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第六章 ミネルヴァ姫の呪いと邪神召喚

幕間 チャラ登場

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◆さくらの視点

 私達はレミさんの案内で陽菜乃
(ひなの)の新しい道具の動作確認の為、
近くにある中級クラスのダンジョン
マッケイに向かっている。

「あ~早く試したい上手くいくかな~」
 陽菜乃(ひなの)は朝からずっと
ワクワクしてテンションが高い。
私も先日シンクロが上手く出来るように
なった。それを思い出すと嬉しくなる
気持ちも分かる気がした。

「あれ?さくら、ひなちゃんあそこに
誰か居るよ~」
 お母さんの指差す先に誰かが立って
いた。多分女性それと気になるのが
その周りに倒れている。数人の男性
冒険者、何かあったのかも?

 私達はその女性に駆け寄る。

「あの~大丈夫ですか?何か
あったんですか?」
 私が声をかけるが女性はこちらを
向いたまま何も喋らない。

 女性はこの辺ではあまり見ない服装、
肩やお腹が見え少々露出が多めな
民族衣装を着ている。それのせいも
あるのかスラッとした高身長の
モデル体型がよく分かる。

 その間にレミさんは倒れている
冒険者を確認している。多分死んで
いる人はいなさそう。でもみんな大ケガを
している。何かで殴られた様な跡が
たくさん。

「もしも~し聞こえてますか~
喋ってほしんだけど」
 陽菜乃(ひなの)は手を振って
必死に話しかけている。

「煩い」
 ボソッと一言、うざがられたみたい。

「あは、ごめんね!でもあまりにも
反応がなかったから」
 陽菜乃(ひなの)は誰にでも
フレンドリーに接する。

 しかし特に反応を示さず、再び黙る。

「ね~あなた、これやったのあなたでしょ~」
 レミさんがこちらに来る。

「あそこで倒れている冒険者のケガの痕を
見ると、あなたの腰にあるヌンチャク
だと思うのだけど、どういう事か
説明してくれる?」

「煩い奴」

「なんですってーこのままで
良いと思ってるの~」
 レミさんが杖を向け魔力を込めた
瞬間、女性の目つきが変わり、
レミさんに向かって飛びかかった。

 レミさんの杖をヌンチャクで
叩き落とし、そのまま
攻撃を加えようとする。

「止めなさい!」
 私はレミさんと女性の間に入り、
槍でヌンチャクを受け止める。

「あなたは悪?」

「え!?どう言う意味」
 突然の問いに私は意味が分からず
答えられない。

 ヌンチャクを変幻自在に扱い連続の
打撃を繰り出すが何とか槍で受け流す。

「うん、やる!」
 女性は一度距離を取りヌンチャクを
しまう。

 女性は右腕を引きやや腰を落として
拳を突き出す。

『ジャスティスヒット』
 突き出し拳から闘気が溢れ、
直径五メートルはあろう
拳が飛んでくる。

「お母さん、お願いー」
「任せなさい!」

 私はお母さんに魔力を送り念動力を発動

『大いなる母の手』
 ネーミングはお母さんのセンス、
実のところ念動力の形状を手の形に
変えただけの技なんだけど。

 巨大な拳を巨大な平手が受け止める。
威力は互角、どちらも押しきれない。

「厶ッ」
 女性の顔に変化が見えた。

「私を忘れないでよね~」
 そこに陽菜乃(ひなの)が魔弾を
連発し牽制する。

 女性は技を止め、ヌンチャクを
取り出し陽菜乃(ひなの)に
向かって走りだす。

「あ!ヤバー」
 陽菜乃(ひなの)の腕に向けて
ヌンチャクが振る。しかし、
陽菜乃(ひなの)はニヤリと笑った。

 ヒューン……当たる寸前、後方に動き
攻撃を躱す。しかし攻撃続く、次々と
来る中陽菜乃(ひなの)は見事に
躱しきった。

「ナイス陽菜乃(ひなの)、
ちゃんと機能してる」
 
 陽菜乃(ひなの)が自分に足りない
ものを機動力と判断した。それは前回の
戦いで大ケガをした事が大きく関係
していると思う。そして出来てのが
『オートドッジ』トップスとボトムス、
そしてブーツに魔石で作ったセンサーを
取り付け、陽菜乃(ひなの)が独自に
作った魔術(プログラム)で制御、
自動的に攻撃を躱すことが出来た。
 
「フッフッフ~完璧ね~
『ショックショット』」
 雷属性の弾丸をヌンチャクで弾く。

「くっ……」
 ヌンチャクが持ち手まで金属で
出来ていた為、電撃が彼女に伝わり、
身体が痺れ動きが鈍る。
 
「チャンス!魔連弾」
 魔力で出来た弾丸が連続で炸裂、
女性は手を前に交差させ
防御態勢を取り弾き飛ばされた。

「そこまでよ!『バインドショット』」
 銃から放たれた光弾は当たると弾けて、
光の縄に変わり女性を縛り上げる。

「動かないで、何もしなければこれ以上
こちらも攻撃はしないわ」
 
 陽菜乃(ひなの)は銃を下ろし、
女性に敵意がないことを示した。

 私も槍を下ろし、彼女と話を
する事にした。
 
「これで終わりにしよ!私はさくら、
あなたの名前を聞いてもいいかな~」

「………チャラ」

「教えてくれてありがとう。
チャラさんね!」

「聞きたい事があるの、あそこで
倒れている冒険者はあなたが倒したの?」

「そう!」

「そっか、どうしてかな~」

「襲って来た!」

「おそ?襲われたの?」
 私は動揺しつつも、チャラさんの
言いたいことがなんとなく分かった。
つまりあそこに居る冒険者がただの暴漢者
ってことね。

「レミさん、その人達を縛って貰えますか」

「え!?良いの?その子が嘘ついてる
かもよ」

「大丈夫だと思います!その人の目は
嘘をついているようには見えませんから」

「ん~分かったわ。取り敢えず縛って話を
聞きましょ」
 レミさんは思うところはあるみたい
だけど、私の話を聞いてくれた。


「おまえ!正義か?」
 チャラさんがまた唐突のない
質問をしてきた。
私は少し考え思った事を答えた。

「私が正義かは分からないかな、
私は自分が正しいと思う事をやる!
だからあなたの思う正義とは違うと思う」

 チャラはニィーっと笑い白い歯を見せる。

「ヒーローとはどんなピンチも覆す!

『ジャスティスパワー』」

 チャラの闘気が急激に高まり拘束を
引き千切った。

「さくら、お前の正義を見てみたい!」
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