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23 元親友の終わりの始まり ①
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王都からトイズ辺境伯家に戻ってから、10日程は特に予定もなく、キリュウ様の周りには不穏な動きもなかったため、仕事をしながら平穏な日々を過ごしていました。
その間に、わたしの元にはレディシト様からの手紙が何通も届いた。
わたしはもう、キリュウ様の婚約者であることや、レディシト様への愛情は残っていないことを手紙で伝えても、会って話がしたいと返事が来るだけでした。
会って話をすれば諦めてくれるのかと聞いても、会ってからでないとわからないという曖昧な返答なので、キリュウ様からは、レディシト様と会っても良いというお許しは出ませんでした。
逆上したレディシト様がわたしを傷つける可能性もあるので、キリュウ様が慎重になる気持ちは理解できます。
でも、このままでは状況が少しも改善しません。
キリュウ様に何かあれば、わたしはここにいられなくなります。
レディシト様はそれを狙っているのかもしれませんが、わたしがここにいられなくなっても、レディシト様の元には戻りませんし、彼への恨みという暗い感情が湧きあがってしまうでしょう。
今のわたしの中では、レディシト様よりもキリュウ様の存在のほうが大きいです。
このことを伝えたら、レディシト様はどう思うのでしょうか。
キリュウ様の執務室で書類整理をしていたのですが、手が止まっていたからか、キリュウ様に声をかけられる。
「……どうかしたのか?」
「仕事中に申し訳ございません。あの、レディシト様はどうして、わたしにこだわるようになったのかがわからなくて」
「ドイシン病から治ったのは、アーシャのおかげだと思ったんじゃないか?」
「どうして、そう思ったのかはわかりませんが、結局、それって、わたしのことを好きなわけではないですよね」
「そうだな。結局は自分のことしか考えてない」
「自分のことだけしか考えていないなんて、領民が可哀想です」
俯いて言うと、キリュウ様は仕事の手を止めて立ち上がると、わたしに近づいてきて肩に手を置いた。
「アーシャは俺と結婚してくれるんだろ?」
「……はい」
「なら、もし、俺に何かあったとしても、俺のことを気にするくらいなら、領民のことを考えてくれ。」
「……妻になったら、絶対に考えないといけないことですものね」
今のわたしは、違う領の人たちを心配している場合ではありません。
キリュウ様の心配をすることは悪いことではないですが、そのせいで仕事の手を止めなくても良いと言いたいのだと理解しました。
「もうすぐ、出席しなければならないお茶会もありますから、仕事が滞らないように頑張ります!」
高位貴族の夫人や婚約者が集まって情報交換をするという大規模な茶会が、王妃陛下主催で行われるので、そこに参加することになっています。
「言い忘れていたが、心配だし、俺も王都には一緒に行くよ」
「お気持ちは有り難いのですが、お仕事がありますし、無理はなさらないでください」
「それくらいなんとかなる。それにアーシャの姿が見えないと気になって仕事ができない」
「……ありがとうございます」
照れるところではないのかもしれませんが、恥ずかしくなって言うと、キリュウ様は「礼を言われることじゃない」と言って、また仕事を再開する。
そんなキリュウ様の耳が赤くなっているのを見て、じんわりと胸が熱くなるのを感じたのでした。
******
それから5日後、わたしたちはまた王都に向かうことになりました。
その間に、セイブル伯爵家にレディシト様の両親が接触するなど、色々とあったようですが、今のところ、キリュウ様の身に危険が迫るようなことはありませんでした。
ですから、わたしは少しだけ、緊張感が緩んでいたのです。
柔らかい日差しが降り注ぐティータイムに、王都にあるカフェの2階にあるバルコニー席で、のんびりお茶をしていた時のことでした。
向かい側に座るキリュウ様の後ろに立っている、クマゴリラ様がぼそりと呟きます。
「エルザと城下をまわれたら幸せなんだがな」
「クマゴリラさま、そんなにエルザに好かれたいのであれば、彼女好みの男性になってみれば良いのではないでしょうか」
「エルザは好みを教えてくれないんだ」
エルザは長旅で疲れているようですので、宿屋で休ませています。
ですから、話しても良いか確認することはできません。
ただ、これは話しても良いかと思われるものだけ伝えます。
「ヒゲが似合う男性なら良いけれど、似合わないと言っても直さない男性はタイプではないとのことです」
「お、俺からヒゲを取るって言うのかよ!?」
「愛を取るか、ヒゲを取るか、ですね」
「そ、そりゃあ、ヒゲはまた生えるし、取るなら愛だけどよ」
クマゴリラさまは、王都に来るからと綺麗に整えたヒゲを触りながら、少しだけ、迷っている感じです。
わたしの立場に置き換えると、長い髪をショートにしろと言われているようなものなのでしょうか。
最終的には切るとしても、躊躇してしまう気持ちはわかります。
「絶対にエルザが振り向くとは限らないから、迷う気持ちはわからんでもない」
「エルザが俺の気持ちに応えてくれるなら、絶対に剃るんだが」
「ということは、それくらいの気持ちということですね?」
キリュウ様に同意したクマゴリラさまに尋ねると、不機嫌そうに眉根を寄せる。
「そういう意味じゃない」
「おい、クマゴリラ、アーシャには敬語を使えと言ってるだろ」
「失礼しました」
婚約が決まってからは、クマゴリラさまのわたしへの対応の仕方が少しだけ変わった。
でも、しおらしいクマゴリラさまは、わたしの中では、なんだか違うのですよね。
「屋敷の中では今まで通りでかまいません。外では気をつけてくださいね」
そう言った時、そろそろクマゴリラさまの名前を教えてもらえるかもしれないという気になりました。
その話をしてみようと思った時、隣のテーブルで仕事をしていたキリュウ様が声を上げる。
「くそ。インクが切れた。予備が部屋にあるから取りに行ってくる」
「取ってきましょうか」
近くにいた護衛が尋ねると、キリュウ様は首を横に振る。
「他に必要な書類もあるから、自分で行く。アーシャ、すぐに戻るから、好きなものでも食べて待っててくれ」
「もう、宿に戻りましょうか?」
「いや。宿にこもって仕事をするのは、アーシャが茶会に出てる時でもできるからな」
そう言って、キリュウ様はクマゴリラさまと二人の護衛を連れてバルコニーから出ていった。
店の前の大通りは人の通行料が多く、流れに逆らえば、大人でもはぐれてしまいそうなくらいの人の多さです。
残ってくれた護衛たちと一緒に、バルコニーからキリュウ様たちを見守っていると、不審な動きをしている人を見つけました。
まるで、何かの目的があるかのように人をかき分けて、キリュウ様の方向に向かっていく人物です。
「クマゴリラさま! 2時の方向、黒のハンチング帽です!」
嫌な予感がして叫ぶと、周りにいた人は何事かと驚いた顔をして立ち止まり、「クマ!?」「ゴリラ!?」とパニックとまではいかずとも、混乱した様子です。
でも、キリュウ様やクマゴリラさま本人、他の護衛騎士が惑わされるはずもありません。
ハンチング帽の男性も一瞬、戸惑った様子でしたが、自分のことを言われていることに気づいて逃げようとする。
でも、人が多くて簡単には逃げられません。
そうしている内にクマゴリラさまが、人を強引にかきわけて、キリュウ様を狙っていたと思われる男性を捕まえたのでした。
その間に、わたしの元にはレディシト様からの手紙が何通も届いた。
わたしはもう、キリュウ様の婚約者であることや、レディシト様への愛情は残っていないことを手紙で伝えても、会って話がしたいと返事が来るだけでした。
会って話をすれば諦めてくれるのかと聞いても、会ってからでないとわからないという曖昧な返答なので、キリュウ様からは、レディシト様と会っても良いというお許しは出ませんでした。
逆上したレディシト様がわたしを傷つける可能性もあるので、キリュウ様が慎重になる気持ちは理解できます。
でも、このままでは状況が少しも改善しません。
キリュウ様に何かあれば、わたしはここにいられなくなります。
レディシト様はそれを狙っているのかもしれませんが、わたしがここにいられなくなっても、レディシト様の元には戻りませんし、彼への恨みという暗い感情が湧きあがってしまうでしょう。
今のわたしの中では、レディシト様よりもキリュウ様の存在のほうが大きいです。
このことを伝えたら、レディシト様はどう思うのでしょうか。
キリュウ様の執務室で書類整理をしていたのですが、手が止まっていたからか、キリュウ様に声をかけられる。
「……どうかしたのか?」
「仕事中に申し訳ございません。あの、レディシト様はどうして、わたしにこだわるようになったのかがわからなくて」
「ドイシン病から治ったのは、アーシャのおかげだと思ったんじゃないか?」
「どうして、そう思ったのかはわかりませんが、結局、それって、わたしのことを好きなわけではないですよね」
「そうだな。結局は自分のことしか考えてない」
「自分のことだけしか考えていないなんて、領民が可哀想です」
俯いて言うと、キリュウ様は仕事の手を止めて立ち上がると、わたしに近づいてきて肩に手を置いた。
「アーシャは俺と結婚してくれるんだろ?」
「……はい」
「なら、もし、俺に何かあったとしても、俺のことを気にするくらいなら、領民のことを考えてくれ。」
「……妻になったら、絶対に考えないといけないことですものね」
今のわたしは、違う領の人たちを心配している場合ではありません。
キリュウ様の心配をすることは悪いことではないですが、そのせいで仕事の手を止めなくても良いと言いたいのだと理解しました。
