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第一章 転生したけど死にそう
結婚、二人目①
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異世界生活も、本日で二十五日目。
そろそろ一か月が経過しようとしていた。
異世界での生活にも慣れ始め、レベルアップや仕事は順調に熟している。
最近は素敵なお嫁さんも迎えることができて、人生上り調子。
アダムストの一員だったパークを追い詰め、冒険者の仲間たちと協力し、恐ろしいモンスターから街を守ったりもした。
性獣の魔王とか、色情魔と罵られてきた俺も、ついに冤罪が晴れてみんなから認められる。
「はずだったのになぁ……」
「ヒビヤタクロウ! 今日こそは責任をとってもらうぞ!」
「……はぁ」
どうしてこうなったんだ?
わからない。
俺にはさっぱりわからないんだ。
「おいおい、今日もやってるぜ」
「いい加減責任取りなさいよね。やっぱりセクハラするだけで責任はとらないサイテー男だったのかしら?」
「最初からそういう奴だと思ってたぜ俺は」
「とんだクズ太郎だな」
周りの視線が痛い。
いつも通りではあるが、やっと解放されたと思ったのに逆戻りだ。
ここにいる騎士ジーナの一言がきっかけで……。
「どういうつもりなんだよ」
「ん? 伝えている通りだ。貴様には私のおっぱいを見た責任を取ってもらう」
「責任の取り方は?」
「無論、結婚だ」
なぜそうなる?
セクハラ行為の賠償ならお金とか労働じゃないのか?
別にセクハラはしてないけど!
胸を見てしまったのも不可抗力だし、あんな状況で胸だけ見ないで拘束された彼女を解放することはできなかった。
俺じゃなくたって同じだ!
「まず第一に、俺は故意に見てしまったわけではない」
「わかっている。だが、私のこの胸を凝視していたのも事実だ。異性のあられもない姿を見たなら、結婚するのが筋だろう」
「その理屈だと、お前はパークとも結婚しないといけなくなるが?」
「あいつは死んだから問題ない」
いやいや、十分問題だろ。
ジーナを誘拐してセクハラ行為をしていたのはパークだ。
彼は俺たちと交戦し、不利だと悟るとモンスターの卵を使用した。
現れたヘドロモンスターはパークを呑み込み強化され、俺たちと襲った。
ヘドロモンスターを倒してもパークは戻ってこなかったし、普通に死んでしまったのだろう。
同情はしない。
むしろ、あいつが余計なことをしてジーナのおっぱいが露出していたからこうなった。
一度あの世から帰還して謝罪してほしいくらいだ。
「大体、胸見られたら結婚とか飛躍しすだろ! 不可抗力って言葉があるんだぞ!」
「たとえ事故だろうと、愛する者以外に裸体を晒すことなど許されないのだ。だから結婚してもらう」
「……」
ジーナは頑なに主張を曲げることはなかった。
ここ数日、毎日のように冒険者ギルドで俺を待ち伏せし、求婚をしてくる。
それを周囲に見られ続け、改めて変態だの女たらしなど呼ばれるようになってしまった。
本当に勘弁してくれ。
これじゃ俺の目的を達成できない。
「いいじゃないですか。結婚しましょうよ」
「……」
俺の悩みも知らないで、サラスが暢気にそんなセリフを吐いた。
彼女は何も考えていないだろう顔をして、続けて言う。
「タクロウは百人と結婚しないといけないんですよ? そうしないと私も死ぬんです。向こうから結婚したいとか言われるなんて奇跡ですよ奇跡! タクロウみたいな変態と結婚したなんて物好きが二人もいるなんて!」
「おい、失礼だぞ」
「せっかくのチャンスなんですから、結婚すればいいんですよ。タクロウだって好きですよね? 大きいおっぱい」
「ぐっ……」
ここにきて核心をつく一言に、俺の心が乱される。
おっぱい……うむ、嫌いなわけがない。
俺の反応を見て悟ったジーナが、自身の胸を強調するようなポーズをとり、俺を誘惑してくる。
「私と結婚すれば、この胸は揉み放題だ」
「揉み放題……」
「吸っても許される」
「吸う……だと?」
俺の頭の中でピンクの想像が浮かんでいた。
そんな俺の隣で、ムスッとした表情でカナタが呟く。
「タクロウ……そんなにおっぱいが好きなのか」
「――は! カ、カナタさん?」
「そうだよな。大きいほうがいいよぁー。あたしよりジーナのほうが大きいし」
「いや、別にそんなこと言ってないぞ」
「言わなくてもわかってるって。あーあ、昨日見せてやったのにさ」
「うぐ……」
頭の中に、昨夜の出来事が連想される。
パークと戦う前にした約束を、律儀にちゃんと守ってくれた。
本番に慣れるための予行演習的な意味もあったが、とても有意義な時間だった。
明らかに不貞腐れている。
嫉妬しているカナタも可愛いな、じゃなくて!
