210 / 277
第八章 リルとの別れ……魔王ガルドとの戦い
第197話 私が求めていた女性
しおりを挟む◆リルの視点
「唐突なんですけど仕事でお世話に
なっているリドさんです。今日の
パーティーに誘ったのみんな宜しくね」
私はみんなに簡単に事情を説明し
参加の許可を得た。もともと反対する
ような人はいないと思ってたので、
特に問題なく合格お祝いパーティーが
始められる。
「リルさんすいません、皆さんに
自己紹介だけさせて頂けませんか!」
「あ、そうですね。宜しくお願いします」
リドさんはみんなの前に立ちまずは
お辞儀をすると爽やかな笑顔で
挨拶をする。
「どうも皆様、はじめまして私は
リド・サドラーと申します。
今回水源周辺のお話について仕事仲間とし
てリルさん一緒にやらせて頂きます。
また同時に皆様共顔を合わせる機会が
多くなるかと思いますので、以後宜しく
お願い致します。挨拶は堅苦しくなり
ましたがこの場で親睦を深めたいと
思っています。気軽に
お話をしてくれると嬉しいです」
リドさんの挨拶が終わるとみんなは
拍手で応える。
ルビーさんがリドさんに代わりに
前に出る。
「それでは会を始めま~す!リル、
チーちゃん商人検定二級合格
おめでとう!」
「パチパチパチ」みんなの拍手をする。
それを切っ掛けに急に灯りの火が消え、
床、壁、天井が光だし美しい
イルミネーションが映る。
「わーすごいです!……綺麗」
「はぁぁぁ~……本当に綺麗です」
チーちゃんは感動しキラキラとした
目で天井を見上げ、リルはうっとりと
した目で静かに同じく天井を見つめ
ていた。
「どうよ!今回リルとチーちゃんの為に、
蒼字(そうじ)の発想を元に私と
ルビーが考えた。感動間違いなしの
ビューティフルイルミネーションは
いかがかな!
アッハハハ、完璧でしょ」
レイチェルさんが笑いながら
決めポーズをしていた。
「本当すごいです!皆さんありがとう
ございます!」
私とチーちゃんはそれぞれ感謝を
言ってあると、
「すごい、これはいける」とブツブツと
言っているリドさんがいた。
リドはキュッと方向転換し
レイチェルさんの前に立つと手を
握りしめ、
「あなたは素晴らしい。是非とも
お仕事を一緒にさせて欲しい」
リドさんに褒められ照れる
レイチェルさん、しかし
答えは……「ごめん!それは断るよ」
「な!?……どうしてです。これ程の
技術は今後多くの
需要が見込めるんですよ」
「えっとさ~私はお金のために
働いてるんじゃないんだよね~
楽しければいい主義なんだ~、
今は蒼字(そうじ)や
リルと一緒が楽しいんだ。ごめんね」
「そ、そうですか………あ!…つい興奮して
商売の話をしてしまいました。
今日はリルさん達を祝う会なのに」
申し訳無さそうにするリドさん、
今のを姿を見るとやっぱりリドさんは
根っからの商人なんだな~と感じた。
私はすごい情熱を感じて私も
見習わないといけないと思った。
イルミネーションが終わると
ルビーさん特製のお祝い料理が
テーブルに並ぶ。一般庶民が食べる
素朴な料理から高級レストランで
出そうな豪華料理、どれも美味しそう。
自然とお腹がなり、誰かに聞こえ
てないか見廻してしまった。
「これなんだろう?」
「リル、それはハンバーグです。
異世界人が作り広めたと言われる
肉料理です。こちらの世界でも
認知度は上がっていますが、庶民が
食べることはまだ少ない食べ物です」
「へーそうなんだ、すごく美味しそう!
ルビーさん頂きますね」
私はハンバーグを一口、すると
肉汁がじゅわっと出て、ホロッと
崩れるやわらかさ。口の中が旨味で
溢れる。思わず叫びたくなる美味しさ。
「ルビーさんこれすごく美味しいです」
ルビーさんはなにも言わず次の皿を
目の前に置く。これも食べろって事
なのかな?目の前には黄色に輝く卵で
ご飯を包んだ食べ物、私は一口食べ
再び叫びたくなった。
美味し過ぎだよ~ルビーさん、
みんな一心不乱に食べて
いる。本当にどれもこれも絶品料理です。
「これを作ったのはあなたなのですか!
是非ともこのレシピを教えては
頂けないでしょうか!もちろん
こちらとしては出来る限りのご要望に
応えさせて頂きます」
リドさんもとても気に入って
くれたようだ、ルビー
さんに早速交渉を始めている。
「面倒なので嫌です」
ルビーさんは遠慮なく断ると
あまりにもド直球に断られて
やや表情を歪めるリドさん。
「待って下さい!私にチャンスを下さい。
必ずや期待に応えて見せます」
「暑苦しいです。邪魔臭いので
あっちに行って下さい」
リドは「え!?」と驚きたいのを
ぐっと我慢して、表情に出さない様に
した。まさかここまでバッサリと
断られると思わなかったからだ。
あまりのキツイ言い方をされて
いたので、私はリドさんに声をかけた。
「リドさん、ルビーはあまりそう
いった事に興味がない人なんで、
すいません。諦めて頂けますか?
料理のレシピに関しては、私も
知っている物もあるので
後でお教えしますね」
「ん、ん~ありがとうリルさん、
しかし彼女も私の話に
一切興味を示さないのですか、
ちょっと自信を無くしそうです」
「あ、気にしない方が良いですよ!
二人共変わってますから普通
じゃないんですよ」
「リルちゃん、それは言い過ぎ
だと思うよ」
私の話が聞こえたみたいで
チーちゃんに指摘されてしまった。
確かにひどい言い方だったかも……
「それにしても、レイチェルさんに
ルビーさん、リルさんの周りには
優秀な方が多いですね」
「え……そうですかね~アハハ」
ん~優秀ではあるんだけど、
変わり者過ぎてイメージが
どうしてもリドさんが思っている
優秀と違うと思っちゃうんどけどな~。
「やはりリルさんの様に魅力的な人には
優秀な方が集まるのですね。私も
見習わなければ」
リドさんは私を真っ直ぐに
見て恥ずかしくなりそうな事を
あっさりと言ってきた。
「うん…ありがとうございますリドさん、
でも違うんです。私じゃなくって
蒼字(そうじ)さんなんです。
みんな蒼字(そうじ)さんと一緒に
居たいから集まったです」
ここに居る人だけじゃない。
蒼字(そうじ)さんは
色んな人を幸せにしてくれた。
私はそれを知っている。
私は自然と笑顔でリドさんに
答えていた。しかし帰ってきた
言葉は意外なものだった。
「リルさん、そんな事はありません!
私は知っている。リルさんがど
れだけ素晴らしい人かを
……あなたは私が求めていた女性です」
ん?……リドさん今なって言ったんですか?
10
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる