天端怪奇伝

湯殿たもと

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天端怪奇伝9

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天端怪奇伝9


火曜日の朝。今日はなんか早く起きられた。天気は・・・雪か。いよいよ冬本番だな。

「今日はゆっくり行けるから明智のところでもよっていくか」

「油断して遅れないようにしてくださいよお兄さん」

いつもの道路に行くと、やっぱり明智がたっていた。


「しげくーん」

「よう、明智・・・じゃなくていろは」

「あ、下の名前で呼んでくれたんだね、ありがと」

「今日の放課後はどうだ?ヒマか?」

「やっぱりしげ君ヒマしてるんだね」

「まあな」

「テストとかは」

「く・・・いや、平気だぞ」

「ダメだよテスト優先しなきゃ」

「問題ない。俺の先祖はスフィンクスを設計した人なんだ」

「スフィンクス?えー、なんか嘘臭いなぁ」

「間違えた、万里の長城だ」

「それもなんか」

「戦艦大和」

「・・・」

「それじゃ・・・」

「それじゃって言ってる時点で嘘でしょ」

「まあな」

「それじゃテストを優先した方がいいよ。落第したら恥ずかしいよ」

「頼む、今日だけ」

「・・・なんでそんなにどこかに出掛けたいの?」

そりゃちょっとでも、いい思いしてほしいからだけど・・・。

「わわわっ?」

「ん?」

「ちょっとでも・・・いい思い・・・してほしいからって・・・しげ君らしくないよ」

ありゃりゃ今の伝わったんか。テレパシーは調整が難しいな。気を付けないと。

「えと、そこまで思ってくれてたんだったら・・・今日の午後・・・いいよ」

「お、サンキュー」


放課後出掛けるんだからな。今日こそは授業を真面目に聞かねば。テストが近いからヒントとかもらうのになおさらだ。・・・真面目にやるのなんてたまにだよな。ちゃんと普段からやらなきゃ。

昼休み。ちょっとトイレに入りに廊下に出ると夏井先輩。

「今日は真面目でなんか、声かけられなかったよ、すごいね久保田くん」

「遠慮することないよ先輩」

「遠慮しとくよ。テスト近いしね。それで昨日はどうだったの、喫茶店デート」

「あれはデートでもなんでもないよ」

「ふーん、そうかなぁ」

「そんなに疑うなら当事者に聞いてみればいい」

「わかったわかったよ」

普段は授業中にこんなのをテレパシーでやってるからそりゃ内容なんて頭に入らないよな。

・・・

「で、放課後」

「なにナレーターしてるんだお前は」

「やっぱり俺のボケに付き合ってくれる船引はいいやつだな」

「どういう理論だ、今日はまた休むのか?」

「そうだよ、ちょっとね」


「しげくーん!」

「よう、いろは。待ったか?」

「いまきたところだよ。で、今日はどこに行くの?」

「それはな、実は決めてないんだ。商店街ぶらぶらして決めるっていうのもいいだろ?」

「そうだね、早く行こうよ」


「そしてここは駅前商店街」

「ナレーションは別にあるから大丈夫だよ」

「ナイス突っ込み、ボケに付き合ってくれる奴は俺と相性が良い。なかなかだな」

「ねぇねぇしげ君、ゲームセンターって入ったことある?」

「あるぞ、いろはは何のゲームが好きなんだ?」

「ボク実は入ったことが無いんだよ」

「ぬわにぃー?まじか」

「お母さんに入っちゃダメって言われたんだよ、治安が悪いからって、でも、一度入ってみたいんだよ」

「よし、入ろう。ばれなきゃ良い」

「うん」


続きます。
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