ここは夫として妻の機嫌をとらねば。
俺は一回咳ばらいをして話し始める。
「いいか? おっぱいのよさは大きさだけじゃない。大きければいいってものじゃないんだよ」
「何か語り始めましたよ? この変態」
「黙ってろポンコツ天使」
「でも大きいほうが好きなんだろ?」
「確かにそうだ。認めよう。俺は大きいおっぱいが好きだ」
「やっぱり……」
「しかし! カナタのおっぱいも最高だった!」
俺は彼女の手を包み込むように握る。
ここでおっぱいを包み込めたら完璧だったが、さすがに公衆の面前でそんなことできない。
妥協案として彼女の胸の前で手を包み込む。
「俺の中の一番はカナタ、お前のおっぱいだ!」
「あたしの……」
「そうだ。おっぱいが好きなんじゃない。カナタのおっぱいが好きなんだ!」
「そ、そうか。えへへ……なんか照れるな」
「……それでいいんですか? カナタも」
珍しくサラスが呆れている。
我ながらなんて恥ずかしいセリフを吐き出したのだろうか。
しかも周りに見られ、聞こえている場で。
当然のごとくヒソヒソ声で、おっぱい好きのド変態扱いされていた。
「おっぱい魔神ね」
「くっ……」
俺の通り名がまた一つ増えた瞬間だった。
だが気にするな!
今のでカナタが元気になってくれるなら、羞恥に耐える価値がある。
「というわけだ。俺は誰のおっぱいでもいいというわけじゃないぞ!」
「なら……私の胸は嫌いか?」
「ふぐっ! ……そ、それはそれで悪くない」
「タ、タクロウ! さっきと言ってること違くないか?」
カナタには悪いが、男として大きいおっぱいに心が引かれるのは必然だ。
それが揉み放題、吸ってもよしなんて天国だろう。
だが、そんな素敵なオプションを提示されようと、解決できない問題が一つあるのだ。
「やっぱりお前とは結婚できない」
「どうしてだ? ここまで言っているのに!」
「いや、だって俺、別にジーナのこと恋愛対象として見てなかったし」
「――!」
ジーナは大きく驚くように反応した。
この世界の結婚にはルールがある。
互いに本心から愛し合い、求め合い、それらを女神に示し認められることで結婚指輪が与えられる。
そう、形だけでは成立しない。
本物の愛がなければ、女神の意志は応えてくれない。
俺はカナタと結婚する時、それを体感している。
どちらか片方が好きでも、もう片方の気持ちがハッキリ傾いていなければ、結婚はできなかった。
「悪いけど、おっぱいの誘惑だけで心から好きになったりはできそうにない」
「……」
「そもそも、ジーナだってそうだろ? 俺のこと本気で好きでもないのに結婚なんて、この世界で出来るわけがないんだ」
「――違う!」
ジーナは声を荒げた。
身体を震わせて、涙ぐんだ瞳で俺を見つめている。
まるで……。
「ジーナ?」
「タクロウ、私はタクロウのことが好きだ」
「――!」
そろそろ一か月が経過しようとしていた。
異世界での生活にも慣れ始め、レベルアップや仕事は順調に熟している。
最近は素敵なお嫁さんも迎えることができて、人生上り調子。
アダムストの一員だったパークを追い詰め、冒険者の仲間たちと協力し、恐ろしいモンスターから街を守ったりもした。
性獣の魔王とか、色情魔と罵られてきた俺も、ついに冤罪が晴れてみんなから認められる。
「はずだったのになぁ……」
「ヒビヤタクロウ! 今日こそは責任をとってもらうぞ!」
「……はぁ」
どうしてこうなったんだ?
わからない。
俺にはさっぱりわからないんだ。
「おいおい、今日もやってるぜ」
「いい加減責任取りなさいよね。やっぱりセクハラするだけで責任はとらないサイテー男だったのかしら?」
「最初からそういう奴だと思ってたぜ俺は」
「とんだクズ太郎だな」
周りの視線が痛い。
いつも通りではあるが、やっと解放されたと思ったのに逆戻りだ。
ここにいる騎士ジーナの一言がきっかけで……。
「どういうつもりなんだよ」
「ん? 伝えている通りだ。貴様には私のおっぱいを見た責任を取ってもらう」
「責任の取り方は?」
「無論、結婚だ」
なぜそうなる?
セクハラ行為の賠償ならお金とか労働じゃないのか?
別にセクハラはしてないけど!
胸を見てしまったのも不可抗力だし、あんな状況で胸だけ見ないで拘束された彼女を解放することはできなかった。
俺じゃなくたって同じだ!
「まず第一に、俺は故意に見てしまったわけではない」
「わかっている。だが、私のこの胸を凝視していたのも事実だ。異性のあられもない姿を見たなら、結婚するのが筋だろう」
「その理屈だと、お前はパークとも結婚しないといけなくなるが?」
「あいつは死んだから問題ない」
いやいや、十分問題だろ。
ジーナを誘拐してセクハラ行為をしていたのはパークだ。
彼は俺たちと交戦し、不利だと悟るとモンスターの卵を使用した。
現れたヘドロモンスターはパークを呑み込み強化され、俺たちと襲った。
ヘドロモンスターを倒してもパークは戻ってこなかったし、普通に死んでしまったのだろう。
同情はしない。
むしろ、あいつが余計なことをしてジーナのおっぱいが露出していたからこうなった。
一度あの世から帰還して謝罪してほしいくらいだ。
「大体、胸見られたら結婚とか飛躍しすだろ! 不可抗力って言葉があるんだぞ!」
「たとえ事故だろうと、愛する者以外に裸体を晒すことなど許されないのだ。だから結婚してもらう」
「……」
ジーナは頑なに主張を曲げることはなかった。
ここ数日、毎日のように冒険者ギルドで俺を待ち伏せし、求婚をしてくる。
それを周囲に見られ続け、改めて変態だの女たらしなど呼ばれるようになってしまった。
本当に勘弁してくれ。
これじゃ俺の目的を達成できない。
「いいじゃないですか。結婚しましょうよ」
「……」
俺の悩みも知らないで、サラスが暢気にそんなセリフを吐いた。
彼女は何も考えていないだろう顔をして、続けて言う。
「タクロウは百人と結婚しないといけないんですよ? そうしないと私も死ぬんです。向こうから結婚したいとか言われるなんて奇跡ですよ奇跡! タクロウみたいな変態と結婚したなんて物好きが二人もいるなんて!」
「おい、失礼だぞ」
「せっかくのチャンスなんですから、結婚すればいいんですよ。タクロウだって好きですよね? 大きいおっぱい」
「ぐっ……」
ここにきて核心をつく一言に、俺の心が乱される。
おっぱい……うむ、嫌いなわけがない。
俺の反応を見て悟ったジーナが、自身の胸を強調するようなポーズをとり、俺を誘惑してくる。
「私と結婚すれば、この胸は揉み放題だ」
「揉み放題……」
「吸っても許される」
「吸う……だと?」
俺の頭の中でピンクの想像が浮かんでいた。
そんな俺の隣で、ムスッとした表情でカナタが呟く。
「タクロウ……そんなにおっぱいが好きなのか」
「――は! カ、カナタさん?」
「そうだよな。大きいほうがいいよぁー。あたしよりジーナのほうが大きいし」
「いや、別にそんなこと言ってないぞ」
「言わなくてもわかってるって。あーあ、昨日見せてやったのにさ」
「うぐ……」
頭の中に、昨夜の出来事が連想される。
パークと戦う前にした約束を、律儀にちゃんと守ってくれた。
本番に慣れるための予行演習的な意味もあったが、とても有意義な時間だった。
明らかに不貞腐れている。
嫉妬しているカナタも可愛いな、じゃなくて!
ここは夫として妻の機嫌をとらねば。
俺は一回咳ばらいをして話し始める。
「いいか? おっぱいのよさは大きさだけじゃない。大きければいいってものじゃないんだよ」
「何か語り始めましたよ? この変態」
「黙ってろポンコツ天使」
「でも大きいほうが好きなんだろ?」
「確かにそうだ。認めよう。俺は大きいおっぱいが好きだ」
「やっぱり……」
「しかし! カナタのおっぱいも最高だった!」
俺は彼女の手を包み込むように握る。
ここでおっぱいを包み込めたら完璧だったが、さすがに公衆の面前でそんなことできない。
妥協案として彼女の胸の前で手を包み込む。
「俺の中の一番はカナタ、お前のおっぱいだ!」
「あたしの……」
「そうだ。おっぱいが好きなんじゃない。カナタのおっぱいが好きなんだ!」
「そ、そうか。えへへ……なんか照れるな」
「……それでいいんですか? カナタも」
珍しくサラスが呆れている。
我ながらなんて恥ずかしいセリフを吐き出したのだろうか。
しかも周りに見られ、聞こえている場で。
当然のごとくヒソヒソ声で、おっぱい好きのド変態扱いされていた。
「おっぱい魔神ね」
「くっ……」
俺の通り名がまた一つ増えた瞬間だった。
だが気にするな!
今のでカナタが元気になってくれるなら、羞恥に耐える価値がある。
「というわけだ。俺は誰のおっぱいでもいいというわけじゃないぞ!」
「なら……私の胸は嫌いか?」
「ふぐっ! ……そ、それはそれで悪くない」
「タ、タクロウ! さっきと言ってること違くないか?」
カナタには悪いが、男として大きいおっぱいに心が引かれるのは必然だ。
それが揉み放題、吸ってもよしなんて天国だろう。
だが、そんな素敵なオプションを提示されようと、解決できない問題が一つあるのだ。
「やっぱりお前とは結婚できない」
「どうしてだ? ここまで言っているのに!」
「いや、だって俺、別にジーナのこと恋愛対象として見てなかったし」
「――!」
ジーナは大きく驚くように反応した。
この世界の結婚にはルールがある。
互いに本心から愛し合い、求め合い、それらを女神に示し認められることで結婚指輪が与えられる。
そう、形だけでは成立しない。
本物の愛がなければ、女神の意志は応えてくれない。
俺はカナタと結婚する時、それを体感している。
どちらか片方が好きでも、もう片方の気持ちがハッキリ傾いていなければ、結婚はできなかった。
「悪いけど、おっぱいの誘惑だけで心から好きになったりはできそうにない」
「……」
「そもそも、ジーナだってそうだろ? 俺のこと本気で好きでもないのに結婚なんて、この世界で出来るわけがないんだ」
「――違う!」
ジーナは声を荒げた。
身体を震わせて、涙ぐんだ瞳で俺を見つめている。
まるで……。
「ジーナ?」
「タクロウ、私はタクロウのことが好きだ」
「――!」
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