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6 言った覚えは全くないのです!
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「せ、責任とはどういう事ですの?」
「そのままの意味ですよ。普通は婚約者の方に、あなたの婚約者は浮気してますね、なんて笑顔で言います? その時点であなたの性格が悪いのは伝わってきますけど、そんな事を教えられても、こっちは興味ないですし」
アリス様はくすくす笑いながら続ける。
「自分の性格が悪いことを自覚しておられるならまだ良いんですけど、そんな感じじゃなさそうですし、そういう方って何か痛い目に合わないと気が付かないでしょう?」
「し、失礼だわ!」
「失礼なのはそっちでしょう。私が聞いた話ですと、クラーク辺境伯様はリノア様を大事にしていらっしゃるし、彼女以外の女性に興味がないとも聞いてますけど? あなた達が言っている話と正反対ですよね?」
「そ、それだって噂じゃないですか」
アリス様に言い返した令嬢に私が笑顔で言います。
「アリス様の仰っている事が正しいです。ラルフ様はお仕事や家の事でお忙しい方ではありますが、空いた時間があれば、私に会いに来てくださります。他の女性に会いに行かれる暇なんてありませんし、ラルフ様は結婚してからも愛人を作られる事はないと思えるくらいに私を大事にして下さっていますが?」
「で、ですから、私も噂で聞いただけで、詳しくは知らなくて」
私の横にいるアリス様が怖くてしょうがないようで、チラチラ彼女を見ながら、令嬢は話をされます。
アリス様とは少し話しただけですが、物言いはキツイものの、そこまで怖い方ではなさそうなのですが。
「ところで、あなた方はどちら様? 私の事を知ってるみたいですけど、私は知らないんですけど? ぜひ、お名前をお伺いしたいわぁ」
そう言ったアリス様の笑顔がとても怖くて、前言撤回です。
怖いのです。
「な、名乗る程ではありませんわ!」
逃げようとする令嬢達の1人の腕を、アリス様がつかみ言います。
「名前を聞きたいと言ってるんですよ」
「ですから、名乗る程ではないと…」
「それはあなたの勝手よね? 私は知りたいの」
にっこり笑ってアリス様は言います。
「おい、何してる」
テツ様とラルフ様が私達の様子がおかしい事に気付いて下さったようで、こちらにやって来て下さると、テツ様がアリス様に話しかけられました。
「お話してたの」
「腕をつかんでかよ」
「だって逃げるんだもの。追いかけたくならない?」
「普通は追いかけねぇんだよ」
「私は普通じゃないからいいのよ」
「良くねぇよ! リノア嬢に迷惑かけるだろ!」
テツ様の見た目は紺色の短髪に同じ色の瞳。
ラルフ様ほどではないですが、高身長でスラリとした体型。
ツリ目気味のため、近寄りがたい雰囲気を醸し出しておられますが、イケメンさんです。
そんなテツ様に私は苦笑しながら言う。
「私はかまいませんよ」
「どうかしたのか?」
ラルフ様がアリス様に尋ねると、彼女は令嬢をつかまえたまま言われます。
「名乗ってって言ってるのに名乗ってくれないから」
「彼女たちの名前が知りたいのか?」
「そうなんですけど、知ってます?」
「ああ。今日の招待客にいそうな人間は頭に叩き込んできたからわかる」
ラルフ様の言葉を聞き、令嬢の顔色が一瞬にして青ざめるのがわかりました。
「ならいいわ。引き止めてしまってごめんなさいね?」
「あの」
「はい?」
「申し訳ございません! 二度とあの様な事は申しませんのでお許し下さい」
令嬢はなぜかアリス様に向かって謝られます。
「は? 謝る相手が違うでしょう」
アリス様が低い声で言うと、令嬢は泣き出しそうな顔をしながら、私の方を向いて頭を下げました。
「根も葉もない噂を信じ、ブルーミング伯爵令嬢に対して無礼な発言をしてしまった事を、心からお詫び申し上げます」
「お詫びされましても、私の気持ちはおさまらないのです。私がほしいのは謝罪じゃありませんから」
意地の悪い言い方をしているな、と自分でも思いますが、元々、ひどい事を言ってきたのは相手側ですし、言いたい事を言わせてもらう事にします。
「あなた方がやらないといけない事はわかっていますよね? 悪いと思っているようでしたら、ラルフ様への謝罪だけでなく、していただきたい事があります」
「お許しいただけるなら、何でも致します!」
逃げていたもう1人の令嬢も逃げられないとわかったのか戻ってきて、2人で私に向かって言われますので、笑顔で言います。
「あなた方の話していた噂が嘘だと、1人でも多くの人間に知らせて下さい。まずはこの会場内からお願いしますね」
にっこり笑顔で言うと、令嬢達は涙目で首を縦に何度も振ったあと、ラルフ様に謝罪をされてから、慌てて知り合いの方なのかはわかりませんが、近くにいた令嬢をつかまえて話をはじめられました。
「それくらいで許してあげていいの?」
「下手にやりすぎると恨みを買いますから」
アリス様に答えると、彼女は笑顔で言われます。
「名前も思い出したくなくなるくらいに徹底的に潰せば大丈夫よ?」
「私はアリス様ではないのです」
「リノア様は私と同類だと思ったんだけど」
アリス様の言葉に私だけでなく、ラルフ様とテツ様まで眉を寄せました。
アリス様に同類と言われるほど様な事を言った覚えは全くないのです!
「そのままの意味ですよ。普通は婚約者の方に、あなたの婚約者は浮気してますね、なんて笑顔で言います? その時点であなたの性格が悪いのは伝わってきますけど、そんな事を教えられても、こっちは興味ないですし」
アリス様はくすくす笑いながら続ける。
「自分の性格が悪いことを自覚しておられるならまだ良いんですけど、そんな感じじゃなさそうですし、そういう方って何か痛い目に合わないと気が付かないでしょう?」
「し、失礼だわ!」
「失礼なのはそっちでしょう。私が聞いた話ですと、クラーク辺境伯様はリノア様を大事にしていらっしゃるし、彼女以外の女性に興味がないとも聞いてますけど? あなた達が言っている話と正反対ですよね?」
「そ、それだって噂じゃないですか」
アリス様に言い返した令嬢に私が笑顔で言います。
「アリス様の仰っている事が正しいです。ラルフ様はお仕事や家の事でお忙しい方ではありますが、空いた時間があれば、私に会いに来てくださります。他の女性に会いに行かれる暇なんてありませんし、ラルフ様は結婚してからも愛人を作られる事はないと思えるくらいに私を大事にして下さっていますが?」
「で、ですから、私も噂で聞いただけで、詳しくは知らなくて」
私の横にいるアリス様が怖くてしょうがないようで、チラチラ彼女を見ながら、令嬢は話をされます。
アリス様とは少し話しただけですが、物言いはキツイものの、そこまで怖い方ではなさそうなのですが。
「ところで、あなた方はどちら様? 私の事を知ってるみたいですけど、私は知らないんですけど? ぜひ、お名前をお伺いしたいわぁ」
そう言ったアリス様の笑顔がとても怖くて、前言撤回です。
怖いのです。
「な、名乗る程ではありませんわ!」
逃げようとする令嬢達の1人の腕を、アリス様がつかみ言います。
「名前を聞きたいと言ってるんですよ」
「ですから、名乗る程ではないと…」
「それはあなたの勝手よね? 私は知りたいの」
にっこり笑ってアリス様は言います。
「おい、何してる」
テツ様とラルフ様が私達の様子がおかしい事に気付いて下さったようで、こちらにやって来て下さると、テツ様がアリス様に話しかけられました。
「お話してたの」
「腕をつかんでかよ」
「だって逃げるんだもの。追いかけたくならない?」
「普通は追いかけねぇんだよ」
「私は普通じゃないからいいのよ」
「良くねぇよ! リノア嬢に迷惑かけるだろ!」
テツ様の見た目は紺色の短髪に同じ色の瞳。
ラルフ様ほどではないですが、高身長でスラリとした体型。
ツリ目気味のため、近寄りがたい雰囲気を醸し出しておられますが、イケメンさんです。
そんなテツ様に私は苦笑しながら言う。
「私はかまいませんよ」
「どうかしたのか?」
ラルフ様がアリス様に尋ねると、彼女は令嬢をつかまえたまま言われます。
「名乗ってって言ってるのに名乗ってくれないから」
「彼女たちの名前が知りたいのか?」
「そうなんですけど、知ってます?」
「ああ。今日の招待客にいそうな人間は頭に叩き込んできたからわかる」
ラルフ様の言葉を聞き、令嬢の顔色が一瞬にして青ざめるのがわかりました。
「ならいいわ。引き止めてしまってごめんなさいね?」
「あの」
「はい?」
「申し訳ございません! 二度とあの様な事は申しませんのでお許し下さい」
令嬢はなぜかアリス様に向かって謝られます。
「は? 謝る相手が違うでしょう」
アリス様が低い声で言うと、令嬢は泣き出しそうな顔をしながら、私の方を向いて頭を下げました。
「根も葉もない噂を信じ、ブルーミング伯爵令嬢に対して無礼な発言をしてしまった事を、心からお詫び申し上げます」
「お詫びされましても、私の気持ちはおさまらないのです。私がほしいのは謝罪じゃありませんから」
意地の悪い言い方をしているな、と自分でも思いますが、元々、ひどい事を言ってきたのは相手側ですし、言いたい事を言わせてもらう事にします。
「あなた方がやらないといけない事はわかっていますよね? 悪いと思っているようでしたら、ラルフ様への謝罪だけでなく、していただきたい事があります」
「お許しいただけるなら、何でも致します!」
逃げていたもう1人の令嬢も逃げられないとわかったのか戻ってきて、2人で私に向かって言われますので、笑顔で言います。
「あなた方の話していた噂が嘘だと、1人でも多くの人間に知らせて下さい。まずはこの会場内からお願いしますね」
にっこり笑顔で言うと、令嬢達は涙目で首を縦に何度も振ったあと、ラルフ様に謝罪をされてから、慌てて知り合いの方なのかはわかりませんが、近くにいた令嬢をつかまえて話をはじめられました。
「それくらいで許してあげていいの?」
「下手にやりすぎると恨みを買いますから」
アリス様に答えると、彼女は笑顔で言われます。
「名前も思い出したくなくなるくらいに徹底的に潰せば大丈夫よ?」
「私はアリス様ではないのです」
「リノア様は私と同類だと思ったんだけど」
アリス様の言葉に私だけでなく、ラルフ様とテツ様まで眉を寄せました。
アリス様に同類と言われるほど様な事を言った覚えは全くないのです!
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