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番外編や後日譚
閑話 期待していた使用人たち
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※35話の次の日の朝の話です。
次の日の朝はとても良い天気で、カーテンを開けただけで薄暗かった部屋が一気に明るくなりました。
窓を開けて新鮮な空気を入れようか迷っていますと、ルーラス様が寝ぼけ眼で聞いてこられます。
「昨日はよく眠れたか?」
「ばっちりです! エレガンさんのほうには監視がついていますから、魔法陣のことで怯える必要もなかったですし」
私は最初から怯える必要はないのですが、ルーラス様に何かあったら嫌です。
そのため、当たり前ではありますが、エレガンさんには昨日から見張りをつけてもらっています。
彼女は城内にある寮に寝泊まりしておられ、魔法陣を書くとすると彼女の部屋では狭いのだそうで、図書館の館長室で魔法陣を書いているそうです。
エレガンさんは結界魔法が使えますから、書いている途中で結界魔法をかけ、続きを書くときには解除するを繰り返しているのだと、セレシー様が教えてくださいました。
魔力の件もそうですが、魔法陣を書くというのはかなり大変なようです。
「では、着替えてまいりますので、後ほどダイニングルームでお会いしましょう」
「ああ」
私の言葉に対するルーラス様の返事は元気がありません。
ルーラス様が何だか眠そうにされているのが気になりますが、今日もお仕事ですから遅刻させるわけにはいきません。
でも、体調が悪いのでしたら無理に出勤させるのも良くありませんよね。
「ルーラス様、体調が悪いようでしたら、本日のお仕事はお休みされますか?」
「いや、大丈夫だ。ちょっと寝不足なだけで体調が悪いわけじゃない」
「……もしかして、私のせいでしょうか?」
「それは間違いない」
「そ、そんな! 何が悪かったのです!?」
「どうして、俺だけ意識してるんだよ!?」
「ええ!? 私も意識はしておりましたよ? でも、しないとおっしゃったので寝たまでですが!?」
口論をしていると、私たちが起きたということに気づいてくれたのか、寝室の扉がノックされました。
ルーラス様が返事をしますと扉が開き、ホリーが笑顔で中に入ってきました。
「おはようございます、ルーラス殿下、リルーリア様」
開け放たれた扉の向こうには、勤務時間は過ぎているはずですのに、夜勤チームのメイドやフットマン、そして執事やメイド長が笑顔で立っているのが見えます。
も、もしかしてこれは……!
「さあ、リルーリア様。昨晩は大変でしたでしょう? バスタブに湯を張っております。それとも先にお食事にされますか?」
「あ、あの、ホリー、皆さん、違うんです! 申し訳ございません!」
「本当にごめん!」
ニコニコ笑顔の使用人たちに私とルーラス様は先に謝ったあと、昨日は何もなかったということを伝えますと、皆さんは私たちの考えを理解してくださったようですが、がっかりした様子が隠しきれておらず、とても申し訳ない気持ちになったのでした。
次の日の朝はとても良い天気で、カーテンを開けただけで薄暗かった部屋が一気に明るくなりました。
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「昨日はよく眠れたか?」
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そのため、当たり前ではありますが、エレガンさんには昨日から見張りをつけてもらっています。
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でも、体調が悪いのでしたら無理に出勤させるのも良くありませんよね。
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「ええ!? 私も意識はしておりましたよ? でも、しないとおっしゃったので寝たまでですが!?」
口論をしていると、私たちが起きたということに気づいてくれたのか、寝室の扉がノックされました。
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