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42 フラル王国の王家の終わり ③
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数日後、エイブランからジーノス様が王城の地下牢に入れられたとの連絡があった。地下牢に入れられた理由はノンクード様がシエッタ殿下の計画の邪魔をしたからというものだった。
ノンクード様の邪魔が入らなくても、彼女の計画は失敗していたと思うけれど、自分の失敗にはしたくないのでしょうね。この話をビサイズ公爵閣下に知らせたところ、ジーノス様がどうなっても自業自得だと答え、国王陛下も彼女が国家をゆるがすような情報を持っているわけではないことや、彼女と連絡が取れる間は関与しないと言っていたそうだ。
フラル王国の王家も自分たちがジーノス様を地下牢に入れているなんて言えないでしょうから、連絡は取らせてくれるはずだからだ。
「ジーノス様と離れてノンクード様は改心すると思いますか?」
お父様に尋ねると、難しい顔をして答える。
「わからない。こればっかりは本人の考え方次第だからな。ジーノス様のようにわがままに生き続ければビサイズ公爵家から除籍されるだろうが、そうでなければ公爵は彼を見捨てはしないだろう」
「どうしてそう思うのですか?」
「ノンクード様は実の父親に見捨てられている。さすがに可哀想だと感じているようだ」
ノンクード様は状況は違えど、親から捨てられたことは間違いないものね。大好きなママにも会えなくなったし、ノンクード様はこれからどうなっていくのかしら。
まあ、私が気にすることでもないわね。
「ノンクード様のことよりも自分の心配をしろよ」
お兄様に言われた私は頷いて、お父様に尋ねる。
「あれからフラル王国の王家に動きはありそうですか?」
「ミリルを取り戻そうとあの手この手と動いてはいるが、全て失敗に終わっている」
私が知っているフラル王国の王家の動向は、ハピパル王国の国王陛下に連絡を入れて、私がミーリルだと訴えてきたこと。その手紙には『私が嘘をついていると言いたいのか』と返してくださったところ、今度は私をロブの婚約者にしたいと連絡してきたそうだ。
それについては、以前も断ったし、私には婚約者候補は国内にいるからとお断りしてくださったそうだ。ハピパル王国の国王陛下にはかなり迷惑をかけてしまった。これ以上、迷惑をかけるわけにはいかないので、直接、お父様がやり取りしてくれることになると、今度は私に贈り物攻撃をしてくるようになっていた。
それをすべて送り返したあとは大人しくなっていたから、諦めてくれたのかと思っていたけど、そうではなかったみたい。
「あの手この手というのはどういう手でしょう?」
「力づくで取り戻すしかないと考えたようで、お前の誘拐計画を立てていたが、エイブランが計画をこちらに横流ししてくれたおかげで阻止できた」
「私が囮になれば、それを理由に王家を引きずり落とすことができたのではないでしょうか」
危険かもしれないけれど、そのほうが手っ取り早い気がして尋ねると、お父様は苦笑する。
「ミリル、普通の親は娘を囮になんか使わないんだ」
お父様の言葉をお母様が引き継ぐ。
「そうよ。そんなことは絶対にさせないわ。ミリル、私たちがふがいないせいで、あなたに嫌な思いをさせてしまってごめんなさいね」
「そんな! 悪いのは私です!」
「ミリルは悪くない。自分が捨てておいて、やっぱり返してほしいなんて馬鹿なことを言う、フラル王国の王家が悪いんだ」
「リディアスの言う通りだ」
お兄様の言葉にお父様は頷くと、私に疑問を投げかけてくる。
「フラル王国の王家は好き勝手動いているようだが、シイはどうして彼らを自由にさせているんだ?」
「今、シイちゃんの形をした石がフラル王国の王家にあるのですが、王家が良くないことをしていくたびに、力が失われていくようにしているみたいです」
「……ということは、今は元気に動けているが、近いうちに不幸が起きる可能性が高いというわけか」
「そうです。どんなことが起こるのかと聞いても、その時になればわかるとしか教えてくれなくて。ただ、フラル王国の王家がレドリー王家ではなくなることは確かです」
そんな話をした日の夜、部屋でシイちゃんと話をしていると、質問を投げかけてもいないのに、突然、シイちゃんがコトコトと動いて教えてくれた。
シイちゃんからのメッセージは『まずはひとりめ』だった。
ノンクード様の邪魔が入らなくても、彼女の計画は失敗していたと思うけれど、自分の失敗にはしたくないのでしょうね。この話をビサイズ公爵閣下に知らせたところ、ジーノス様がどうなっても自業自得だと答え、国王陛下も彼女が国家をゆるがすような情報を持っているわけではないことや、彼女と連絡が取れる間は関与しないと言っていたそうだ。
フラル王国の王家も自分たちがジーノス様を地下牢に入れているなんて言えないでしょうから、連絡は取らせてくれるはずだからだ。
「ジーノス様と離れてノンクード様は改心すると思いますか?」
お父様に尋ねると、難しい顔をして答える。
「わからない。こればっかりは本人の考え方次第だからな。ジーノス様のようにわがままに生き続ければビサイズ公爵家から除籍されるだろうが、そうでなければ公爵は彼を見捨てはしないだろう」
「どうしてそう思うのですか?」
「ノンクード様は実の父親に見捨てられている。さすがに可哀想だと感じているようだ」
ノンクード様は状況は違えど、親から捨てられたことは間違いないものね。大好きなママにも会えなくなったし、ノンクード様はこれからどうなっていくのかしら。
まあ、私が気にすることでもないわね。
「ノンクード様のことよりも自分の心配をしろよ」
お兄様に言われた私は頷いて、お父様に尋ねる。
「あれからフラル王国の王家に動きはありそうですか?」
「ミリルを取り戻そうとあの手この手と動いてはいるが、全て失敗に終わっている」
私が知っているフラル王国の王家の動向は、ハピパル王国の国王陛下に連絡を入れて、私がミーリルだと訴えてきたこと。その手紙には『私が嘘をついていると言いたいのか』と返してくださったところ、今度は私をロブの婚約者にしたいと連絡してきたそうだ。
それについては、以前も断ったし、私には婚約者候補は国内にいるからとお断りしてくださったそうだ。ハピパル王国の国王陛下にはかなり迷惑をかけてしまった。これ以上、迷惑をかけるわけにはいかないので、直接、お父様がやり取りしてくれることになると、今度は私に贈り物攻撃をしてくるようになっていた。
それをすべて送り返したあとは大人しくなっていたから、諦めてくれたのかと思っていたけど、そうではなかったみたい。
「あの手この手というのはどういう手でしょう?」
「力づくで取り戻すしかないと考えたようで、お前の誘拐計画を立てていたが、エイブランが計画をこちらに横流ししてくれたおかげで阻止できた」
「私が囮になれば、それを理由に王家を引きずり落とすことができたのではないでしょうか」
危険かもしれないけれど、そのほうが手っ取り早い気がして尋ねると、お父様は苦笑する。
「ミリル、普通の親は娘を囮になんか使わないんだ」
お父様の言葉をお母様が引き継ぐ。
「そうよ。そんなことは絶対にさせないわ。ミリル、私たちがふがいないせいで、あなたに嫌な思いをさせてしまってごめんなさいね」
「そんな! 悪いのは私です!」
「ミリルは悪くない。自分が捨てておいて、やっぱり返してほしいなんて馬鹿なことを言う、フラル王国の王家が悪いんだ」
「リディアスの言う通りだ」
お兄様の言葉にお父様は頷くと、私に疑問を投げかけてくる。
「フラル王国の王家は好き勝手動いているようだが、シイはどうして彼らを自由にさせているんだ?」
「今、シイちゃんの形をした石がフラル王国の王家にあるのですが、王家が良くないことをしていくたびに、力が失われていくようにしているみたいです」
「……ということは、今は元気に動けているが、近いうちに不幸が起きる可能性が高いというわけか」
「そうです。どんなことが起こるのかと聞いても、その時になればわかるとしか教えてくれなくて。ただ、フラル王国の王家がレドリー王家ではなくなることは確かです」
そんな話をした日の夜、部屋でシイちゃんと話をしていると、質問を投げかけてもいないのに、突然、シイちゃんがコトコトと動いて教えてくれた。
シイちゃんからのメッセージは『まずはひとりめ』だった。
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