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不良in文芸部 壱
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不良in文芸部 壱
注「ロボットの時代」の続きです。
ロボットに襲われてしばらく入院していたのだが、五月の終わりには復帰できた。電撃でしばらく痺れたような感じだったが、もう大丈夫。一方さくらはもっとひどくやられたらしく、まだまだ復帰できそうに無い。
で、しばらくの間、文芸部部長代理を務めることになった。俺部長なんてやったことないぞ。
「よっ部長」
「久保田、その言い方はやめろ」
「お代理さま」
「意味が違うからますますやめろ」
久保田と話し合い、新たに部員を増やすことにした。さくらがいないと二人しかいないので、部の成立条件を満たさない。
「小栗あたりを捕まえるか」
小栗はけっこう親切で理解のある奴だ。友人も多いし、そして戦力になるだろう。誘ってみるとすぐ入ってくれた。そしてさらに知り合いを紹介してみるという。ありがたい。
翌日、文芸部。男三人で部室にこもって今後の方針会議。あれをやろうこれをやろうと話し合っているとドアにノック。小栗が扉を開ける。そこに立っていたのは女子生徒。
「松島さん来てくれたんだ」
そして女子生徒は自己紹介を始めた。
「「松島凪(まつしまなぎ)」と言います。よろしくお願いします」
「俺は久保田義重。よろしく。この部一の精鋭だ」
仮に精鋭だとしても自分でいうな。てかお前は精鋭じゃない。久保田にチョップを入れ、俺も挨拶する。
「俺は部長代理の船引かなめ。よろしく」
「よろしくお願いしますっ。あの、部長さんはどうしたんですか」
「実は怪我して入院してるんだ。」
「へぇ、そうなんですか」
久保田は積極外交を開始した。どこか遊びに行かないか、などとこえをかける。こら。それに対し松島は買い食いは良くないですからと答える。そりゃ良くはないが、買い食いが出来ないなら学校に来る気は起きないだろう。 この点で久保田と俺は似ている。
「文芸部では何を書いたら良いんですか、小説じゃなくてポエムとかでも良いんですか」
「なんでも大丈夫だ、日記でも短歌でもお経でも競馬予想でも」
松島はポエムが好きなのか、俺にはとても書けない。他の文章より遥かに恥ずかしく感じる。
俺は部員の皆に来週までに何か書いてくるよう伝えた。俺も何か書かなくては。飼い猫の観察日記でいいか。しかし何故文芸部は一度潰れたのか。美術部と並ぶ文化部の代表格だろう。
部活終了後、久保田と買い食いしに商店街へ。ここにはなんでもある。たい焼き、クレープ、ハンバーガー、イカ焼き、アイス、などなど。
「今日は寒いから、アイスだな」
「おっわかってるじゃないか、寒き日のアイス、いとおかし」
久保田と俺だとツッコミ不在だからこうなる。さくらが的確なツッコミが出来るひとなので早く復帰して欲しい。
「あっ」
久保田がゲーセンの前に停めてあったバイクを倒した。おっいけないいけないと元に戻そうとしていると、そのバイクの持ち主とみられるいかにも不良って見た目の女子がつかつかとよってきた。そして久保田の胸ぐらをつかみ、
「わたくしの愛車を倒しておいて、ただでは帰しませんよ?」
と、いうニュアンスのことを不良語で怒鳴った。ひいぃぃぃぃと悲鳴を上げる久保田。
「みなみーっ」
「なぎ?」
聞き覚えのある声。そして不良は久保田を離す。そのまま地面に叩きつけられる。
「暴力はダメーっ」
松島さんが走ってくる。久保田がよろよろと立ち上がる。不良女子は松島を見つめていた。
「みなみ、弱い者いじめしちゃだめ」
「あいつが私の愛車を倒した」
「倒したからって殴ったりしちゃだめ
「・・・ごめん」
「私じゃなくて」
そして不良は久保田に向けて謝った。久保田もこちらこそ悪かった、と納得してなさそうだった。いやお前にもしっかり落ち度はあるぞ。そして女子二人は去っていった。
「あいついったい何なんだ」
