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第17話 どうしてここに?
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ライト様が新婚旅行先として連れてきてくれたのは、とても自然が豊かで貴族の別荘が多くある土地なのだそうです。
アーミテム家所有の別荘は、ライト様のお母様であり、私の義理のお母様にあたる方が使われている為、繁華街から少し離れた二階建ての大きな洋館をまるまる貸し切ってくださいました。
義理のお母様にご挨拶をと思い、お手紙を送ったところ、新婚旅行なのだから2人で楽しんでください、という返事が返ってきました。
素直にその通りにするわけにもいきませんので、ライト様に相談したところ、あちらに滞在するのではなく、お互いの顔合わせだけ済ませようという話を取り付けてくださいました。
考えてみれば、お父様はお亡くなりになっているのは知っておりましたが、お母様についてのお話をしてもらえなかったので、すっかりお亡くなりになられているものと思い込んでおりました。
決めつけてしまうなんて、本当に失礼な話です。
私が聞かなかったから、私の家庭環境が複雑だという事もあり、ライト様は言い出しにくかったのかもしれません。
義理のお母様にもなんて失礼な事をしてしまっていたんでしょうか…。
ライト様や使用人達が言うには、義理のお母様は見た目も中身もとてもお優しい方で、ライト様は亡きお父様似だという事でした。
貸し切りにした洋館には、いつも屋敷で働いている主要なメンバーを連れて行く事になりました。
やはり食事の事など色々な事を考えると、自分の家の信頼した人達を連れて行った方が良いと思われたみたいです。
毒見役がいるにしても、毒見役をわざわざ危険な目に合わせずとも、いつもの料理人を連れていけばリスクは少なくなりますものね。
私達が滞在する洋館の近くには、水面の色が時間によって変わる湖などの観光スポットもあり、繁華街は観光客で賑わっていました。
義理のお母様のところにお伺いするのは最終日の前日と決まりましたので、それまで4日間は2人でお出かけという事になりました。
治安の良い場所なので、こちらに着いて2日目の朝から護衛は少なめでライト様とお出かけする事にしました。
護衛が少なめなのはライト様曰く、騎士様よりも自分の方が強いからだそうです。
ただ、それは自分を守るだけの場合であり、私を守るとなると1人では厳しいと仰り、連れて行く護衛は私のための護衛なんだそうです。
何かあった時にライト様の事は気にせずに私を守る様にと、騎士様に指示されておられました。
「ライト様は普段のお仕事はどんな事をされておられるんですか?」
「あまり人に言えない事をしている」
「そ、そうなんですね…」
深く聞いてはいけない気がしたので話題を変えます。
「お義母さまへのお土産は何にしたらよろしいのでしょうか?」
「……そうだな。人形が好きだから人形がいいかもな」
「に、人形ですか?」
「ああ。父が亡くなってからしばらく塞ぎ込んでいたんだが、人形があれば寂しくないと言ってな」
「寂しいのに、こちらへ住む場所を移されたのですか? 失礼なことをお聞きする様ですが、どうして同居を続けなかったのです?」
「俺達が住んでいる家は、父上との思い出が多すぎて辛いんだそうだ」
「そうですか…。本当にお義父さまのことを愛していらっしゃったんですね…」
しんみりした声を出してしまったせいでしょうか。
ライト様はポンポンと頭を優しく撫でて下さった後、前方に見えてきた店を指差します。
「まずはあの店から行こうか。マーサ達が下調べをしてくれた店だ」
「はい!」
歩き出そうとすると、なぜかライト様がこほんと咳払いをしてから、私の方に左手を差し出します。
「利き手はもしもの時に使える様にしておきたいんだ」
「はい」
差し出されている意味が分からなくて首を傾げると、ライト様は少し不服そうな顔をして手を引っ込めました。
「嫌ならいい。悪かった」
「え? え?」
機嫌を損ねてしまったのでしょうか。
ライト様がズボンのポケットに手をつっこんで歩き出しました。
「あの、ライト様?」
「怒っていない」
「で、ですが、機嫌が良いようにも見えませんよ!」
「機嫌が悪いんじゃなくて恥ずかしいんだ。こんな人前であんな事をして…」
「恥ずかしい…?」
意味が分からなくて、助けを求めようと少し離れた場所で歩いているマーサの方を見ると、マーサは近くにいた騎士様の手を取りました。
騎士様は驚いた顔をされましたが、すぐに何か理解したような顔になり、マーサの手を握り返して私に向かって首を縦に振られたのです。
もしかして、手を繋ごうとしてくださっていた!?
理解した事を伝える為、首を何度も縦に振るとマーサと騎士様は慌てて手を離しました。
「どうした?」
私が立ち止まっていたからか、ライト様も立ち止まって聞いてきます。
「いいえ! 行きましょう、ライト様!」
勇気を出してライト様の手を握ると、ライト様は驚いた様な顔をされましたが、私の手を握り返してくださいました。
ライト様の手はゴツゴツしていて、少し痛いですが、誰かと手を繋ぐなんて子供の頃以来です。
上機嫌で歩いていると、向かっていたお店の手前の道に人だかりが出来始めたので、気になって近付いてみる事にしました。
「何があった?」
ライト様が輪の中から出てきた中年の男性に尋ねると、その人は答えます。
「婚約者に捨てられたって若い男が突然泣き出したんですよ。で、しかも自分は病気でもうすぐ死ぬんだと」
「それはお気の毒に…」
そう言ってはみたものの何だか最近、聞いた事がある話と同じ様な内容だったので嫌な予感がしました。
それはライト様も同じだった様です。
顔を見合わせてから頷き合います。
「俺達まで気にしてやる必要はないだろう」
「そうですね」
中年の男性に礼を言ってから歩き出すと、叫び声が聞こえます。
「ああ! なんて僕は可哀想なんだ! 愛する人と一緒になる為に逃げたのに他の男に奪われ、ヤケになって遊んだ女性から病気をうつされるなんてぇ!」
すごく聞きたくなかった話です。
「たぶん人違いだ。あの男がこんな所にいるわけがない」
ライト様が私の手を握り直して急いで目的の店へ向かおうとした時でした。
「アーミテム公爵閣下は酷いんです! 義理の父が何通も手紙を送っているのに無視するんですよ!!」
その言葉を聞いたライト様の眉間のシワが今まで見た事もないくらいに深く刻まれたのがわかりました。
「リーシャ」
「は、はい」
「マーサと一緒に先に店に入っていてくれ。絶対に外へ出てくるなよ」
「え? あ、はい」
私が頷くと、ライト様は私の手を離し、マーサに指示をして騎士様の方へ近付いて行きました。
ライト様と入れ代わりにマーサがやって来て私を促します。
「さあ、奥様。まずはアクセサリーを見ましょう。好きなものを旦那様が買ってくださりますよ」
「それは有り難いのですけど」
マーサと一緒に歩きながら後ろを振り返ると、私と手をつなぐ為に騎士様に預けていた剣をライト様が受け取るのが見えて、少しだけドキドキしたのでした。
それにしても、ジョージがどうしてここにいるのでしょうか!?
アーミテム家所有の別荘は、ライト様のお母様であり、私の義理のお母様にあたる方が使われている為、繁華街から少し離れた二階建ての大きな洋館をまるまる貸し切ってくださいました。
義理のお母様にご挨拶をと思い、お手紙を送ったところ、新婚旅行なのだから2人で楽しんでください、という返事が返ってきました。
素直にその通りにするわけにもいきませんので、ライト様に相談したところ、あちらに滞在するのではなく、お互いの顔合わせだけ済ませようという話を取り付けてくださいました。
考えてみれば、お父様はお亡くなりになっているのは知っておりましたが、お母様についてのお話をしてもらえなかったので、すっかりお亡くなりになられているものと思い込んでおりました。
決めつけてしまうなんて、本当に失礼な話です。
私が聞かなかったから、私の家庭環境が複雑だという事もあり、ライト様は言い出しにくかったのかもしれません。
義理のお母様にもなんて失礼な事をしてしまっていたんでしょうか…。
ライト様や使用人達が言うには、義理のお母様は見た目も中身もとてもお優しい方で、ライト様は亡きお父様似だという事でした。
貸し切りにした洋館には、いつも屋敷で働いている主要なメンバーを連れて行く事になりました。
やはり食事の事など色々な事を考えると、自分の家の信頼した人達を連れて行った方が良いと思われたみたいです。
毒見役がいるにしても、毒見役をわざわざ危険な目に合わせずとも、いつもの料理人を連れていけばリスクは少なくなりますものね。
私達が滞在する洋館の近くには、水面の色が時間によって変わる湖などの観光スポットもあり、繁華街は観光客で賑わっていました。
義理のお母様のところにお伺いするのは最終日の前日と決まりましたので、それまで4日間は2人でお出かけという事になりました。
治安の良い場所なので、こちらに着いて2日目の朝から護衛は少なめでライト様とお出かけする事にしました。
護衛が少なめなのはライト様曰く、騎士様よりも自分の方が強いからだそうです。
ただ、それは自分を守るだけの場合であり、私を守るとなると1人では厳しいと仰り、連れて行く護衛は私のための護衛なんだそうです。
何かあった時にライト様の事は気にせずに私を守る様にと、騎士様に指示されておられました。
「ライト様は普段のお仕事はどんな事をされておられるんですか?」
「あまり人に言えない事をしている」
「そ、そうなんですね…」
深く聞いてはいけない気がしたので話題を変えます。
「お義母さまへのお土産は何にしたらよろしいのでしょうか?」
「……そうだな。人形が好きだから人形がいいかもな」
「に、人形ですか?」
「ああ。父が亡くなってからしばらく塞ぎ込んでいたんだが、人形があれば寂しくないと言ってな」
「寂しいのに、こちらへ住む場所を移されたのですか? 失礼なことをお聞きする様ですが、どうして同居を続けなかったのです?」
「俺達が住んでいる家は、父上との思い出が多すぎて辛いんだそうだ」
「そうですか…。本当にお義父さまのことを愛していらっしゃったんですね…」
しんみりした声を出してしまったせいでしょうか。
ライト様はポンポンと頭を優しく撫でて下さった後、前方に見えてきた店を指差します。
「まずはあの店から行こうか。マーサ達が下調べをしてくれた店だ」
「はい!」
歩き出そうとすると、なぜかライト様がこほんと咳払いをしてから、私の方に左手を差し出します。
「利き手はもしもの時に使える様にしておきたいんだ」
「はい」
差し出されている意味が分からなくて首を傾げると、ライト様は少し不服そうな顔をして手を引っ込めました。
「嫌ならいい。悪かった」
「え? え?」
機嫌を損ねてしまったのでしょうか。
ライト様がズボンのポケットに手をつっこんで歩き出しました。
「あの、ライト様?」
「怒っていない」
「で、ですが、機嫌が良いようにも見えませんよ!」
「機嫌が悪いんじゃなくて恥ずかしいんだ。こんな人前であんな事をして…」
「恥ずかしい…?」
意味が分からなくて、助けを求めようと少し離れた場所で歩いているマーサの方を見ると、マーサは近くにいた騎士様の手を取りました。
騎士様は驚いた顔をされましたが、すぐに何か理解したような顔になり、マーサの手を握り返して私に向かって首を縦に振られたのです。
もしかして、手を繋ごうとしてくださっていた!?
理解した事を伝える為、首を何度も縦に振るとマーサと騎士様は慌てて手を離しました。
「どうした?」
私が立ち止まっていたからか、ライト様も立ち止まって聞いてきます。
「いいえ! 行きましょう、ライト様!」
勇気を出してライト様の手を握ると、ライト様は驚いた様な顔をされましたが、私の手を握り返してくださいました。
ライト様の手はゴツゴツしていて、少し痛いですが、誰かと手を繋ぐなんて子供の頃以来です。
上機嫌で歩いていると、向かっていたお店の手前の道に人だかりが出来始めたので、気になって近付いてみる事にしました。
「何があった?」
ライト様が輪の中から出てきた中年の男性に尋ねると、その人は答えます。
「婚約者に捨てられたって若い男が突然泣き出したんですよ。で、しかも自分は病気でもうすぐ死ぬんだと」
「それはお気の毒に…」
そう言ってはみたものの何だか最近、聞いた事がある話と同じ様な内容だったので嫌な予感がしました。
それはライト様も同じだった様です。
顔を見合わせてから頷き合います。
「俺達まで気にしてやる必要はないだろう」
「そうですね」
中年の男性に礼を言ってから歩き出すと、叫び声が聞こえます。
「ああ! なんて僕は可哀想なんだ! 愛する人と一緒になる為に逃げたのに他の男に奪われ、ヤケになって遊んだ女性から病気をうつされるなんてぇ!」
すごく聞きたくなかった話です。
「たぶん人違いだ。あの男がこんな所にいるわけがない」
ライト様が私の手を握り直して急いで目的の店へ向かおうとした時でした。
「アーミテム公爵閣下は酷いんです! 義理の父が何通も手紙を送っているのに無視するんですよ!!」
その言葉を聞いたライト様の眉間のシワが今まで見た事もないくらいに深く刻まれたのがわかりました。
「リーシャ」
「は、はい」
「マーサと一緒に先に店に入っていてくれ。絶対に外へ出てくるなよ」
「え? あ、はい」
私が頷くと、ライト様は私の手を離し、マーサに指示をして騎士様の方へ近付いて行きました。
ライト様と入れ代わりにマーサがやって来て私を促します。
「さあ、奥様。まずはアクセサリーを見ましょう。好きなものを旦那様が買ってくださりますよ」
「それは有り難いのですけど」
マーサと一緒に歩きながら後ろを振り返ると、私と手をつなぐ為に騎士様に預けていた剣をライト様が受け取るのが見えて、少しだけドキドキしたのでした。
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