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第11話 仮面舞踏会
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次の日、朝早くから家族会議が開かれ、改めて私の意思確認がされた。
私がセレン様の代わりに嫁に行く事に対して異議はない事を再度伝えると、お父様達も断れるはずがない事をわかっていたから、私の言葉に頷いた後、「守ってやれずに申し訳ない」と何度も謝ってくれた。
でも、良い様に考えれば、マシュー様の所に嫁ぐよりもディルの所に嫁いだ方が良いと思うのよね。
もちろん、いじめられたりする可能性はあるけれど、ディルは味方になってくれると思うし、なんとかなるはずだわ…、と、思いたい。
マシュー様の場合は味方になってくれそうにないし。
くよくよしていても始まらない。
だって、もう、あの頃には戻れないんだから。
というか、もう戻りたくもないけど…。
マシュー様の婚約破棄については、ロマウ公爵と昨日のうちに今日の朝に会う約束をしていたので、朝早くから我が家に来てくださり、婚約破棄の手続きがとられた。
慰謝料について話されたけれど、私の家も公爵家でお金に困っていない事もあり、金銭ではなく、プラウ家に何かあった時には必ず助力してもらうという約束をした。
「セレン様はどうなるのでしょうか? マシュー様と結婚を…?」
「いや、マシューは公爵令息ではなくなるから、セレン様との婚約は無効になるだろう」
「そういえば、セレン様はどうなるのでしょうか?」
ロマウ公爵は私の質問に首を傾げた後、苦笑して答えてくれる。
「両陛下だけで罰を決めるのは甘くなる可能性があると言われているから、元老院が決めると思う」
元老院というのは、陛下に助言したり、政治を行う人達の事で、多数決性になる為、両陛下が甘い判断を下したとしても、元老院の人達が過度ではなく適度な罰を与えてくれるでしょうね。
そういえば…。
「マシュー様とミーヨ様の事はどうされるんですか?」
「…その事なんだが、二人共、昨日は屋敷には帰ってきていないんだけど、何か知らないか?」
「えっ?」
ロマウ公爵の言葉に、驚きの声を上げつつ、昨日の事を思い出して考えた。
まさか、殺したりなんかはしていないわよね?
そこまでの罪じゃないはずだし…。
「どうなったか、ディルに確認しておきます」
ロマウ公爵は昨日のことを知らないから、どうしてディルの名前が出てくるのか不思議そうにしていたけれど、深くは聞いてこられなかった。
ミーヨ様達のせいで、ロマウ家はそれどころじゃないものね。
ロマウ公爵が帰られた後、私とお父様はディルが滞在している別邸に向かうと、昨日のヨツイ夫人が出迎えてくれた。
簡単な挨拶を済ませた後、メイドとヨツイ夫人が応接室に案内してくれる事になり、後を付いて歩いていると、夫人が声を掛けて下さった。
「昨日はお疲れ様でございました」
「こちらこそ…。私の元婚約者がご迷惑を…」
「とんでもございません。躾け甲斐がございます。まだまだ教育が必要ですので、こちらに滞在している間は面倒を見させていただきます」
「し、躾け甲斐…?」
どんな事をされているのか気になったけれど、内容が怖くて聞けなかった。
「ロマウ公爵に連絡を入れてもよろしいでしょうか? 探しておられましたし、離縁の手続きもあるかと思うのです」
「ええ。承知いたしております。レイア様達が到着されたと同時に家に帰らせております」
「そ、そうなんですね…」
「もちろん、足枷をつけておりますので、逃げることは出来ません」
ヨツイ夫人はニコニコと温和な笑みを浮かべて私を見た。
「そ、そうですか…」
なんと返したら良いのか分からなくて、曖昧な答えを返した。
そこで、応接室の前まで来たところでヨツイ夫人とはお別れし、ディルと側近の人2人と私、私のお父様の5人で今後について話し合う事になった。
私とディルとの婚約はターリー国の国王陛下に無事に認められ、準備が出来次第、ターリー国に来るようにとの指示があった。
王太子妃教育に関しては何も言われていないけれど、呼ばれたという事はあるのかもしれない。
その際には、私の侍女を連れて行くつもりだけれど、出来れば早い内に国に返してあげたい。
ターリー国は山を越えれば3日でたどり着けるけれど、山には山賊がいて護衛がいなければ襲われる可能性が高いから危険が伴うので、そう何度も里帰りは出来ないと思う。
侍女達は皆、良い子だから、私が他国で1人は心細いだろうからと、嫁入りの際には一緒に付いていくと言ってくれてはいるけれど、何だか申し訳ないもの。
この事に関しては、セレン様はターリー国に行く婚約者としては適任だったかもしれないわ。
他国に1人で行く事に苦はなさそう。
もちろん、他の事に関しては、国際問題に発展する可能性もあるから、私が嫁にいく方がマシだと思うけれど。
用意された書類にサインをして、私は正式にディルの婚約者になった。
書類にサインすると、お父様と側近の方達は、他に話があるからと応接室から出ていかれ、私とディルだけになった。
その時にディルから、パーティーに一緒に行ってほしいとお願いされた。
しかも、そのパーティーというのが…。
「仮面舞踏会ですか?」
「ああ。元々は俺とセレン殿下との婚約を祝って招待されてたんだ。向こうはセレン殿下がお目当ての様な感じだったけどな。仮面舞踏会にしたのは、俺が仮面だからだろ」
「気を利かせてくださったのかどうなのか、判断がしにくいですね…。どなたからのお誘いなんです?」
「リビンノ国の王太子、キズレイ・キートン」
ディルから相手の名前を聞いて、私は思わず眉をひそめた。
そんな私の様子を見て、ディルが聞いてくる。
「無害だと聞いてるけど?」
「政治に関しては無害だと思いますが、彼はかなりのナルシストだと聞いた事があります」
「ナルシスト…?」
「はい。悪い事ではないと思うのですが、自分の顔に自信を持っていらっしゃいます。良くないのは、他者の顔を悪気なく貶す事です」
「セレン殿下と同じタイプか?」
「セレン様はわかっていて、人を貶すタイプですから、セレン様よりかはマシだと思うのですが…」
婚約者の変更については、ターリー国の方からリビンノ国に連絡を入れてくれたらしい。
仮面舞踏会に行く事に関しては異議はなかったけれど、嫌な思いになる様な事を聞かされる。
「キズレイ殿下はセレン殿下に会う事を望んでいるから、彼女を彼に会わせないといけない。それに関しては、ロトス国にお願いするけどな」
「……セレン様への罰は仮面舞踏会後に執行されるという事になりますね」
「ああ。ただ、鉢合わせしない様に、セレン殿下の動向は信頼している人間に見張らせる」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません…」
「また、俺に近付いてこられても困るから、そうするだけだよ」
ディルは昨日のセレン様の様子を思い出したのか、大きく息を吐いて言ったのだった。
そして、それから数日後、私はディル達と一緒にリビンノ国に向かって旅立った。
リビンノ国にはパーティーの日の前日入りをし、旅の疲れを少しだけ癒やしてから出席した。
ちなみに、私の仮面はディルとお揃いにした。
そこまで本格的にする必要はないと言われたけれど、おかしいわけでもないので同じにした。
その方がわかりやすいと思ったから。
当日、パーティー会場に行ってみると、色々な仮面や被り物をつけている人達がいて、とても興味深いんだけれど、仮面のせいで視界がほとんどなくて、じっくり見る事は出来なかった。
この世界での仮面舞踏会は、相手の素性に触れないようにするのがマナー。
だから、婚約を祝ってくれているパーティーなのに仮面舞踏会というのが謎だわ。
祝の余興として開かれる事はあるみたいだから、そういう意味合いなのかしら?
ディルと一緒に会場の端で話をしていると、近寄ってくる人がいた。
「ようこそ我が国へ。今日のパーティーでは僕の美しい顔をぜひとも堪能していって下さい」
「……それはどうも」
「……あ、ありがとうございます」
私とディルは礼を言い、話しかけてきた相手を見つめた。
長身痩躯で金色の髪にエメラルドグリーンの瞳、自分で美しい顔というだけに、かなりの美丈夫だった。
噂通りの美しさといえば美しさだけれど、どうして、この人は仮面をしていないのかしら?
キズレイ殿下は目にかかりそうになった前髪を優雅に払いながら、私達に尋ねてくる。
「うーん。君達はどうして仮面をしているんだい? 仮面をしているという事は、やはり不細工なんだね?」
「……」
「はあ?」
ディルが眉根を寄せて聞き返した。
その気持ちはよくわかるわ。
だって、今日って、仮面舞踏会なのよね?
私がセレン様の代わりに嫁に行く事に対して異議はない事を再度伝えると、お父様達も断れるはずがない事をわかっていたから、私の言葉に頷いた後、「守ってやれずに申し訳ない」と何度も謝ってくれた。
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もちろん、いじめられたりする可能性はあるけれど、ディルは味方になってくれると思うし、なんとかなるはずだわ…、と、思いたい。
マシュー様の場合は味方になってくれそうにないし。
くよくよしていても始まらない。
だって、もう、あの頃には戻れないんだから。
というか、もう戻りたくもないけど…。
マシュー様の婚約破棄については、ロマウ公爵と昨日のうちに今日の朝に会う約束をしていたので、朝早くから我が家に来てくださり、婚約破棄の手続きがとられた。
慰謝料について話されたけれど、私の家も公爵家でお金に困っていない事もあり、金銭ではなく、プラウ家に何かあった時には必ず助力してもらうという約束をした。
「セレン様はどうなるのでしょうか? マシュー様と結婚を…?」
「いや、マシューは公爵令息ではなくなるから、セレン様との婚約は無効になるだろう」
「そういえば、セレン様はどうなるのでしょうか?」
ロマウ公爵は私の質問に首を傾げた後、苦笑して答えてくれる。
「両陛下だけで罰を決めるのは甘くなる可能性があると言われているから、元老院が決めると思う」
元老院というのは、陛下に助言したり、政治を行う人達の事で、多数決性になる為、両陛下が甘い判断を下したとしても、元老院の人達が過度ではなく適度な罰を与えてくれるでしょうね。
そういえば…。
「マシュー様とミーヨ様の事はどうされるんですか?」
「…その事なんだが、二人共、昨日は屋敷には帰ってきていないんだけど、何か知らないか?」
「えっ?」
ロマウ公爵の言葉に、驚きの声を上げつつ、昨日の事を思い出して考えた。
まさか、殺したりなんかはしていないわよね?
そこまでの罪じゃないはずだし…。
「どうなったか、ディルに確認しておきます」
ロマウ公爵は昨日のことを知らないから、どうしてディルの名前が出てくるのか不思議そうにしていたけれど、深くは聞いてこられなかった。
ミーヨ様達のせいで、ロマウ家はそれどころじゃないものね。
ロマウ公爵が帰られた後、私とお父様はディルが滞在している別邸に向かうと、昨日のヨツイ夫人が出迎えてくれた。
簡単な挨拶を済ませた後、メイドとヨツイ夫人が応接室に案内してくれる事になり、後を付いて歩いていると、夫人が声を掛けて下さった。
「昨日はお疲れ様でございました」
「こちらこそ…。私の元婚約者がご迷惑を…」
「とんでもございません。躾け甲斐がございます。まだまだ教育が必要ですので、こちらに滞在している間は面倒を見させていただきます」
「し、躾け甲斐…?」
どんな事をされているのか気になったけれど、内容が怖くて聞けなかった。
「ロマウ公爵に連絡を入れてもよろしいでしょうか? 探しておられましたし、離縁の手続きもあるかと思うのです」
「ええ。承知いたしております。レイア様達が到着されたと同時に家に帰らせております」
「そ、そうなんですね…」
「もちろん、足枷をつけておりますので、逃げることは出来ません」
ヨツイ夫人はニコニコと温和な笑みを浮かべて私を見た。
「そ、そうですか…」
なんと返したら良いのか分からなくて、曖昧な答えを返した。
そこで、応接室の前まで来たところでヨツイ夫人とはお別れし、ディルと側近の人2人と私、私のお父様の5人で今後について話し合う事になった。
私とディルとの婚約はターリー国の国王陛下に無事に認められ、準備が出来次第、ターリー国に来るようにとの指示があった。
王太子妃教育に関しては何も言われていないけれど、呼ばれたという事はあるのかもしれない。
その際には、私の侍女を連れて行くつもりだけれど、出来れば早い内に国に返してあげたい。
ターリー国は山を越えれば3日でたどり着けるけれど、山には山賊がいて護衛がいなければ襲われる可能性が高いから危険が伴うので、そう何度も里帰りは出来ないと思う。
侍女達は皆、良い子だから、私が他国で1人は心細いだろうからと、嫁入りの際には一緒に付いていくと言ってくれてはいるけれど、何だか申し訳ないもの。
この事に関しては、セレン様はターリー国に行く婚約者としては適任だったかもしれないわ。
他国に1人で行く事に苦はなさそう。
もちろん、他の事に関しては、国際問題に発展する可能性もあるから、私が嫁にいく方がマシだと思うけれど。
用意された書類にサインをして、私は正式にディルの婚約者になった。
書類にサインすると、お父様と側近の方達は、他に話があるからと応接室から出ていかれ、私とディルだけになった。
その時にディルから、パーティーに一緒に行ってほしいとお願いされた。
しかも、そのパーティーというのが…。
「仮面舞踏会ですか?」
「ああ。元々は俺とセレン殿下との婚約を祝って招待されてたんだ。向こうはセレン殿下がお目当ての様な感じだったけどな。仮面舞踏会にしたのは、俺が仮面だからだろ」
「気を利かせてくださったのかどうなのか、判断がしにくいですね…。どなたからのお誘いなんです?」
「リビンノ国の王太子、キズレイ・キートン」
ディルから相手の名前を聞いて、私は思わず眉をひそめた。
そんな私の様子を見て、ディルが聞いてくる。
「無害だと聞いてるけど?」
「政治に関しては無害だと思いますが、彼はかなりのナルシストだと聞いた事があります」
「ナルシスト…?」
「はい。悪い事ではないと思うのですが、自分の顔に自信を持っていらっしゃいます。良くないのは、他者の顔を悪気なく貶す事です」
「セレン殿下と同じタイプか?」
「セレン様はわかっていて、人を貶すタイプですから、セレン様よりかはマシだと思うのですが…」
婚約者の変更については、ターリー国の方からリビンノ国に連絡を入れてくれたらしい。
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「キズレイ殿下はセレン殿下に会う事を望んでいるから、彼女を彼に会わせないといけない。それに関しては、ロトス国にお願いするけどな」
「……セレン様への罰は仮面舞踏会後に執行されるという事になりますね」
「ああ。ただ、鉢合わせしない様に、セレン殿下の動向は信頼している人間に見張らせる」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません…」
「また、俺に近付いてこられても困るから、そうするだけだよ」
ディルは昨日のセレン様の様子を思い出したのか、大きく息を吐いて言ったのだった。
そして、それから数日後、私はディル達と一緒にリビンノ国に向かって旅立った。
リビンノ国にはパーティーの日の前日入りをし、旅の疲れを少しだけ癒やしてから出席した。
ちなみに、私の仮面はディルとお揃いにした。
そこまで本格的にする必要はないと言われたけれど、おかしいわけでもないので同じにした。
その方がわかりやすいと思ったから。
当日、パーティー会場に行ってみると、色々な仮面や被り物をつけている人達がいて、とても興味深いんだけれど、仮面のせいで視界がほとんどなくて、じっくり見る事は出来なかった。
この世界での仮面舞踏会は、相手の素性に触れないようにするのがマナー。
だから、婚約を祝ってくれているパーティーなのに仮面舞踏会というのが謎だわ。
祝の余興として開かれる事はあるみたいだから、そういう意味合いなのかしら?
ディルと一緒に会場の端で話をしていると、近寄ってくる人がいた。
「ようこそ我が国へ。今日のパーティーでは僕の美しい顔をぜひとも堪能していって下さい」
「……それはどうも」
「……あ、ありがとうございます」
私とディルは礼を言い、話しかけてきた相手を見つめた。
長身痩躯で金色の髪にエメラルドグリーンの瞳、自分で美しい顔というだけに、かなりの美丈夫だった。
噂通りの美しさといえば美しさだけれど、どうして、この人は仮面をしていないのかしら?
キズレイ殿下は目にかかりそうになった前髪を優雅に払いながら、私達に尋ねてくる。
「うーん。君達はどうして仮面をしているんだい? 仮面をしているという事は、やはり不細工なんだね?」
「……」
「はあ?」
ディルが眉根を寄せて聞き返した。
その気持ちはよくわかるわ。
だって、今日って、仮面舞踏会なのよね?
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