
恋愛
城に戻ってきた妹に、騎士兼婚約者を奪われた私。
やがて城に居場所がなくなった私は、ついに家出を決意して…?
ご存知ないようですが、父ではなく私が当主です。
藍川みいな
恋愛
旧題:ご存知ないようですが、父ではなく私が侯爵です。
タイトル変更しました。
「モニカ、すまない。俺は、本物の愛を知ってしまったんだ! だから、君とは結婚出来ない!」
十七歳の誕生日、七年間婚約をしていたルーファス様に婚約を破棄されてしまった。本物の愛の相手とは、義姉のサンドラ。サンドラは、私の全てを奪っていった。
父は私を見ようともせず、義母には理不尽に殴られる。
食事は日が経って固くなったパン一つ。そんな生活が、三年間続いていた。
父はただの侯爵代理だということを、義母もサンドラも気付いていない。あと一年で、私は正式な侯爵となる。
その時、あなた達は後悔することになる。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。