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41 どうして、近付いてくるの?
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私が動きを止めてしまったからか、くうーんとメルちゃんが心配そうに鳴いた。
スカディ様とレジーさんがどんな話をしているかなんて、メルちゃんにはわからないから、どうして私がここで立ち止まっているのかわからないものね。
「ごめんね。もう少しだけ待ってくれる?」
メルちゃんとハヤテくんの頭を撫でて言うと、2匹共にお利口さんで、待つよと言わんばかりにお座りをしてくれた。
スカディ様とレジーさんの会話を聞いてみる。
「ちゃ、ちゃんと責任を取れってどういうことかな?」
「普通の令嬢ならこんなことは言わないんでしょう? 私をこんな風にさせてしまった責任をとってほしいんです!」
「レジー、わかっているなら、どうして無茶ばかり言うんだよ」
「皆が甘やかすからじゃないですか! 私だって叱ってほしかったんです!」
「叱っていたじゃないか!」
「でも、許してくれていたじゃないですか!」
「じゃあ、許さなかったらいいのか!?」
痴話喧嘩を聞いていても退屈ね。
そう思った私は、2人をそのままにして立ち去ろうとした。
すると、それに気が付いたスカディ殿下が叫ぶ。
「待ってくれ、ミレニア! 君はどっちの言い分が正しいと思う!?」
「……はい?」
「君も聞いていただろ? 僕の言い分とレジーの言い分、どちらが正しいか君が判断してくれ!」
どうして私がそんなことを!?
私が動揺しているからか、メルちゃんが「どうする? やっつける?」と言わんばかりに、片方の前足をちょいちょいと私の足に当てて見上げてきた。
こればかりはメルちゃんにどうこうしてもらえるものじゃないわ。
それにしても、どちらが悪いかと聞かれても、どっちもどっちの様な気がするわ。
「あのっ」
わかってもらえないことを承知で言ってみることにする。
「どんな発言をしても不敬にはならないと約束していただけますでしょうか」
「暴言を吐いたりしなければ大丈夫だよ」
スカディ様から許可が下りたので、言わせてもらうことにする。
「あの、一度、お二人共国に帰って、そのお話をなされば良いのではないでしょうか」
「は……?」
私の発言に、スカディ様とレジーさんが声を揃えて聞き返してきた。
「く、国へ帰れですって!? 帰りたくないから、あなたに文句を言いに来たんじゃないの!」
叫んだあと、レジーさんは我に返ったかのように続ける。
「そうよ! 私はあなたに文句を言いに来たんだったわ!」
本来の目的を忘れていたみたいで、レジーさんは座り込んだまま両頬をおさえた。
視線を感じて、ダイニングルームのほうを見ると、メイドたちがどうすれば良いのかわからないといった感じで私を見つめている。
彼女たちはさすがに介入できないものね。
私は一応、貴族だし、この屋敷の当主の婚約者だから良いとしても、スカディ様のような王族と話をするなんて、一般の人間ではありえないことだもの。
「バウ!」
その時、しびれをきらしたハヤテくんが吠えた。
メルちゃんは我慢強い子だけれど、ハヤテくんはワガママなところも多い。
いつまで待てばいいの?
という感じで私に「バウバウ!」と何度も吠えてくる。
「ごめんね、ハヤテくん」
抱き上げると、満足したのか顔を舐めようとしてくるので、頭を撫でて落ち着かせた。
すると、スカディ様がよろよろとこちらに近づいて来る。
どうして、近付いてくるの?
「どういうことなんだよ、ミレニア、君は僕に国に帰ってほしいのか?」
「……そうですね。スカディ殿下は犬がお嫌いですし、この屋敷で過ごすのは大変かと思います。レジーさんはロード様に迷惑をかけていますので」
「私は迷惑なんてかけていないわ!」
レジー様は叫びながら立ち上がり、私に向かってこようとした。
でも、お座りしていたメルちゃんが立ち上がり威嚇する。
「何なのよ、このバカ犬は!」
レジーさんはドレスの裾をまくりあげて、メルちゃんを蹴ろうとした。
「おやめ下さい!」
私が叫んだと同時、メルちゃんは素早くレジーさんの足を避けて、噛みつこうとした。
「メル! やめろ!」
声が聞こえて、メルちゃんはびくりと反応して動きを止めると、くるりと向きを変えて声のした方向に走っていく。
振り返ると、そこには険しい表情をしたロード様が立っていた。
スカディ様とレジーさんがどんな話をしているかなんて、メルちゃんにはわからないから、どうして私がここで立ち止まっているのかわからないものね。
「ごめんね。もう少しだけ待ってくれる?」
メルちゃんとハヤテくんの頭を撫でて言うと、2匹共にお利口さんで、待つよと言わんばかりにお座りをしてくれた。
スカディ様とレジーさんの会話を聞いてみる。
「ちゃ、ちゃんと責任を取れってどういうことかな?」
「普通の令嬢ならこんなことは言わないんでしょう? 私をこんな風にさせてしまった責任をとってほしいんです!」
「レジー、わかっているなら、どうして無茶ばかり言うんだよ」
「皆が甘やかすからじゃないですか! 私だって叱ってほしかったんです!」
「叱っていたじゃないか!」
「でも、許してくれていたじゃないですか!」
「じゃあ、許さなかったらいいのか!?」
痴話喧嘩を聞いていても退屈ね。
そう思った私は、2人をそのままにして立ち去ろうとした。
すると、それに気が付いたスカディ殿下が叫ぶ。
「待ってくれ、ミレニア! 君はどっちの言い分が正しいと思う!?」
「……はい?」
「君も聞いていただろ? 僕の言い分とレジーの言い分、どちらが正しいか君が判断してくれ!」
どうして私がそんなことを!?
私が動揺しているからか、メルちゃんが「どうする? やっつける?」と言わんばかりに、片方の前足をちょいちょいと私の足に当てて見上げてきた。
こればかりはメルちゃんにどうこうしてもらえるものじゃないわ。
それにしても、どちらが悪いかと聞かれても、どっちもどっちの様な気がするわ。
「あのっ」
わかってもらえないことを承知で言ってみることにする。
「どんな発言をしても不敬にはならないと約束していただけますでしょうか」
「暴言を吐いたりしなければ大丈夫だよ」
スカディ様から許可が下りたので、言わせてもらうことにする。
「あの、一度、お二人共国に帰って、そのお話をなされば良いのではないでしょうか」
「は……?」
私の発言に、スカディ様とレジーさんが声を揃えて聞き返してきた。
「く、国へ帰れですって!? 帰りたくないから、あなたに文句を言いに来たんじゃないの!」
叫んだあと、レジーさんは我に返ったかのように続ける。
「そうよ! 私はあなたに文句を言いに来たんだったわ!」
本来の目的を忘れていたみたいで、レジーさんは座り込んだまま両頬をおさえた。
視線を感じて、ダイニングルームのほうを見ると、メイドたちがどうすれば良いのかわからないといった感じで私を見つめている。
彼女たちはさすがに介入できないものね。
私は一応、貴族だし、この屋敷の当主の婚約者だから良いとしても、スカディ様のような王族と話をするなんて、一般の人間ではありえないことだもの。
「バウ!」
その時、しびれをきらしたハヤテくんが吠えた。
メルちゃんは我慢強い子だけれど、ハヤテくんはワガママなところも多い。
いつまで待てばいいの?
という感じで私に「バウバウ!」と何度も吠えてくる。
「ごめんね、ハヤテくん」
抱き上げると、満足したのか顔を舐めようとしてくるので、頭を撫でて落ち着かせた。
すると、スカディ様がよろよろとこちらに近づいて来る。
どうして、近付いてくるの?
「どういうことなんだよ、ミレニア、君は僕に国に帰ってほしいのか?」
「……そうですね。スカディ殿下は犬がお嫌いですし、この屋敷で過ごすのは大変かと思います。レジーさんはロード様に迷惑をかけていますので」
「私は迷惑なんてかけていないわ!」
レジー様は叫びながら立ち上がり、私に向かってこようとした。
でも、お座りしていたメルちゃんが立ち上がり威嚇する。
「何なのよ、このバカ犬は!」
レジーさんはドレスの裾をまくりあげて、メルちゃんを蹴ろうとした。
「おやめ下さい!」
私が叫んだと同時、メルちゃんは素早くレジーさんの足を避けて、噛みつこうとした。
「メル! やめろ!」
声が聞こえて、メルちゃんはびくりと反応して動きを止めると、くるりと向きを変えて声のした方向に走っていく。
振り返ると、そこには険しい表情をしたロード様が立っていた。
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