上 下
16 / 252

町まであとどのくらい?眷属化はどうするの?

しおりを挟む
ゾルスのキング時代の苦労話はなかなかでした。
通常のゴブリンはかなり知性が低く強いものと餌にありつける環境を選ぶようで、エサが得られない群れはすぐに数が少なくなり反対にエサを得やすい群れは大きな群れになるとの事、また、群れのヌシはゴブリンキングとは限らずゴブリンロードだったり、ゴブリンシャーマンだたりもするそうです。

また、ゾルス達に出会った森や今いる森の事とかを聞いたのですが、森には多様なモンスターが生息してるようで、大きな群れをなすのは、ゴブリン・オーク・オーガなどだそうで、ゾルスがヌシだったころは、まれにオークやオーガの群れに襲われた事もあり、特に冬の時期はエサが少なくなるのでモンスター同士の争いが激しいそうです。

そんな話を聞きながら1時間くらい歩いているとハンゾウが短剣を構えシャドートレーニングをしていました。

「ハンゾウ、今晩泊まる場所確保できた?」

そう声をかけるとハンゾウはトレーニングを中断しこちらですと案内をしてくれます。
場所は、ハンゾウが居たあたりから200メートル程奥に入った場所で昨晩と同様ロゼフが土魔法で崖に穴を掘り洞窟のようになってます。

周りは平坦な感じですので周りの木々を切って更地にしたら訓練とかには適しているかもしれません。

「マサト様お待ちしておりました、本日はここで夜をあかしましょう」

そういうとロゼフはゾルスに洞窟周りの木の除去を依頼しているようです。
錬成で地面を緩くすれば木を根元から抜きやすいかもとゾルスに伝え実験をしてみます。
結果は成功でした。

錬成で地面を柔らかくしてゾルスが力任せに木を引き抜く、さすがゴブリンキングだけあって周囲1メートルくらいの木を軽々と引き抜いていきます。

日が傾くころには洞窟を中心に周囲100メートル程の更地が出来上がりました。

「うん、なんかすっきりしたね」
「そうですな・・・ちょっとやりすぎな感じが致しますが・・・・」

ロゼフがそう言い周りを見渡します。
うん、確かにやりすぎたかも。
あとは何かの折に役に立つかもしれないので抜いた木の枝を切り、丸太にしていきアイテムBOXに収納しておきます。
あとはロゼフに地竜とアトゥロォゥシャスタートルの洗浄を依頼します。

「ロゼフ、さっき掘り出した地竜とか泥まみれだから水魔法で洗って泥落としてもらえる」
「お安い御用です。ただ地面が土ですので水で洗っても完全に綺麗にはなりませぬぞ」

確かに、大きな石を持ってきて錬成で台を作るか。
ロゼフ、この辺に大きな岩ある?

「あちらのほうに少し行けば大きな岩がありますが」
「じゃあ取ってくる。」
「マサト様、1人では危のうございます。わたくしもお供いたします」

そういうとロゼフは岩があるほうを案内するといって先導してくれます。
うん、俺って過保護にされてる?自分がまともに戦ったのって逃げるゴブリンを後ろから木の棒で殴ったのと石で撲殺した2回だけのような気が・・・・
そう思いながらロゼフの後をついていくと横幅5メートル縦2メートルくらいの大岩がいくつかあります。

「このくらいの大岩でよろしかったでしょうか?」
「うん、大丈夫」

そう言いアイテムBOXに岩を収納して、ほかの大岩も3個ほど収納しておきます。

「じゃあ戻ろうか」

そう言い元来た道を戻ろうとしたところ何かが近づいてきます。
「ガサガサ」「ブゥヒーブブ」
「ブゥフヒー」

あっ異世界で初のオークだ・・・・ほんとに豚の顔にデプッってした体型。まんまじゃん!!

「マサト様、お下がりください、ここは私が」
「ロゼフ待って、これは自分で倒す、初めてまともに戦闘する機会だから」

「しかし・・・」
「まあ危なくなったら助けてね」

そういうと昨晩作った日本刀型の剣を抜き魔力を流し付与を施します。
オークは警戒という言葉を知らないかのように無造作に向かってきます。

「なめられてるのか、バカなのか」

そう呟くと足に力を込め一気に地面を蹴り間合いを詰めます。
刃を横にしてすれ違う瞬間に胴を切ります。そして振り向きざまに右側から袈裟懸けで切り裂きます。

ザシュッ!!

オークはそのまま倒れこみ息絶えたようです。

「はぁ~意外と何とかなるな・・・」

そう独り言をつぶやいているとロゼフが満面の笑みで近寄ってきます。

「マサト様、お見事です。剣術を嗜んでおられたとは」
「剣術というか剣道と居合道」
「剣道と居合道とは?まあ剣技には変わりございませんな、いや~お見事でした」

なんかべた褒めのロゼフですが、魔石の回収と死体の処理は任せろとの事なのでロゼフに任せてゾルスのいる洞窟のほうに戻ります。
洞窟の方ではゾルスが石を並べ焚火をする場所を作ってました。
とりあえず邪魔をするのもなんだし、地竜を洗う台を作るのが先決なので洞窟から離れた場所にアイテムBOXから大岩を出して錬成で高さ50センチくらいの平らな台座を作ります。

「よし、これでこの上に地竜を乗せて水魔法で洗えば泥が落とせるね」

そうこうしてるうちにろロゼフが戻ってきたので地竜の洗浄を頼みます。
地竜の洗浄が終わりアトゥロォゥシャスタートルを出した時のロゼフの顔は傑作でした。
まさに開いた口が塞がらないとはこのことでしょうか・・・・
亀ではないとの事でしたが形は亀に似て平らで背中の部分が大きな鱗で追われています。
確かに鱗が亀の甲羅に見えるな・・・。

ロゼフいわく2本角の地竜よりこの鱗は固くて丈夫なんだそうです。
そうこうしてるうちに偵察に行っていたバルタが帰ってきました。

「マサト様、ただいま戻りました」
「で、どうだった、今どのあたりかわかった?」
「はい、結論から言うとここから城塞都市までは半日とかかりません」

「このまま川沿いをしばらく行くと森が切れ平地が現れます。そこからしばらく行ったところに城塞都市がございます」
「よかったじゃあ明日には着くね」
「左様で、明日の日が昇るころにここを出れば町には日が昇りきる前に到着致します」
「じゃあ明日の朝一で出発だね」

なんだかんだでどうやら普通に森を歩いて町を目指すより早く町に到着しそうです。

「土砂崩れに増水にトラブルが多かったけど結果早く着きそうでよかった」
「土砂崩れも増水もマサト様、が原因ではございましたが・・・」

ロゼフが痛いところをついてきます。
横着をしようとした結果大惨事がおきましたが結果オーライです。
ただ問題があるとするとゴブリンであるゾルス達4人は町に入るどころか近づいたら攻撃を受ける可能性もあります。

「ロゼフ、眷属化の話だけど、魔石を使ってどう眷属化をするの?」
「わたくしが昔見た書物によると、主人の血で書いた魔法陣と魔石をもちいて眷属とのつながりを強化する、と記載がありました」

「魔法陣?どんな魔法陣?」
「それが・・・・特にその記載はなく魔石もどの様に使うのかも記載がなかったので・・・」
「うん、魔法陣とかわからないけど、とりあえずやってみようか・・・・」

そう言って現在手持ちの魔石を確認します。

ゴブリンの魔石、約400個
オークの魔石、1個
一角地竜の魔石、6個
何のかわからない魔石、52個

「とりあえず、地竜の魔石1個とゴブリンの魔石50個、何のかわからない魔石10個でやってみよう」
「マサト様、いきなりそんなに多くの魔石を使って失敗でもしたら魔石がもったいないですぞ」
「まあその時はその時で・・、じゃあ誰からやる?」

ゾルス達4人は顔を合わせてお前が、いやお前がって感じの会話を目でしてます・・・・
じゃあ俺が、いや俺が、じゃあ俺が、どうぞどうぞ・・・的な流れにはならないようです。

「拙者が・・・・」

沈黙に耐えかねたのか、ハンゾウが名乗り出ました。
うん、現状一番の新入りだし通常のゴブリンだから上位ゴブリンの圧力には抗えないんだろうね・・
人間社会もゴブリン社会も似たようなもんだね。

「じゃあハンゾウから眷属化してみよう、とりあえず、そこの台の真ん中に寝て」

そう言うとさっき地竜を洗った石台の真ん中ににハンゾウ寝かせます。
魔石をどう使うのかわからないのでロゼフと話し合った結果ハンゾウの体の上に並べていきます。
仰向けに寝るゴブリンの上に並べられる魔石・・・・うん、異様な光景です、ちなみにハンゾウは最初に手を挙げたので地竜の魔石を2個、ゴブリンの魔石を100個、オークの魔石を1個、その他魔石を15個使用します。

あとは主人の血が必要との事ですがどの程度血が必要なんでしょう。2.3滴ってことはないよね・・・
意を決してナイフで手首を切ります。
生暖かい感触が手を伝い石の上に流れていきます。
時間をかけると血がもったいないのでそのまま石に手を当て石の上に広がる自分の血に魔力を流し込み魔法陣をイメージします。

「おお、マサト様、五芒星の魔法陣ですな、いや六芒星ですか?」

五芒星と六芒星どちらか迷っていると魔法陣もそれに応じでコロコロ変わるようです。
とりあえず全く他意はありませんが六芒星にします、決してエロイムエッッサイム、エロイムエッッサイム我は求め訴えたり・・・とかの影響ではないはずです。

血に魔力を流し込み六芒星の魔法陣を形成しあとは眷属化した後のハンゾウをイメージします。
素早く俊敏に動き、気配を絶って獲物に近づき、2本の短刀で舞うように戦う姿を・・・
そして魔法陣の魔力をハンゾウに集中するように収束していきます。

魔石が光だしハンゾウに吸い込まれていきます。
すると死霊術を使った時よりも強く太く何かがリンクする感覚がありました。

「成功した?」

そういうとハンゾウを見ます。あれ?なんか少し背が伸びてゴブリンより人間っぽい顔つきになった?
当のハンゾウは自分に変化があったのかよくわかっていない様子です。

「ロゼフ、これは成功?それとも失敗?」

とりあえず眷属化言いだしっぺのロゼフに聞いてみますが回答は返ってきません。

「ハンゾウ、何か変化はあった?」
「よくわかりません。ただ力がみなぎるような感じではあります」
「ハンゾウ影に潜れる?」
「影ですか?やってみます」

そういうと影に潜るイメージを教えてもいないのにハンゾウが影に潜っていきます。
一応確認のため自分も影に潜ると影の空間にハンゾウが居ます。
リンクが強くなり血のつながりが出来た影響か影魔術の影に出入りできるようになったようです。
恐らく眷属化は成功のようです。・・・多分

影から出てハンゾウには自分の体と戦闘能力が上がっているか確認するように言ってゾルス達の眷属化も行います。
一人が終わって無害だとわかるとあとは自分から自分からとなりましたのでゾルス、ロゼフ、バルタの順に眷属化をします。

ゾルスは今の体格よりさらに引き締まった体で大剣を振るう怪力をイメージします。
ロゼフは魔力が体に満ち、魔法を放つ知的な感じをイメージします。
バルタは華麗に槍を振るい、舞うような体捌きをイメージします。

結果ゾルスは以前に比べ一回り小さくなった感じですが筋骨隆々な感じに。
ロゼフは知的な感じの中に強力な魔力を秘めた感じに。
バルタはゾルス程ではないにせよ筋骨隆々でしなやかな感じになりました。
3人とも影に入れるようになってます。

影の出入り等の制約は今後検証していきます。
なんだか今日はとても疲れました。
ハンゾウを含め4人は自分の体の状態を確かめるべく各々好き勝手に訓練をしています。
少し寝るので、しばらく各自で体を確かめて晩御飯の時に起こしてと伝えて洞窟でひと眠りします。

まあ眷属化が成功して4人が影に入れるようになったのでこれで町に入る際の心配はなくなりました。
うん、少し眠ります・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
眷属ステータス
------------------------------------------
名前:ゾルス  ゴブリンキング(眷属)
LV:53

HP:984
MP:165
体力:∞
筋力:698
敏捷:257
知力:62
物理耐性:380
魔法耐性:200

スキル:
上級大剣術LV1  中級剣術LV8  中級格闘術LV9

------------------------------------------
名前:ロゼフ  ゴブリンシャーマン(眷属)
LV:73

HP:352
MP:761
体力:∞
筋力:257
敏捷:196
知力:93
物理耐性:90
魔法耐性:260

スキル:
中級火魔法LV7  中級水魔法LV5  中級土魔法LV5  中級治癒術LV1
死霊術LV3
------------------------------------------
名前:バルタ  ゴブリンロード(眷属)
LV:65

HP:708
MP:189
体力:∞
筋力:579
敏捷:283
知力:58
物理耐性:210
魔法耐性:160

スキル:
上級槍術LV1  中級棒術LV9  中級風魔法LV1

------------------------------------------
名前:ハンゾウ  ゴブリン(眷属)
LV:21

HP:167
MP:86
体力:∞
筋力:128
敏捷:271
知力:28
物理耐性:45
魔法耐性:45

スキル:
中級短剣術LV1   格闘術LV7   気配遮断極  暗殺術LV5
------------------------------------------
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

えと…婚約破棄?承りました。妹とのご婚約誠におめでとうございます。お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております

暖夢 由
恋愛
「マリア・スターン!ここに貴様との婚約は破棄し、妹ナディアとの婚約を宣言する。 身体が弱いナディアをいじめ抜き、その健康さを自慢するような行動!私はこのような恥ずべき行為を見逃せない!姉としても人としても腐っている!よって婚約破棄は貴様のせいだ!しかし妹と婚約することで慰謝料の請求は許してやる!妹に感謝するんだな!!ふんっっ!」 …………… 「お姉様?お姉様が羨ましいわ。健康な身体があって、勉強にだって励む時間が十分にある。お友達だっていて、婚約者までいる。 私はお姉様とは違って、子どもの頃から元気に遊びまわることなんてできなかったし、そのおかげで友達も作ることができなかったわ。それに勉強をしようとすると苦しくなってしまうから十分にすることができなかった。 お姉様、お姉様には十分過ぎるほど幸せがあるんだから婚約者のスティーブ様は私に頂戴」 身体が弱いという妹。 ほとんど話したことがない婚約者。 お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております。 2021年8月27日 HOTランキング1位 人気ランキング1位 にランクインさせて頂きました。 いつも応援ありがとうございます!!

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

婚約破棄したのはそっちよね? 今更泣いて縋っても無駄よ! あとお兄様がクソ。

百谷シカ
恋愛
「エリアナが婚約!? 馬鹿な……取り返さなくては!!」 「え?」 「こうしちゃいられない。ルシア、君との婚約は破棄させてもらう!!」 「ええ?」 「エリアナ~! 目を覚ますんだぁ~っ!! 愛してるぅ~ッ!!」 こうして私ウィッカム伯爵令嬢ルシア・フラトンは婚約破棄された。 マーニー伯爵令息ブランドン・コーンウェルは幼馴染を愛していたのだ。 ブランドンの幼馴染ソマーズ伯爵令嬢エリアナ・パターソン。 そのエリアナに求婚したクレヴァリー伯爵レナード・マッコーコデール。 手を取りあって見つめあうふたりに突っ込んでいく、ブランドン。 「みっともない。お前に魅力がないせいで恥をかいたぞ!!」 兄エドウィンは私を責めた。兄の婚約者イヴェットは私を嗤った。 「大惨事だ。エドウィン、イヴェット。ルシアを頼む」 父は大慌てで事態の収束に務めた。 なんといっても私たちはロイエンタール侯爵家の昼食会に招かれている身。 スキャンダルを起こすなんて言語道断……なのに。 「あなたのせいよ、ルシア」 イヴェットの目が悍ましく煌めく。 私は罰として、衣装室に閉じ込められてしまった。 「大丈夫かい? 恐くないから、出ておいで」 助けてくれたのは、ロイエンタール侯爵令息ドミニク・ハイムその人だった。 でも、私は彼の優しさを信じられなくて…… =================================================== 『「華がない」と婚約破棄された私が、王家主催の舞踏会で人気です。』のドミニク卿の物語です。 この物語だけでお読み頂けます。

【完結】転生したら「人魚姫」でした

若目
恋愛
17歳で亡くなって、転生したら人魚姫でした。 そう、あの有名なアンデルセンの「人魚姫」です。 でも私は海の泡になんてなりたくない! だから王子様を見つけても助けないし、海の魔女のところにも行きません! ずっと海底で、家族と楽しく暮らすの! どうせ王子様は別の女性と結婚するのだし、放っておいても、みんながみんなハッピーエンドで済むはず! でも、事はそう簡単に運ばなくて……

グッドデザインシティ

畦道伊椀
SF
何もかもが完璧に設計された街、グッドデザインシティで起こる悲劇と救い

【完結】そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして

Rohdea
恋愛
──ある日、婚約者が記憶喪失になりました。 伯爵令嬢のアリーチェには、幼い頃からの想い人でもある婚約者のエドワードがいる。 幼馴染でもある彼は、ある日を境に無口で無愛想な人に変わってしまっていた。 素っ気無い態度を取られても一途にエドワードを想ってきたアリーチェだったけど、 ある日、つい心にも無い言葉……婚約破棄を口走ってしまう。 だけど、その事を謝る前にエドワードが事故にあってしまい、目を覚ました彼はこれまでの記憶を全て失っていた。 記憶を失ったエドワードは、まるで昔の彼に戻ったかのように優しく、 また婚約者のアリーチェを一途に愛してくれるようになったけど──…… そしてある日、一人の女性がエドワードを訪ねて来る。 ※婚約者をざまぁする話ではありません ※2022.1.1 “謎の女”が登場したのでタグ追加しました

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

処理中です...