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第六章 ミネルヴァ姫の呪いと邪神召喚
第152話 ノーティス荒原
しおりを挟む「ノーティス荒原か~ここっぽいな~」
俺はブツッと呟く。
何も無い荒野、普通の人が見たら
そう思うかもしれない。だけど、
俺には見える。亡者がウヨウヨと
歩いている姿が、
しかもこれは戦争!亡者共は戦っている。
殺しても殺しても終わらない永遠の戦場で、
これは普通の人には害でしかない。
稀に行方不明者者が出ると聞いたけど、
取り憑かれて連れて行かれたんだな。
弱いやつは奴らの声にそそのかされ、
肉体を乗っ取られる。魔力(霊力)や
闘気が強ければ近づくことは出来ない
はずだから、今いるメンバーなら
大丈夫だろう。危なさそうな人には事前に
護符でも渡して置くか。
「蒼字(そうじ)少し宜しいですか?」
ミネルヴァ姫が不安そうな顔をしている。
「何か感じるんですね!多分ここが
目的地です」
「やはりそうですか、今までに感じた
ことがない。胸騒ぎのようなものを
感じます。身体が震えて落ち着きません」
「この近くに呪いの発生源があるから
ミネルヴァ姫にも影響が出たのかも
しれません。呪いの効力を少しでも
防ぐ護符を事前に作っでおきました。
まずはこれを持っておいて下さい」
俺はミネルヴァ姫に護符を渡すと
少し楽になったのか
ミネルヴァ姫が笑顔になった。
「私達はこの後どうすれば」
「俺が案内します。大丈夫!呪いの糸を
追いかければ行き着くはずですから」
「分かりました。蒼字(そうじ)お願い!」
俺を先頭に呪いの糸(黒の糸)を
追っていく。そして近づけば近づくほど
亡霊達の戦いが激しくなり、怒号や
助けを求める声がそこら中から響いて
くる。何なんだここは、そう思って
いた時だった。とうとう終着点に
来たみたいだけだ。糸の先がない!
いや待てよ!これって!
「なんで地面に糸が刺さってるんだよ!
まさか地面に埋まってるのか?
こりゃー探すのに一苦労しそうだな~」
地面を掘り返すことになった。
これは風太さんに任せるか!
「風太~地面を掘り起こしてくれー」
風太を呼ぶと風と共に現れた。
「おい!俺一人にやらせるつもりか~
お前も手伝え!」
「え~砂まみれになるじゃん!」
「俺もなるんだ!お前もやれ!」
俺と風太が言い合いをしていると、
スーッとミネルヴァ姫
が俺達の横を通り、突然地面に潜った。
「え!?ちょっ、ヤバい何が起こった!
いや~それより早くミネルヴァ姫を
追いかけないと」
ミネルヴァ姫が消えた地点に行くと、
どこかに繋がっているゲートの痕跡が
あった。しかしすでにしまっており
ここから行くのは、俺では無理だった。
「チクショーどこに連れて行かれた
……いてぇ」
「落ち着かんか」
慌てる俺の頭を風太が叩く。
「今は冷静になる時だ!ミネルヴァ姫を
マップで確認するんだ」
「あ~悪い、つい焦っちまった。
マップ発動!対象はミネルヴァ姫」
ミネルヴァ姫の位置を確認したところ、
ちょうど真下に空間がある事が分かり、
そこにミネルヴァ姫の反応があった。
「良し!この下だ!『一筆書き 一閃』」
真下に向かい□の形で斬り、同時に
地面が崩れないよう周りを墨補強を
して地面に入口を作った。
「みんなー行くぞー」
俺の掛け声にみんな迷いなく返事を
して、先頭で飛び降りる。俺に着いていく。
中に入るとかなり広い空間が広がり、
中には遺跡のような建物が並んでいた。
「一体ここは何があった場所なんだ?」
周りに広がる空間に圧倒されつつも
ミネルヴァ姫を探し走る。反応は遺跡の
最も大きな建物の中からだった。
俺達はそのまま建物の中に侵入する。
そこにはミネルヴァ姫が立っていた。
みんながホッとし声をかける。
……しかし反応がない。
「ミネルヴァ姫、どうしたんですか、
なぜこちらを向かないのです」
今のミネルヴァ姫は背を向け顔が
見えない状況、そして赤い宝石が
ついた木で出来た杖を持っている。
いやな空気が流れる中、ゆっくりと
ミネルヴァ姫がこちらに顔を向ける。
その顔はミネルヴァ姫であって
ミネルヴァ姫ではない。なんと言うべきか
まるで違う一言で言うと不気味、
決してミネルヴァ姫じゃない!
「おまえは誰だ!ミネルヴァ姫に
取り憑いているな!」
ニターっと顔を歪ませる。
「私はソフィよ。あなた達はだ~れ!」
居た!?やっぱりここに、恐ろしい
ほどの執着心を持っていたんだ。
むしろ居ないほうがおかしい。
ソフィ、王国を蝕み続けた。呪いを
かけて人物、死んでから
も呪い続けていた。
俺はまずは浄霊(対話)を試みる。
「こんにちは、ソフィさん少し話が
したい。良いかな~」
「良いわよ~私ここにずっと居て暇
だったから」
「そうですか、ありがとうございます」
まずは良かった。この霊は話が出来る。
少し話した感じだと、フランクに話すより
丁寧に話をしたほうが良さそうだ。
「どうもはじめまして、私は蒼字
(そうじ)と申します。
あなたは本当にソフィさんで宜しいですか」
「え~私はソフィよ?……何かおかしな
ところでもあるかしら?」
「いえいえ、そんなことはないですよ!
しっかりと確認したかっただけです。
それでソフィさんはこんなところで
何をやっているのですか?」
「私…わたしは……なにをしてたのかしら
……思い出せないわ」
………そうか、その可能性は十分あると
思っていたけど、時が経ちすぎた。
呪った本人がなぜここに居て呪いを
かけたのか理由を思い出せない。
こう言う事は案外よくあるからな~、
正直覚えてないならそのまま成仏して
くれると助かるんだけど、呪いをかけて
いるせいで現世との繋がりが
出来て成仏が出来ない。こう言う場合の
対処方法は、こっそりと呪いを解く。
それが一番早くて楽なのだ!
ここからはソフィにバレないように
呪いを解いて成仏してもらえるよう
どう誘導するかが鍵になる。
ソフィを成仏させるために騙すための
戦いが始まる。
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