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第25話 リーシャの甘い計画
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ライト様の腕の中はとてもあったかくて、安心が出来て、この上なく、ぐっすり眠れたのはいいのですが、朝、目覚めた時には本当に恥ずかしかったです。
ライト様はいつもの時間に起きておられたのですが、私は目を覚ます事もなかったのです。
どれだけ無防備なのでしょうか…!
というか、別に無防備なのは悪くないのですよね。
自分の寝室で相手は一緒に眠った相手は旦那様なのですから。
ライト様は昨日、寝づらかったんじゃないでしょうか。
それだけが心配です。
私が身支度を終えた時にはライト様は出勤されていました。
私が寂しそうにしていたからか、テセマカさんが慰めてくれます。
「旦那様は奥様と一緒に夕食を取るために早出をされる事に決めたそうです。それは奥様の為でもありますし、旦那様自身の為でもあるのですよ」
「……ありがとうございます」
甘ったれた顔をしていてはいけませんね。
もうすぐ私は、あれと戦わなければいけないのですから…。
でも、その前にやはり、シルフィーをどうにかしたいという気持ちもあります。
どうせなら、まとめてやっつけたいものです。
あれが私に対して何を言おうとしているのかはわかりませんが、もう私に未練など残せない様にしてしまいたいです…。
「……考えてみたら、アバホカ陛下は私に会いたいから屋敷に来ようとしているだけで、私に会えるのなら、どこでも良いんですよね…」
閃いた事があり、思わず口に出すと、傍にいたテセマカさんが不思議そうに首を傾げたのでした。
そして、その日の晩、私が考えた事をライト様に話すと、眉間のシワを深くして聞いてこられます。
「どうしてシルフィーの見舞いの場であれと会おうと思うんだ?」
「逃げ出した事に対して、シルフィーが悪いのは確かですが、殴る事はよくありません。それについては謝罪すべきだと思います」
「それはそうかもしれないが、その場に君がいる必要はあるか?」
「シルフィーとあれを二人きりにしても危ないでしょう? それに、ライト様も一緒にいてくれますよね?」
「それはもちろんだが、わざわざ会わなくても良い人間に会う必要があるのか?」
「いつまでも電報を送り続けられるのも鬱陶しいかと思いまして…」
「まあ、それはそうかもしれないが、それくらいの事なら、メイド達だって気にしないだろう」
「電報を返すにもお金がいるではないですか。もったいないです!」
お金の大切さはわかっておりますので、たとえ、公爵家が裕福であったとしても、これ以上無駄遣いするわけにはいきません。
電報を打つ値段だって塵も積もれば山となります。
「で、どうするつもりなんだ?」
「シルフィーとあれを示談にさせる名目で集まって、直接、私の気持ちをきっぱりはっきり伝えようと思います」
「それで諦めるだろうか?」
「あれに関してはとにかく国に帰ってもらわなければいけません。それでも何かしてくるようでしたら、他の事を考えます。まずは、シルフィーをどうにかします。そして、ライト様にも協力していただきたいんです」
「かまわないが、何をするつもりだ?」
ライト様に聞き返されて、口にするのは少し恥ずかしいのですが、口にしない事には始まりませんので、恥ずかしさを何とかこらえてお願いします。
「私とラブラブなふりをしてほしいんです!」
「ラ、ラブラブ…?」
ライト様が呆気にとられた様な顔をして聞き返してこられました。
そうなるのはわかります!
ですが、これがシルフィーを悔しがらせるには良いと思ったんです!
「シルフィーは私の不幸なところが見たいんだと思います。ですから、私とライト様がラブラブだと思ったら、絶対に悔しがると思うんです!」
「君はシルフィーを悔しがらせたいのか?」
「ああいうタイプの人間は自分よりも幸せな人間を見るのが嫌いだと思います。それに、シルフィーの中では私はまだ彼女の踏み台みたいな存在のままだと思うんです」
「信じられない奴だな…」
「そういう人間でなければ、家族を置き去りにして逃げたりしないでしょう」
ライト様は私の言葉に対して唸った後、口を開きます。
「駄目だと言ってもするつもりなんだろう?」
「駄目でしょうか? シルフィーが彼女の旦那様にどんな話をしているかわかりませんし、上手くいけばシルフィーを痛い目に合わせることができるんです」
「言いたいことはわかった。だが、それならやっぱり、あれの同席は必要なくないか? 危険だろう」
「ですので、どうしても私に会いたいのであればシルフィーへの謝罪を求めます。謝罪をした後に、またシルフィーに何かした時点で、もう話し合う機会は与えません」
「それでも、同席させる必要はないだろう?」
「そ、それはそうかもしれませんが、あれが私を本当に好きなのでしたら、ラブラブ作戦は効くかと思いますので、それを考えると別々に会う事になると、二回もラブラブ作戦をしないといけなくなりますが…?」
恥ずかしくなって俯いて話すと、ライト様が言います。
「俺は…別に…」
「…あの、今、なんとおっしゃいました?」
声が小さくてほとんど聞き取れなかったので聞き返したのですが、ライト様はなぜか頬を染めて、そっぽを向いてしまいます。
「別に何でもない。とにかく、やると決めたならやるぞ。そのラブラブってやつを」
「よろしくお願いたします!」
このラブラブ作戦が上手くいけば、シルフィーは私を悔しがるだけではなく、彼女自身が大変な事になる恐れがあります。
でも、会いたいと言い出したのは向こうです。
不幸になるという覚悟はあるという事ですよね。
ライト様はいつもの時間に起きておられたのですが、私は目を覚ます事もなかったのです。
どれだけ無防備なのでしょうか…!
