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第八章 リルとの別れ……魔王ガルドとの戦い
第191話 リルは困っています!
しおりを挟む◆???の視点
「失礼致します!」
一人の屈強な竜人の兵士が部屋に
入って来た。
「アストロン様準備が整いました。
いつでも出陣が出来ます!」
とうとうこの日が来てしまったか……
「そうか…また一つ我らの軍門に
下る国が増えるわけだな」
俺は立ち上がり兵士に視線を送る。
「その通りであります!我らが
国王ガルド陛下の名のもとに全てを
支配するのです!」
俺は一度目を瞑り考え、少しして
から歩き出す。兵士はその後ろに
付きそのまま部屋の外へ、廊下に
出たところで嫌なヤツに出くわす。
この城で唯一竜人族ではない
人物であり、この国の運営を
任された宰相
「アストロン様、随分と余裕を
持った出陣ですな」
「なんだバイオス、俺に文句
でもあるのか」
「いえ……文句などありませぬよ王子、
ただあまり外で遊んでばかりでは
戦が一向に進みません。
ガルド陛下が悲しみますぞ」
チッ、釘を差しに来たか、
とうの昔に疑われているのは
分かってはいたが、そろそろ
限界が近いか。
「分かっている陛下には戦果で示そう」
「え~そうして頂ければガルド陛下も
お喜びになりますゆえに
……期待していますぞアストロン様」
バイオスはそう言って歩いていった。
「アストロン様、お急ぎ下さい」
「あ~分かっている」
俺は兵士に促され次の戦へと向かった。
…………▽
◆リルの視点
困った事になった。
私の前には片膝を着き手を差し
伸べる男性が居た。とても凛々しく
きっとイケメンと言われる人物、
服装も一般庶民では着ることの
出来ない様な高級な物間違いなく
お金持ち、そして先ほどから話を
しているけど竜人である私に偏見を
感じさせない……人格者
そんな彼が私に行った言葉………
「リル……僕と結婚してほしい」
………とても困りました。
▽…話は少し遡る。
私は新たに出来た水源について
今後の運用方法についてサリー
おばあちゃんと打ち合わせする事に
なっている。
「少し時間があるし商店街に
行ってみようかな」
商人として日々勉強、どんな人が
居てどんな物があるのか、それに何が
売れてるのか、情報は色々なところに
落ちている。情報集めは商人の
命とも言える大事なスキル
しっかりと鍛えないといけない。
「何か変わったものとかないかな~」
私は後ろに腕を組み鼻歌まじりで
楽しみながら散策をする。
「テメェー殺されてのか!あぁ!」
少女と二十代前半くらいの
細身の優しそうな顔をした男に
大男数人が絡んでいた。
「調子乗ってるといてぇ目に遭う事に
なるぞ優男、それとも何か?お前が
弁償してけれるのか~あぁ!」
大男の一人が威嚇する様に
叫ぶが男は涼し気な顔で答える。
「この子はなにも悪くありません!
君たちがぶつかって落としました。
私はそれを見ています。お引き取り
願いますか!」
大男のこめかみに青筋が浮かび上がる。
「分かったよ!テメェーが
死にてぇーって事がよ!」
大男が拳をを振り上げると男は
袖から何かを出そうと動かした瞬間。
「暴力はダメです!やめて下さい!」
私は間に入り大男の腕を
掴み拳を止める。
「誰だテメェー邪魔すんな!」
「お嬢さん危ない!離れて下さい」
大男は激昂し、殴られそうに
なった男の人からは心配された。
「いきなり間に入ったのはすいません。
でも暴力はいけません!それにこんな
女の子からお金を取ろうと
するのは感心しませんよ」
大男達はポカーンっとして硬直、
少しするとなぜかニヤニヤし始める。
「あ~良いぜ!ただ代わりに
お前が払えよ!払えね~って
言うならそのエロい身体で払ってくれて
も良いぜ!グヘヘヘ」
大男は下から上に視線を動かし
いやらしく笑う。
「ほら来いよ!」
大男は私の腕を掴み引っ張る。
「う、ぐ、お、え!?」
フガァーと力一杯引っ張るが
びくともしない。
「フーあなた達はその様な事ばかりを
やっているなら容赦はしませんよ!」
私は拳を握りしめる。
しかし、大男達は次々と
倒れていった。
今一瞬何かが光った……
大男の首筋付近を見るとに針のような
ものが刺さっているのが確認出来た。
それはすぐに消えてなくなったがあれで
倒された事は間違いない。
「大丈夫、眠らせただけだから、
君なら彼らを倒せたのかもせれない
けど、すまないが手を出させて貰った」
「いえ、気にしないで下さい。
助かりました!」
「いや!こちらこそ助かったよ」
男は爽やかな笑顔で笑った。
その後、衛兵を誰かが呼んで
いたようで、大男達は連れて行かれた。
少女は私にお礼言うと走って帰って
いった。
「それでは私も行くところが
ありますので失礼します」
私は軽くお辞儀をして行こうとすると、
「ちょっと待ってくれるかな!
君の名前を教えて欲しい。
私の名前はリド」
「あ!はい、私はリルと言います!
宜しくリドさん、すいません
急いでいるのでまた……」
私は商人ギルドへと走って向かう。
その時リドさんが私の後ろ姿を
真剣な目で見守っているとは知らずに…
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