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2 訪ねてこられました
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私に手紙を下さったラルフ・クラーク辺境伯は、年齢は私の7つ上で今年で24歳になられる方だ。
普通なら奥様がいらしてもおかしくない年齢なのだけど、彼に任されている領土は敵国と隣接しているため、大きなものではないけれど、何年かに一度、争いが起きる。
ディーンもその戦争に参加していて、たぶん、辺境伯と共に戦っているはず。
そのおかげで爵位をもらえたのだから。
ただ、ディーンは人の手柄を横取りするのが上手だったから、本当に彼の功績なのかは怪しい。
それはまあ、今はおいておいて、クラーク辺境伯の話に戻します。
紺色の髪に紺色の瞳、長身でがっしりとした体躯。
ツリ目気味で怖そうなイメージはあるけれど、ため息が出そうな程に眉目秀麗で、肖像画があったなら、いつまでも眺めていられそう。
なんて、思っている場合ではないのですよ。
だって、本人が私の目の前に座って、無言で私を凝視されてますから!
彼からの手紙の内容は、要約すると「あなたの婚約者が別の令嬢と結婚すると聞いた。すぐにでもお会いしたい」というもので、彼の領土はお父様が管理している領土と隣接しているため、いち早く噂が流れてしまったみたいでした。
いや、もしかすると、ディーンが言ったのかもしれません。
最初から最後まで迷惑な男です。
クラーク辺境伯にすぐにお手紙の返事を書きましたが、この方は冷酷で無口だと有名な方でしたので、出来ればお会いしたくなく、元婚約者との婚約破棄が終わるまで、日にちを待っていただく事にしたんです。
慰謝料は元婚約者が払えそうなぎりぎりの額をヒナタが計算し、全て現金でいただきました。
このお金で静かな農村地帯に屋敷を買い、婚約者に捨てられたという噂がおさまるまでのんびりしようと思ったのです。
ですが、今度は婚約破棄の噂を聞きつけたクラーク辺境伯から、またお手紙をいただき、こちらから返事を返す前にやって来られまして、今の状態になっています。
「あの、私の顔に何かついていますか?」
「…いや」
失礼かもしれませんが、単刀直入に聞いてみると、クラーク辺境伯はやっと、私から視線をそらして下さいました。
なんなんでしょう。
いくら爵位が上だとはいえ、お招きもしていないのに押しかけてきて、罪なくらいの美しいお顔で私の顔を見つめてくるだなんて。
普通のご令嬢ならドキドキしているかもしれませんが、私は傷心中なのです。
いや、正確には傷心中のフリをしていますので、こんな時に独身の男性と会っている事が他の方にバレたら、余計に悪い噂が増えてしまいます。
ですから、早く帰っていただきたいのですが…。
二人で話がしたいと仰られたので、今、部屋には私と辺境伯のみ。
沈黙に耐えきれなくなってきた時、辺境伯が口を開いた。
「ブルーミング伯爵令嬢」
「はい」
紺色の瞳が私の黒い瞳をとらえた。
「俺と結婚してくれないか?」
「はい?」
自分の耳を疑ったのと同時に、動揺してしまい、聞き返した声が裏返ってしまいました。
普通なら奥様がいらしてもおかしくない年齢なのだけど、彼に任されている領土は敵国と隣接しているため、大きなものではないけれど、何年かに一度、争いが起きる。
ディーンもその戦争に参加していて、たぶん、辺境伯と共に戦っているはず。
そのおかげで爵位をもらえたのだから。
ただ、ディーンは人の手柄を横取りするのが上手だったから、本当に彼の功績なのかは怪しい。
それはまあ、今はおいておいて、クラーク辺境伯の話に戻します。
紺色の髪に紺色の瞳、長身でがっしりとした体躯。
ツリ目気味で怖そうなイメージはあるけれど、ため息が出そうな程に眉目秀麗で、肖像画があったなら、いつまでも眺めていられそう。
なんて、思っている場合ではないのですよ。
だって、本人が私の目の前に座って、無言で私を凝視されてますから!
彼からの手紙の内容は、要約すると「あなたの婚約者が別の令嬢と結婚すると聞いた。すぐにでもお会いしたい」というもので、彼の領土はお父様が管理している領土と隣接しているため、いち早く噂が流れてしまったみたいでした。
いや、もしかすると、ディーンが言ったのかもしれません。
最初から最後まで迷惑な男です。
クラーク辺境伯にすぐにお手紙の返事を書きましたが、この方は冷酷で無口だと有名な方でしたので、出来ればお会いしたくなく、元婚約者との婚約破棄が終わるまで、日にちを待っていただく事にしたんです。
慰謝料は元婚約者が払えそうなぎりぎりの額をヒナタが計算し、全て現金でいただきました。
このお金で静かな農村地帯に屋敷を買い、婚約者に捨てられたという噂がおさまるまでのんびりしようと思ったのです。
ですが、今度は婚約破棄の噂を聞きつけたクラーク辺境伯から、またお手紙をいただき、こちらから返事を返す前にやって来られまして、今の状態になっています。
「あの、私の顔に何かついていますか?」
「…いや」
失礼かもしれませんが、単刀直入に聞いてみると、クラーク辺境伯はやっと、私から視線をそらして下さいました。
なんなんでしょう。
いくら爵位が上だとはいえ、お招きもしていないのに押しかけてきて、罪なくらいの美しいお顔で私の顔を見つめてくるだなんて。
普通のご令嬢ならドキドキしているかもしれませんが、私は傷心中なのです。
いや、正確には傷心中のフリをしていますので、こんな時に独身の男性と会っている事が他の方にバレたら、余計に悪い噂が増えてしまいます。
ですから、早く帰っていただきたいのですが…。
二人で話がしたいと仰られたので、今、部屋には私と辺境伯のみ。
沈黙に耐えきれなくなってきた時、辺境伯が口を開いた。
「ブルーミング伯爵令嬢」
「はい」
紺色の瞳が私の黒い瞳をとらえた。
「俺と結婚してくれないか?」
「はい?」
自分の耳を疑ったのと同時に、動揺してしまい、聞き返した声が裏返ってしまいました。
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