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漆章 創ラヌ“カミ”大湖

に 鈍痛。

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私は門の前まで歩いた。

目の前には妖狐のような神様、ミサエラが居た。

『あら、?血の匂いがする…怪我してるの??』

鼻をスンスンと鳴らして、私と知らずにミサエラは私の手を引く。

彼女は目が見えない。

獣人族なのに鼻も普通の人間程度の嗅覚しかなく、故にナツミの血を被れば“怪我したナツミ”として闇討ができる。

『それにしても久しぶりねぇ、お花は元気かしら?最近天使たちが騒がしくて大変なのよね……ナツミも聞いたかしら?あの殺人鬼の話。アナタはまだ小さいのだから、ここへ来ちゃダメなのよ?わたし、アナタもナサリエルも、もちろんソラネ様も大切だから心配しちゃうのよね。』

沢山話しながら、気づかないまま包帯を腕に巻いていくミサエラ。


『わたし、目が見えないからちゃんと巻けてるかしら?ちゃんと身を守るのよ?何時でも助けてあげるから、困ったらわたしを頼ってね。』

気が付かない。
まるで久しぶりに帰ってきた娘と話すように、楽しそうに話すミサエラ。

彼女を見ていると、頭が痛くなってくる。

『……あら、ナツミ?もう行くのかしら?』

私は、すかさず彼女の首を掴む。

『ンガッ!え゙…な……ツミ……なん…で………?あ゙だ…シ……は……ただ……ケホッ……お゙ぇ……え…けふっ…え………』

ミサエラは涙を流す。目は充血して、毛は逆だっている。

数回大きく震えた後に、そのままぐったりとした。

私は動かなくなったそれを、雑に投げ捨てた。

……嫌いだ。

お母さんを思い出すから、こいつは嫌いだ。

………大っ嫌いだっっ……!!
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