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12 恋に狂う公爵令息 ③ ※途中で視点変更あり
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話を聞いたお兄様は、すぐに私をお父様の所へ連れて行った。話を聞いたお父様は、ビサイズ公爵閣下に連絡を入れると言ってくれた。もし、ノンクード様が暴力をふるったことを否定したとしても、状況証拠を伝えれば、ビサイズ公爵閣下はわかってくれるだろうとも言っていた。
無事に婚約を解消、もしくは破棄できるということは喜ばしいことだし、私の心も軽くなった。それと同時に、お兄様の機嫌が少し良くなった。
私に暴力をふるったノンクード様のことを今からでも殺しに行くんじゃないかと思うくらいに怒っていたのに、婚約が解消できるとわかると、機嫌が良くなるんだから本当にシスコンだなあと思う。
妹としては、そんな風に大事に思ってくれて嬉しい気持ちと、新たな婚約者が見つかるのかという不安な気持ちがあるわ。
今は学園が長期休みに入っていて、友人にノンクード様の話をしたくても、連絡して事前に約束しなければならない。
手紙を書こうかと迷っていると、向こうから連絡がきた。急だけど、明日はどうかと書かれていたので、予定のなかった私は、すぐに承諾の返事をした。
次の日、待ち合わせをしたカフェで友人の伯爵令嬢であるキララ・エノウは、私の話を聞いて、お兄様の私への可愛がり方は異常だと言った。
「あなたたちの場合は血がつながっていないから、シスコンという言葉では片付けられないと思うわ」
「どういうこと?」
「リディアス様はあなたのことを異性として見ているんじゃないかということ」
「そ、そんな……。お兄様が私を好きだなんてないわ。優しいけど、あれは恋愛というよりも家族愛だもの」
「それは、あなたがそう思っているからよ。あのね、あなたたちは結婚しようと思えばできるのよ。養子縁組を解消すれば、あなたたちは他人になるんだから」
私が養女だということは、みんなが知っている。もしかして、他の人はお兄様が私を異性として好きだと思っているから、婚約者が見つからないの?
「わ、私、お兄様のためにも独り立ちするわ!」
「……無理だと思うわ」
「どうして!?」
「ミリル、あなた、私に連絡しようとしていたと手紙に書いてくれていたわよね?」
「う……うん」
「私がどうしてタイミング良く連絡したと思う?」
キララはお茶を一口飲んで、私を見つめた。
「も、もしかして、お兄様が?」
「私の婚約者のソーマとリディアス様は仲が良いでしょう? ソーマのほうに、私にミリルに連絡しやってほしいって連絡があったのよ」
「ご、ごめんなさい。ソーマ様にもキララにも迷惑をかけてしまって……」
「迷惑なんかじゃないわ。あなたはすぐに一人で抱え込もうとするから、リディアス様に連絡をもらえて良かったと思ってるくらいよ」
笑ってくれるキララに私は宣言する。
「ありがとう! でも、私、お兄様に頼らないようにする! 自分ひとりで頑張っていこうと思うけど、キララ、愚痴は聞いてくれる!?」
「もちろんよ! 頑張るのはいいことだけど、無理にリディアス様から離れるようにするのはやめたほうがいいわ」
「そうね。ノンクード様が何をしてくるかわからないものね」
私との婚約を解消したくないみたいだったし、婚約破棄なんてしたら、逆恨みされるかもしれない。
自分で自分の身を守るすべを身につけない限り、人に頼らないのは危険だわ。逆に迷惑をかけてしまう恐れがあるものね。でも、私にできる護身術って何があるのかしら。
◇◆◇◆◇◆
(ノンクード視点)
「どうして、リディアスさんは僕の言うことを聞いてくれないんだ! シエッタ殿下があれだけ素敵なのに、何が駄目なんだ!? 婚約を断る理由なんてないじゃないか!」
四角いクッションを手に取り、誰も座っていないソファに投げつけると、ママが僕を抱きしめてなだめる。
「ノンクード、落ち着いて。きっと、リディアスさんは素直になれないだけなのよ」
「……素直になれない、というのは?」
「一度、断った以上、簡単に意見を変えることができないんだわ」
「そうか。そういうことなんですね」
変なプライドが邪魔して、素直になれないってやつだな。
ママは僕の背中を撫でながら聞いてくる。
「それよりも、あなたはどうしてそんなにリディアス様とシエッタ殿下をくっつけようとするの? あなたがシエッタ殿下を落とせば良いじゃないの。そうすれば、あなたは王家の一員になれるわ」
「ママ、真実の愛は見返りを求めないものなんです。僕は愛する人を幸せにしたい。シエッタ殿下の幸せは、リディアスさんと結婚すること。なら、僕はその目標を達成するために突き進むのみです」
「ミリルさんのことはどうするの? あなた、あんなにも夢中だったじゃないの」
「ああ、そうでしたね」
ミリルのことは、シエッタ殿下に会うまでは本当に可愛いと思っていた。でも、今は彼女に何も魅力を感じない。だけど、彼女はまだ使い道がある。
「使えるだけ使って捨ててやりますよ」
微笑んで言うと、ママは「あなたが望むのなら、それで良いと思うわ」と微笑んだ。
ママは僕のやり方に何でも賛成してくれるけど、父上はそうではないということを、この時の僕はすっかり忘れていたんだ。
無事に婚約を解消、もしくは破棄できるということは喜ばしいことだし、私の心も軽くなった。それと同時に、お兄様の機嫌が少し良くなった。
私に暴力をふるったノンクード様のことを今からでも殺しに行くんじゃないかと思うくらいに怒っていたのに、婚約が解消できるとわかると、機嫌が良くなるんだから本当にシスコンだなあと思う。
妹としては、そんな風に大事に思ってくれて嬉しい気持ちと、新たな婚約者が見つかるのかという不安な気持ちがあるわ。
今は学園が長期休みに入っていて、友人にノンクード様の話をしたくても、連絡して事前に約束しなければならない。
手紙を書こうかと迷っていると、向こうから連絡がきた。急だけど、明日はどうかと書かれていたので、予定のなかった私は、すぐに承諾の返事をした。
次の日、待ち合わせをしたカフェで友人の伯爵令嬢であるキララ・エノウは、私の話を聞いて、お兄様の私への可愛がり方は異常だと言った。
「あなたたちの場合は血がつながっていないから、シスコンという言葉では片付けられないと思うわ」
「どういうこと?」
「リディアス様はあなたのことを異性として見ているんじゃないかということ」
「そ、そんな……。お兄様が私を好きだなんてないわ。優しいけど、あれは恋愛というよりも家族愛だもの」
「それは、あなたがそう思っているからよ。あのね、あなたたちは結婚しようと思えばできるのよ。養子縁組を解消すれば、あなたたちは他人になるんだから」
私が養女だということは、みんなが知っている。もしかして、他の人はお兄様が私を異性として好きだと思っているから、婚約者が見つからないの?
「わ、私、お兄様のためにも独り立ちするわ!」
「……無理だと思うわ」
「どうして!?」
「ミリル、あなた、私に連絡しようとしていたと手紙に書いてくれていたわよね?」
「う……うん」
「私がどうしてタイミング良く連絡したと思う?」
キララはお茶を一口飲んで、私を見つめた。
「も、もしかして、お兄様が?」
「私の婚約者のソーマとリディアス様は仲が良いでしょう? ソーマのほうに、私にミリルに連絡しやってほしいって連絡があったのよ」
「ご、ごめんなさい。ソーマ様にもキララにも迷惑をかけてしまって……」
「迷惑なんかじゃないわ。あなたはすぐに一人で抱え込もうとするから、リディアス様に連絡をもらえて良かったと思ってるくらいよ」
笑ってくれるキララに私は宣言する。
「ありがとう! でも、私、お兄様に頼らないようにする! 自分ひとりで頑張っていこうと思うけど、キララ、愚痴は聞いてくれる!?」
「もちろんよ! 頑張るのはいいことだけど、無理にリディアス様から離れるようにするのはやめたほうがいいわ」
「そうね。ノンクード様が何をしてくるかわからないものね」
私との婚約を解消したくないみたいだったし、婚約破棄なんてしたら、逆恨みされるかもしれない。
自分で自分の身を守るすべを身につけない限り、人に頼らないのは危険だわ。逆に迷惑をかけてしまう恐れがあるものね。でも、私にできる護身術って何があるのかしら。
◇◆◇◆◇◆
(ノンクード視点)
「どうして、リディアスさんは僕の言うことを聞いてくれないんだ! シエッタ殿下があれだけ素敵なのに、何が駄目なんだ!? 婚約を断る理由なんてないじゃないか!」
四角いクッションを手に取り、誰も座っていないソファに投げつけると、ママが僕を抱きしめてなだめる。
「ノンクード、落ち着いて。きっと、リディアスさんは素直になれないだけなのよ」
「……素直になれない、というのは?」
「一度、断った以上、簡単に意見を変えることができないんだわ」
「そうか。そういうことなんですね」
変なプライドが邪魔して、素直になれないってやつだな。
ママは僕の背中を撫でながら聞いてくる。
「それよりも、あなたはどうしてそんなにリディアス様とシエッタ殿下をくっつけようとするの? あなたがシエッタ殿下を落とせば良いじゃないの。そうすれば、あなたは王家の一員になれるわ」
「ママ、真実の愛は見返りを求めないものなんです。僕は愛する人を幸せにしたい。シエッタ殿下の幸せは、リディアスさんと結婚すること。なら、僕はその目標を達成するために突き進むのみです」
「ミリルさんのことはどうするの? あなた、あんなにも夢中だったじゃないの」
「ああ、そうでしたね」
ミリルのことは、シエッタ殿下に会うまでは本当に可愛いと思っていた。でも、今は彼女に何も魅力を感じない。だけど、彼女はまだ使い道がある。
「使えるだけ使って捨ててやりますよ」
微笑んで言うと、ママは「あなたが望むのなら、それで良いと思うわ」と微笑んだ。
ママは僕のやり方に何でも賛成してくれるけど、父上はそうではないということを、この時の僕はすっかり忘れていたんだ。
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