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それぞれの生き方

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44日目
朝起きて食堂で朝食をとりギルドで素材を受け取る夕方まで時間があるので町をぶらつこうかと兵舎を出ると門の辺りで数人の男女がアモンさんや門番の兵士さんと揉めています。

あ~あれ転移者だ・・・
面倒事に巻き込まれる前に逃げよ・・
そう思い門とは反対の方に歩き出そうとした時、アモンさんの声で呼び止められます。

「マサト!!ちょうどいいところに来た、こいつらに何か言ってくれ」
そう言って呼び止められてしまいました。
いや・・・だって・・・明らかにザ・痛い転移者が居ますもん・・カカワリタクナイです・・。
そう思いながら揉めているアモンさんと転移者の一団の所に行きます。

「あっ、武内さんおはようございます。」
そう言って声をかけて来たのは野沢さんです。
「おはようございます。で何揉めてるんですか?」
そう言うと野沢さんが理由を説明してくれます。
要はアモンさん達は転移者が魔物の居る森へ魔物狩りに行くのを止めていたようです。

「武内さんからも言ってもらえませんか?私たちは冒険者としてこの世界で生計を立てようと思ってるんです。冒険者が魔物を狩らなくてどうやって収入を得るっていうんですか」
そう言って野沢さんは少しご立腹気味に話します。

「うん、それはいいんだけど野沢さん、矢は持ったの?弓だけじゃ魔物狩れないよ?」
「それはもう、しっかりと矢を用意してアイテムBOXに入れてあります。それに槍もナイフもあります!」
そう言って野沢さんは胸を張ります。うん、慎ましい胸だけど・・・
「そう、ならいいんじゃない?」

そう言うとアモンさんが慌てて止めに入ります。
「マサト、ならいいんじゃない、じゃないだろう、何かあったらどうするんだ?」
「まあ、近場の森なら大丈夫じゃないですか?野沢さんもレベル30以上あるし」

「そういう問題じゃないだろう、日本人に何かあったらどうするんだ?」
そう言ってアモンさんは食って掛かります。
まあグランバルさんから転移してきた日本人の安全を最優先するよう指示を受けているんでしょう。

「う~ん、そういうならイルチとウルチを護衛に付けますよ。それなら大丈夫でしょ?」
そう言うとアモンさんは考え込んでしまいます。
「それに野沢さんと沖田君、そして一緒にいる明らかに痛い人とその他の2人も魔物と戦うの初めてでもなさそうですし」
そう言って絶対痛い人とその他2人に目を向けます。

「痛い人って俺の事か?」
「他に居ます?」
「俺の何処が痛い人なんだ?」
そう言って痛い人は憤慨して抗議の声を上げます。

「どう見たって痛いでしょ、そのウー〇ーイー〇の配達員みたいな四角い箱のようなもの背負って」
「これの何処をどう見たらウー〇ーイー〇の配達員なんだ!異世界で宅配なんかするわけないだろう!」
「いや、それはわかりますけどね・・・どう見たってその箱の中に入ってるもの見た瞬間に分かっちゃったんで・・・その歳でそれを着るのはどう考えたって痛いでしょう」
そう言うと痛い人はますます憤慨しているようです。

「お前には分からないのか!!この体からあふれる小〇宙を!!心に小〇宙が溢れ燃え上がるこの気持ちが!!燃えろ俺の小〇宙!!」
「いや、分かりませんから!!心も満タンに、って言いながらガソリンスタンドでガソリン溢れさせて燃やしたら犯罪だよ?」
「ガソリンスタンドは燃やさんし、そのコ〇モじゃない」
いや、まあそれはわかってるんだけどね。

「っで?一応聞くけどその箱の中は?」
そう聞かれた痛い人は胸を張りながら自慢げに口を開きます。
「ペ〇サス!!!」
うん、知ってた・・・だって箱の模様がペガ〇スだもん・・・・

「それを10代の人が来てるならまだいいけど30代が着たらかなり痛いと思わないの?」
「思わん!!男のロマンが分からないのか?」
「そのロマンに同意したくないし、わかりたくもない!」
そう言うと痛い人はヤレヤレと言った感じで自分の事を哀れな目で見ています。
いや、哀れな目で見るのこっちだから、見られる方じゃないから。

「だぁきしめたぁ~!こぉこぉ・・」
「歌うな!!!」
原曲でアニメ好き芸能人でもなくア〇メタル風に歌いだしたのでとりあえず止めました。

「ネレースが日本人はホントによく分からないって呆れてた理由がよくわかるよ。」
そういうと痛い人は疑問を口にします。
「あの神と言っていた女、自分からするとア〇ナが呆れてるだと?」
「いや。ア〇ナじゃないから!!ただの迷惑な神だから!!」

そう言ってバッサリと切り捨てさせて頂きます。
うん、だから明らかに痛い人と関わりたくなかったんですよ・・・・
「因みにレベルと職業と必殺技は?」
そう聞くと痛い人は胸を張って答えます。

「レベルは33で職業は拳闘士、必殺技はペガ〇ス流〇拳と鳳〇天翔だ!!」
「は~、風魔法を圧縮しての連続打撃と火魔法での攻撃って事ね?」
「そうだ!!よくわかったな」
そう言ってキャラクターになりきった感じがウザいです。
「どう考えたってその技使うのには風魔法と火魔法しか考えられないでしょう・・・てかペ〇サスなのにフェ〇クスの技っておかしいだろ!!」

「そこは気にするな!!それにこの取っ手を引くと自動で箱が開き聖〇(ク〇ス)が体に装着され箱と台座はアイテムBOXに収納されるのだ!!」
なんか朝から疲れてきた・・・

「武内さん自分も居ますし、このロンギヌスの槍で魔物も一刺しです!!」
そう言って沖田君は槍を掲げます。

「いや、ロンギヌスの槍ってさ、磔刑に処せられた十字架上のイエス・キリストの死を確認するためにさ、わき腹を刺したとされる槍でさ、イエスの血に触れたものとして尊重されている聖遺物のひとつなだけでさ、刺した兵士さんがロンギヌスさんだったってだけだからね?原型は普通の槍だからね、先端が細く二つに分かれ柄の方はねじれてるそれは、本当のロンギヌスの槍じゃなくてエ〇ァの奴だからね?」
「いやこれが本物のロンギヌスの槍です!!」
そう言って沖田君も譲りません。

うん、痛い人2人だった・・・もういいや・・・

「アモンさん・・・とりあえずイルチとウルチを付けますんで夕方までに帰ってくるって事で好きにさせてやってください。」
疲れた感じでそう言うとやり取りを聞いていたアモンさんも諦めたようで夕方までに帰ってくること、森の奥まで行かない事を条件に許可を出しました。

「マサト、本当によかったのか?」
「まあ止めても無駄ですし・・・オークにでも頭殴られれば少しはまともになるでしょ・・」
そう言って森に向かっていく一行を見送ります。
うん、ツカレタ・・・

?というか劇場作って転移者の女の子でアイドルユニット売り出したら売れるんじゃね?
痛い人を見ていたらそんな気がしてきました。
メイド喫茶とかも行けそう・・・。
うん、グランバルさんに今度相談してみよう。
そう思いながら森に行く一行を見送って取り合えず町の薬屋を目指します。

異世界と言えばポーション!!話を聞くとポーションがあるとの事なのでポーションを買いに、そしてあわよくば作り方を調べに向かいます。
うん、作れたら売りさばいて金儲けできるしね。
そう思いながら薬屋を目指します。

「こんにちは~」
そう言て入ったのは大通り沿いのギルド近くにある薬屋さんです。
「いらっしゃいませ~」
そう言って迎えてくれた女性を見た瞬間何か違和感を感じます。

「ポーション買いに来たんですけど、どんなポーションがあるんですか?」
「売ってるポーションの種類ですか?」
「種類もそうだけど効果とかも教えてほしいんだけど」
そう言うと女性店員さんは不思議そうな顔をしてます。
「ここの人たちってポーションの効果とか知ってると思ってたのに知らない人居るんだ・・・」
そう言って自分の事をマジマジとみています。

「まあ日本から来たからこの世界のポーションっていうかそもそも日本にポーションなんてなかったからね」
そう言うと女性店員の顔が急に明るくなります。
「あなたも転移者?私も転移者なの!!」
そう言って女性店員さんは手を取ってブンブン上下に振ります。
「私は、山下みくっていうの。あなた名前は?」
名乗られたので名乗らないわけにはいかないので自分も名前と年齢を教えます。
「武内真人さんね。てうかホントに35歳?どう見ても20代前半にしか見えないのに」
そう言って山下さんはまじまじと顔を見ます。

「う~ん、レベルが上がると若返り効果があるみたいな?」
そう伝えるとなんとなく納得したようなしないような感じの顔をしています。
「まあいっか。でポーションよね。」

そう言って教えてもらったポーションの種類は、傷用・MP回復用・毒用・麻痺用・病気用の5種類が基本だそうで他には全てに効果のあるポーションもあるそうです。

「傷が治るって一瞬で?」
「傷の度合いにもよるけどシュワ~って感じで治るよ。」
「腕とか無くなっても生えてきたり?」

「アハハハ、それは無いよ、って言いたいとこだけどまあ話を聞くとそういう強力なポーションもあるらしいけど錬金術のレベルどれだけ必要なんだって話よね」
「この世界は基本を押さえたファンタジー要素はあるんだ・・・」
そう言って笑いながら雑談をします。

どうやら山下さんは職業に錬金術師を選んで転移後保護されてこの町に来て錬金術を活かしてここで働いているようです。
とりあえず傷用・MP回復用・毒用・麻痺用・病気用のポーションを20個ずつ購入し薬屋さんを後にします。

うん、自活できている日本人を発見すると安心するな・・ついでに錬金術でポーション作れるんだ・・今度行ったら材料聞いておこ。
そう思いながら町を散策していると露店のお兄さんに声をかけられます。

「そこのお兄さん!アクセサリー1ついかがですか?他にはない作りですよ!!」
そんな掛け声で客を呼び込んでいます。
アクセサリーなんかいらないんですが何となく露店をのぞき込むと見た事あるブランドやらロゴなどが刻まれたアクセサリーが沢山並んでます。

「お兄さん、このデザインってこの世界のもの?それともパクリ物?」
何となく気になったので質問をします。
「何言ってるんですかお客さん!この斬新なデザインがパクリ物の訳ないじゃないですか~」
そう言って店員さんは笑っています。
うん、どう見てもパクリ物なデザインなんでけど・・・

「ふ~ん、シ〇ネルとかさ、これなんかスカイツリーで、ていうかこのザリガニの頭みたいなやつヴ〇ル・ヴ〇ロじゃない?てかMAのイヤリングってどうなの?」
そう言うと露店のお兄さんは驚いたようにこちらを見ています。
うん、この人も転移者だ。
そう思って再度声をかけます。

「あ~自分は武内真人って言います。因みにお名前は?」
「転移した人っすか?自分は望月雄二っていいます。」

そう言って目を輝かせている望月君、21歳の大学生だそうです。
因みに望月君の知り合いの転移者の女の子が服屋を出店するために服を製作しまくってるんだそうです。

うん、知らぬ間に日本人がプレモーネの町に溶け込んでる・・
そう思いながら少し雑談をしました。
服を作っている子は手縫いの為思うように製作が出来ず焦っているようです。
うん、なんか手縫いとか大変そうだからアイテムBOXにあるミシンを魔道具化したら女の子にあげよう。

そんなこんなをしながら時間をつぶし、夕方が近くなったので解体も終わってるでしょうからギルドに向かいます。
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