1 / 30
1 親友の嘘
しおりを挟む
レセトアン伯爵家の長女として生まれた、わたし、アーシャは17歳の時に、リブトラル伯爵家の嫡男、レディシト様の元に嫁いだ。
結婚前に恋人のような甘い時間を過ごしたわけではなかったけれど、わたしより2つ年上のレディシト様はとても優しくて、わたしのことをとても大事にしてくれた。
わたしたちの住んでいる国、フォトシャー王国は結婚していても、18歳になるまでは体の関係が認められていないため、わたしは清い体のままだった。
そして、時は過ぎ、あと数日で18歳になるという頃、突然、レディシト様が流行り病にかかってしまう。
彼がかかった病気は、ドイシン病と呼ばれていて、風邪に似た症状がどんどん悪化していき、最終的には死に至るという恐ろしいものでした。
しかも、発症する原因が不明で、防ぎようのない病気だった。
ドイシン病はルーナオという薬草があれば治るものです。
でも、ルーナオは神様の使いが住むと言い伝えられている、神聖な森の中にしか生えておらず、見つけることが難しいと言われていました。
放っておけば、20日も持つかわからないとお医者様に言われたわたしは、ルーナオを採りに行くことに決めた。
「待っていてくださいね、レディシト様」
呼吸することも苦しそうで、ほとんど意識のないレディシト様のやせ細った手を握ると、ぼんやりとした表情で、レディシト様は緑色の瞳をわたしに向けた。
きっと、誰が話しかけているのかわからないくらいに辛いのでしょうね。
レディシト様の手を離し、自分の部屋に戻ると背中におろしていたダークブラウンの髪をシニヨンにしてもらい、気合いを入れる。
それを見ていた、侍女のメイナーが声をかけてきた。
「アーシャ、私も一緒に行くわ」
「でも、神聖な森に辿り着くまでもそうですが、辿り着いてから見つけるまでが大変だと聞いています。メイナーに面倒をかけたくありませんから、あなたは待っていてください」
「あなた一人じゃ心配だから、一緒に行くわよ」
メイナーはわたしの学生時代からの親友です。
成績優秀で美人のため、学生時代は男子生徒からとても人気があり、金色の腰まであるストレートの髪に水色の瞳は涼やかで、一部の女子生徒の憧れの存在でもあった。
わたしはマイペースな人間のため、気が強い女子生徒から嫌われていた。
陰険ないじめに遭い、心がくじけそうだった。
そんなわたしを助けてくれたのがメイナーで、初めての友達になってくれた彼女には本当に感謝しています。
メイナーは薬草の調合師でもあるから、薬草のことはわたしよりも詳しい。
そんなメイナーが付いてきてくれることは、とても心強いことでした。
神聖な森にたどり着くまでは、馬車で2日かかった。
そして、ここからが本番でした。
ルーナオを、すぐに見つけたという人もいれば、何日かかっても見つけられなかったという人もいる。
中には、森にいた動物に襲われた人もいると聞いた。
「虫や獣がいるかもしれないから、私はここで待っているわね」
メイナーは馬車から降りることもなく手を振って、わたしを見送る。
これからが大変なんだけど、メイナーにはわざわざ来てもらったんですから、文句は言えないですよね。
自分の夫のためですもの。
一人で頑張らなくては!
中々、見つからないだろうと覚悟して、ドレスではなく貴族の女性が着るには珍しいパンツ姿にヒールのない靴で挑んだにもかかわらず、森に入った瞬間、ピンク色の毛を持つうさぎがルーナオらしき緑色の草をくわえて近寄ってきた。
『あげる』
頭の中で幼い子供のような声が響く。
「……ありがとうございます」
きっと、このうさぎさんが神様の使いなんですね!
そう思ってルーナオを受け取ると、また、頭の中で声が聞こえた。
『情状酌量の余地のない悪いことをすれば、ルーナオを見つけることはできないよ』
わたしに話しかけてくれているのだとわかり、うさぎさんを見つめて答える。
「悪いことをするつもりはございません。ただ、旦那様を助けたいだけです」
『そうだよね。君はそうだと思う。でもね、皆がみんな、そうじゃないんだよ。だから、さっき言ったことを、皆に伝えてね』
「承知いたしました」
頷くと、うさぎはぴょんぴょんと軽快に飛び跳ねながら、茂みに入っていった。
可愛らしいうさぎさんでした。
ほっこりした気分で手にしたルーナオを見つめる。
実物を見たことはないけれど、本に載っていた見た目とそっくりです。
神様の使いが渡してくれたのですから、これはルーナオに間違いありません!
これで、レディシト様を助けられます!
