上 下
28 / 39

穢れがつく? 迷信は信じません

しおりを挟む
泰経さんに陣触れを発して貰い、兵が参集するまで2日程との事なので、それまでは石神井城内にある自分用の家で照姫さん、椿姫さん、桔梗姫さんと過ごす。
普段はいつも自分が居た現代の話など聞いて来たり、隙を見つけては密着しようとして来る3人が、出陣前は…、と言って城内の別室に行こうとしたので引き止めて4人で時間の許す限りのんびり過ごす。

椿姫さんも桔梗姫さんも自分の両親が住む城へ大軍が迫っているという事もあり浮かない顔をしつつも、武家の習いですのでと気丈にふるまっている。

「景春さんの方は道灌さんに援軍を送れなくする為の陽動みたいなものだから大丈夫だよ。 それに道灌さんも川越城の防備を強化してるし、近隣の国人領主から援軍も来て兵糧も豊富だから大丈夫。 今回の合戦は道灌さんの手腕に依るところが大きいけどちゃんと作戦立ててるし」

浮かない顔の2人をそう言って安心させようとするものの、やはり6万の軍勢が向かっていると聞いて特に椿姫さんは心配そうな顔をしている。

「そうだ、今夜から一緒に寝よう」
突然の提案に驚く3人に、必死で何もしないと言い、同じ部屋でなるだけだと伝える。

「しかし…、合戦の前は…」
「仕来りだよね、ただ自分としては迷信でしかないし、歴史上には合戦に奥さんを連れて行ったり家臣の奥さんを呼び寄せさせたりした人も居たから大丈夫。 まあ鼾や歯ぎしりしてたらうるさくて寝れないかもしれないけど、多分鼾も歯ぎしりもしないから大丈夫だと思うよ」

そう言って笑いかけるも、合戦に向かう男に女性は近づいてはいけないと言われ育てられてきた為か3人とも躊躇っていたけど、最終的に3人がおれて同じ部屋で寝る事になった。
うん、下心が無いとは言わないけど、元気の無い2人の憂いを取り除く為だよ。

合戦前の仕来りなんて気にしない理由をコンコンと説明し納得してもらったら、寝る前にお風呂に入ってる時に、背なかを流しますって3人がやって来ちゃったけど、見たくて見たんじゃなくて見えてしまったから事故だからね!!
うん、目の保養になった…。

同じ部屋に布団を並べ川の字になって寝て、翌朝4人で朝食を摂り、泰経さん達と打ち合わせをした後は自分の家で3人と過ごす。

それにしても女の子3人と同じ部屋で寝るのってドキドキするな…。
キャリーバッグに入ってたシャンプーやリンス、ボディーソープを使用してると言っても自分も同じものを使用してるから香りは同じはずなんだけど、なんか違う。
これが女の子の香というやつか?

日本では女の子に縁が無かったから知らなかったけど、これが女の子の匂いなのか?
コッソリ隣に寝てる照姫さんの布団に潜り込みたい衝動に駆られるけど、そこは理性を最大限に動員して耐えた!!

いきなり布団にモゾモゾと入って来て身体を触られてトラウマになったら困るし、何よりまだ犯罪者にはなりたくない。
この時代では犯罪にはならないんだけど、この一線だけは越えたらいけない気がする。

でも寝息立ててる3人の寝顔凄くかわいいんだよね。

これが出陣前に女性を近づけてはいけない理由か?
実はドキドキして寝れず睡眠不足になるから女性を近づけさせないと言う風習が産まれたのか?

今度4人で寝ても大丈夫な大きな布団を作って貰おうかな…。

泰経さんからも女性は遠ざけるものと言われたけど3人にした説明をコンコンと説いて納得して貰った。
なんか泰経さん、じゃあ某も今晩は…、とか言ってたけどその前に18歳以上の側室候補見つけてよね。
「照達が居るでは無いですか」ってまだ14歳~15歳なんだから!!
そんな心の叫びも婚姻年齢が違うこの世界ではある意味異端のようだ。
3人が嫌なわけではないけど、どこかに名家のお嬢さんで18歳以上の人居ないかな~。

そして部屋に戻ると、キャリーバッグに着替えを詰め込んでいるとなんかこれから出張にでも行くような気分になって来るけど明日出発するのは出張では無く合戦だと言い聞かせ準備をする。
尚、今回は鎧櫃を持っていく事にした。
荷と長持を合体させた車長持に日々補充される物を保管して必要に応じてその場で褒美として渡すとかする予定だ。
何より饅頭と最中が毎日補充されるので甘味に飢える事も無いし参集した国人領主へ参陣の労いとして各1個づつ渡したり出来るから持って行った方が良い気がしたからだ。

それにキャリーバッグとリュック型ビジネスバッグが多くなったら石神井城に送れば良いだけだし。
若干荷物が増えるけど役に立つこともあるから問題は無いよね。

ただ異世界定番のアイテムBOXとかは欲しかったな…。
城内、城外で準備が完了しつつある荷駄の数、アレを運ぶだけでも相当な労力になるから出来ればその労力を無くしたいんだけど…。

牛もまだ数が増えて無いから牛に牽かせる訳にもいかないし、今後の課題だ…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※補足
小荷駄・荷駄
当時の人は兵站と言う概念は無く荷車に食料などを積んで合戦に赴き、食料が無くなると近隣から購入したり奪ったりしするか撤退をする事が多かったそうです。
その為、大きな勢力を有する人の軍を除いて、敵に籠城をされると長期間に及ぶ兵糧攻めとかはあまり出来なかったそうです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す

佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。 誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。 また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。 僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。 不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。 他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います

何者でもない僕は異世界で冒険者をはじめる

月風レイ
ファンタジー
 あらゆることを人より器用にこなす事ができても、何の長所にもなくただ日々を過ごす自分。  周りの友人は世界を羽ばたくスターになるのにも関わらず、自分はただのサラリーマン。  そんな平凡で退屈な日々に、革命が起こる。  それは突如現れた一枚の手紙だった。  その手紙の内容には、『異世界に行きますか?』と書かれていた。  どうせ、誰かの悪ふざけだろうと思い、適当に異世界にでもいけたら良いもんだよと、考えたところ。  突如、異世界の大草原に召喚される。  元の世界にも戻れ、無限の魔力と絶対不死身な体を手に入れた冒険が今始まる。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

処理中です...