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お姉様とポッコエ様が出ていったあと、執事にラシルくんを預けて両親を談話室に呼んで、今回の件を説明した。
すると、お母様はすごい剣幕でまくし立てる。
「婚約破棄されたですって!? しかも、愛人の子供を押し付けられたなんて、あなたは本当に馬鹿な子ね! 何をどうしたらそんな生き方ができると言うの!?」
「まあ、いいだろう。新しい相手はジョセアンナだ。公爵家の金が入ってくることに変わりはない。私たちに損はないからな」
お父様が豪快に笑って言うと、お母様は目を吊り上げる。
「あなた! そんな風にミリアーナを甘やかしてはいけませんわ! 本当にこの子は変わり者なんですから! こんな子に育ったのはあなたのせいですわよ!」
「いや、お前のせいだろう! 私は子育てには関与していない!」
「それを言ったらわたくしもですわ! わたくしはノバルスしか可愛がっていません!」
仲良く喧嘩を始めた二人を冷めた目で見ていると、私の視線に気がついた二人は喧嘩をやめる。
お母様はため息を吐いて、話題を戻す。
「とにかく、あなたはもう役立たずだわ。家においていてもお金の無駄よ。18歳になるまでは面倒を見てあげるつもりだったけど、お金をあげるから出ていきなさい」
「そんな!」
まさか、お金をもらえるだなんて思ってもいなかった。
喜びを前面に出してしまうと、もらえなくなってしまう可能性もあるので、動揺した素振りを見せる。
「お母様たちに捨てられたら、私はどうすれば良いのですか!?」
「学園も卒業したのですから、独り立ちすべきです。少しのお金はあげますから、穢らわしい子供と二人で一緒に生きていきなさい」
「……わかりました」
俯いて必死に笑顔になりそうな顔を見せないように堪える。
予定よりも早いけれど、お金をもらえて出ていけるのは有り難いわ。
ラシルくんのこともあるから、喜ばしいことばかりではない。
でも、これでこの家から出ていくことができるのは助かるわ!
ありがとうございます!
「わかったのなら、早く出ていく準備をしなさい! 一晩くらいは待ってあげます! それから穢らわしい子供はあなたの部屋で眠らせなさい。いいですね!?」
「……承知いたしました」
悲しんでいるふりはできているかしら。
さっきから、穢らわしい子供とお母様が言い続けていることに腹が立ってきたから、もう談話室から出ないといけないわ。
ここで怒ってしまったら、もらえるお金がなくなってしまいますものね。
これからどうすれば良いのか不安はある。
でも、お金があれば多くのことは解決できるはずですからね。
ラシルくんのことは部屋に帰って、彼と一緒に考えることにしましょう。
子供が子供を育てるなんて難しいことだとはわかっている。
でも、放っておくわけにはいかないわ。
ポッコエ様に預けていたら、ラシルくんの身が危ないですもの。
談話室から出て執事の部屋に行くと、ラシルくんは私を見て駆け寄ってきた。
「よ、よかった、です」
「どうかしましたか?」
「お、おいていかれるんじゃないかって、思って」
「置いていったりなんてしませんよ。ところでラシルくんに聞きたいんですが、お母様と最後に会ったのはいつですか?」
預けていったあとに殺害されたと言っているから、怖い思いはしていないはず。
そう思って問いかけてみると、ラシルくんは体を震わせる。
「こ、こわ、こわい人がきたんです」
「怖い人?」
「は、はい」
「……えっと」
このまま聞いても良いものか迷ってしまう。
もしかして、吃音になっているのはストレスかもしれないものね。
お母様のことを忘れるのは無理でしょうけど、今は楽しいことを考えてもらうようにしたほうが良さそうです。
「嫌なことを思い出させてごめんなさいね」
「い、いいえ」
「私のことはミリアーナと呼んでください。お母様の代わりは無理ですが、あなたの姉として、これから仲良くしてもらえないでしょうか」
「は、はい! あの、お母さまは……、その、もう」
本当のことを口にしてしまって良いのかしら。
誰に相談したら良いのかわからないわ。
デファン公爵夫妻に相談したいところだけど、私はもう無関係なのよね。
「あの、そうですね。でも、先程も言いましたが、いつかは必ず会えますからね」
「は、はい。あ、あ、ありがとう、ございま、ます」
意味がわかったのか、ラシルくんは一瞬にして涙を目から溢れさせ、声を殺して泣き始めた。
こんな幼い子が声を上げずに泣くだなんて、一体、どんな状況下で暮らしてきたのかしら。
これから時間はありますものね!
ゆっくり知っていきましょう!
体を大きく震わせて涙を流すラシルくんが落ち着くまで待ってから声を掛ける。
「明日はこの家を出ないといけません。不安かもしれませんが、今日は体を洗って、ラシルくんの好きなものを食べましょうね」
「は、はい! あ、ありがとううっ、ござ、います」
平民のはずだけど、言葉遣いは丁寧だわ。
子供は苦手ですが、ラシルくんとは上手くやれそうです。
それから、ラシルくんはお菓子が食べたいと言うので、夕食後にデザートとお菓子を食べさせた。
体を洗い、ぎこちないながらもお話をして、一緒に眠ろうとした時だった。
お姉様がパーティーから帰ってきて私の部屋に突撃してきた。
「ちょっと、ミリアーナ! 明日にここを出ていくなんてどういうことなの!?」
私が決めたことではありませんよ。
「こ、こわ、こわいです」
「ここで待っていてくださいね」
隣で横になっているラシルくんの頭をなでてから、お姉様の相手をするために立ち上がった。
※
申し訳ございません!
最初、エリアーナとエシルにしてましたが、ややこしいのでミリアーナとラシルに変更しました。
ところが変更漏れしております。
誠に申し訳ございません。
何話と教えていただけますと有り難いです。
すると、お母様はすごい剣幕でまくし立てる。
「婚約破棄されたですって!? しかも、愛人の子供を押し付けられたなんて、あなたは本当に馬鹿な子ね! 何をどうしたらそんな生き方ができると言うの!?」
「まあ、いいだろう。新しい相手はジョセアンナだ。公爵家の金が入ってくることに変わりはない。私たちに損はないからな」
お父様が豪快に笑って言うと、お母様は目を吊り上げる。
「あなた! そんな風にミリアーナを甘やかしてはいけませんわ! 本当にこの子は変わり者なんですから! こんな子に育ったのはあなたのせいですわよ!」
「いや、お前のせいだろう! 私は子育てには関与していない!」
「それを言ったらわたくしもですわ! わたくしはノバルスしか可愛がっていません!」
仲良く喧嘩を始めた二人を冷めた目で見ていると、私の視線に気がついた二人は喧嘩をやめる。
お母様はため息を吐いて、話題を戻す。
「とにかく、あなたはもう役立たずだわ。家においていてもお金の無駄よ。18歳になるまでは面倒を見てあげるつもりだったけど、お金をあげるから出ていきなさい」
「そんな!」
まさか、お金をもらえるだなんて思ってもいなかった。
喜びを前面に出してしまうと、もらえなくなってしまう可能性もあるので、動揺した素振りを見せる。
「お母様たちに捨てられたら、私はどうすれば良いのですか!?」
「学園も卒業したのですから、独り立ちすべきです。少しのお金はあげますから、穢らわしい子供と二人で一緒に生きていきなさい」
「……わかりました」
俯いて必死に笑顔になりそうな顔を見せないように堪える。
予定よりも早いけれど、お金をもらえて出ていけるのは有り難いわ。
ラシルくんのこともあるから、喜ばしいことばかりではない。
でも、これでこの家から出ていくことができるのは助かるわ!
ありがとうございます!
「わかったのなら、早く出ていく準備をしなさい! 一晩くらいは待ってあげます! それから穢らわしい子供はあなたの部屋で眠らせなさい。いいですね!?」
「……承知いたしました」
悲しんでいるふりはできているかしら。
さっきから、穢らわしい子供とお母様が言い続けていることに腹が立ってきたから、もう談話室から出ないといけないわ。
ここで怒ってしまったら、もらえるお金がなくなってしまいますものね。
これからどうすれば良いのか不安はある。
でも、お金があれば多くのことは解決できるはずですからね。
ラシルくんのことは部屋に帰って、彼と一緒に考えることにしましょう。
子供が子供を育てるなんて難しいことだとはわかっている。
でも、放っておくわけにはいかないわ。
ポッコエ様に預けていたら、ラシルくんの身が危ないですもの。
談話室から出て執事の部屋に行くと、ラシルくんは私を見て駆け寄ってきた。
「よ、よかった、です」
「どうかしましたか?」
「お、おいていかれるんじゃないかって、思って」
「置いていったりなんてしませんよ。ところでラシルくんに聞きたいんですが、お母様と最後に会ったのはいつですか?」
預けていったあとに殺害されたと言っているから、怖い思いはしていないはず。
そう思って問いかけてみると、ラシルくんは体を震わせる。
「こ、こわ、こわい人がきたんです」
「怖い人?」
「は、はい」
「……えっと」
このまま聞いても良いものか迷ってしまう。
もしかして、吃音になっているのはストレスかもしれないものね。
お母様のことを忘れるのは無理でしょうけど、今は楽しいことを考えてもらうようにしたほうが良さそうです。
「嫌なことを思い出させてごめんなさいね」
「い、いいえ」
「私のことはミリアーナと呼んでください。お母様の代わりは無理ですが、あなたの姉として、これから仲良くしてもらえないでしょうか」
「は、はい! あの、お母さまは……、その、もう」
本当のことを口にしてしまって良いのかしら。
誰に相談したら良いのかわからないわ。
デファン公爵夫妻に相談したいところだけど、私はもう無関係なのよね。
「あの、そうですね。でも、先程も言いましたが、いつかは必ず会えますからね」
「は、はい。あ、あ、ありがとう、ございま、ます」
意味がわかったのか、ラシルくんは一瞬にして涙を目から溢れさせ、声を殺して泣き始めた。
こんな幼い子が声を上げずに泣くだなんて、一体、どんな状況下で暮らしてきたのかしら。
これから時間はありますものね!
ゆっくり知っていきましょう!
体を大きく震わせて涙を流すラシルくんが落ち着くまで待ってから声を掛ける。
「明日はこの家を出ないといけません。不安かもしれませんが、今日は体を洗って、ラシルくんの好きなものを食べましょうね」
「は、はい! あ、ありがとううっ、ござ、います」
平民のはずだけど、言葉遣いは丁寧だわ。
子供は苦手ですが、ラシルくんとは上手くやれそうです。
それから、ラシルくんはお菓子が食べたいと言うので、夕食後にデザートとお菓子を食べさせた。
体を洗い、ぎこちないながらもお話をして、一緒に眠ろうとした時だった。
お姉様がパーティーから帰ってきて私の部屋に突撃してきた。
「ちょっと、ミリアーナ! 明日にここを出ていくなんてどういうことなの!?」
私が決めたことではありませんよ。
「こ、こわ、こわいです」
「ここで待っていてくださいね」
隣で横になっているラシルくんの頭をなでてから、お姉様の相手をするために立ち上がった。
※
申し訳ございません!
最初、エリアーナとエシルにしてましたが、ややこしいのでミリアーナとラシルに変更しました。
ところが変更漏れしております。
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