久保田が言う。確かに気になる。
「しかし、弱い者いじめねぇ」
「ほっとけ!」
続きます
注「ロボットの時代」の続きです。
ロボットに襲われてしばらく入院していたのだが、五月の終わりには復帰できた。電撃でしばらく痺れたような感じだったが、もう大丈夫。一方さくらはもっとひどくやられたらしく、まだまだ復帰できそうに無い。
で、しばらくの間、文芸部部長代理を務めることになった。俺部長なんてやったことないぞ。
「よっ部長」
「久保田、その言い方はやめろ」
「お代理さま」
「意味が違うからますますやめろ」
久保田と話し合い、新たに部員を増やすことにした。さくらがいないと二人しかいないので、部の成立条件を満たさない。
「小栗あたりを捕まえるか」
小栗はけっこう親切で理解のある奴だ。友人も多いし、そして戦力になるだろう。誘ってみるとすぐ入ってくれた。そしてさらに知り合いを紹介してみるという。ありがたい。
翌日、文芸部。男三人で部室にこもって今後の方針会議。あれをやろうこれをやろうと話し合っているとドアにノック。小栗が扉を開ける。そこに立っていたのは女子生徒。
「松島さん来てくれたんだ」
そして女子生徒は自己紹介を始めた。
「「松島凪(まつしまなぎ)」と言います。よろしくお願いします」
「俺は久保田義重。よろしく。この部一の精鋭だ」
仮に精鋭だとしても自分でいうな。てかお前は精鋭じゃない。久保田にチョップを入れ、俺も挨拶する。
「俺は部長代理の船引かなめ。よろしく」
「よろしくお願いしますっ。あの、部長さんはどうしたんですか」
「実は怪我して入院してるんだ。」
「へぇ、そうなんですか」
久保田は積極外交を開始した。どこか遊びに行かないか、などとこえをかける。こら。それに対し松島は買い食いは良くないですからと答える。そりゃ良くはないが、買い食いが出来ないなら学校に来る気は起きないだろう。 この点で久保田と俺は似ている。
「文芸部では何を書いたら良いんですか、小説じゃなくてポエムとかでも良いんですか」
「なんでも大丈夫だ、日記でも短歌でもお経でも競馬予想でも」
松島はポエムが好きなのか、俺にはとても書けない。他の文章より遥かに恥ずかしく感じる。
俺は部員の皆に来週までに何か書いてくるよう伝えた。俺も何か書かなくては。飼い猫の観察日記でいいか。しかし何故文芸部は一度潰れたのか。美術部と並ぶ文化部の代表格だろう。
部活終了後、久保田と買い食いしに商店街へ。ここにはなんでもある。たい焼き、クレープ、ハンバーガー、イカ焼き、アイス、などなど。
「今日は寒いから、アイスだな」
「おっわかってるじゃないか、寒き日のアイス、いとおかし」
久保田と俺だとツッコミ不在だからこうなる。さくらが的確なツッコミが出来るひとなので早く復帰して欲しい。
「あっ」
久保田がゲーセンの前に停めてあったバイクを倒した。おっいけないいけないと元に戻そうとしていると、そのバイクの持ち主とみられるいかにも不良って見た目の女子がつかつかとよってきた。そして久保田の胸ぐらをつかみ、
「わたくしの愛車を倒しておいて、ただでは帰しませんよ?」
と、いうニュアンスのことを不良語で怒鳴った。ひいぃぃぃぃと悲鳴を上げる久保田。
「みなみーっ」
「なぎ?」
聞き覚えのある声。そして不良は久保田を離す。そのまま地面に叩きつけられる。
「暴力はダメーっ」
松島さんが走ってくる。久保田がよろよろと立ち上がる。不良女子は松島を見つめていた。
「みなみ、弱い者いじめしちゃだめ」
「あいつが私の愛車を倒した」
「倒したからって殴ったりしちゃだめ
「・・・ごめん」
「私じゃなくて」
そして不良は久保田に向けて謝った。久保田もこちらこそ悪かった、と納得してなさそうだった。いやお前にもしっかり落ち度はあるぞ。そして女子二人は去っていった。
「あいついったい何なんだ」
久保田が言う。確かに気になる。
「しかし、弱い者いじめねぇ」
「ほっとけ!」
続きます
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