というか、別に無防備なのは悪くないのですよね。
自分の寝室で相手は一緒に眠った相手は旦那様なのですから。
ライト様は昨日、寝づらかったんじゃないでしょうか。
それだけが心配です。
私が身支度を終えた時にはライト様は出勤されていました。
私が寂しそうにしていたからか、テセマカさんが慰めてくれます。
「旦那様は奥様と一緒に夕食を取るために早出をされる事に決めたそうです。それは奥様の為でもありますし、旦那様自身の為でもあるのですよ」
「……ありがとうございます」
甘ったれた顔をしていてはいけませんね。
もうすぐ私は、あれと戦わなければいけないのですから…。
でも、その前にやはり、シルフィーをどうにかしたいという気持ちもあります。
どうせなら、まとめてやっつけたいものです。
あれが私に対して何を言おうとしているのかはわかりませんが、もう私に未練など残せない様にしてしまいたいです…。
「……考えてみたら、アバホカ陛下は私に会いたいから屋敷に来ようとしているだけで、私に会えるのなら、どこでも良いんですよね…」
閃いた事があり、思わず口に出すと、傍にいたテセマカさんが不思議そうに首を傾げたのでした。
そして、その日の晩、私が考えた事をライト様に話すと、眉間のシワを深くして聞いてこられます。
「どうしてシルフィーの見舞いの場であれと会おうと思うんだ?」
「逃げ出した事に対して、シルフィーが悪いのは確かですが、殴る事はよくありません。それについては謝罪すべきだと思います」
「それはそうかもしれないが、その場に君がいる必要はあるか?」
「シルフィーとあれを二人きりにしても危ないでしょう? それに、ライト様も一緒にいてくれますよね?」
「それはもちろんだが、わざわざ会わなくても良い人間に会う必要があるのか?」
「いつまでも電報を送り続けられるのも鬱陶しいかと思いまして…」
「まあ、それはそうかもしれないが、それくらいの事なら、メイド達だって気にしないだろう」
「電報を返すにもお金がいるではないですか。もったいないです!」
お金の大切さはわかっておりますので、たとえ、公爵家が裕福であったとしても、これ以上無駄遣いするわけにはいきません。
電報を打つ値段だって塵も積もれば山となります。
「で、どうするつもりなんだ?」
「シルフィーとあれを示談にさせる名目で集まって、直接、私の気持ちをきっぱりはっきり伝えようと思います」
「それで諦めるだろうか?」
「あれに関してはとにかく国に帰ってもらわなければいけません。それでも何かしてくるようでしたら、他の事を考えます。まずは、シルフィーをどうにかします。そして、ライト様にも協力していただきたいんです」
「かまわないが、何をするつもりだ?」
ライト様に聞き返されて、口にするのは少し恥ずかしいのですが、口にしない事には始まりませんので、恥ずかしさを何とかこらえてお願いします。
「私とラブラブなふりをしてほしいんです!」
「ラ、ラブラブ…?」
ライト様が呆気にとられた様な顔をして聞き返してこられました。
そうなるのはわかります!
ですが、これがシルフィーを悔しがらせるには良いと思ったんです!
「シルフィーは私の不幸なところが見たいんだと思います。ですから、私とライト様がラブラブだと思ったら、絶対に悔しがると思うんです!」
「君はシルフィーを悔しがらせたいのか?」
「ああいうタイプの人間は自分よりも幸せな人間を見るのが嫌いだと思います。それに、シルフィーの中では私はまだ彼女の踏み台みたいな存在のままだと思うんです」
「信じられない奴だな…」
「そういう人間でなければ、家族を置き去りにして逃げたりしないでしょう」
ライト様は私の言葉に対して唸った後、口を開きます。
「駄目だと言ってもするつもりなんだろう?」
「駄目でしょうか? シルフィーが彼女の旦那様にどんな話をしているかわかりませんし、上手くいけばシルフィーを痛い目に合わせることができるんです」
「言いたいことはわかった。だが、それならやっぱり、あれの同席は必要なくないか? 危険だろう」
「ですので、どうしても私に会いたいのであればシルフィーへの謝罪を求めます。謝罪をした後に、またシルフィーに何かした時点で、もう話し合う機会は与えません」
「それでも、同席させる必要はないだろう?」
「そ、それはそうかもしれませんが、あれが私を本当に好きなのでしたら、ラブラブ作戦は効くかと思いますので、それを考えると別々に会う事になると、二回もラブラブ作戦をしないといけなくなりますが…?」
恥ずかしくなって俯いて話すと、ライト様が言います。
「俺は…別に…」
「…あの、今、なんとおっしゃいました?」
声が小さくてほとんど聞き取れなかったので聞き返したのですが、ライト様はなぜか頬を染めて、そっぽを向いてしまいます。
「別に何でもない。とにかく、やると決めたならやるぞ。そのラブラブってやつを」
「よろしくお願いたします!」
このラブラブ作戦が上手くいけば、シルフィーは私を悔しがるだけではなく、彼女自身が大変な事になる恐れがあります。
でも、会いたいと言い出したのは向こうです。
不幸になるという覚悟はあるという事ですよね。
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