9 / 9
☆9 悪魔
しおりを挟む
不安そうな目で、すがるように見つめられるのは悪い気がしない。
「お前の母さんも、そんなすがるような目をしていたよ」
「……え?」
オレがずっと言ってこなかったこと。それは……。
「アイツの許嫁だった、まりあも……逃げだしてきたって言ってたなぁ」
「どういうこと?」
「……この公園で、守の母さんと出会った。そんだけ」
「え、じゃあ……。ボクの父さんは……」
オレはニッと笑うと、「さぁな」と付け加えて、守に背を向けた。
「守が独り立ちしたら逢いに来てだなんて、まりあもロマンチックだよなぁ」
「悪魔!!」
オレはその言葉に、くっくと肩を揺らした。
守は、オレが消えた場所に、何度も何度も叫び続けた。
それがオレの名を呼んだのか、「この悪魔」という意味なのかは、もう知る術がない。
end
「お前の母さんも、そんなすがるような目をしていたよ」
「……え?」
オレがずっと言ってこなかったこと。それは……。
「アイツの許嫁だった、まりあも……逃げだしてきたって言ってたなぁ」
「どういうこと?」
「……この公園で、守の母さんと出会った。そんだけ」
「え、じゃあ……。ボクの父さんは……」
オレはニッと笑うと、「さぁな」と付け加えて、守に背を向けた。
「守が独り立ちしたら逢いに来てだなんて、まりあもロマンチックだよなぁ」
「悪魔!!」
オレはその言葉に、くっくと肩を揺らした。
守は、オレが消えた場所に、何度も何度も叫び続けた。
それがオレの名を呼んだのか、「この悪魔」という意味なのかは、もう知る術がない。
end
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
子猫マムと雲の都
杉 孝子
児童書・童話
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。
ポッケのふくろ
いっき
児童書・童話
一学期最後の日。
僕は一番の親友だったジャンガリアンハムスターのポンを失った。
でも、そんな僕のぽっかりあいた心の穴にフクロモモンガのポッケが入りこんできた。
そして、その夏休み。
僕たちには、かけがえのない『親友』が二人もできたんだ。
かわいらしいフクロモモンガのポッケがつむぐ、愛と友情の物語。
動物を愛する子供たちに贈ります。
※写真は我が家の家族の一員、フクロモモンガのポッケ(♂、7歳)です。
オスなので、頭のてっぺんがハゲています。
前へ
ひみつを食べる子ども・チャック
山口かずなり
児童書・童話
チャックくんは、ひみつが だいすきな ぽっちゃりとした子ども
きょうも おとなたちのひみつを りようして やりたいほうだい
だけど、ちょうしにのってると
おとなに こらしめられるかも…
さぁ チャックくんの運命は いかに!
ー
(不幸でしあわせな子どもたちシリーズでは、他の子どもたちのストーリーが楽しめます。 短編集なので気軽にお読みください)
下記は物語を読み終わってから、お読みください。
↓
彼のラストは、読者さまの読み方次第で変化します。
あなたの読んだチャックは、しあわせでしたか?
それとも不幸?
本当のあなたに会えるかもしれませんね。
デシデーリオ
ねこうさぎしゃ
児童書・童話
田舎の領主の娘はその美貌ゆえに求婚者が絶えなかったが、欲深さのためにもっと条件のいい相手を探すのに余念がなかった。清貧を好む父親は、そんな娘の行く末を心配していたが、ある日娘の前に一匹のネズミが現れて「助けてくれた恩返しにネズミの国の王妃にしてあげよう」と申し出る……尽きる事のない人間の欲望──デシデーリオ──に惑わされた娘のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる