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天端怪奇伝8
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天端怪奇伝8
「明智、今日の放課後ヒマか?」
「特に用事は無いよ。どうしたの?」
「遊びに行かないか?駅前の商店街があるだろ、あそこ」
「え、でも・・・」
「どした?」
「知らない人についていったらダメだって」
「あれ、俺もお前のこと知らんなぁ」
「えつ?」
「ど~こ~の~誰かは~、知~ら~ないけれど~」
「わあぁっ、冗談だよっ」
「で、来るんだろ。一緒に」
「勿論だよ、誘ってくれてありがと」
「ああ」
学校にて。6時間目耐久レースをしていると夏井さんが話しかけてきた。授業をあまり聞いてないのを見破っているっぽいな。
「今日なんかいつもと違うね、緊張してる?」
「ん?そうなのか?」
ちなみにテレパシーで話している。幽霊なのでできるか?と思ってやってみたらできた。俺の考えてること全てが伝わるわけではなく、伝えようとしたことだけ伝わるので便利。
「どこか行くの?もしかして女の子と?」
「ちがうな」
「なんか嘘っぽいよ、先輩に隠し事はだめだよ」
「先輩?夏井さん何年生なんだ?」
「二十年卒だよ。十九年度だけど」
なんだ、俺が平成三十一年度卒になるから十二も上か。
「これからは先輩って呼ぶよ」
「ありがとね、で、さっきの話に戻すよ」
「喫茶に行くんだよ」
「あっいいなぁ、お洒落だね。誰と行くの?やっぱり女子?」
「まあ、そんなとこ」
ちょっとずつ先輩の話し方が変わってきたような、そんな気がした。今まで俺以外の人と話してなかったんだろうな。本来の喋りが戻ってきたのかもしれない。
放課後。部活は不来方に言って免除してもらった。ダッシュで駅へ。そして待ち合わせ場所へ。そこには二人の人影。千秋と明智。
「いやぁすまんな、待ったか」
「いまきたところだよ」
「そっか、行くぞ」
今回の目的、一つ目は千秋と明智を会わせること。もしかしたら千秋が明智のことを見られるかも知らないし、もし認識出来なくても、俺がそれっぽく通訳したりできるだろう。安直な考えだが、女子どうしの会話の方が盛り上がるのではなかろうか。
二つ目はおまけみたいなものだが、喫茶に明智と俺で二人で行ってしゃべってたら、周りから明智が見えないので俺が一人でしゃべってるように見えてしまう。だから明智に美味しいものを食べさせるには千秋がいる。俺が明智と話していても、千秋と話してるように見えるから無問題になるのである。
サンデー二つと紅茶を頼む。ちなみに俺のおごりになっているが、まあ仕方ない。明智は俺が誘ったわけだし千秋にしても俺がどうしても、と頼んだからだ。まあもう少しでお年玉も入るし問題ない。
「この人は?」
「俺の妹の千秋だ。いま中学二年」
「よろしくね、明智さん」
「同い年なんだね、よろしく千秋さん。ボクは明智いろは。いろはって呼んでね」
「俺もいろはって呼んでいいのか?」
「明智クンっていわれるよりはね・・・ボクは探偵じゃないからね」
「じゃいろはって呼ぶことにするよ」
「よろしくいろはちゃん」
「ねぇ、久保田くん。千秋さんと区別つかないから下の名前で呼んでいいかな?よししげくんって」
「よししげじゃ呼び辛いだろう。別のでもいいぞ」
「しげ君でいい?」
「いいぞ」
明智はよく喋る奴なんだなと思った。今日は俺が話を仲介して千秋とも話せるように、と思ったがよく喋られると困る。特にその年の女の子しか分からないようなことはなおさらだ。読者モデルなんてしらん。違和感を悟られないように通訳しなくちゃいけないから余計だ。
「ふーっ、もうお腹いっぱい」
明智がそういうが手をつけたように見えない。
「まだ、残ってるけどいいのか?じゃあ俺がもらうぞ」
手をつけてないように見えるサンデーをとりよせる。質量的なものではなく認識的なもので食事が出来てしまうのか?それならお供え物ってちゃんと効果があるんだな、と余計なことを考えつつひとくち。
「あっ」
「ん?どした?」
千秋も俺の声にきょとんとする。
「これって、えと、その、間接キスだよね」
「気にすんな」
「あわわわわわわわわわわわわっ」
赤くなって湯気をあげている。大袈裟な。
「間接キスくらいどうってことないだろ」
「わわわお兄さん何言ってるの?!」
「だから千秋まで、気にするな」
「気にしますよ」
「そんなもんか?ガキじゃあるまいし」
・・・
明智と別れ、千秋と二人で帰宅。
「ホントにそんな気にするかなぁ」
「ひとそれぞれですけど、いろはちゃんがそういうならダメですよ・・・」
「それはそうと、明智のこと見えたのか」
「・・・見えてない」
「そうか?見えてるくらい見事な噛み合いだったぞ。劇団四季もびっくりだ」
「そうですか?」
