69 / 91
5章
ゲロ
しおりを挟む
1.裕次郎とヤコはお互いの肩を掴み合い、揺さぶった。
「教えろおお!!」
「嫌ニャァァ!!」
裕次郎はヤコを揺さぶりながら泣きそうになっていた。
もうすぐ戦争が始まるこのタイミングで邪力を封印されてしまったら、童貞のまましんじゃうかもしれない。そんなことになったら死んでも死にきれない! まあ、一回死んだことあるけど!
なんとしても封印を解いてもらうため、裕次郎は腕に力を込め思いっきり揺さぶる。
「ああああ! 解けええ! 封印とけええ!!」
「ぜっ・・・うっ・・・気持ち悪いニャ・・・」
「解けええええ!! ああああ!」
「・・・ニャ・・・でるニャ・・・オエッ・・・」
「ああああああ!」
「オエー!」
「うわああああ!」
裕次郎の目の前にあったヤコの口から、ビームが発射されていた。
2.「・・・・・・」
裕次郎は頭からビームを浴びてしまった。つーんとした独特の臭いが辺りに立ちこめる。
「うう・・・オエッ・・・」
ヤコは袖口で口を拭きながら立ち上がった。そしてふらつきながらも呪文を唱える。
「・・・水蜥蜴/火蜥蜴」
呪文を唱えると、蜥蜴の形をした水と火が現れた。まず水蜥蜴がヤコに水を吹き付け、次に火蜥蜴が熱風を吹き付ける。
ゲロまみれだったヤコは綺麗に洗われ乾かされ元通りになると、落ちていたマントを拾い身に付けた。
「・・・ニャア・・・もう帰るニャ・・・」
ヤコは魔法を消すと、よたよたと歩き始める。裕次郎はゲロまみれのままヤコの進路を塞いだ。
「ちょっと! なんで自分だけさっぱりしてるの! 俺も綺麗にしてよ!」
「・・・裕次郎も魔法を使えば良いニャ。自分のことは自分でするニャよ。指輪はまたあとで話し合えば良いニャ・・・今日はもういいニャ・・・」
ヤコはそう言うと裕次郎を避け、歩いていく。
裕次郎は言われた意味を考える。が、考えれば考えるほど理不尽すぎてイラついてきていた。
そもそもの原因はヤコがまた封印したせいだし。邪力を封印されなければ『支配』の力でゲロ落とせたし。つーかゲロかけたのお前だし!
裕次郎は後からヤコにしのびよると、思いっきり抱きつき頭を擦り付けた。
3.結局裕次郎とヤコはゲロまみれのまま家に帰った。玄関を開けるといつものようにサキが走り寄ってきた。が、急停止しUターンするとそのまま逃げてしまった。
しかしすぐにサキはイザベルと一緒にやって来た。
「ずいぶん汚れているな。少し待っていてくれ」
イザベルはそう言うと台所へと消え、戻ってきたその手には大きな水瓶が抱えられていた。そしてそのままゲロまみれの二人に水をかける。
大量の水は二人を襲う。その勢いに押され二人は玄関から投げ出されると向かいの道に転がった。
「ゲホッ! ゴホッ!」
裕次郎は水が気管に入り咳き込んでしまっていた。ヤコはぐったりと倒れたまま動かない。
そんな二人を見下ろし、イザベルは言葉をかける。
「よし。汚れは落ちたな。それならどちらか風呂へ入るといい。濡れたままとよくないからな」
裕次郎はちらりとヤコを見た。ヤコはいまだ地面に寝転がったまま動かない。
「じゃあ、俺からお風呂はいろうかな・・・」
風邪にはなりたくないし、寒いし早くお風呂にはいろう。裕次郎はそう思いながら家に入った。
続く。
「教えろおお!!」
「嫌ニャァァ!!」
裕次郎はヤコを揺さぶりながら泣きそうになっていた。
もうすぐ戦争が始まるこのタイミングで邪力を封印されてしまったら、童貞のまましんじゃうかもしれない。そんなことになったら死んでも死にきれない! まあ、一回死んだことあるけど!
なんとしても封印を解いてもらうため、裕次郎は腕に力を込め思いっきり揺さぶる。
「ああああ! 解けええ! 封印とけええ!!」
「ぜっ・・・うっ・・・気持ち悪いニャ・・・」
「解けええええ!! ああああ!」
「・・・ニャ・・・でるニャ・・・オエッ・・・」
「ああああああ!」
「オエー!」
「うわああああ!」
裕次郎の目の前にあったヤコの口から、ビームが発射されていた。
2.「・・・・・・」
裕次郎は頭からビームを浴びてしまった。つーんとした独特の臭いが辺りに立ちこめる。
「うう・・・オエッ・・・」
ヤコは袖口で口を拭きながら立ち上がった。そしてふらつきながらも呪文を唱える。
「・・・水蜥蜴/火蜥蜴」
呪文を唱えると、蜥蜴の形をした水と火が現れた。まず水蜥蜴がヤコに水を吹き付け、次に火蜥蜴が熱風を吹き付ける。
ゲロまみれだったヤコは綺麗に洗われ乾かされ元通りになると、落ちていたマントを拾い身に付けた。
「・・・ニャア・・・もう帰るニャ・・・」
ヤコは魔法を消すと、よたよたと歩き始める。裕次郎はゲロまみれのままヤコの進路を塞いだ。
「ちょっと! なんで自分だけさっぱりしてるの! 俺も綺麗にしてよ!」
「・・・裕次郎も魔法を使えば良いニャ。自分のことは自分でするニャよ。指輪はまたあとで話し合えば良いニャ・・・今日はもういいニャ・・・」
ヤコはそう言うと裕次郎を避け、歩いていく。
裕次郎は言われた意味を考える。が、考えれば考えるほど理不尽すぎてイラついてきていた。
そもそもの原因はヤコがまた封印したせいだし。邪力を封印されなければ『支配』の力でゲロ落とせたし。つーかゲロかけたのお前だし!
