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ifストーリー(クズーズの王位継承権が剥奪された場合)
第36話 エイナの愚行
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「私が不細工…?」
エイナの声が震えているのがわかった。
今までそんな事を言われた事がなかったからか、たとえ性格と言われていてもブスだとか不細工だとかいう言葉を自分に言われた事がどうしても許せないみたい。
子供じみた言葉だから、あまり言いたくなかったけれど、エイナにはこれくらい低俗な事を言わなきゃ駄目なんだわ。
そう思ってしまうくらいにエイナの心には響いているようだった。
「ええ。エイナ様の事は天使のようだという噂を聞いておりましたが見た目だけでしたわね。ところでセルディス殿下、あなたはエリナ様とエイナ様、どちらが美しいと思います?」
「私はシシリーが一番だよ」
突然、話題をふられたセルディス殿下はにこりと微笑んでから答えた。
「嬉しいお言葉をありがとうございます。ですが、私を選択肢に入れないで下さいませ。エリナ様とエイナ様ならとお聞きしましたの」
「そりゃあ、総合的に見たらエリナ嬢だろう。エイナ嬢には失礼な事を言ってしまって申し訳ない。だけど私の好みではないだけで、君の方が良いと言う男性は多くいるだろう。ただ、その人達は見る目のない男だろうけどね」
セルディス殿下はそれはもう爽やかな笑顔でエイナに言った。
「わ、私がエリナよりも負けてるって言うんですか…?」
「と思いますわよ? もちろん、セルディス殿下の仰る通り、あなたの方が良いという方もいらっしゃるでしょうけれど、この場にいる、あなたのご両親以外の方達はあなたよりもエリナ様を選ぶのでは…?」
お父様もお母様も含めてと言ってしまうと、さすがのエイナも辛いだろうと配慮して除外してくださったのだとわかった。
エイナは私はともかく、お父様とお母様は自分を見捨てないと思ってるでしょうしね。
「そんな…! そんなの勝手な想像だわ!」
「少なくとも、セルディス殿下はあなたの事には興味などありませんから、無駄な事はしない方がよろしくてよ? はっきり言わないとわかっていただけないようですから、本来ならこんな事は言いたくないのですが言わせていただきます。あなたは私に負けたんです。何より、セルディス殿下はあなたを選ぶほど趣味は悪くありませんわよ? それに、婚約者がいるのに他の女性に目を奪われたりする方でもございませんわ」
「私はシシリー以外の婚約者は認めないけどね」
「困った方ですわね」
そう言って、シシリー様がセルディス殿下を見上げて微笑むと、ミシャ様がセルディス殿下の手をはなし、私とアレク殿下の所にやって来て言う。
「2人はいっつもあんな感じなの。わたしがいるって事をすぐに忘れちゃうんだから…」
「忘れてなんかないよ、ミシャ!」
「そうですわ、ミシャ様! 忘れてなんていません!」
慌てる2人を見てミシャ様が微笑んだところで、パーティーの開始時刻になったのか、国王陛下と王妃陛下が現れたため、話はそこでお開きとなった。
エイナは悔しそうな顔をしてシシリー様を睨んでいたけれど、お父様とお母様に窘められて、何も言い返す事もなく今回は引き下がった。
けれど、パーティーは始まったばかり。
エイナが何かしでかすのではないかとヒヤヒヤしていた。
パーティーが始まってからは、アレク殿下や、セルディス殿下、シシリー様、ミシャ様は他の人と話をする事で忙しそうだし、お父様とお母様は陛下に呼ばれて、今はここにはいない。
なので、私は端によけて、不機嫌そうな顔で食事をしているエイナから目を離さないようにしていた。
「エリナ…」
そんな時に声をかけられて目を向けると、エイナがいる反対方向から現れたのは、クズーズ殿下だった。
久しぶりにしっかりと見た彼は、どこか疲れた表情をしていて、天使と呼ばれていた頃の面影があまりなかった。
「クズーズ殿下にお会いできて光栄ですわ」
実際はそんな事を思っていないけれど、ここはそれが礼儀なのだから仕方ないわ。
割り切った気持ちで笑顔を作ると、クズーズ殿下は言う。
「僕は今、一生懸命頑張っている」
「……? そ、そうなんですか…。お体を壊さない程度に頑張ってくださいませ」
「そういう問題じゃないんだ!」
「……そういう問題じゃないとは…?」
意味がわからなくて聞き返すと、クズーズ殿下が私の手を取って叫ぶ。
「チャンスが欲しいんだ」
「まだそんな訳のわからない事を言ってらっしゃるんです!? 手をおはなし下さい!」
「嫌だ! 僕は王太子ではなくなったが王子だという事に変わりはない! 言う事を聞くんだ!」
「クズーズ殿下! いいかげんに」
私の言葉の途中で、クズーズ殿下の腕をつかむ人がいた。
「アレク殿下…」
ホッとして声が漏れると、アレク殿下は私には申し訳なさそうな顔をした後、クズーズ殿下に顔を向けた時には厳しい表情になっていた。
「兄上、エリナから手をはなして下さい」
「嫌だ! 聞いてくれ、エリナ! 僕は頑張ってる! これからも頑張るつもりだ! だから、僕の婚約者に戻ってくれ! 僕には君が必要なんだ!」
「ふざけた事を言わないで下さい!」
私とアレク殿下の声が重なり、クズーズ殿下が悲鳴を上げて私の手を離した。
「や、止めろ! アレク! 痛い! そんなに強く握らなくてもいいだろう!」
「どうしたらわかっていただけるんですか! あなたの婚約者はエイナ嬢です! 兄上がそんな調子だから彼女も自分が何をしても良いと思っている!」
「僕は王子なんだぞ!」
「そんな事を言われても、俺には何の意味もありませんよ」
アレク殿下はつかんでいたままのクズーズ殿下の腕から手を離すと、私に優しい表情を向ける。
「遅くなって悪かった。大丈夫だったか?」
「はい。あの…、申し訳ございませんでした」
「どうして謝るんだ?」
「本来なら自分1人で対処すべき事でした。それなのに、アレク殿下の手をお借りするだなんて…」
「そんな事は気にするな。兄上は話し合いだけで解決してくれる様な人じゃないだろう」
アレク殿下はそう言って、ハンカチで私の手を拭いた。
「何かついていましたか?」
「いや、兄上に触られていただろう」
「え? あ、さっきの…」
アレク殿下はクズーズ殿下を汚いものだと思っているのかしら?
ちらりとクズーズ殿下を見ると、憤怒の表情を浮かべてアレク殿下を睨んでいた。
けれど、私達の背後に視線を向けたかと思うと、なぜか口元に笑みを浮かべた。
それに気が付いた私とアレク殿下が慌てて後ろを振り返った時だった。
「きゃあっ!」
「……シシリー! 大丈夫!?」
エイナの悲鳴の後にガチャンという音と何かが割れる音、そして、ミシャ様の叫び声が聞こえた。
シシリー様の声は聞こえないけれど、セルディス殿下の悲痛な声が聞こえる。
「シシリー! 大丈夫か!? ケガは!?」
「大丈夫ですわ。少し足にかかったくらいですから」
「大丈夫じゃないわ! 真っ赤になってるじゃない!」
ミシャ様の叫ぶ声を聞いて、クズーズ殿下をその場に残し、アレク殿下と一緒にシシリー様達のいる所へ向かうと、シシリー様が床にしゃがみこんでいた。
「シシリー様! 一体何が…!」
床には割れた皿とスープか何かの液体とその具材が散らばっていた。
慌てて駆け寄ると、シシリー様は笑顔で言う。
「ご心配いただけるのは嬉しいですけれど、大した怪我ではありませんから」
「お怪我をされたのですか!?」
アレク殿下も焦った表情で尋ねた時だった。
ミシャ様がエイナを指さして叫んだ。
「あの人が…! エイナ様がわざとシシリーに熱いスープをかけたの!」
「エイナが…、熱いスープを?」
この会場にはスープの入った大きな鍋は置かれているけれど、ミシャ様もいらっしゃるし、招待客の中に子供がいるから、子供がはしゃいでテーブルに当たったりして、スープの中身がかかった時に火傷をしてはいけないという事で、出しているスープは冷製スープだったはず。
それなのにどうして、熱いスープをエイナが持っていたの…?
アレク殿下がボーイに氷嚢を持ってこさせると、シシリー様の侍女が彼女それを受け取り患部に当ててくれた。
私はそれを確認してから、泣きそうな顔をしているエイナに言う。
「エイナ、どういう事なの!? どうして熱いスープなんか持っているのよ!」
それに今日のシシリー様のドレスは踝まで隠れているドレスで、そう薄い生地でもない。
ふくらはぎに火傷をおっているのに、ドレスが汚れていないのがおかしかった。
「悪気はなかったのよ! 熱いスープが飲みたくてお願いして持ってきてもらったの。それが美味しかったから、シシリー様にも食べてもらおうと思ったの!」
「どうしてシシリー様に!?」
「さっき、喧嘩みたいになってしまったから謝ろうと思ったのよ…」
エイナは泣き真似をしながら、手当を受けているシシリー様を見下ろして尋ねる。
「シシリー様は寛大な心の持ち主ですから、許して下さいますよね?」
「君は何を考えてるんだ!」
「……アレク殿下、私は大丈夫ですわ」
「だが…」
「私にお任せ下さいませ。……エイナ様、仰る通りですわ」
アレク殿下を制してから、シシリー様はにこりと微笑んでから続ける。
「ですが、私は馬鹿でもお人好しでもありませんの。わざと火傷させようとしてくる女性を許すわけがありませんわ」
シシリー様の言葉にエイナの表情が引きつった。
エイナの声が震えているのがわかった。
今までそんな事を言われた事がなかったからか、たとえ性格と言われていてもブスだとか不細工だとかいう言葉を自分に言われた事がどうしても許せないみたい。
子供じみた言葉だから、あまり言いたくなかったけれど、エイナにはこれくらい低俗な事を言わなきゃ駄目なんだわ。
そう思ってしまうくらいにエイナの心には響いているようだった。
「ええ。エイナ様の事は天使のようだという噂を聞いておりましたが見た目だけでしたわね。ところでセルディス殿下、あなたはエリナ様とエイナ様、どちらが美しいと思います?」
「私はシシリーが一番だよ」
突然、話題をふられたセルディス殿下はにこりと微笑んでから答えた。
「嬉しいお言葉をありがとうございます。ですが、私を選択肢に入れないで下さいませ。エリナ様とエイナ様ならとお聞きしましたの」
「そりゃあ、総合的に見たらエリナ嬢だろう。エイナ嬢には失礼な事を言ってしまって申し訳ない。だけど私の好みではないだけで、君の方が良いと言う男性は多くいるだろう。ただ、その人達は見る目のない男だろうけどね」
セルディス殿下はそれはもう爽やかな笑顔でエイナに言った。
「わ、私がエリナよりも負けてるって言うんですか…?」
「と思いますわよ? もちろん、セルディス殿下の仰る通り、あなたの方が良いという方もいらっしゃるでしょうけれど、この場にいる、あなたのご両親以外の方達はあなたよりもエリナ様を選ぶのでは…?」
お父様もお母様も含めてと言ってしまうと、さすがのエイナも辛いだろうと配慮して除外してくださったのだとわかった。
エイナは私はともかく、お父様とお母様は自分を見捨てないと思ってるでしょうしね。
「そんな…! そんなの勝手な想像だわ!」
「少なくとも、セルディス殿下はあなたの事には興味などありませんから、無駄な事はしない方がよろしくてよ? はっきり言わないとわかっていただけないようですから、本来ならこんな事は言いたくないのですが言わせていただきます。あなたは私に負けたんです。何より、セルディス殿下はあなたを選ぶほど趣味は悪くありませんわよ? それに、婚約者がいるのに他の女性に目を奪われたりする方でもございませんわ」
「私はシシリー以外の婚約者は認めないけどね」
「困った方ですわね」
そう言って、シシリー様がセルディス殿下を見上げて微笑むと、ミシャ様がセルディス殿下の手をはなし、私とアレク殿下の所にやって来て言う。
「2人はいっつもあんな感じなの。わたしがいるって事をすぐに忘れちゃうんだから…」
「忘れてなんかないよ、ミシャ!」
「そうですわ、ミシャ様! 忘れてなんていません!」
慌てる2人を見てミシャ様が微笑んだところで、パーティーの開始時刻になったのか、国王陛下と王妃陛下が現れたため、話はそこでお開きとなった。
エイナは悔しそうな顔をしてシシリー様を睨んでいたけれど、お父様とお母様に窘められて、何も言い返す事もなく今回は引き下がった。
けれど、パーティーは始まったばかり。
エイナが何かしでかすのではないかとヒヤヒヤしていた。
パーティーが始まってからは、アレク殿下や、セルディス殿下、シシリー様、ミシャ様は他の人と話をする事で忙しそうだし、お父様とお母様は陛下に呼ばれて、今はここにはいない。
なので、私は端によけて、不機嫌そうな顔で食事をしているエイナから目を離さないようにしていた。
「エリナ…」
そんな時に声をかけられて目を向けると、エイナがいる反対方向から現れたのは、クズーズ殿下だった。
久しぶりにしっかりと見た彼は、どこか疲れた表情をしていて、天使と呼ばれていた頃の面影があまりなかった。
「クズーズ殿下にお会いできて光栄ですわ」
実際はそんな事を思っていないけれど、ここはそれが礼儀なのだから仕方ないわ。
割り切った気持ちで笑顔を作ると、クズーズ殿下は言う。
「僕は今、一生懸命頑張っている」
「……? そ、そうなんですか…。お体を壊さない程度に頑張ってくださいませ」
「そういう問題じゃないんだ!」
「……そういう問題じゃないとは…?」
意味がわからなくて聞き返すと、クズーズ殿下が私の手を取って叫ぶ。
「チャンスが欲しいんだ」
「まだそんな訳のわからない事を言ってらっしゃるんです!? 手をおはなし下さい!」
「嫌だ! 僕は王太子ではなくなったが王子だという事に変わりはない! 言う事を聞くんだ!」
「クズーズ殿下! いいかげんに」
私の言葉の途中で、クズーズ殿下の腕をつかむ人がいた。
「アレク殿下…」
ホッとして声が漏れると、アレク殿下は私には申し訳なさそうな顔をした後、クズーズ殿下に顔を向けた時には厳しい表情になっていた。
「兄上、エリナから手をはなして下さい」
「嫌だ! 聞いてくれ、エリナ! 僕は頑張ってる! これからも頑張るつもりだ! だから、僕の婚約者に戻ってくれ! 僕には君が必要なんだ!」
「ふざけた事を言わないで下さい!」
私とアレク殿下の声が重なり、クズーズ殿下が悲鳴を上げて私の手を離した。
「や、止めろ! アレク! 痛い! そんなに強く握らなくてもいいだろう!」
「どうしたらわかっていただけるんですか! あなたの婚約者はエイナ嬢です! 兄上がそんな調子だから彼女も自分が何をしても良いと思っている!」
「僕は王子なんだぞ!」
「そんな事を言われても、俺には何の意味もありませんよ」
アレク殿下はつかんでいたままのクズーズ殿下の腕から手を離すと、私に優しい表情を向ける。
「遅くなって悪かった。大丈夫だったか?」
「はい。あの…、申し訳ございませんでした」
「どうして謝るんだ?」
「本来なら自分1人で対処すべき事でした。それなのに、アレク殿下の手をお借りするだなんて…」
「そんな事は気にするな。兄上は話し合いだけで解決してくれる様な人じゃないだろう」
アレク殿下はそう言って、ハンカチで私の手を拭いた。
「何かついていましたか?」
「いや、兄上に触られていただろう」
「え? あ、さっきの…」
アレク殿下はクズーズ殿下を汚いものだと思っているのかしら?
