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肆章 冷エタ“ネザー”山脈
ろく 冷えた身体二つ。
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あ~あ……期待していたのに。
彼女の心であるサクラは行方不明、全知神の友人であるシンと、創造神の弟であるクウマは死亡。
……あの子、そんなにレベルが高かったんですね……。
じゃなくては、あんなにあっさり死ぬことはですから。
僕が自ら祝福したというのに。
まぁ、いいですけど。
……次の代役を探しますか。
☆☆☆☆☆☆☆
なんの苦難もなく、頂上までやってこれた。
目の前には、2体のリュウ。
小さめで赤い鱗の竜が、カリス。
大きめで青い鱗の龍が、ネザー。
実の両親だったものを手にかけるのは少しだけ、嫌なところもあるが
まぁ、致し方ない。
だって、殺すしかない。
殺さなきゃ、ダメ。
『………ユキミ?』
名前を呼ばれた。
突然の事で少し動揺してしまった。
…が、相手から殺気が感じられない。
………そうか。
きっと私を説得しようとしている。
わかるのだ。
なぜなら、私の実の母だから。
『ねぇ、ユキミ。もしも…貴女がまだいるなら…聞いて欲しいの。』
爆竜状態は解かないまま、カリスは話を始める。
私は、何も動かない…フリをして、密かに討伐準備を始める。
……始められない。
ネザーはまだ何も言わない。
『ユキミ………もしもユキミが良ければ……………私たちと一緒に、帰りましょう?』
カリスは涙を浮かべるも、その涙の粒は瞬く間に蒸発する。
……やはり、お母さんだった。
ネザーは重い口を開ける。
『……おまえが……ユキミか。…ふふ…………大きくなったなぁ。』
……やはり、お父さんだった。
…いまから、私は………両親を手にかけることになる。
辛いなんて思っていない。
嫌だなんて…思わない。
………感情はもうとっくに捨てたはず。
包丁を強く握りしめる。
視界がぼやける。
……………あれぇ……おかしいなぁ…。
…どうして…………
………こんなに辛いのかなぁ……。
もう誰も信用しないって誓ったのに………
……苦しいなぁ………嫌だなぁ…………
…………雨が降らないはずなのに…
…目頭が濡れて前が見えないよ……。
「おかあさん……おとうさん……………ごめんなさい………何言ってるのか分からないけれども、私は………この世界だけは止められないの………ごめんなさい……ごめんなさいっ…!!!」
………刹那の時が過ぎて
いつの間にか、私は。
蒸発が間に合わないほどに、涙が溢れ
……気がつけば、辺りには
冷えた竜が2体…倒れていた。
…………首からは、血を流していた。
……私は…………私は……………!!
両親を殺してしまった………!!
彼らは…………………遺言も何も残さずに
せっかく強化をして、私を倒そうとしていたくせに………っ!!
……………彼らは………
彼らは…………自ら首を差し出し、選択肢を与えていた………っ!!!
準備をする必要無く………力づくで倒す必要もなく………
ただただ、首を差し出して………!!
『もしも勇気が出ないなら、帰ろう…ユキミ。』
そう、カリスは言って…
『でも、先に進むのならば…僕たちはお前を止めたりしないよ。』
そう、ネザーは言った……!!
…………どうして………
……どうしてこうも…優しいの………!!
………もう私は、娘じゃないのに……っ!!
既に私は……殺人鬼なのに……っ!!
彼らは…………私を娘と呼んでくれた…
………………過ぎたことはもう………
どうしようもない。
サクラも……パパとママも…………
………どうしてこんな私を…信用するのかなぁ………!!
うっ……うぅ………どうしで………!
ごんなどうしようもな゙いわたじを…………っ!!
…………………
…………………………………
……………泣いてても仕方ない……
どうせ全て蒸発してしまうのだから。
…頭ではわかっていても
………涙は止まらない。
…………………
…………………………………
……行こう。
………もう…………
戻れなくなった。
彼女の心であるサクラは行方不明、全知神の友人であるシンと、創造神の弟であるクウマは死亡。
……あの子、そんなにレベルが高かったんですね……。
じゃなくては、あんなにあっさり死ぬことはですから。
僕が自ら祝福したというのに。
まぁ、いいですけど。
……次の代役を探しますか。
☆☆☆☆☆☆☆
なんの苦難もなく、頂上までやってこれた。
目の前には、2体のリュウ。
小さめで赤い鱗の竜が、カリス。
大きめで青い鱗の龍が、ネザー。
実の両親だったものを手にかけるのは少しだけ、嫌なところもあるが
まぁ、致し方ない。
だって、殺すしかない。
殺さなきゃ、ダメ。
『………ユキミ?』
名前を呼ばれた。
突然の事で少し動揺してしまった。
…が、相手から殺気が感じられない。
………そうか。
きっと私を説得しようとしている。
わかるのだ。
なぜなら、私の実の母だから。
『ねぇ、ユキミ。もしも…貴女がまだいるなら…聞いて欲しいの。』
爆竜状態は解かないまま、カリスは話を始める。
私は、何も動かない…フリをして、密かに討伐準備を始める。
……始められない。
ネザーはまだ何も言わない。
『ユキミ………もしもユキミが良ければ……………私たちと一緒に、帰りましょう?』
カリスは涙を浮かべるも、その涙の粒は瞬く間に蒸発する。
……やはり、お母さんだった。
ネザーは重い口を開ける。
『……おまえが……ユキミか。…ふふ…………大きくなったなぁ。』
……やはり、お父さんだった。
…いまから、私は………両親を手にかけることになる。
辛いなんて思っていない。
嫌だなんて…思わない。
………感情はもうとっくに捨てたはず。
包丁を強く握りしめる。
視界がぼやける。
……………あれぇ……おかしいなぁ…。
…どうして…………
………こんなに辛いのかなぁ……。
もう誰も信用しないって誓ったのに………
……苦しいなぁ………嫌だなぁ…………
…………雨が降らないはずなのに…
…目頭が濡れて前が見えないよ……。
「おかあさん……おとうさん……………ごめんなさい………何言ってるのか分からないけれども、私は………この世界だけは止められないの………ごめんなさい……ごめんなさいっ…!!!」
………刹那の時が過ぎて
いつの間にか、私は。
蒸発が間に合わないほどに、涙が溢れ
……気がつけば、辺りには
冷えた竜が2体…倒れていた。
…………首からは、血を流していた。
……私は…………私は……………!!
両親を殺してしまった………!!
彼らは…………………遺言も何も残さずに
せっかく強化をして、私を倒そうとしていたくせに………っ!!
……………彼らは………
彼らは…………自ら首を差し出し、選択肢を与えていた………っ!!!
準備をする必要無く………力づくで倒す必要もなく………
ただただ、首を差し出して………!!
『もしも勇気が出ないなら、帰ろう…ユキミ。』
そう、カリスは言って…
『でも、先に進むのならば…僕たちはお前を止めたりしないよ。』
そう、ネザーは言った……!!
…………どうして………
……どうしてこうも…優しいの………!!
………もう私は、娘じゃないのに……っ!!
既に私は……殺人鬼なのに……っ!!
彼らは…………私を娘と呼んでくれた…
………………過ぎたことはもう………
どうしようもない。
サクラも……パパとママも…………
………どうしてこんな私を…信用するのかなぁ………!!
うっ……うぅ………どうしで………!
ごんなどうしようもな゙いわたじを…………っ!!
…………………
…………………………………
……………泣いてても仕方ない……
どうせ全て蒸発してしまうのだから。
…頭ではわかっていても
………涙は止まらない。
…………………
…………………………………
……行こう。
………もう…………
戻れなくなった。
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