裕次郎は後からヤコにしのびよると、思いっきり抱きつき頭を擦り付けた。
3.結局裕次郎とヤコはゲロまみれのまま家に帰った。玄関を開けるといつものようにサキが走り寄ってきた。が、急停止しUターンするとそのまま逃げてしまった。
しかしすぐにサキはイザベルと一緒にやって来た。
「ずいぶん汚れているな。少し待っていてくれ」
イザベルはそう言うと台所へと消え、戻ってきたその手には大きな水瓶が抱えられていた。そしてそのままゲロまみれの二人に水をかける。
大量の水は二人を襲う。その勢いに押され二人は玄関から投げ出されると向かいの道に転がった。
「ゲホッ! ゴホッ!」
裕次郎は水が気管に入り咳き込んでしまっていた。ヤコはぐったりと倒れたまま動かない。
そんな二人を見下ろし、イザベルは言葉をかける。
「よし。汚れは落ちたな。それならどちらか風呂へ入るといい。濡れたままとよくないからな」
裕次郎はちらりとヤコを見た。ヤコはいまだ地面に寝転がったまま動かない。
「じゃあ、俺からお風呂はいろうかな・・・」
風邪にはなりたくないし、寒いし早くお風呂にはいろう。裕次郎はそう思いながら家に入った。
続く。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
魔物をお手入れしたら懐かれました -もふプニ大好き異世界スローライフ-
うっちー(羽智 遊紀)
ファンタジー
3巻で完結となっております!
息子から「お父さん。散髪する主人公を書いて」との提案(無茶ぶり)から始まった本作品が書籍化されて嬉しい限りです!
あらすじ:
宝生和也(ほうしょうかずや)はペットショップに居た犬を助けて死んでしまう。そして、創造神であるエイネに特殊能力を与えられ、異世界へと旅立った。
彼に与えられたのは生き物に合わせて性能を変える「万能グルーミング」だった。
サフォネリアの咲く頃
水星直己
ファンタジー
物語の舞台は、大陸ができたばかりの古の時代。
人と人ではないものたちが存在する世界。
若い旅の剣士が出逢ったのは、赤い髪と瞳を持つ『天使』。
それは天使にあるまじき災いの色だった…。
※ 一般的なファンタジーの世界に独自要素を追加した世界観です。PG-12推奨。若干R-15も?
※pixivにも同時掲載中。作品に関するイラストもそちらで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/50469933
龍王は魔法少女のペットになりました!!
リーグロード
ファンタジー
ある日転生して龍になった竜司は異世界で龍を束ねる王となったが調子に乗って神に挑み敗北し転生特典となってしまう。 そして雷に撃たれて死んでしまった少女歩美の3つの転生特典の1つになってしまう物語。
異世界の魔王や新たな龍王との戦いが今始まろうとする。異世界ファンタジー!!!
やり直し人生は異世界から
ローザ
ファンタジー
親が事故死してからの人生不運続きの六花。まだ暗く寒い早朝に誰に看取られること無く22歳の若さでこの世の生を終える。
「えっ!此処何処!はぁ?償い?……おまえらのせいかぁー!」不幸の原因は神に有り!お詫びに異世界で第2の人生を送ることに。
「人生これから、無くした青春やり直すぞ!ひゃっほー!」
見た目派手な主人公が、地味にコツコツと「よしっ!平凡な幸せ掴むぞ」と空回りするお話。
のんびりと亀さん投稿になると思います。
この度稚拙な小説ながら、気合い入れのためにファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。よろしくお願いします。
えぇー初心者です。メンタル弱いですスライム並みに。誤字脱字は気を付けます。設定ゆるふわです。作者はゲームをしないので何と無ーくの知識で書いてます。突っ込まないでーーーほんとーに💦
闇ガチャ、異世界を席巻する
白井木蓮
ファンタジー
異世界に転移してしまった……どうせなら今までとは違う人生を送ってみようと思う。
寿司が好きだから寿司職人にでもなってみようか。
いや、せっかく剣と魔法の世界に来たんだ。
リアルガチャ屋でもやってみるか。
ガチャの商品は武器、防具、そして…………。
※小説家になろうでも投稿しております。
草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!
アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。
思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!?
生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない!
なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!!
◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇
【完結】最後の魔女は最強の戦士を守りたい!
文野さと@ぷんにゃご
ファンタジー
一人ぼっちの魔女、ザザは、森の中で暮らしていた。
ある日、泉で溺れかけていた少女を助けようとして、思いがけず魔力を使ったことで自身が危険な状態に陥ってしまう。
ザザを助けたのは灰色の髪をした男だった。彼はこの国の王女を守る騎士、ギディオン。
命を助けられたザザは、ギディオンを仕えるべき主(あるじ)と心に決める。しかし、彼の大切な存在は第三王女フェリア。
ザザはそんな彼の役に立とうと一生懸命だが、その想いはどんどん広がって……。
──あなたと共にありたい。
この想いの名はなんと言うのだろう?
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる