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第6章 王族との接触

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 詳しい説明をさせるためか、シドナ様はわたしの横にランシード殿下を座らせた為、質問に答えてもらいたくて、ランシード殿下に話しかける。

「ランシード殿下」
「殿下は付けなくて良い」
「では、時と場合で呼び方を変えさせていただいてもよろしいですか?」
「どうするつもりだ?」
「身分を隠していらっしゃる時はシード様、そうでない場合はランシード様とお呼びします」
「わかった」

 ランシード様は頷くと、わたしの先程の質問に答えてくれる。

「元々はロロゾフ王国の貴族から内密に他国に連絡があったんだ。そこで大国のみが集まって会議をした。そして、ロロゾフの現在の王家が腐っているのなら、新たな国王を探そうという話になった。でも、王家を潰すということは、簡単にやっても良いことじゃない。特に他国だしな。だから確証が必要だった。俺がスパイになったのは、テイルス王国から誰かを出すということに決まったからだ」
「それで、ラソウエ公爵家に養子という理由をつけて、ロロゾフ王国に潜入されたのですか?」
「ああ。王家を潰すということに関しては、他の公爵家も今回は賛成していた。だから、協力してもらったんだ」
「公爵家の人間に対して、それよりも下の貴族が文句を言えないからですね?」
「そういうことだ」

 ランシード様は足を組んでソファの背もたれにもたれかかる。

「潰したいのは王家だけで、国を潰したいわけじゃない」
「占領することを考えているわけではないのですね?」
「新しい国王が即位するまでは、テイルス王国は一時的にはテイルス王国が統治に入るが、混乱がおさまれば、新しい国王に任せる予定だ。今は新たな国王としてふさわしいと思われる人間の候補を絞ってるところだよ」
「セフィリアさんもご存知だと思うけれど、テイルス王国は大国の中でも人口は多いし、兵力も高い。逆にロロゾフ王国は観光業で成り立っている国だから、兵力はないでしょう?」
「戦う前から勝負は見えていますね」

 シドナ様の問いかけに、納得して頷く。

 ロロゾフの国王陛下が馬鹿な考えを起こさないように、圧倒的な戦力差で戦意を喪失させるつもりなのね。

「それにしても、義父には本当の目的を話してもらわないと駄目だろうな。一体、何を考えているのかわからない。セフィリアのことがあるまで、俺と義父との接点はほとんどなかったんだ」
「ぎふ」

 私のお父様のことを義父と呼んでいるので、照れくささもあって、つい口に出してしまった。
 すると、ランシード様は眉根を寄せる。

「ちゃんと俺は確認しただろ? 後悔するかもしれないぞって」
「まさか、大国の王太子殿下だなんて夢にも思っていませんでしたから」
「おめでとう。これは現実だよ」
「ランシード様は良いんですか?」
「何が?」

 ランシード様が不思議そうな顔をして聞き返してきた。

 あの時は、偉い人の息子ではあるのだろうと予想はしていた。
 でも、ここまでスケールが大きい人だとは思っていなかった。

「あんなに大勢の人の前で、あんな派手なことをしたんです。間違いだったでは済まされませんよ?」
「間違いで済ますつもりはないって言ってるよね?」
「本当に良いんですか?」
「今更、言ったって遅いよ。セフィリアがそう言うと思ったから、あの時、ちゃんと確認したんだ」

 ランシード様は不貞腐れたような顔をする。

「ランシード、子供みたいなことを言うのはやめなさい。あなたもその時に自分の正体を明かすべきだったわ」

 シドナ様はランシード様を軽く叱ってくださったあと、厳しい表情のまま、わたしに話しかけてくる。

「きっと、あなたのお父様の目的はあなたのお母様の復讐ね。もしかして、あなたにはそのことを隠し通して、安全圏に逃すつもりだったのかもしれない。でも、あなたは知ってしまった」

 シドナ様は一度言葉を区切り、綺麗な赤い瞳で見つめてきた。

「あなたはどうするつもり?」
「シドナ様やランシード様の目的が、この国の王家を潰すということであれば、お手伝いさせていただきたいと思っております。王女殿下はわたしのことがお嫌いのようですから。それから、わたしの元婚約者も反省をしないようなら、痛い目に遭わせたいと思っています」

 わたしの言葉を聞いたシドナ様は満足したように、にこりと微笑んだ。

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