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エピローグ
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あの騒動の日から、結局、ラムダ様は仮ではありますが、私の事を認めて下さったようで、旦那様は犬化されなくなりました。
ローラ様は連行されましたが、キックス様との離婚に素直に応じるなら減刑という、司法取引もあり、処刑などは免れましたが、女性刑務所に収監される事になりました。
ただ、そこの刑務所は他の刑務所に比べて、特に劣悪な環境らしく、衛生状況の悪さから病気にかかってしまう人も多いようです。
病気にはかからずに、罪を償ってほしいものですが、ローラ様にとっては、死んだ方が良いと思う様な環境かもしれません。
ダーリン様とは、もう二度と会えない事は、お気の毒だと思いますし…。
そうそう。
ダーリン様や、ローラ様のご友人達は刑務所に送られ、彼らは一生、塀の外に出る事は出来ないそうです。
懲役が100年以上ですから、無理でしょうね。
正常に戻られたキックス様は、今は旦那様の側近として働かれておられ、ラムダ様も仕事に復帰されました。
ちなみに、ラムダ様は旦那様が犬の時は本当に声が聞こえていなかった様です。
だから、毒で苦しんでいた旦那様を放置できたんでしょうね。
でも、それが本当の犬だったとしても、放置は許せないですが!
ラムダ様は旦那様に嘘を付いていましたから、それで敵認定されたのではないかと言われていました。
そして、私と旦那様ですが、あれから距離は近付き、2週間経った今では、喧嘩もする様になりました。
「悪い、エレノア。今日の演劇は行けなくなった」
「ど、どういう事ですか!?」
旦那様は申し訳なさげに、チケットを手に言います。
「急に仕事が入ったんだ。申し訳ない。この埋め合わせは必ずするから」
「お仕事でしたらしょうがありません。では、他の方と行ってまいります」
「駄目だ。これは男女ペアのチケットなんだ。だから、何とかとれたんだ」
「よくわかりませんが、そんなものがあるのですね? では、今日は、キックス様はお休みでしょうか?」
「駄目だ」
「はい?」
「他の男とは行かせん」
「あなたの弟ですが!?」
旦那様はあの騒動以降、独占欲と言いますか、束縛が酷くなりました。
「弟だから、余計に女性の好みが似てるかもしれないだろう!」
「では、他の方を」
「それも駄目だ」
「どうしてですか! 私が楽しみにしていた事を知っておられたはずですよ!?」
私の大好きな俳優さんが主演のチケットです。
会えるのを楽しみにしていたのに!
「他の男とも行かせない」
「酷いです!」
「近い内に一緒に行こう。な?」
「大人気でチケットが取れないのは、旦那様だってわかってるでしょう! 男女ペアのみという、条件付きだから、何とかとれたんじゃないんですか!?」
「悪い。本当にすまない。公爵家の力を使って、チケットをとるから、違う日の公演に行こう」
「そんな人様に迷惑をかける事はしてはいけません! 謝らなくて良いので、そのチケットを下さい!」
「それは駄目だ」
旦那様はチケットを奪おうとした私を軽く躱し、チケットを持ったまま手を上げられました。
ただでさえ身長差があるのに、届くわけがありません!
「~っ!」
楽しみにしていたんです。
本当に!
「旦那様なんて大嫌いです!」
「きら…、だ…、だいきら…?」
旦那様が呆然とした表情で何か言われましたが、こちらは悲しくて涙をこらえるのに必死です。
「顔も見たくありません!」
「な! エレノア! ま、待ってくれ!」
旦那様の制止の声を無視して扉を開くと、廊下にはラムダ様が立っていました。
あ…、こ、これはやばいです。
「エレノア! 頼むから、嫌いだなんて言わないでくれ!」
旦那様が私の手を掴んだと同時、旦那様はまた、犬になっていました。
「……奥様を信じていましたのに…」
「夫婦喧嘩くらいしますよ!」
悲しげな表情のラムダ様に叫ぶと、犬の旦那様が私の身体に自分の身体を押し付けて言います。
「途中からなら間に合うかもしれない。だから、仲直りして行こう」
「~っ!」
「奥様…」
「わかりました! 仲直りします!」
観念して叫ぶと、旦那様はまた人間の姿に戻りました。
完全に魔法がとけたとは言えませんが、ただ、1つだけわかるのは、魔女さんが本当に旦那様を好きだったという事。
自分の全ての力を使って、旦那様に本当の幸せを与えようとされたんだと思います。
こんな事って、普通は出来ませんよね?
「エレノア、本当に悪い。だから、他の男の所に行くだなんて言わないでくれ」
「演劇を他の男性と観に行くとは言いましたが、そんな事は一言も言ってませんよ」
旦那様が後ろから抱きしめてきて、訳のわからない事を言われるので答えると、旦那様は言います。
「何でもするから」
「旦那様、その発言、後悔しないで下さいね?」
「……あ」
「では、お仕事頑張って、1秒でも早く終わらせて下さい! 劇場で待っていますから」
考えてみれば、旦那様が欠席という事にしても良いのかも?
