書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」

銀塊 メウ

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第七章 師弟の絆

第179話 スティンさんの息子

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「ちょっと待って下さい!自分で歩け
ますから降ろして~」

「良いんだよ!私が担いで行った方が
速い」

「そんな事はないですから~」

 俺はスティンさんに担がれ移動して
いる。息子さんが治るかもしれないと
聞いてからほぼ暴走モードに突入、
急いで家に向かっている。
 
 不毛のないやり取りをしながら
移動する事一時間
スティンさんの息子さんの家に着いた。

 お~庭付きの一軒家、日の当たりも
良く、花壇もあってとっても
アットホームを感じさせる家だ。

「ん?どうしたんです」
 スティンさんは玄関の前に立つと
動かなくなった。

「すまないね、どうにもこの瞬間
……足が重くなって仕方ない。
息子が治るかも知れないんだ。
早く行かないと……」

 スティンさんはドアをノックし
声を出し人を呼ぶ。

 スティンさんにとってはここに
入るのに、何らかの戒めみたいなものが
あるみたいだ。息子さんの話を
詳しく聞いてないけど、そんなに
重篤なのかな~治ると良いけど。

「お母さん……ありがとうございます。
来て頂いてとても嬉しいです」
 
 家の中から小柄な女性が出て来た。
スティンさんと比べたらエグい身長差。

「ペトリシアさんすまないね~
どうしても息子に会わす顔がなくって、
随分と足が遠退いてしまったよ」

 スティンさんが絶対見せなさそうな
申し訳無さそうな顔で対応している。
違和感が半端ないけど突っ込める
雰囲気ではないので黙っておく。

「お母さん入って下さい。
ラーゲンの顔を見てあげて下さい」

 女性は涙を浮かべて喜んでいる。
なんか俺って場違いな場所に来たのでは?

「息子に会わせて貰うよ。もしかしたら
ここにいる蒼字(そうじ)なら治せる
かもしれない」

「え!?本当ですかお母さん……」

 俺はこの後もスティンさんと
スティンさんの義理の娘さんに
脇を抱えられズルズルと連れて行かれた。

「ガチャ」
 ドアを開け息子さんが居る部屋に
入るとそこには頬がやつれ目にまるで
生気を感じない男性がベットに
寝かされていた。

「お母さん?誰ですかその人、
どうして連れてきたんです」

 息子さんの横には俺とさほど
変わらない女性が
座って看病をしていた。

「シアンナ、この人は蒼字
(そうじ)さんって言うの
お父さんを治してくれるの」

 あんまり期待されると困るけど、
ま~あの術は規格外だからなんと
かなるとは思うけど。

 シアンナの顔つきが突然変わり、

「出て行って!どうせ治せないんでしょ!
お父さんをこれ以上苦しめないで、
どうせお金目的でしょ」

 え!?……めちゃくちゃ馬頭された。
なんでよ~!?

「シアンナなんて事言うの、
蒼字(そうじ)さん
申し訳ありません」

 ペトリシアさんが深々と頭を
下げ謝罪する。

「いや…その、びっくりしただけ
なんで気にしないで下さい」
 
 謝る母親と俺を睨みつける娘
……まったく俺への
警戒感を問いていないな~
どうすれば良いんだ?

「娘は夫を治すため様々な方法を
探し回ったのですが、中には心無い
人達も居まして、多額の借金を
背負う事もありました。
……その娘は蒼字(そうじ)さんの
事も同じ様に考えているのかと思います」

「シアンナ心配しなくて良い。
こいつはそんなやつじゃない。
それに私を生き返られす程の魔術師
だよ!期待しても良いと思うわよ」

「おばあちゃん……来てくれたんだね」
 
 シアンナはスティンさんに
走って抱きついた。

「すまなかったシアンナ、
私は逃げてばかりで、苦労をかけたね」

「ううん、そんな事ないおばあちゃんは
逃げたんじゃない!戦い続けたんだよ!
もう一人で行かないで私も一緒に戦う!」

 もう放さない!そんな強い意思を
感じさせる。スティンさんの目に僅かに
涙が見えた。

 こりゃ~ここに長いはしたくない。
俺の部外者感が半端じゃない。
居心地が悪過ぎる。

 勝手に悪いけどラーゲンさんを
見させてもらおう。

「うっ…」これは酷い!頭が切られて
縫われてはいるけど治っていない。
傷が相当深かったのか?
何にしても酷い事をしやがる。
あの野郎今度は絶対ぶっ倒す。


『治癒の朱墨(しゅずみ)』

 俺は即座に治療を施す。
みるみるうちにラーゲン
さんの傷が癒え、その姿を見た
スティンさん達は
驚きのあまり声が出ない。

「ん?あれ目を覚まさない」
 
 マズイこの空気の中で治せません
でした。なんて言えるか!なんでだ?
いつもならすぐに目を覚ますのに……

 俺はダラダラと汗を流す。

 よーく見ろ!身体は治っている
んだから、何か目を覚まさないのには
原因があるはず……「うん、あった!」

 頭のあたりに魔術の痕跡がある。
きっとこれが目を覚まさない原因に
違いない。


『破魔の筆払い』

 良し!魔術を消し去ったぞ!………

…………え!?どうして?……起きない!


 俺は再びダラダラと汗を流し焦る。

「慌てるな!蒼字(そうじ)長く寝て
いた事による後遺症の様なものだ。
魂に呼びかけろ」

 焦っている俺を感じ取り風太が
現れ助言をしてくれた。

 まずは霊に話しかけるように声に
霊力を込めて話しかける。

「ラーゲンさん、起きてください。
スティンさんが
あなたを待っています」

「かあ…さん」
 
 かぼそい声だけど確かに聞こえた。

「そうです!あなたの奥さんと
娘さんも居ます。
どうか目を覚まして下さい」

「う…ダメなんだ身体が動かせないんだ」

「焦らないで、大丈夫です。あなたは
ただどうしたいか認識しそれを強く
思えば良い。そうすれば
自然と身体が動きますよ」

「君は一体……ありがとう君はきっと
神様なんだね」

「あ、いやそれは違うんですけど、
頑張って下さいラーゲンさん」

 俺は寝ているラーゲンさんに背を
向け歩き出す。

「スティンさん、あとは皆さんで、
ラーゲンさんを呼んであげて下さい。
目を覚ましますから」

 俺はそのまま部屋を出て数分後
ラーゲンさんは目を覚まし、
三人の泣く声が聞こえた。
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