明るい気持ちで薬草を持って馬車に戻ると、メイナーは目を丸くした。
「どうしたの? もう諦めたの?」
「違います! 見つかったんです! 神様の使いのうさぎさんがルーナオをくれたんです!」
その後にうさぎの言葉をメイナーに伝えると、彼女は眉をひそめる。
「神様の使いなんているわけないでしょう。幻覚でも見たんじゃないの?」
「本当なんです。幻覚なんかじゃありません!」
「信じられないわ。帰って来るのが早すぎるもの。ルーナオじゃないかもしれないから、私に見せてちょうだい」
何の疑いもなく、素直に薬草を渡すと、念入りに確認したあと、メイナーは微笑む。
「間違いないわ。あとは、飲みやすいように粉末状にするだけよ。調合師の私に任せてちょうだい」
「ありがとうございます」
その後、わたしはうさぎの言葉を一緒に付いてきてくれた人にも伝えた。
この時のわたしは、神様の忠告は誰か個人に向けられたものではないと思っていました。
でも、実際は違っていたんです。
うさぎさんはメイナーや一緒に付いてきてくれていた兵士や御者、そして、屋敷の人間に向けて忠告してくれていたんです。
そのことがわかるのは、家に戻った次の日の朝のことでした。
*****
屋敷に戻ってきた日の晩は疲れがたまっていたことや、メイナーからよく眠れる薬を処方してもらったこともあり、強い眠気に襲われた。
レディシト様の看病をすることもできず、気が付くと、自分の部屋で寝てしまっていた。
しかも、メイドに揺り起こされて、やっと目覚めることができたくらいに眠っていたのだから驚きでした。
時刻は昼前になっていて、急いで、レディシト様の元に向かうと、上半身を起こした状態で、レディシト様はメイナーと話をしていた。
ダークブルーの短髪の髪は寝癖がついたままだけど、顔色はとても良さそうです。
わたしはベッドに駆け寄って感動する。
「レディシト様! 楽になったのですね! 本当に良かったです!」
「ありがとう。君には色々と迷惑をかけたね」
「いいえ! 迷惑だなんて思ったことはありません! それよりもレディシト様が元気になったのであれば、本当に嬉しいです!」
「ああ。薬草を採りに行ってくれた、メイナーのおかげだよ。彼女は昨日も一晩中付いていてくれたんだ」
「……メイナーが採りに行ったというよりかは、付いてきてくれたというほうが正しいのですが……」
戸惑っていると、不機嫌そうに眉根を寄せて、レディシト様は信じられないことを口にする。
「聞いたよ。君はメイナーからルーナオを奪ったんだろう」
「……奪った?」
……どうして、そんなことを言うのでしょうか。
困惑してしまったわたしは、レディシト様の隣に立つメイナーに目を向ける。
すると、メイナーは目に涙を浮かべて呟く。
「親友だと思っていたのに……」
「そ、それはこっちのセリフです。どうして、メイナーが採ってきただなんて嘘をつくのですか!? あなたは馬車の中で待っていただけじゃないですか!」
「……アーシャ! もう、嘘を重ねるのはやめて!」
メイナーは顔を両手で覆うと、声を上げて泣き始めた。
信じられません!
「御者や護衛に証言をしてもらいます!」
慌てて部屋を出ていこうとすると、レディシト様に呼び止められる。
「アーシャ、もう、確認はしているよ。みんな、メイナーが採ってきたのに、君から自分が採ってきたと言えと言われたそうだ」
「う、嘘です!」
「嘘じゃない」
レディシト様はそう否定すると、護衛たちが『薬草を採ってきたのはメイナー様です』と口を揃えて言ったのだと教えてくれた。
……そんな、一体、わたしが眠っている間に何があったというんですか!?
※
世界観もそうですが、病気や薬草の名前は実在しません。
ルーナオ→治る
ドイシン病→しんどい(私の地元では辛い的な意味合い。京都弁は意味が違うと身内から言われております)
結婚前に恋人のような甘い時間を過ごしたわけではなかったけれど、わたしより2つ年上のレディシト様はとても優しくて、わたしのことをとても大事にしてくれた。
わたしたちの住んでいる国、フォトシャー王国は結婚していても、18歳になるまでは体の関係が認められていないため、わたしは清い体のままだった。
そして、時は過ぎ、あと数日で18歳になるという頃、突然、レディシト様が流行り病にかかってしまう。
彼がかかった病気は、ドイシン病と呼ばれていて、風邪に似た症状がどんどん悪化していき、最終的には死に至るという恐ろしいものでした。
しかも、発症する原因が不明で、防ぎようのない病気だった。
ドイシン病はルーナオという薬草があれば治るものです。
でも、ルーナオは神様の使いが住むと言い伝えられている、神聖な森の中にしか生えておらず、見つけることが難しいと言われていました。
放っておけば、20日も持つかわからないとお医者様に言われたわたしは、ルーナオを採りに行くことに決めた。
「待っていてくださいね、レディシト様」
呼吸することも苦しそうで、ほとんど意識のないレディシト様のやせ細った手を握ると、ぼんやりとした表情で、レディシト様は緑色の瞳をわたしに向けた。
きっと、誰が話しかけているのかわからないくらいに辛いのでしょうね。
レディシト様の手を離し、自分の部屋に戻ると背中におろしていたダークブラウンの髪をシニヨンにしてもらい、気合いを入れる。
それを見ていた、侍女のメイナーが声をかけてきた。
「アーシャ、私も一緒に行くわ」
「でも、神聖な森に辿り着くまでもそうですが、辿り着いてから見つけるまでが大変だと聞いています。メイナーに面倒をかけたくありませんから、あなたは待っていてください」
「あなた一人じゃ心配だから、一緒に行くわよ」
メイナーはわたしの学生時代からの親友です。
成績優秀で美人のため、学生時代は男子生徒からとても人気があり、金色の腰まであるストレートの髪に水色の瞳は涼やかで、一部の女子生徒の憧れの存在でもあった。
わたしはマイペースな人間のため、気が強い女子生徒から嫌われていた。
陰険ないじめに遭い、心がくじけそうだった。
そんなわたしを助けてくれたのがメイナーで、初めての友達になってくれた彼女には本当に感謝しています。
メイナーは薬草の調合師でもあるから、薬草のことはわたしよりも詳しい。
そんなメイナーが付いてきてくれることは、とても心強いことでした。
神聖な森にたどり着くまでは、馬車で2日かかった。
そして、ここからが本番でした。
ルーナオを、すぐに見つけたという人もいれば、何日かかっても見つけられなかったという人もいる。
中には、森にいた動物に襲われた人もいると聞いた。
「虫や獣がいるかもしれないから、私はここで待っているわね」
メイナーは馬車から降りることもなく手を振って、わたしを見送る。
これからが大変なんだけど、メイナーにはわざわざ来てもらったんですから、文句は言えないですよね。
自分の夫のためですもの。
一人で頑張らなくては!
中々、見つからないだろうと覚悟して、ドレスではなく貴族の女性が着るには珍しいパンツ姿にヒールのない靴で挑んだにもかかわらず、森に入った瞬間、ピンク色の毛を持つうさぎがルーナオらしき緑色の草をくわえて近寄ってきた。
『あげる』
頭の中で幼い子供のような声が響く。
「……ありがとうございます」
きっと、このうさぎさんが神様の使いなんですね!
そう思ってルーナオを受け取ると、また、頭の中で声が聞こえた。
『情状酌量の余地のない悪いことをすれば、ルーナオを見つけることはできないよ』
わたしに話しかけてくれているのだとわかり、うさぎさんを見つめて答える。
「悪いことをするつもりはございません。ただ、旦那様を助けたいだけです」
『そうだよね。君はそうだと思う。でもね、皆がみんな、そうじゃないんだよ。だから、さっき言ったことを、皆に伝えてね』
「承知いたしました」
頷くと、うさぎはぴょんぴょんと軽快に飛び跳ねながら、茂みに入っていった。
可愛らしいうさぎさんでした。
ほっこりした気分で手にしたルーナオを見つめる。
実物を見たことはないけれど、本に載っていた見た目とそっくりです。
神様の使いが渡してくれたのですから、これはルーナオに間違いありません!
これで、レディシト様を助けられます!
明るい気持ちで薬草を持って馬車に戻ると、メイナーは目を丸くした。
「どうしたの? もう諦めたの?」
「違います! 見つかったんです! 神様の使いのうさぎさんがルーナオをくれたんです!」
その後にうさぎの言葉をメイナーに伝えると、彼女は眉をひそめる。
「神様の使いなんているわけないでしょう。幻覚でも見たんじゃないの?」
「本当なんです。幻覚なんかじゃありません!」
「信じられないわ。帰って来るのが早すぎるもの。ルーナオじゃないかもしれないから、私に見せてちょうだい」
何の疑いもなく、素直に薬草を渡すと、念入りに確認したあと、メイナーは微笑む。
「間違いないわ。あとは、飲みやすいように粉末状にするだけよ。調合師の私に任せてちょうだい」
「ありがとうございます」
その後、わたしはうさぎの言葉を一緒に付いてきてくれた人にも伝えた。
この時のわたしは、神様の忠告は誰か個人に向けられたものではないと思っていました。
でも、実際は違っていたんです。
うさぎさんはメイナーや一緒に付いてきてくれていた兵士や御者、そして、屋敷の人間に向けて忠告してくれていたんです。
そのことがわかるのは、家に戻った次の日の朝のことでした。
*****
屋敷に戻ってきた日の晩は疲れがたまっていたことや、メイナーからよく眠れる薬を処方してもらったこともあり、強い眠気に襲われた。
レディシト様の看病をすることもできず、気が付くと、自分の部屋で寝てしまっていた。
しかも、メイドに揺り起こされて、やっと目覚めることができたくらいに眠っていたのだから驚きでした。
時刻は昼前になっていて、急いで、レディシト様の元に向かうと、上半身を起こした状態で、レディシト様はメイナーと話をしていた。
ダークブルーの短髪の髪は寝癖がついたままだけど、顔色はとても良さそうです。
わたしはベッドに駆け寄って感動する。
「レディシト様! 楽になったのですね! 本当に良かったです!」
「ありがとう。君には色々と迷惑をかけたね」
「いいえ! 迷惑だなんて思ったことはありません! それよりもレディシト様が元気になったのであれば、本当に嬉しいです!」
「ああ。薬草を採りに行ってくれた、メイナーのおかげだよ。彼女は昨日も一晩中付いていてくれたんだ」
「……メイナーが採りに行ったというよりかは、付いてきてくれたというほうが正しいのですが……」
戸惑っていると、不機嫌そうに眉根を寄せて、レディシト様は信じられないことを口にする。
「聞いたよ。君はメイナーからルーナオを奪ったんだろう」
「……奪った?」
……どうして、そんなことを言うのでしょうか。
困惑してしまったわたしは、レディシト様の隣に立つメイナーに目を向ける。
すると、メイナーは目に涙を浮かべて呟く。
「親友だと思っていたのに……」
「そ、それはこっちのセリフです。どうして、メイナーが採ってきただなんて嘘をつくのですか!? あなたは馬車の中で待っていただけじゃないですか!」
「……アーシャ! もう、嘘を重ねるのはやめて!」
メイナーは顔を両手で覆うと、声を上げて泣き始めた。
信じられません!
「御者や護衛に証言をしてもらいます!」
慌てて部屋を出ていこうとすると、レディシト様に呼び止められる。
「アーシャ、もう、確認はしているよ。みんな、メイナーが採ってきたのに、君から自分が採ってきたと言えと言われたそうだ」
「う、嘘です!」
「嘘じゃない」
レディシト様はそう否定すると、護衛たちが『薬草を採ってきたのはメイナー様です』と口を揃えて言ったのだと教えてくれた。
……そんな、一体、わたしが眠っている間に何があったというんですか!?
※
世界観もそうですが、病気や薬草の名前は実在しません。
ルーナオ→治る
ドイシン病→しんどい(私の地元では辛い的な意味合い。京都弁は意味が違うと身内から言われております)
1,287
お気に入りに追加
3,534
あなたにおすすめの小説
【完結】内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜
たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜
たろ
恋愛
この話は
『内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』
の続編です。
アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。
そして、アイシャを産んだ。
父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。
ただアイシャには昔の記憶がない。
だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。
アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。
親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。
アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに……
明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。
アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰?
◆ ◆ ◆
今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。
無理!またなんで!
と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。
もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。
多分かなりイライラします。
すみません、よろしくお願いします
★内緒で死ぬことにした の最終話
キリアン君15歳から14歳
アイシャ11歳から10歳
に変更しました。
申し訳ありません。
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
次は絶対に幸せになって見せます!
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢マリアは、熾烈な王妃争いを勝ち抜き、大好きな王太子、ヒューゴと結婚したものの、結婚後6年間、一度も会いに来てはくれなかった。孤独に胸が張り裂けそうになるマリア。
“もしもう一度人生をやり直すことが出来たら、今度は私だけを愛してくれる人と結ばれたい…”
そう願いながら眠りについたのだった。
翌日、目が覚めると懐かしい侯爵家の自分の部屋が目に飛び込んできた。どうやら14歳のデビュータントの日に戻った様だ。
もう二度とあんな孤独で寂しい思いをしない様に、絶対にヒューゴ様には近づかない。そして、素敵な殿方を見つけて、今度こそ幸せになる!
そう決意したマリアだったが、なぜかヒューゴに気に入られてしまい…
恋愛に不器用な男女のすれ違い?ラブストーリーです。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる