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第八章 リルとの別れ……魔王ガルドとの戦い

第210話 ユニークスキル『血族の縛り』

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「うっ……ちっとは眠れたかな」
 目が覚めるとテントの中で寝かされて
おり傍らにはさくらとジャンヌが居た。
どちらに声をかけようかと悩んで、
ジャンヌに声をかけた。

「ジャンヌ、状況はどうなった」
 ムスッとするさくらを横目にジャンヌの
報告を聞く。

「ご主人、まずは大変遅れて申し訳
ありません!まさかご主人様にこの様な
怪我させてしまうとは騎士として
あるまじき行為、いかなる罰でも受ける
覚悟はできております」
「ジャンヌさん罰とかないんで状況
教えてくれる?」
 相変わらずジャンヌは真面目だな~
だいだい俺がお使いに出して居なかった
のに罰なんてあたえね~よ。
 もしも悪いとしたら俺が弱い事と
攻めて来た竜人族だしな。
「なぜです~ご主人様は私めに罰すら
与えてはくれないのですか~」
 うるうると罰を与えられないで
悲しむジャンヌ、なんで罰が貰えないで
泣くんだよ!意味わからんぞ。
「はいはい、罰が欲しいのね!
よ~し罰をやろう!
ちょっとこっちに顔を向けろ」
 ジャンヌは嬉しそうに顔を向けたので
額に手を添え
「状況報告しろって言ってるの!」
 デコピンをしてやった!
「痛い~………ご主人?」
 呆けるジャンヌ、ホント可愛いヤツ
だよな!

「ムッ!」
「え!?」
 さくらが不機嫌な顔を俺の真正面に
持ってきて何かを訴えている?

「どうしたさくら、なんかあったか?」
「なんかあったのか?じゃないですよ!
私達に言う事があるよね~
蒼字(そうじ)くん~」
 さくらがグイグイと威圧してくる。

「さくらさん、ご主人様はお疲れなのです!
それ以上近づかないで下さい」
 俺はジャンヌにぐいっと引き寄せられ、
ジャンヌに抱きしめられる。
 よりムッとするさくら、
「話は終わっていません!ジャンヌさん
離して下さい」
 さくらは俺の手を掴むと引っ張る。
「イテテテテ、離して!」
 
「さくらさん離して下さいー」
「ジャンヌさんこそ離して下さいー」

 尋常じゃないステータス持ちの
二人で引っ張りあえば痛みも尋常
じゃない!助けてー

「おい!二人共そのくらいにしろ!
一応そいつは怪我人だからな!」
 
「あ!先輩」
「風太くん?」

「久しいな~さくら、悪いが離して
やってくれ」
「あ!はい」
「ジャンヌもだ!」
「分かりました……シュン」

 風太のおかけで開放された。
取り敢えず状況が知りたい。

「風太あれからどうなった?」
「あ~俺もさっき来たばかりで詳しくは
知らん外にアルヴィア姫が居るから
呼んでくるが!」
「いや、姫様を呼ぶとか失礼だから、
俺が行く!」ゆっくりと上半身を上げる。

「蒼字(そうじ)くんまだ動いちゃ
ダメだよ!怪我がまだ全然治ってない
んだよ!」
「あ~ま~そうだろうな!
身体イテェーもんな、でも応急処置は
してくれたんだろ。楽にはなってる
ちょっと動くくらいは大丈夫だよな」
「も~蒼字(そうじ)くんはいつも人に
心配かけ過ぎだよ~無理しないで私達を
もっと頼ってよ!」
「ん?いや頼ってるけど」
「全然足りてないんだよ!でもそれは
私達が頼りないからだね」
 さくらは落ち込む。
「そんな事ないよ!」 
 俺は笑って答えた。

 テントを出たところに一花(いちか)
さんと陽菜乃(ひなの)が居た。

「お!出て来た。修羅場だった?」
 陽菜乃は楽しそうにふざけた事を
聞いてくる。
「蒼字(そうじ)くんもちろん
さくらを選んだよね!」
 一花(いちか)さんは詰め寄って来て、
意味の分からない事を言っている。

「はぁー二人は大丈夫そうだね!
アルヴィア姫はどこに居るかな?」
「OK!案内するよ~」
 陽菜乃(ひなの)が先導して案内を
してくれた。
 少し歩いたところにアルヴィア姫と
アルバート団長そして護衛の兵士が居た。

「もう動いても宜しいのですか
蒼字(そうじ)」
 心配そうに尋ねるアルヴィア姫。
「いいわけじゃないけど動ける。
竜人族の奴らはどこに居るんだ?」
 俺は周りを見るが、戦闘で
めちゃくちゃになってしまった地面
しかない。兵士達も運ばれて治療を
受けているのだろう。

「彼らはそちらのテントの中です。
今から牢屋に移動する予定です」
「悪いがアルヴィア姫、そこに案内
してくれるか」
「ええ、構いませんが……」

 アルヴィア姫直々に案内をされ移動する。

 お!ここか、気配からまだ五人ともいるな。
逃げられてなくて良かった。

 俺がテントの中に入ると、
包帯ぐるぐる巻の四醒獣、
これはジャンヌが斬り刻んだせいか、
致命傷になりそうな怪我は治されてる
けど、これはしばらく動けないな。
それとコウリョウ師父、こいつは両手
両足を鎖で繋がれている。多分かなり
頑丈な鎖だとは思うけど。

「コウリョウ師父、起きてるよな?」
「なんだ、お前か、負けた者に罵声でも
浴びせに来たのか」
 コウリョウ師父は闘いて体力を
失っているのかずいぶんと大人しい。
「俺はそんなに性格悪くね~よ!
俺が来たのはリルの事だ知ってる事は
全部聞かせてもらうぜ!」
「フッ悪いが教える事は出来ん!
我らの王は魔王となられた。
我らは逆らえんよ」
「そうか、種族による縛り、
ちょっとは聞いてはいたが、
それは事実だったってことか」
 
 魔王とは必ずしもなりたくてなって
いるとは限らない。なぜならそれは
呪いだから、魔王となった者は周辺国に
戦争を仕掛ける。それをするに当たり
魔王は新たなユニークスキルを手に入れる。
『血族の縛り』これは血の繋がりが
ある者を操る力、そして血の繋がりが
濃ければより強くコントロール出来る。
つまりコウリョウ師父はそのスキルに
よって操られ俺に情報を喋ることが
出来ない。

「仕方ない。どちらにしてもお前達は
罪人だ。勘弁な!『呪詛 黒き首輪』」

 コウリョウ師父を含む四醒獣の四人に
黒い首輪が取り付けられた。

「それじゃ~今度は喋って貰う!
喋らなければその首輪が締り、
いずれはあんた達の首を落とす。どうする?」

「フッ、どのみち喋れん!
ひと思いに殺せ!」
 コウリョウ師父は覚悟を決め、
四醒獣は動揺して暴れる。

「そうか、分かった!ならば死ね!」
 俺は非常の宣告をした。
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