25 / 43
22 さっきの様な事はもうしませんから!
しおりを挟む
結局、旦那様が頻繁に犬化してしまった為、どうして旦那様がそんな事になってしまうのか、はっきりとした理由は分からずじまいでしたが、私と旦那様の心の距離は近付いた気がした新婚旅行も終え、家に戻ってまいりました。
お義父さまとお義母さまに挨拶をして、お土産を渡し、久しぶりの部屋に戻ると、早速、ローラ様が部屋に訪ねてこられました。
「お義姉さま、旅行はどうでした? 私からのプレゼント、受け取ってくださいました?」
「受取拒否とまではいきませんでしたが、返却はさせていただきました。今度からは、私の喜ぶようなプレゼントをお願いいたします。ローラ様ってもしかして、プレゼントを選ぶセンスがなかったりするのですかね?」
だって、普通、プレゼントに元彼を選んだりしませんでしょう?
それとも、私の考えが変わっているだけで、普通の方は元彼をプレゼントされたりするんでしょうか?
「選ぶセンスって…! ちゃんとしたプレゼントを渡すつもりでしたら、他のものをお渡ししますよ! でも、今回はそうではなく!」
「そうではなく、何なんです? それに、勝手に招待状を送りつけるだなんてどうかしていると思いますが?」
「お義姉さま、私にそんな態度を取って良いんですか? お義兄さまの事を他の派閥の人間にお話しても良いんですよ?」
「そうなりますと、公爵家が危なくなりますので、あなたも贅沢をして暮らしていく事が出来ないのでは? それに、ローラ様は忘れていらっしゃるようですが、私も公爵家の娘です。家族は私を愛してくれています。何かあった時、報復がないだなんて思わないで下さいね?」
「お、脅すつもりですか!?」
「あなたにそんな事を言われたくないのですが…」
呆れた顔でローラ様を見ますと、舌打ちされた後、私だけでなく、ジャスミンの方を睨んで去っていかれました。
「嵐のような人ですね」
「本当に…」
「ジャスミンまで巻き込んでしまってごめんなさいね」
「いいえ。ですが、どうして私まで睨んでいったのでしょうか…」
「それはわかりません。別にジャスミンはローラ様と何かあったわけではないのですよね?」
「身に覚えはないのですが…」
ジャスミンは首を傾げた後、すぐに笑顔になって言います。
「私の事はお気になさらないで下さい。ローラ様に何をされましても気にはなりませんので」
「ですが、よっぽど嫌なことをされたら、我慢せずに絶対に言って下さいね。私がどうにも出来なければ、お兄様に相談しますから」
旦那様に相談しても良いのですが、ローラ様には強く出られないでしょうし、困らせてしまうだけの様な気がします。
ああ、でも、こんな事を思うから、旦那様は私の事を中々、信用してくれないのかもしれません。
お話をするだけしてみようと思いますが、でも、また、頻繁に犬化されても困りますし、難しいところです。
ジャスミンに荷解きをしてもらいながら考えていると、今度は旦那様が訪ねて来てくださいました。
「ジャスミン、君も疲れただろう。少しは休んだらどうだ? 荷解きは俺がやろう」
「荷解きは私がいたしますので、そのままにしておいて下さいませ。 では、お言葉に甘えて、少しの間、私は自分の部屋で休憩をとらせていただきますね」
旦那様とジャスミンは、犬化の話をして以来、二人の間に何か絆の様なものが生まれたかの様に仲良しになりました。
仲良くするのは良い事だと思いますが、少しだけ疎外感です。
でも、ジャスミンに休憩をとってもらう事は悪い事ではありませんし、笑顔で頷きます。
「長旅に付き合ってくれてありがとうございます。少しの時間ですが、ゆっくりしてくださいね」
「ありがとうございます。では、失礼させていただきます」
ジャスミンは満面の笑みを浮かべて、一礼してから部屋を出ていきました。
そんなに休憩が嬉しかったのですか。
となると、やはり、お休みをもっと増やしてあげないといけないのかもしれません。
「エレノア、どうかしたのか?」
「あ、いえ。ジャスミンの事を考えていまして…。旦那様も長旅、お疲れ様でした」
「いや。君はどうだった? 少しは楽しめたか?」
「はい。旦那様といっぱいもふもふできましたし、こうやって、お話できる様にもなりましたしね」
旦那様を立たせたまま、お話するわけにはいきませんので、ソファーに座ってもらうように促すと、旦那様は座ってから言います。
「犬になってばかりですまなかったな」
「いいえ。先程も言いましたが、私は犬の旦那様とゆっくり出来て楽しかったですから。それよりも旦那様はお仕事の方は大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。君が寝ている間にするから」
「えーと、それはどういう?」
意味がわからなくて聞き返すと、旦那様は笑顔で言います。
「ジャスミンが言うんだ。エレノアは人見知りだから、一緒に話す機会が多くなれば、どんどん態度が変わっていくと」
「旦那様とジャスミンはいつの間に、そんな話をしているのですか」
「ジャスミンはエレノアが寝た後に、今日の出来事を報告しに来てくれる様になったんだ」
「そんなの知りません! どうしてそんな事になっているんですか!?」
別に報告される事が嫌なわけではないのですが、そんな事実を知らなかった事に驚きなのと、それを教えてもらえていなかった事にショックを受けてしまいました。
「いや、俺が頼んだんだ。ジャスミンは悪くない。そんな事をされて嫌だったか?」
「内容にもよりますよ。どんなお話を聞いてるんですか。大体、旅行中はほとんど旦那様と一緒にいましたが?」
「仕事をしていて一緒にいれない時間があっただろう?」
「それはそうかもしれませんが…」
旦那様が笑顔で、自分の隣に座るように手で示されるので、断る理由もありませんし、隣りに座ってから尋ねます。
「もしかして、最近の旦那様は、私を監視していらっしゃいます?」
「どうして監視になるんだ?」
「では、ストーキング」
「言い方が悪い」
「結婚した当初は、私の事なんて気にする様子など一切なかったじゃないですか」
「人の心は変わると言うだろう?」
「では、そのうち旦那様は私の行動観察に飽きるという事でしょうか」
「それとこれとは別だ」
旦那様は私の肩に触れようとされましたが、ここ何日かで学習されたようで、焦った様子で手を引っ込めた後、言葉を続けます。
「結婚したのだから、責任は持たなければいけないだろう?」
「そんなに重く考えなくても大丈夫ですよ。旦那様は真面目な方なのですね」
「そんな事はない。当たり前の事だ。もちろん、犬化する事を知られる前は、距離を置こうと思っていたけれど、今は違う。それに自覚した今は、どうしたら君に気持ちが伝わるかを考えてばかりいる」
「何でしょう? お聞きしますよ? そういえば、人の時にお話したい事があると言われていましたよね?」
旦那様の方に身体を向けて、笑顔で旦那様を見上げると、なぜか旦那様は私から顔を背けます。
「なんといったらいいのか、その、自覚してしまうと、難しいものだな。簡単に言えるものだと思っていたのに」
「よくわかりませんが、今日はお話したくなさそうですし、話題を変えましょうか?」
「あ、ああ、かまわない」
なぜか旦那様が肩を落とされた気がしましたが、それには触れずに聞いてみます。
「ジャスミンがローラ様に目をつけられた様なのですが、何か考えられる理由はありますか?」
「…ジャスミンが?」
旦那様は怪訝な顔をした後、少し考えてから答えてくれます。
「特に思い当たるような報告はあがっていないが、調べさせようか?」
「ローラ様を刺激しない程度でお願いできますでしょうか」
「わかった」
「ありがとうございます、旦那様」
笑顔でお礼を言うと、旦那様がまた、顔を背けて言います。
「エレノアはその…、笑った方が良いと思う。もちろん、怒ったり不貞腐れた顔も、それはそれで良いのだが」
「旦那様…?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。心の準備が…」
「はい?」
私から近付く事は良いはずですので、身を乗り出して顔を覗き込んでみますと、旦那様は私を押し返そうとしたのか、またもや、私の腕に触れてしまいました。
ですので、言わずもがな、いつもの可愛らしい犬の姿になってしまわれます。
「ああ、この体が忌々しい! どうしてこんな事になるんだ!」
てしてしと前足の両方を上げて、ソファーを叩く旦那様が可愛くて見守っていると、旦那様がすりっと頭を私の顔に寄せてこられました。
「さっきのは君が悪い」
「近付いたからですか?」
「ああ、そうだな。悪くはないが、原因は君だ」
すりすりと私の顔に頭をまた当ててこられるので、頭が痛いのかなと思い、優しく、その部分に口付けると、旦那様が声にならない声を上げて後ろにひっくり返ってしまわれました。
どうやら、旦那様はスキンシップが苦手みたいです。
「旦那様、しっかりして下さい! さっきの様な事はもうしませんから!」
「それはそれで…困る…」
旦那様はまるで最後の力を振り絞るかのような弱々しい口調で、そう言われたのでした。
こんな風に、旦那様と私の生活はのんびり続いていくのかと思っていましたが、そう上手くはいかないと思わせられる出来事が次の日に起こる事になったのでした。
お義父さまとお義母さまに挨拶をして、お土産を渡し、久しぶりの部屋に戻ると、早速、ローラ様が部屋に訪ねてこられました。
「お義姉さま、旅行はどうでした? 私からのプレゼント、受け取ってくださいました?」
「受取拒否とまではいきませんでしたが、返却はさせていただきました。今度からは、私の喜ぶようなプレゼントをお願いいたします。ローラ様ってもしかして、プレゼントを選ぶセンスがなかったりするのですかね?」
だって、普通、プレゼントに元彼を選んだりしませんでしょう?
それとも、私の考えが変わっているだけで、普通の方は元彼をプレゼントされたりするんでしょうか?
「選ぶセンスって…! ちゃんとしたプレゼントを渡すつもりでしたら、他のものをお渡ししますよ! でも、今回はそうではなく!」
「そうではなく、何なんです? それに、勝手に招待状を送りつけるだなんてどうかしていると思いますが?」
「お義姉さま、私にそんな態度を取って良いんですか? お義兄さまの事を他の派閥の人間にお話しても良いんですよ?」
「そうなりますと、公爵家が危なくなりますので、あなたも贅沢をして暮らしていく事が出来ないのでは? それに、ローラ様は忘れていらっしゃるようですが、私も公爵家の娘です。家族は私を愛してくれています。何かあった時、報復がないだなんて思わないで下さいね?」
「お、脅すつもりですか!?」
「あなたにそんな事を言われたくないのですが…」
呆れた顔でローラ様を見ますと、舌打ちされた後、私だけでなく、ジャスミンの方を睨んで去っていかれました。
「嵐のような人ですね」
「本当に…」
「ジャスミンまで巻き込んでしまってごめんなさいね」
「いいえ。ですが、どうして私まで睨んでいったのでしょうか…」
「それはわかりません。別にジャスミンはローラ様と何かあったわけではないのですよね?」
「身に覚えはないのですが…」
ジャスミンは首を傾げた後、すぐに笑顔になって言います。
「私の事はお気になさらないで下さい。ローラ様に何をされましても気にはなりませんので」
「ですが、よっぽど嫌なことをされたら、我慢せずに絶対に言って下さいね。私がどうにも出来なければ、お兄様に相談しますから」
旦那様に相談しても良いのですが、ローラ様には強く出られないでしょうし、困らせてしまうだけの様な気がします。
ああ、でも、こんな事を思うから、旦那様は私の事を中々、信用してくれないのかもしれません。
お話をするだけしてみようと思いますが、でも、また、頻繁に犬化されても困りますし、難しいところです。
ジャスミンに荷解きをしてもらいながら考えていると、今度は旦那様が訪ねて来てくださいました。
「ジャスミン、君も疲れただろう。少しは休んだらどうだ? 荷解きは俺がやろう」
「荷解きは私がいたしますので、そのままにしておいて下さいませ。 では、お言葉に甘えて、少しの間、私は自分の部屋で休憩をとらせていただきますね」
旦那様とジャスミンは、犬化の話をして以来、二人の間に何か絆の様なものが生まれたかの様に仲良しになりました。
仲良くするのは良い事だと思いますが、少しだけ疎外感です。
でも、ジャスミンに休憩をとってもらう事は悪い事ではありませんし、笑顔で頷きます。
「長旅に付き合ってくれてありがとうございます。少しの時間ですが、ゆっくりしてくださいね」
「ありがとうございます。では、失礼させていただきます」
ジャスミンは満面の笑みを浮かべて、一礼してから部屋を出ていきました。
そんなに休憩が嬉しかったのですか。
となると、やはり、お休みをもっと増やしてあげないといけないのかもしれません。
「エレノア、どうかしたのか?」
「あ、いえ。ジャスミンの事を考えていまして…。旦那様も長旅、お疲れ様でした」
「いや。君はどうだった? 少しは楽しめたか?」
「はい。旦那様といっぱいもふもふできましたし、こうやって、お話できる様にもなりましたしね」
旦那様を立たせたまま、お話するわけにはいきませんので、ソファーに座ってもらうように促すと、旦那様は座ってから言います。
「犬になってばかりですまなかったな」
「いいえ。先程も言いましたが、私は犬の旦那様とゆっくり出来て楽しかったですから。それよりも旦那様はお仕事の方は大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。君が寝ている間にするから」
「えーと、それはどういう?」
意味がわからなくて聞き返すと、旦那様は笑顔で言います。
「ジャスミンが言うんだ。エレノアは人見知りだから、一緒に話す機会が多くなれば、どんどん態度が変わっていくと」
「旦那様とジャスミンはいつの間に、そんな話をしているのですか」
「ジャスミンはエレノアが寝た後に、今日の出来事を報告しに来てくれる様になったんだ」
「そんなの知りません! どうしてそんな事になっているんですか!?」
別に報告される事が嫌なわけではないのですが、そんな事実を知らなかった事に驚きなのと、それを教えてもらえていなかった事にショックを受けてしまいました。
「いや、俺が頼んだんだ。ジャスミンは悪くない。そんな事をされて嫌だったか?」
「内容にもよりますよ。どんなお話を聞いてるんですか。大体、旅行中はほとんど旦那様と一緒にいましたが?」
「仕事をしていて一緒にいれない時間があっただろう?」
「それはそうかもしれませんが…」
旦那様が笑顔で、自分の隣に座るように手で示されるので、断る理由もありませんし、隣りに座ってから尋ねます。
「もしかして、最近の旦那様は、私を監視していらっしゃいます?」
「どうして監視になるんだ?」
「では、ストーキング」
「言い方が悪い」
「結婚した当初は、私の事なんて気にする様子など一切なかったじゃないですか」
「人の心は変わると言うだろう?」
「では、そのうち旦那様は私の行動観察に飽きるという事でしょうか」
「それとこれとは別だ」
旦那様は私の肩に触れようとされましたが、ここ何日かで学習されたようで、焦った様子で手を引っ込めた後、言葉を続けます。
「結婚したのだから、責任は持たなければいけないだろう?」
「そんなに重く考えなくても大丈夫ですよ。旦那様は真面目な方なのですね」
「そんな事はない。当たり前の事だ。もちろん、犬化する事を知られる前は、距離を置こうと思っていたけれど、今は違う。それに自覚した今は、どうしたら君に気持ちが伝わるかを考えてばかりいる」
「何でしょう? お聞きしますよ? そういえば、人の時にお話したい事があると言われていましたよね?」
旦那様の方に身体を向けて、笑顔で旦那様を見上げると、なぜか旦那様は私から顔を背けます。
「なんといったらいいのか、その、自覚してしまうと、難しいものだな。簡単に言えるものだと思っていたのに」
「よくわかりませんが、今日はお話したくなさそうですし、話題を変えましょうか?」
「あ、ああ、かまわない」
なぜか旦那様が肩を落とされた気がしましたが、それには触れずに聞いてみます。
「ジャスミンがローラ様に目をつけられた様なのですが、何か考えられる理由はありますか?」
「…ジャスミンが?」
旦那様は怪訝な顔をした後、少し考えてから答えてくれます。
「特に思い当たるような報告はあがっていないが、調べさせようか?」
「ローラ様を刺激しない程度でお願いできますでしょうか」
「わかった」
「ありがとうございます、旦那様」
笑顔でお礼を言うと、旦那様がまた、顔を背けて言います。
「エレノアはその…、笑った方が良いと思う。もちろん、怒ったり不貞腐れた顔も、それはそれで良いのだが」
「旦那様…?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。心の準備が…」
「はい?」
私から近付く事は良いはずですので、身を乗り出して顔を覗き込んでみますと、旦那様は私を押し返そうとしたのか、またもや、私の腕に触れてしまいました。
ですので、言わずもがな、いつもの可愛らしい犬の姿になってしまわれます。
「ああ、この体が忌々しい! どうしてこんな事になるんだ!」
てしてしと前足の両方を上げて、ソファーを叩く旦那様が可愛くて見守っていると、旦那様がすりっと頭を私の顔に寄せてこられました。
「さっきのは君が悪い」
「近付いたからですか?」
「ああ、そうだな。悪くはないが、原因は君だ」
すりすりと私の顔に頭をまた当ててこられるので、頭が痛いのかなと思い、優しく、その部分に口付けると、旦那様が声にならない声を上げて後ろにひっくり返ってしまわれました。
どうやら、旦那様はスキンシップが苦手みたいです。
「旦那様、しっかりして下さい! さっきの様な事はもうしませんから!」
「それはそれで…困る…」
旦那様はまるで最後の力を振り絞るかのような弱々しい口調で、そう言われたのでした。
こんな風に、旦那様と私の生活はのんびり続いていくのかと思っていましたが、そう上手くはいかないと思わせられる出来事が次の日に起こる事になったのでした。
27
お気に入りに追加
2,396
あなたにおすすめの小説
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる