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第二章 カオス!?姫と勇者とキャリーちゃん
第36話 ムーラン村の惨劇
しおりを挟む今日も順調に商品が売れている。
しかし在庫が無くなりすぐに切り上げる
ことに、本来良いことなのかも知らないが、
噂を聞いて来てくれている人もいて商品を
お渡しできないのは申し訳ない。
そこで、以前から考えていた増産の発注先
について商業ギルドのサリーさんを尋ねる
ことになっている。
俺達は店をたたみ、商業ギルドへと
向かった。
「あの~こんにちわ!サリー様と面会の
約束をしているのですが、呼んで頂けます
でしょうか?」
「はい!話は聞いております。
リル様、こちらへどうぞ!」
俺達は奥の客間に通された。
少しするとせかせかと早歩きの音がした
と思うと「バン」っとドアが開きサリーさん
が入って来た。
「お~リル久しぶりだね~
会いたかったよ~」
サリーさんはリルを抱きしめる。
前も思ったが、サリーさんはリルを
溺愛している。何がどうなったらこう
なるんだと思うほどに……
「リル、話は聞いているよ!上手く
やっているようじゃないか!なかなか面白い
物を売るね~」
「サリーおばあちゃん知ってるの?」
「もちろんさね~商売は情報戦争だよ!
いつ何時どこにどの商品がどのくらい
欲しいのかなんていうのが分れば儲けら
れるのさ~」
「あーお父さんも良く言ってました!」
「ハッハッハ、それは私の口癖みたいなもん
さね!ライドンのやつが真似したのさ~」
サリーはご機嫌に笑っていた。
「それで、商品の発注先なんだが、ギルドで
契約しているところがある。そこなら安心
して紹介出来るし私がひと声かければ
格安だよ!」
「本当ですか?サリーおばあちゃん
ありがとう」
……サリーさんは本当にリルに甘い
「そんだ!ちょうど良かった!蒼字
(そうじ)とやら一つ頼みたいがいいかい」
「は~何でしょう?」
突然何かを思いついたようにサリーさん
から依頼が入る。何故かややニヤニヤして
いる気がするが……
「後追いにはなるが冒険者ギルドにも伝えて
おくから悪いんだが、ここから南西100km程
先にあるムーラン村にとって来て欲しい物
がある。詳しくは此処に書いてあるから
すぐにお願いするよ」
「え!?すぐにですか!」
面倒くさいな~……けどお世話になるわけ
だし出来るだけ希望にはそいたいし~。
「分かりました。出来るだけ早く
行ってきます」
「お~助かるよ!宜しく頼む」
…………▽
こうして急ぎムーラン村に向うことに
なった。綺麗なところかな~食べ物とか
美味しいといいけどな~。
俺はワクワクしながら走っている。
このぐらいの距離ならそうかからないな!
異世界に来て身体能力が格段に上がって
いる為、軽く走っているつもりでも時速60km
に達していた。
このペースなら2時間くらいで着きそうだ!
ん?なんかあそこでやってるな~
走っていると目の前には土煙が
舞っている。
よく見ると人影が見える。行商人の荷物を
狙った盗賊と護衛の冒険者が戦闘を行って
いるようだ。
どうしようかな、助けたほうが………
ま~様子見するか
危なさそうになったら助けに入ればいいし
俺が入るまでもないかもしれないし
そんな事を考えて見ていると、あっさりと
盗賊は倒され冒険者達の圧勝、遠くから
見ていると魔法使いの女性がこちらに
気が付き!
「ん?…………え~~~」
火の玉が十数発空から飛んできた!
「おわーーー」
ピョンピョンと跳ねて慌てて躱す。
「おーい!逃げられると思わないことだな!」
どデカい斧を振り上げ威圧する冒険者……
何故こうなった。
3人の冒険者に囲まれ逃げ場が無くなった
のだが、どこかで見た覚えがあるような………
「あ!あの時のう~ん確かにガルムさん」
「あぁ?お前オレを知ってるのか」
「あーガルムが前絡んでた子だ!」
「何だそれ?」
「ガルムがどうせ酒によって絡んだので
しょう」
なんか3人で仲良くガヤガヤと話し合って
いるのは良いのだが、斧は下ろして欲しい。
怖いわ!
「アハハ、ゴメンネ!盗賊の仲間かと
思って……」
この魔法使いの女性はセラさん
なんとなくだがしっかりしてそうで
おっちょこちょいタイプの気がする。
「セラはいつも確認してから行動して下さい。
いつもそれがきっかけで面倒事になって
いるんですから」
この盾使いの長身の男性はソーラさん
恐らくこのパーティのしっかり者、物事を
冷静に見て動ける司令塔役だと思う。
「そうだぞ!セラは落ち着きがないんだよ!」
「はーガルムに言われたくないしー」
今言い合いをしているガタイの良い男性は
このパーティーのリーダーのガルム、
喋っている感じはお調子者だけど多分……
この人はかなり強い!さっきの戦闘中、
身体から出ている闘気が半端じゃなかった。
今まで見てきた戦士の中で一番強いん
じゃないか?
ガルムさん達はムーラン村に物資を届ける
行商人の護衛を請け負っている途中と言う
事でせっかくなんで俺も一緒に村に向かう事
になった。
馬車に揺られブ~ラブラ、
村に着くまでソーラさんと話をしながら
時間を潰す。ソーラさんはよく喋る。
ガルムさんのパーティーはやっぱり
凄かった。王都ラダマンテュスでは数少ない
Sランクパーティーで特に実績があるのは
ガルムさんSSランクに近い実力者でもそれ
ならなんで護衛任務なんてしているんだろう。
普通ならCランク相当の依頼のはずだけど?
「あ~当然の疑問よね!私達あんまりランク
とか気にしてないのよ。その日に美味しい
料理とかお酒が飲めれば十分、つまり楽しく
過ごせれば満足なわけだから無理しないで
依頼をこなしているわ」
「へーそう言う人もいるんですね。成る程、
俺もそっちタイプかも知れません!」
「え!そうなの何ならパーティーに
加わっちゃう」
「それもいいですね!けどちゃんとじゃ
無いですけどパーティーメンバーみたいなのが
いるんで簡単には移動出来ないんですよね!」
「え~そうなの残念」
それからも他愛のない話から途中で話に
混ざってきたガルムさんの冒険者としての
心得見たいな物を聞いて楽しく過ごせた。
「お~し村についたぞ~」※行商人
村は自然豊かなザ田舎と思わせる。
家や田んぼがありのんびりとしてそうな
村だった。
「あれ?おかしいな!いつもなら呼ば
なくても衛兵が声をかけてくれるんだが?」
※行商人
確かに少し静か過ぎる気もするけど……
中に入ると人っ子一人いない。どう言う
ことだ?行商人の人はここの出身みたいで
顔色が真っ青になっている。この異様な
雰囲気に家族や村人になにかあったのでは
ないかとを心配しているようだ。
周りの家に声をかけても誰もいない。
行商人のマリトさんが村長の家を確認
したいと言ったので俺達もついて行く
ことにした。
村長の家へ向かうとそこは血飛沫が飛びちり
そこら中に惨劇が広がっていた。
「そんな~……なんだ……これは……」
マリトさんは地面に膝を付き呆然とする。
「これは酷い!恐らく魔物でしょう
食い散らかしている」
「ごめん!ちょっと気分が………」
セラさんが青白い顔をしている。
「セラとソーラはここに居ろ!マリトさんの
ことは頼んだ!俺が中を確認する」
「あ!俺も行っていいですか?」
「蒼字(そうじ)無理するな!これは
かなり酷い。それに中はもっと酷いかも
知らない」
「えっと、多分大丈夫なんで行かせて
下さい」
「あ、あ~お前がよければいいけどよ!」
ガルムさんの許可を得て家の中へと入る。
中は濃い血の匂いが漂い。普通なら入れば
体調を崩しかねないが、俺は霊とのやり取りで
ある程度耐性があるからなんとかなる。
ガルムさんも今までの経験で耐えることが
できるみたい、厳しい顔つきをしてはいるが
体調は問題なさそう。
気になるのはここで死んでいるのは
男性ばかりで女性がいない。
「残念ながら生きてる人はいないようだ……」
「あ~そうですね!生きてる人間はいない
ですね!」
俺は奥の部屋に向かう。
奥には呆然と膝をつき下を向いている
老人がいた。
「絶望に囚われているか、仕方がないよな、
すまないけど協力してもらうよ!」
「おじいさん!おじいさん!聞こえますか?」
「……………………」
意識がしっかりとしていない!
このままにしておけば成仏出来ず
彷徨うことに……
「おじいさん!お願いだ!話を聞いて欲しい。
助けたいんだ!他の村人はどこに行った
んだ!」
「お~みんな~すまない、無力な私を
許してくれ」
反応があった!話しかけ続けないと
「村人が見当たらない。どこに行ったか
教えて欲しい」
「女、子供は攫われてしもうた。あいつが
あいつが突然魔物を連れて連れ去ったの
じゃー」
あいつ…………魔物じゃないのか?
「その人達はどこに行ったんだ!助けたい!
教えて欲しい!」
「分からない!分からないんだ!すまない
すまない」
男は頭を抱えて塞ぎ込んでしまった。
う~んどこに行ったかわからないか~
助けに行くに為には、居場所が分から
ないとな~
「おい!オレを頼るべきじゃないのか?」
「あ!風太ごめん忘れてた。でも匂いで
追うってことだと思うけどそれでそこまで
追えるのか~」
「ふん!お前は気がついていないようだが、
こちらの世界に来て力を得たのはお前
だけではない!」
「え!………えーーー風太もかー」
「ま~そういう事だ!確かに追うのは
難しそうだがやる価値はあると思うぞ!」
「そっか!やるしかなさそうだな!」
「蒼字(そうじ)大丈夫か?一人でブツブツ
喋ってるけど、一回外出ようぜ」
ガルムさんに心配され外に出ると
セラさんとソーラさんがこちらに
歩いてくる。
「どうでしたか」
「誰も生きてなかったよ!」
「ウソ!この村の人みんな死んだの?」
3人とも暗い顔になり後から来た
マトリさんは再び塞ぎ込んだ!
「あ!全員ってことはないみたいですよ!」
「え!?本当かい君!」
「おい蒼字(そうじ)テキトウなことを
言うなよ!マトリさんの事を気遣ってのこと
だとは思うがあとで真実を知った時………」
「あ、いや確かに今はどうかは分かりま
せんが連れ去られたみたいなんで生きてる
可能性があります。でも、時間が経てば
経つほど生存率は下がると思うので早く
見つけましょう!」
「でも、どうやって……」
セラが不思議そんな顔でこちらを
見ている。
「風太!頼む」
「あ~任された」
忍者が現れるが如く風にまかれ現れる。
風太にガルムさん達は驚きの声をあげる。
「蒼字(そうじ)お前召喚士だったのか!」
「すっごーい初めて見た」
ガルムさんとセラさんが驚きの声をあげ、
ソーラさんは驚いた顔で固まっている。
「え~っとなんかおかしかったですか?」
ここで固まっていたソーラさんが突然
動き出し凄い勢いで語ってくれた。
話によるとこの国には召喚士は存在しない。
これはある国でしか取得出来ない魔法のため
使い手と会うことがかなり稀で貴重だと
ソーラさんが熱く語ってくれた。
しかしここで一番分かったことは
ソーラさんが実は魔法マニアと言うことだ。
「すまない!今はそれどころでは
なかったな」
少し恥ずかしいそうにしている。
「それじゃ改めて風太行けそうか?」
「あー余裕だ!早いとこ行こう。血の匂いも
混じっている」
俺達は風太の案内で攫われた村人の救出に
向かった。
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