ちらりとクズーズ殿下を見ると、憤怒の表情を浮かべてアレク殿下を睨んでいた。
けれど、私達の背後に視線を向けたかと思うと、なぜか口元に笑みを浮かべた。
それに気が付いた私とアレク殿下が慌てて後ろを振り返った時だった。
「きゃあっ!」
「……シシリー! 大丈夫!?」
エイナの悲鳴の後にガチャンという音と何かが割れる音、そして、ミシャ様の叫び声が聞こえた。
シシリー様の声は聞こえないけれど、セルディス殿下の悲痛な声が聞こえる。
「シシリー! 大丈夫か!? ケガは!?」
「大丈夫ですわ。少し足にかかったくらいですから」
「大丈夫じゃないわ! 真っ赤になってるじゃない!」
ミシャ様の叫ぶ声を聞いて、クズーズ殿下をその場に残し、アレク殿下と一緒にシシリー様達のいる所へ向かうと、シシリー様が床にしゃがみこんでいた。
「シシリー様! 一体何が…!」
床には割れた皿とスープか何かの液体とその具材が散らばっていた。
慌てて駆け寄ると、シシリー様は笑顔で言う。
「ご心配いただけるのは嬉しいですけれど、大した怪我ではありませんから」
「お怪我をされたのですか!?」
アレク殿下も焦った表情で尋ねた時だった。
ミシャ様がエイナを指さして叫んだ。
「あの人が…! エイナ様がわざとシシリーに熱いスープをかけたの!」
「エイナが…、熱いスープを?」
この会場にはスープの入った大きな鍋は置かれているけれど、ミシャ様もいらっしゃるし、招待客の中に子供がいるから、子供がはしゃいでテーブルに当たったりして、スープの中身がかかった時に火傷をしてはいけないという事で、出しているスープは冷製スープだったはず。
それなのにどうして、熱いスープをエイナが持っていたの…?
アレク殿下がボーイに氷嚢を持ってこさせると、シシリー様の侍女が彼女それを受け取り患部に当ててくれた。
私はそれを確認してから、泣きそうな顔をしているエイナに言う。
「エイナ、どういう事なの!? どうして熱いスープなんか持っているのよ!」
それに今日のシシリー様のドレスは踝まで隠れているドレスで、そう薄い生地でもない。
ふくらはぎに火傷をおっているのに、ドレスが汚れていないのがおかしかった。
「悪気はなかったのよ! 熱いスープが飲みたくてお願いして持ってきてもらったの。それが美味しかったから、シシリー様にも食べてもらおうと思ったの!」
「どうしてシシリー様に!?」
「さっき、喧嘩みたいになってしまったから謝ろうと思ったのよ…」
エイナは泣き真似をしながら、手当を受けているシシリー様を見下ろして尋ねる。
「シシリー様は寛大な心の持ち主ですから、許して下さいますよね?」
「君は何を考えてるんだ!」
「……アレク殿下、私は大丈夫ですわ」
「だが…」
「私にお任せ下さいませ。……エイナ様、仰る通りですわ」
アレク殿下を制してから、シシリー様はにこりと微笑んでから続ける。
「ですが、私は馬鹿でもお人好しでもありませんの。わざと火傷させようとしてくる女性を許すわけがありませんわ」
シシリー様の言葉にエイナの表情が引きつった。
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