48 / 59
38 姉との2戦目③
しおりを挟む
私とエディ様が簡単に挨拶した後は、歓談の時間が再開された。
でも、多くの人が自分たちのことよりも、私たちに興味があるようで、多くの人が話しかけてきた。
エレインとテッド様がすぐにやって来て、人払いをしてくれたので助かった。
エディ様が苦笑して尋ねてくる。
「僕と結婚したら、あんな感じのことが多くなるかもしれないけど大丈夫?」
「もちろんです。今は、エレインたちに助けてもらいましたが、これからは自分で対処できるように頑張ろうと思います」
「リネは本当に優しいよね」
「そんなことはありません!」
エディ様の言葉を否定すると、エレインが必死に訴えてくる。
「リネ様は優しい方だと思います! 人の顔色を気にするのは、思いやりがあるからこそできることですから!」
「そうですよ。エレインには無理です」
「表情で相手の考えていることはわかるわよ! わざわざ優しくしないだけで!」
テッド様に言われ、エレインは憤慨して言い返した。
仲良く喧嘩をしている二人に微笑んで話しかける。
「エレインたちもせっかくだから、パーティーを楽しんでね?」
「はい! ありがとうございます!」
エレインは笑顔で頷き、テッド様も口元に笑みを浮かべて一礼した。
最近のエレインはエディ様よりも私を優先してくれているような気がする。
エディ様に何か言われたのかも?
それとも、仲良くなった証拠なのかしら?
「テッドもエレインと仲良くするんだよ?」
「承知しました」
テッド様はエディ様の言葉に軽く頭を下げた後、エレインに話し掛ける。
「今日は喧嘩をしに来たんじゃない」
「そんなことは言われなくてもわかっているわよ」
エレインが不服そうな顔で言い返してすぐに、私の後ろを見て目を見開いた。
気になって振り返ると、トワナ様がこちらに向かって歩いてきているところだった。
私を睨みつけている顔が恐ろしくて、一瞬、怯んでしまいそうになった。
でも、負けてはいられないとすぐに睨み返した。
トワナ様はすぐに視線を逸らしたけど、私の所へ向かってくる足は止めない。
私のすぐ近くでトワナ様が足を止めると、エディ様たちは警戒態勢をとった。
そんな3人に「大丈夫です」と声をかけてから、トワナ様に話しかける。
「お久しぶりですね、トワナ様。最近、ティファス家の話をよく聞きますけれど、あまり良いお話ではありませんわね」
「うるさいわね。誰のせいだと思っているのよ」
「元々はトワナ様たちの責任でしょう? お金に困っているのは特にそうだわ。借金までしてドレスが必要ですか?」
「しゃ、借金ですって!?」
トワナ様は知らなかったのか、大きな声で聞き返してきた。
でも、すぐに周りの視線に気が付いて、声のボリュームを抑える。
「お父様は借金してドレスを買ってるって言うの?」
今日のトワナ様のドレスは気合いが入っていた。
赤色のプリンセスラインのドレスに、小さな宝石が散りばめられている。
シャンデリアの光に反射して、トワナ様は光り輝いているようにも見えて、外見だけはとても美しかった。
「ティファス伯爵はトワナ様が本当に大事なのですね。ですから、トワナ様も大事にして差し上げたらどうなのです?」
「うるさいわね! 大事にしているからこうやって、相手を探しに来ているんじゃない!」
「それは違うでしょう? 良い人と結婚して、贅沢したいだけでしょう?」
「馬鹿なことを言わないで! ちゃんと目的はあるわよ!」
トワナ様は叫んだ後、慌てて周りを見回す。
すると、こちらに目を向けていた人たちが一斉に目を逸らした。
「リネ! 絶対に許さないわ! 私を馬鹿にしに来たの?」
「違います。トワナ様には私を忘れてもらうようにお願いしに来ました」
「嫌よ!」
そう言って、トワナ様は私により近付いてくると、小さな声で言う。
「私はここでパートナーを見つけて、夜会に出席するの。そして、エディ様と仲良くなって、あんたから奪うと決めたのよ!」
「ここは真剣に相手を探している場なんですよ? お相手の方に失礼じゃないですか!」
「合う合わないは誰にでもあるんだから、しょうがないことよ! 私とエディ様は惹かれ合うの。だから、あんたの出番なんてないのよ!」
トワナ様は素直に私から執着するのをやめたのかと思ったけど、そうではなかったのね。
「エディ様はトワナ様のものにはなりませんわ」
「さあ、どうかしらね?」
トワナ様はふんと鼻で笑った後、エディ様に視線を移して微笑みかける。
「エディ様とは、またゆっくりとお話したいですわ」
「僕は話したくないから遠慮するよ」
「なっ!」
エディ様に冷たくあしらわれて、トワナ様は羞恥心で顔を真っ赤にした。
「トワナ様、エディ様は私の婚約者です。絶対にあなたのものにはなりません」
言い切ると、トワナ様は悔しそうな顔をして、私を睨んできたのだった。
でも、多くの人が自分たちのことよりも、私たちに興味があるようで、多くの人が話しかけてきた。
エレインとテッド様がすぐにやって来て、人払いをしてくれたので助かった。
エディ様が苦笑して尋ねてくる。
「僕と結婚したら、あんな感じのことが多くなるかもしれないけど大丈夫?」
「もちろんです。今は、エレインたちに助けてもらいましたが、これからは自分で対処できるように頑張ろうと思います」
「リネは本当に優しいよね」
「そんなことはありません!」
エディ様の言葉を否定すると、エレインが必死に訴えてくる。
「リネ様は優しい方だと思います! 人の顔色を気にするのは、思いやりがあるからこそできることですから!」
「そうですよ。エレインには無理です」
「表情で相手の考えていることはわかるわよ! わざわざ優しくしないだけで!」
テッド様に言われ、エレインは憤慨して言い返した。
仲良く喧嘩をしている二人に微笑んで話しかける。
「エレインたちもせっかくだから、パーティーを楽しんでね?」
「はい! ありがとうございます!」
エレインは笑顔で頷き、テッド様も口元に笑みを浮かべて一礼した。
最近のエレインはエディ様よりも私を優先してくれているような気がする。
エディ様に何か言われたのかも?
それとも、仲良くなった証拠なのかしら?
「テッドもエレインと仲良くするんだよ?」
「承知しました」
テッド様はエディ様の言葉に軽く頭を下げた後、エレインに話し掛ける。
「今日は喧嘩をしに来たんじゃない」
「そんなことは言われなくてもわかっているわよ」
エレインが不服そうな顔で言い返してすぐに、私の後ろを見て目を見開いた。
気になって振り返ると、トワナ様がこちらに向かって歩いてきているところだった。
私を睨みつけている顔が恐ろしくて、一瞬、怯んでしまいそうになった。
でも、負けてはいられないとすぐに睨み返した。
トワナ様はすぐに視線を逸らしたけど、私の所へ向かってくる足は止めない。
私のすぐ近くでトワナ様が足を止めると、エディ様たちは警戒態勢をとった。
そんな3人に「大丈夫です」と声をかけてから、トワナ様に話しかける。
「お久しぶりですね、トワナ様。最近、ティファス家の話をよく聞きますけれど、あまり良いお話ではありませんわね」
「うるさいわね。誰のせいだと思っているのよ」
「元々はトワナ様たちの責任でしょう? お金に困っているのは特にそうだわ。借金までしてドレスが必要ですか?」
「しゃ、借金ですって!?」
トワナ様は知らなかったのか、大きな声で聞き返してきた。
でも、すぐに周りの視線に気が付いて、声のボリュームを抑える。
「お父様は借金してドレスを買ってるって言うの?」
今日のトワナ様のドレスは気合いが入っていた。
赤色のプリンセスラインのドレスに、小さな宝石が散りばめられている。
シャンデリアの光に反射して、トワナ様は光り輝いているようにも見えて、外見だけはとても美しかった。
「ティファス伯爵はトワナ様が本当に大事なのですね。ですから、トワナ様も大事にして差し上げたらどうなのです?」
「うるさいわね! 大事にしているからこうやって、相手を探しに来ているんじゃない!」
「それは違うでしょう? 良い人と結婚して、贅沢したいだけでしょう?」
「馬鹿なことを言わないで! ちゃんと目的はあるわよ!」
トワナ様は叫んだ後、慌てて周りを見回す。
すると、こちらに目を向けていた人たちが一斉に目を逸らした。
「リネ! 絶対に許さないわ! 私を馬鹿にしに来たの?」
「違います。トワナ様には私を忘れてもらうようにお願いしに来ました」
「嫌よ!」
そう言って、トワナ様は私により近付いてくると、小さな声で言う。
「私はここでパートナーを見つけて、夜会に出席するの。そして、エディ様と仲良くなって、あんたから奪うと決めたのよ!」
「ここは真剣に相手を探している場なんですよ? お相手の方に失礼じゃないですか!」
「合う合わないは誰にでもあるんだから、しょうがないことよ! 私とエディ様は惹かれ合うの。だから、あんたの出番なんてないのよ!」
トワナ様は素直に私から執着するのをやめたのかと思ったけど、そうではなかったのね。
「エディ様はトワナ様のものにはなりませんわ」
「さあ、どうかしらね?」
トワナ様はふんと鼻で笑った後、エディ様に視線を移して微笑みかける。
「エディ様とは、またゆっくりとお話したいですわ」
「僕は話したくないから遠慮するよ」
「なっ!」
エディ様に冷たくあしらわれて、トワナ様は羞恥心で顔を真っ赤にした。
「トワナ様、エディ様は私の婚約者です。絶対にあなたのものにはなりません」
言い切ると、トワナ様は悔しそうな顔をして、私を睨んできたのだった。
95
お気に入りに追加
4,569
あなたにおすすめの小説
妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します
ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜
みおな
恋愛
子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。
この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
【完結】真面目だけが取り柄の地味で従順な女はもうやめますね
祈璃
恋愛
「結婚相手としては、ああいうのがいいんだよ。真面目だけが取り柄の、地味で従順な女が」
婚約者のエイデンが自分の陰口を言っているのを偶然聞いてしまったサンドラ。
ショックを受けたサンドラが中庭で泣いていると、そこに公爵令嬢であるマチルダが偶然やってくる。
その後、マチルダの助けと従兄弟のユーリスの後押しを受けたサンドラは、新しい自分へと生まれ変わることを決意した。
「あなたの結婚相手に相応しくなくなってごめんなさいね。申し訳ないから、あなたの望み通り婚約は解消してあげるわ」
*****
全18話。
過剰なざまぁはありません。
愛しているなら何でもできる? どの口が言うのですか
風見ゆうみ
恋愛
「君のことは大好きだけど、そういうことをしたいとは思えないんだ」
初夜の晩、爵位を継いで伯爵になったばかりの夫、ロン様は私を寝室に置いて自分の部屋に戻っていった。
肉体的に結ばれることがないまま、3ヶ月が過ぎた頃、彼は私の妹を連れてきて言った。
「シェリル、落ち着いて聞いてほしい。ミシェルたちも僕たちと同じ状況らしいんだ。だから、夜だけパートナーを交換しないか?」
「お姉様が生んだ子供をわたしが育てて、わたしが生んだ子供をお姉様が育てれば血筋は途切れないわ」
そんな提案をされた私は、その場で離婚を申し出た。
でも、夫は絶対に別れたくないと離婚を拒み、両親や義両親も夫の味方だった。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる