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第四章 翼衣專店

第十八話 犯人逮捕【中編】

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 現皇太子だけでなく先代皇派も巻き込むとなれば、犯人がどちらの派閥に属していたとしてもただでは済まない。

「犯人を捕まえましょう。服を駄目にして終わりとは思えません」
「そうだな。犯行に及ぶなら営業後だろう。俺と数名で張り込みをするから響玄殿は薄珂と立珂を安全な場所で」
「僕もはりこむ!」
「うわ!」
「立珂。お話の邪魔しちゃ駄目だ」
「薄珂? お前いつからそこに」
「裁判になるあたりから」
「僕もはりこむ! 侍女の誰かでも絶対に許さないよ!」

 立珂は珍しく怒っていた。これほど固い決意をした立珂を止めることなどできるわけがない。
 玲章はぽんっと立珂の頭を撫でた。

「そうだな。捕まえよう」
「うん!」

 そして、日中は薄珂の指示通りの営業をした。
 急なことだったが客は皆喜び、立珂もお喋りできるのが楽しいようで終始笑顔だった。
 好評のうちに営業は終了し、三日で終わるのはもったいないほどだ。

「今日は盛況でしたわね」
「過去一番じゃないかしら。薄珂様の機転は素晴らしいですわ」
「私達は在庫の縫製を急がなくてはね」
「ええ。じゃあ鍵はいつも通り隠して、と」

 侍女の二人は大きな声で喋り、鍵を扉の傍にある鉢植えに隠した。

「さあ帰りましょう」
「それじゃあまた明日」

 盗難に入られたとは思えない雑な隠し方だが、これには目的があった。
 犯人が店を潰す目的なら今日の成功を妬みまたやって来るに違いない。ならばあえて呼び込み、そこを捕まえようという狙いだ。
 店の中には玲章とその部下数名、響玄、そして薄珂と立珂が待ち構えているのだが――
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