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次から次へと

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ロ二ストさんの執務室を出て行ったセロスですが、自分がオダ帝国の情報収集を一旦終了させてセロスに指示をしたのはパルン王国の反乱の首謀者を調べて来る事です。

とは言え首謀者だけでなく幹部と思われる者、特に日本人の情報を中心に調べるように伝えています。

流石にセロスもオダ帝国での情報収集よりも危険が伴うと分かっているのでしょう。
話を聞いている顔は真剣そのものでした。

後は日本政府に作らせている社会主義の現実を纏めた物を翻訳し、再度日本政府に製本してもらい、それをロ二ストさんを経由して商人達にパルン王国とその近隣国にばら撒いてもらう感じです。

ロ二ストさん的には商人達が危険にさらされる可能性がある為渋っていましたが、転移ゲートを開く為の目印になる魔道具を持たしてパルン王国に商人を派遣し、現地に着いた頃を見計らい自分がゲートを開きばら撒くという事でロ二ストさんも納得してくれました。

ていうか、ばら撒くの全部自分なんでやる事の多い現状で自ら自分の仕事を増やした感じです。
う~ん、誰かに手伝わせたいけど、いざという時に逃げるとなると影に潜ったり、ゲートを開いて転移出来る自分以外は危険が伴うからな~。

そんな事を思いながらも明日にでも出発予定の商人に転移の際目印になる魔道具を渡してもらって、6日後の夜に転移をすると取り決めをしてプレモーネに戻ります。

明後日の昼に日本政府から原紙を受け取って、頑張って翌日の昼には翻訳したものを渡して、その3日後の昼に製本された物を受け取れば丁度6日後、その日の夜にパルン王国に転移して翌日ばら撒けばいいかな。

うん、ハードスケジュールだ…。
これ日本に戻ったら一生遊んで暮らせるだけのお金でも貰わないと割に合わないよね。

もし日本に戻れて政府がお金くれなかったら、まず労働基準監督署に相談に行くかな…。

236日目

朝、最近の日課としだした遺跡へ魔物狩りに行きその後に相談所の月山部長に翻訳の応援依頼ついでにセロスが仕入れた情報の報告をしに行きます。

相談所に入ると月山部長は眉間に皺を寄せながら新聞を読んでいましたが、自分の顔を見るとコーヒーメーカーを使ってコーヒーを淹れてくれます。

「武内君、日本では政府が公表をした事で異世界転移の話で持ちきりのようだが我々が日本に戻った際の居場所はあるのかな?」

そんな不安を口にする月山部長ですが、恐らく自分だけではなく、すべての日本人が日本に戻った際の事を心配しているのでしょう。

「そうですね、現状戻ったらマスコミの餌食でしょうし、しばらく落ち着くのを待つしかないと思います。 とは言え何人かはマスコミの餌食になって貰わないと騒ぎは沈静化しないでしょうね」
「それはある意味人柱か…。 あまり賛成は出来ないが、実際は武内君の言う通りだろうな」

「確かに人柱になってもらう人には申し訳ないですけど、その辺は目立ちたがり屋の人が居るでしょうから自ら望んで人柱になってくれる人を探すしかないですね。 とはいえ、まだゲートは20センチ四方しか開けませんから人間は通れませんし、その辺はゆっくりと考えておきましょう」
「そうだな、それにしても新聞を見ていると日本の政治家はホントに馬鹿馬鹿しいやり取りをしてるな」

そう言って月山部長は新聞を広げ、記事を指さします。
指で示された先の記事には野党が異世界転移という現象を政府に科学的に証明するようになどと国会で騒いでいる感じの記事です。

科学的にね…。
間違えなく無理だな。
だって情報量が膨大過ぎるし、恐らく科学でも解明できていない部分が含まれているから証明のしようがないんだもんね。

「は~、まあその辺は政府が適当にあしらうでしょ、実際科学的に異世界転移を証明できなくても証拠があるんですから」
「まあそうだな、映像に魔物の死骸、それにサンプルとして金属とポーションを渡したんだろ?」

「はい、その辺を公表すれば野党も黙るでしょ。 まあその後はどうやって転移させられた日本人を救出するのかとか言って騒ぎ出しそうですけど」
「はぁ~、まったく…。 そんなくだらない事より我々が帰還した後の事なんかを話し合ってもらいたいものだな」

そんな話をしつつ、翻訳の手伝いを依頼し、コーヒーを飲みながら雑談を続けていると、グランバルさんの使者が相談所にやってきました。

「ツキヤマ殿…。 あっこれはタケウチ殿もこちらに? 申し訳ございませんが急ぎ領主館までお越しください、緊急の話があるとグランバル様が…」
「緊急の用事?」

「はい、詳細は分かりませんがタケウチ殿の自宅にも使者が向かっておりますので私はその者にタケウチ殿にも伝えたと教えに行ってまいります」

そう言うと使者の若者は走って自分の自宅の方に行ってしまいました。

「武内君、また何かあったみたいだな」
「そうですね、とりあえず領主館に向かいましょう」

自分がそう言うと月山部長は頷き領主館に向かいます。
ほんと、なんでこんなに次から次へと…。

そして領主館に到着すると、グランバルさんは会議室にヌスターロス大陸の地図を広げ待って居ました。

「グランバルさん、なにがあったんですか?」
「マサトにツキヤマか、間者からの報告があった、魔物の大発生だ! 今度は大規模だぞ!」

そう言ってグランバルさんは会議室の地図を指し棒で大量発生した国の上を円を書くようにして示します。

「ていうかバイルエ王国とは国境を接してるけどここからは遠いから問題なくないですか?」
「本来ならそうなんだが、今回はそうもいかん、死の砂漠を魔物が越えて来るなんて前代未聞だ!」

そう言ってグランバルさんが示した場所は、ドグレニム領から北西に位置する国の先です。

「この国の北西方向に細長い陸地がありその先の大陸と繋がってますけどそれが何かあるんですか?」
「ああ、この細い土地を繋ぐ陸地は砂漠なんだ、それも相当距離のある砂漠だ、その砂漠のおかげで魔物が現れなかったのに今回は大量に現れた、それが大問題なんだ!」

グランバルさんはなんな力説をしていますが、自分と月山部長はイマイチ実感が湧きません。

「う~ん、グランバルさんの慌てようを見るに、大問題なんだろうと思いますが、魔物が砂漠を越えたって言っても人間も行き来してるんでしょ?」
「いや、砂漠に足を踏み入れてその先の大陸に言った奴は皆帰ってこない。 この砂漠の先の土地は魔物の巣窟だ。 その巣窟からこちらに来る魔物を阻むのがこの死の砂漠なんだ、それを越えて来るとなるとどれだけの数が押し寄せたのか…」

うん、全くピンと来ない。
ようは砂漠の先が魔物の巣窟で今まで砂漠があるから魔物が来なかったけど、今回はその砂漠を魔物が越えて来た、それだけだよね…。

「まあ、とりあえず、それによって被害はどのぐらいなんですか?」
「現状そこまでは分からんが、分かっている情報としては砂漠の入り口に築いた長城で防いでいるとの事だ」

う~ん、砂漠の入り口に万里の長城みたいなのがあってそこで防衛をしてるって感じでいいのかな?

「グランバルさん、どうせバイルエ王国も情報は持ってるでしょうから今後の情報を待って対策を立てるのがいいかと思いますよ? 今騒いでも今後どうなるか分かりませんし」
「確かにそうだが…。 いやマサトの言う通りだな、それにマサト達に死の砂漠って言っても理解は出来んだろうし」

そう言ってグランバルさんは死の砂漠の先にある土地の説明をしてくれましたが、グランバルさんの情報も推測、お伽話の次元で実際の所イメージが湧きません。

どうやら昔魔物が生まれた場所がこの死の砂漠の先にある土地って言われてるんだね。
それで人が住めなくなったけど、その分魔物が大量に跋扈する土地になったと…。

じゃあその魔物を統率する者がいればそれが魔王って事だね。

うん、自分は勇者じゃないし、魔王討伐は勇者とかにお任せだね。
自分は錬成術師だし、戦闘職じゃないもんね。


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