「もしかしたら詐欺師の才能もあるかもな」
「それは嫌です」
続きます。
「明智、今日の放課後ヒマか?」
「特に用事は無いよ。どうしたの?」
「遊びに行かないか?駅前の商店街があるだろ、あそこ」
「え、でも・・・」
「どした?」
「知らない人についていったらダメだって」
「あれ、俺もお前のこと知らんなぁ」
「えつ?」
「ど~こ~の~誰かは~、知~ら~ないけれど~」
「わあぁっ、冗談だよっ」
「で、来るんだろ。一緒に」
「勿論だよ、誘ってくれてありがと」
「ああ」
学校にて。6時間目耐久レースをしていると夏井さんが話しかけてきた。授業をあまり聞いてないのを見破っているっぽいな。
「今日なんかいつもと違うね、緊張してる?」
「ん?そうなのか?」
ちなみにテレパシーで話している。幽霊なのでできるか?と思ってやってみたらできた。俺の考えてること全てが伝わるわけではなく、伝えようとしたことだけ伝わるので便利。
「どこか行くの?もしかして女の子と?」
「ちがうな」
「なんか嘘っぽいよ、先輩に隠し事はだめだよ」
「先輩?夏井さん何年生なんだ?」
「二十年卒だよ。十九年度だけど」
なんだ、俺が平成三十一年度卒になるから十二も上か。
「これからは先輩って呼ぶよ」
「ありがとね、で、さっきの話に戻すよ」
「喫茶に行くんだよ」
「あっいいなぁ、お洒落だね。誰と行くの?やっぱり女子?」
「まあ、そんなとこ」
ちょっとずつ先輩の話し方が変わってきたような、そんな気がした。今まで俺以外の人と話してなかったんだろうな。本来の喋りが戻ってきたのかもしれない。
放課後。部活は不来方に言って免除してもらった。ダッシュで駅へ。そして待ち合わせ場所へ。そこには二人の人影。千秋と明智。
「いやぁすまんな、待ったか」
「いまきたところだよ」
「そっか、行くぞ」
今回の目的、一つ目は千秋と明智を会わせること。もしかしたら千秋が明智のことを見られるかも知らないし、もし認識出来なくても、俺がそれっぽく通訳したりできるだろう。安直な考えだが、女子どうしの会話の方が盛り上がるのではなかろうか。
二つ目はおまけみたいなものだが、喫茶に明智と俺で二人で行ってしゃべってたら、周りから明智が見えないので俺が一人でしゃべってるように見えてしまう。だから明智に美味しいものを食べさせるには千秋がいる。俺が明智と話していても、千秋と話してるように見えるから無問題になるのである。
サンデー二つと紅茶を頼む。ちなみに俺のおごりになっているが、まあ仕方ない。明智は俺が誘ったわけだし千秋にしても俺がどうしても、と頼んだからだ。まあもう少しでお年玉も入るし問題ない。
「この人は?」
「俺の妹の千秋だ。いま中学二年」
「よろしくね、明智さん」
「同い年なんだね、よろしく千秋さん。ボクは明智いろは。いろはって呼んでね」
「俺もいろはって呼んでいいのか?」
「明智クンっていわれるよりはね・・・ボクは探偵じゃないからね」
「じゃいろはって呼ぶことにするよ」
「よろしくいろはちゃん」
「ねぇ、久保田くん。千秋さんと区別つかないから下の名前で呼んでいいかな?よししげくんって」
「よししげじゃ呼び辛いだろう。別のでもいいぞ」
「しげ君でいい?」
「いいぞ」
明智はよく喋る奴なんだなと思った。今日は俺が話を仲介して千秋とも話せるように、と思ったがよく喋られると困る。特にその年の女の子しか分からないようなことはなおさらだ。読者モデルなんてしらん。違和感を悟られないように通訳しなくちゃいけないから余計だ。
「ふーっ、もうお腹いっぱい」
明智がそういうが手をつけたように見えない。
「まだ、残ってるけどいいのか?じゃあ俺がもらうぞ」
手をつけてないように見えるサンデーをとりよせる。質量的なものではなく認識的なもので食事が出来てしまうのか?それならお供え物ってちゃんと効果があるんだな、と余計なことを考えつつひとくち。
「あっ」
「ん?どした?」
千秋も俺の声にきょとんとする。
「これって、えと、その、間接キスだよね」
「気にすんな」
「あわわわわわわわわわわわわっ」
赤くなって湯気をあげている。大袈裟な。
「間接キスくらいどうってことないだろ」
「わわわお兄さん何言ってるの?!」
「だから千秋まで、気にするな」
「気にしますよ」
「そんなもんか?ガキじゃあるまいし」
・・・
明智と別れ、千秋と二人で帰宅。
「ホントにそんな気にするかなぁ」
「ひとそれぞれですけど、いろはちゃんがそういうならダメですよ・・・」
「それはそうと、明智のこと見えたのか」
「・・・見えてない」
「そうか?見えてるくらい見事な噛み合いだったぞ。劇団四季もびっくりだ」
「そうですか?」
「もしかしたら詐欺師の才能もあるかもな」
「それは嫌です」
続きます。
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