「もうすぐ、出席しなければならないお茶会もありますから、仕事が滞らないように頑張ります!」
高位貴族の夫人や婚約者が集まって情報交換をするという大規模な茶会が、王妃陛下主催で行われるので、そこに参加することになっています。
「言い忘れていたが、心配だし、俺も王都には一緒に行くよ」
「お気持ちは有り難いのですが、お仕事がありますし、無理はなさらないでください」
「それくらいなんとかなる。それにアーシャの姿が見えないと気になって仕事ができない」
「……ありがとうございます」
照れるところではないのかもしれませんが、恥ずかしくなって言うと、キリュウ様は「礼を言われることじゃない」と言って、また仕事を再開する。
そんなキリュウ様の耳が赤くなっているのを見て、じんわりと胸が熱くなるのを感じたのでした。
******
それから5日後、わたしたちはまた王都に向かうことになりました。
その間に、セイブル伯爵家にレディシト様の両親が接触するなど、色々とあったようですが、今のところ、キリュウ様の身に危険が迫るようなことはありませんでした。
ですから、わたしは少しだけ、緊張感が緩んでいたのです。
柔らかい日差しが降り注ぐティータイムに、王都にあるカフェの2階にあるバルコニー席で、のんびりお茶をしていた時のことでした。
向かい側に座るキリュウ様の後ろに立っている、クマゴリラ様がぼそりと呟きます。
「エルザと城下をまわれたら幸せなんだがな」
「クマゴリラさま、そんなにエルザに好かれたいのであれば、彼女好みの男性になってみれば良いのではないでしょうか」
「エルザは好みを教えてくれないんだ」
エルザは長旅で疲れているようですので、宿屋で休ませています。
ですから、話しても良いか確認することはできません。
ただ、これは話しても良いかと思われるものだけ伝えます。
「ヒゲが似合う男性なら良いけれど、似合わないと言っても直さない男性はタイプではないとのことです」
「お、俺からヒゲを取るって言うのかよ!?」
「愛を取るか、ヒゲを取るか、ですね」
「そ、そりゃあ、ヒゲはまた生えるし、取るなら愛だけどよ」
クマゴリラさまは、王都に来るからと綺麗に整えたヒゲを触りながら、少しだけ、迷っている感じです。
わたしの立場に置き換えると、長い髪をショートにしろと言われているようなものなのでしょうか。
最終的には切るとしても、躊躇してしまう気持ちはわかります。
「絶対にエルザが振り向くとは限らないから、迷う気持ちはわからんでもない」
「エルザが俺の気持ちに応えてくれるなら、絶対に剃るんだが」
「ということは、それくらいの気持ちということですね?」
キリュウ様に同意したクマゴリラさまに尋ねると、不機嫌そうに眉根を寄せる。
「そういう意味じゃない」
「おい、クマゴリラ、アーシャには敬語を使えと言ってるだろ」
「失礼しました」
婚約が決まってからは、クマゴリラさまのわたしへの対応の仕方が少しだけ変わった。
でも、しおらしいクマゴリラさまは、わたしの中では、なんだか違うのですよね。
「屋敷の中では今まで通りでかまいません。外では気をつけてくださいね」
そう言った時、そろそろクマゴリラさまの名前を教えてもらえるかもしれないという気になりました。
その話をしてみようと思った時、隣のテーブルで仕事をしていたキリュウ様が声を上げる。
「くそ。インクが切れた。予備が部屋にあるから取りに行ってくる」
「取ってきましょうか」
近くにいた護衛が尋ねると、キリュウ様は首を横に振る。
「他に必要な書類もあるから、自分で行く。アーシャ、すぐに戻るから、好きなものでも食べて待っててくれ」
「もう、宿に戻りましょうか?」
「いや。宿にこもって仕事をするのは、アーシャが茶会に出てる時でもできるからな」
そう言って、キリュウ様はクマゴリラさまと二人の護衛を連れてバルコニーから出ていった。
店の前の大通りは人の通行料が多く、流れに逆らえば、大人でもはぐれてしまいそうなくらいの人の多さです。
残ってくれた護衛たちと一緒に、バルコニーからキリュウ様たちを見守っていると、不審な動きをしている人を見つけました。
まるで、何かの目的があるかのように人をかき分けて、キリュウ様の方向に向かっていく人物です。
「クマゴリラさま! 2時の方向、黒のハンチング帽です!」
嫌な予感がして叫ぶと、周りにいた人は何事かと驚いた顔をして立ち止まり、「クマ!?」「ゴリラ!?」とパニックとまではいかずとも、混乱した様子です。
でも、キリュウ様やクマゴリラさま本人、他の護衛騎士が惑わされるはずもありません。
ハンチング帽の男性も一瞬、戸惑った様子でしたが、自分のことを言われていることに気づいて逃げようとする。
でも、人が多くて簡単には逃げられません。
そうしている内にクマゴリラさまが、人を強引にかきわけて、キリュウ様を狙っていたと思われる男性を捕まえたのでした。
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