そんな事を思った時には、旦那様はチケットを持って、猛ダッシュされておられました。
明らかに私一人でも行かせない気です。
「旦那様! あまり束縛が過ぎても嫌いますよ!」
私の言葉に動揺されたのか、階段付近から、大きな音が聞こえてきました。
足を踏み外されたのでしょうか…?
慌てて、階段の方に走って、2階の踊り場から下を見ると、旦那様が腰をおさえながら、ジャスミンとキックス様と話をしているのが見えました。
ここ最近、ジャスミンとキックス様が一緒にいる事が多いのですが、もしかして…?
と、そんな事を考えている場合ではないですね。
「旦那様!」
「エレノア…! もう出るから、急ぐから!」
「大好きですよ」
焦る旦那様に、にっこり微笑むと、旦那様の表情が緩みました。
そして、私に言います。
「早く終わらせる!」
「お待ちしておりますから、お気を付けて」
急いでキックス様と出ていく旦那様を見送ると、私もジャスミンと合流し、出かける準備を始めたのでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここからはあとがきです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
エレノアとシークスのお話をもうちょっと書きたいなーという気持ちもあるのですが、ローラの件は一応、ここで終わりなので、区切りとして完結とさせていただきます。
続編好きの私ですので、ご希望があれば書くかもしれません。
ラムダが認めている限りは犬化しませんが、エピローグの通り、どんな理由でもエレノアがシークスを悲しませたとラムダが知ると、シークスが女性に触れると犬化するという、完全に魔法が解けた状態ではありません。
一応、書いておきますが、ラムダが死んだ場合は、魔法が解けます。(気になられる方は気になられると思うので)
エピローグのラムダの判定ですが、あの姉にこの弟と思っていただければ…。
姉の執念が弟に…と思っていただけましたら、と思います。
少しでも、楽しんでいただけたなら嬉しいです。
そして、新しい機能であるエールもありがとうございます!
数ある小説の中から1日3話しかおくれないエールなので、もらえる訳がないと本気で思っておりましたので、本当に嬉しかったです!
この作品の完結と同時に新たに新作を投稿いたしますので、新作、もしくは他の連載作品でお会いできましたら光栄です。
お読みいただき、本当にありがとうございました。
ローラ様は連行されましたが、キックス様との離婚に素直に応じるなら減刑という、司法取引もあり、処刑などは免れましたが、女性刑務所に収監される事になりました。
ただ、そこの刑務所は他の刑務所に比べて、特に劣悪な環境らしく、衛生状況の悪さから病気にかかってしまう人も多いようです。
病気にはかからずに、罪を償ってほしいものですが、ローラ様にとっては、死んだ方が良いと思う様な環境かもしれません。
ダーリン様とは、もう二度と会えない事は、お気の毒だと思いますし…。
そうそう。
ダーリン様や、ローラ様のご友人達は刑務所に送られ、彼らは一生、塀の外に出る事は出来ないそうです。
懲役が100年以上ですから、無理でしょうね。
正常に戻られたキックス様は、今は旦那様の側近として働かれておられ、ラムダ様も仕事に復帰されました。
ちなみに、ラムダ様は旦那様が犬の時は本当に声が聞こえていなかった様です。
だから、毒で苦しんでいた旦那様を放置できたんでしょうね。
でも、それが本当の犬だったとしても、放置は許せないですが!
ラムダ様は旦那様に嘘を付いていましたから、それで敵認定されたのではないかと言われていました。
そして、私と旦那様ですが、あれから距離は近付き、2週間経った今では、喧嘩もする様になりました。
「悪い、エレノア。今日の演劇は行けなくなった」
「ど、どういう事ですか!?」
旦那様は申し訳なさげに、チケットを手に言います。
「急に仕事が入ったんだ。申し訳ない。この埋め合わせは必ずするから」
「お仕事でしたらしょうがありません。では、他の方と行ってまいります」
「駄目だ。これは男女ペアのチケットなんだ。だから、何とかとれたんだ」
「よくわかりませんが、そんなものがあるのですね? では、今日は、キックス様はお休みでしょうか?」
「駄目だ」
「はい?」
「他の男とは行かせん」
「あなたの弟ですが!?」
旦那様はあの騒動以降、独占欲と言いますか、束縛が酷くなりました。
「弟だから、余計に女性の好みが似てるかもしれないだろう!」
「では、他の方を」
「それも駄目だ」
「どうしてですか! 私が楽しみにしていた事を知っておられたはずですよ!?」
私の大好きな俳優さんが主演のチケットです。
会えるのを楽しみにしていたのに!
「他の男とも行かせない」
「酷いです!」
「近い内に一緒に行こう。な?」
「大人気でチケットが取れないのは、旦那様だってわかってるでしょう! 男女ペアのみという、条件付きだから、何とかとれたんじゃないんですか!?」
「悪い。本当にすまない。公爵家の力を使って、チケットをとるから、違う日の公演に行こう」
「そんな人様に迷惑をかける事はしてはいけません! 謝らなくて良いので、そのチケットを下さい!」
「それは駄目だ」
旦那様はチケットを奪おうとした私を軽く躱し、チケットを持ったまま手を上げられました。
ただでさえ身長差があるのに、届くわけがありません!
「~っ!」
楽しみにしていたんです。
本当に!
「旦那様なんて大嫌いです!」
「きら…、だ…、だいきら…?」
旦那様が呆然とした表情で何か言われましたが、こちらは悲しくて涙をこらえるのに必死です。
「顔も見たくありません!」
「な! エレノア! ま、待ってくれ!」
旦那様の制止の声を無視して扉を開くと、廊下にはラムダ様が立っていました。
あ…、こ、これはやばいです。
「エレノア! 頼むから、嫌いだなんて言わないでくれ!」
旦那様が私の手を掴んだと同時、旦那様はまた、犬になっていました。
「……奥様を信じていましたのに…」
「夫婦喧嘩くらいしますよ!」
悲しげな表情のラムダ様に叫ぶと、犬の旦那様が私の身体に自分の身体を押し付けて言います。
「途中からなら間に合うかもしれない。だから、仲直りして行こう」
「~っ!」
「奥様…」
「わかりました! 仲直りします!」
観念して叫ぶと、旦那様はまた人間の姿に戻りました。
完全に魔法がとけたとは言えませんが、ただ、1つだけわかるのは、魔女さんが本当に旦那様を好きだったという事。
自分の全ての力を使って、旦那様に本当の幸せを与えようとされたんだと思います。
こんな事って、普通は出来ませんよね?
「エレノア、本当に悪い。だから、他の男の所に行くだなんて言わないでくれ」
「演劇を他の男性と観に行くとは言いましたが、そんな事は一言も言ってませんよ」
旦那様が後ろから抱きしめてきて、訳のわからない事を言われるので答えると、旦那様は言います。
「何でもするから」
「旦那様、その発言、後悔しないで下さいね?」
「……あ」
「では、お仕事頑張って、1秒でも早く終わらせて下さい! 劇場で待っていますから」
考えてみれば、旦那様が欠席という事にしても良いのかも?
そんな事を思った時には、旦那様はチケットを持って、猛ダッシュされておられました。
明らかに私一人でも行かせない気です。
「旦那様! あまり束縛が過ぎても嫌いますよ!」
私の言葉に動揺されたのか、階段付近から、大きな音が聞こえてきました。
足を踏み外されたのでしょうか…?
慌てて、階段の方に走って、2階の踊り場から下を見ると、旦那様が腰をおさえながら、ジャスミンとキックス様と話をしているのが見えました。
ここ最近、ジャスミンとキックス様が一緒にいる事が多いのですが、もしかして…?
と、そんな事を考えている場合ではないですね。
「旦那様!」
「エレノア…! もう出るから、急ぐから!」
「大好きですよ」
焦る旦那様に、にっこり微笑むと、旦那様の表情が緩みました。
そして、私に言います。
「早く終わらせる!」
「お待ちしておりますから、お気を付けて」
急いでキックス様と出ていく旦那様を見送ると、私もジャスミンと合流し、出かける準備を始めたのでした。
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ここからはあとがきです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
エレノアとシークスのお話をもうちょっと書きたいなーという気持ちもあるのですが、ローラの件は一応、ここで終わりなので、区切りとして完結とさせていただきます。
続編好きの私ですので、ご希望があれば書くかもしれません。
ラムダが認めている限りは犬化しませんが、エピローグの通り、どんな理由でもエレノアがシークスを悲しませたとラムダが知ると、シークスが女性に触れると犬化するという、完全に魔法が解けた状態ではありません。
一応、書いておきますが、ラムダが死んだ場合は、魔法が解けます。(気になられる方は気になられると思うので)
エピローグのラムダの判定ですが、あの姉にこの弟と思っていただければ…。
姉の執念が弟に…と思っていただけましたら、と思います。
少しでも、楽しんでいただけたなら嬉しいです。
そして、新しい機能であるエールもありがとうございます!
数ある小説の中から1日3話しかおくれないエールなので、もらえる訳がないと本気で思っておりましたので、本当に嬉しかったです!
この作品の完結と同時に新たに新作を投稿いたしますので、新作、もしくは他の連載作品でお会いできましたら光栄です。
お読みいただき、本当にありがとうございました。
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