ひかりん

1000

文字の大きさ
上 下
6 / 7
第1章

6 母

しおりを挟む
「あなたが生まれた日に、あの人は星になった」
言葉こそ強く、わたしに真っ直ぐに刺さったが、母の目は驚くほど優しく、唇は震えていた。
「……だから、わたしを?」
怖がらせまいとするように、母はにこっと笑い、その時、母の頬を一粒の涙がつたう。
「傷つけるつもりなんてなかったのですわ!」
「……でも」

「あなたを愛しているから……!」
揺るぎない瞳が、わたしを射止める。

嬉しかった。

「……あなたに、わたくしの悲しみに気づいてほしくなかったんですの……。あなたを守りたかったから……!」
頬を撫でられて、涙がにじむ。

「ひかりん」
いつの間にか真後ろに立っていたムーが、わたしの名を呼び、ドンッと背中を押すから、わたしは、そのまま母の腕の中に倒れこんだ。
「ちょっ! ムー!」

「ごめんね」

「ごめんね」と言った母が、わたしの頭を撫でる。
それまでのことが、すべて愛しさになって、こみあげた。

すぐ近くで、見上げた母は、愛し気に目を細めて、ギュッとわたしを抱きしめてくれた。
しおりを挟む

処理中です...