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第一章 異世界暮らし
第25話 伝説の剣
しおりを挟む「どうしたんです?行かないんですか?」
リルは俺の不審な動きに気づいて声をかける。
「あ~うん、ちょっと待っててくれる」
俺は幽霊の男がいる場所に向う。
「どうも、もしかして意識があるのかな?
出来れば成仏したほうが良いと思うんだけど!」
「そうか!やはり君には私が見えているんだね。
良かった!助けてほしいんだ」
これだけはっきりと意識があるのは珍しい、
大抵は自分が誰なのかまた何をしているのか
分からずボーッと突っ立てるのが浮遊霊なんだ
けど、この人は違う。強い思い意思があった
からこそこれだけ喋れるんだ。
「は~出来ることならやりますから
そうすれば成仏出来るんですか?」
「もちろんだ!何としてもあれを届けて欲しい」
あれってなんだ?
「ここから少し離れた場所に洞窟がある。
そこに私の剣が刺さっている。それを我が子孫に
届けて欲しい」
「それって、届けることができる人なん
ですよね!」
なんとなく見る限りこの人だいぶ前に
亡くなってる。
届けてもこれなんですか?ってなるかも
しれないぞ。
「大丈夫だ!きっとまだ探しているはず!
『聖剣エクスキャリバー』を、これがなければ
世界を救うことは出来ない!」
……………なんですって?
エクスキャリバー………良く聞く伝説の剣
だけど、偶然ってあるもんだな!
「ちなみにあなたの名前を聞いても」
「そうであった私の名はアーサー、宜しく頼む」
「…………あの~多分オレだと抜けないと
思うのですが~」
よくある話では血筋の者じゃないと抜け
ないはず?
「それは問題無いだろ、私も力を貸そう。
だから是非とも頼む」
頭を深々と下げるアーサーさん
「頭を上げて下さい。抜けるなら持っては
行きますから」
アーサーさんに案内されついて行く。
リルもレイチェルも良くわかっていないが
何も聞かずついて来てくれた。
洞窟には特別な結界が張られており
レイチェルもこの洞窟を知らず驚いていた。
(興奮)
中にはかなり装飾がされ輝いている剣が岩に
刺さっていた。
「これがエクスキャリバーか~カッケ~」
「この剣を持っていって欲しい。
すまないが剣の柄を持ってくれ」
「分かりました」
俺は軽く握ろうと思って触ると
「カタン」……「あれ?」
エクスキャリバーは地面に倒れた。
アーサーさんが顎がはずれる勢いを超えて
地面につくほど驚いている。幽霊だから出来る
芸当だね!
「アーサーさんアーサーさんしっかり」
肩を揺らし正気に戻そうとする。
「なんだね!君はもしかして私の子孫!」
「いえ、違いますから、動揺してますね。
まずは落ち着きましょうか」
す~は~す~は~深呼吸をするアーサーさん
(幽霊です)
「どう言うことだ!これは女神様に認められ
なければ持つことが出来ないと聞いていた。
なぜ君が持つことができるのだ!」
駄女神のせいかよ!ちなみに俺は認められて
無いけどな!
「なんでも良いんじゃないですか?
これ持ってけば良いんですね」
「なんか、君、急に不機嫌になっているが
どうしたのかね?」
腹パンを思い出しただけです………
「それでこれをどこに持っていけばいいの
ですか?」
「この国の王に渡して欲しい」
しまった忘れてた。今までの流れでこの人、
王様や~ん!つまり渡す相手は王族の人、どう
やって渡せば良いんだ?
「頼む!それではな!」
「ちょっ待ったー」
アーサーさんは満足して消えてしまった。
つまり成仏した。この後どうするの?
俺はガックリと肩を落としリル達の方に
顔を向ける。
「蒼字(そうじ)さんだいぶ疲れていますし
もう一日レイチェルさんの家に泊めて
貰いましょう」
「蒼字(そうじ)って、役者さんなの?
迫真の演技で驚いちゃったよ~」
リルには心配され
レイチェルには拍手までされた。
更に肩を落とすことになったが、このまま
だといかんと思い、信じてくれるか不安だか
説明した。
初めは何言ってるんだろうと不審な目で
見られていたが、リルは何故かあっさりと納得し
レイチェルに至っては新しい取り組みが見つ
かったと興奮していた。
「それにしても、これを渡すのは無理だと
思いますよ!」
リルの言ってることはごもっともで、
俺も王族に会うなって不可能だと思う。
「うん、そうだね。それなら私が貰うって
いうのはどうかな~」
「ダメに決まってるだろ」
エクスキャリバーが気になって仕方がないのは
分かる。恐らく相当凄い剣なのだから、しかし
アーサーさんとの約束があるし簡単には諦め
られない。
「何にしても、このダンジョンから脱出してから
考えるとするよ。レイチェル、悪いんだけど
上層に行く方法を教えてよ!」
「了解!まずはあそこ行こ~」
レイチェルが先程の建物を指を差し案内
してくれた。
中には階段があり、ここを降りていくと下層に
行けるんだと思うけど上層への階段はどこだ?
「レイチェルどの辺なんだ?特に何も見当たら
ないけど」
「隠し扉だから普通は分かんないよ!
実はこの壁の裏にある」
レイチェルは鍵出しを壁に向けると、壁が
左右に移動し隠し部屋に入ることが出来た。
中には魔法陣が描かれており。やんわりと光を
放っている。
「ここから一気に地上まで移動することが
出来るよ!」
なるほど!転移装置みたいなものかな、
これなら安全かつ早く登れる。最高だ!
レイチェル
「レイチェル本当に助かったよ!」
「え!そうそんな大したことないけどな~」
何故か照れるレイチェル
「それじゃ俺達は行くな!」
「うん~ん」
俺とリルが魔法陣の中に入ると徐々に光り出す。
「レイチェルさんありがとうございました」
リルがお礼を言う。
「レイチェルまたな!気軽に来れないから
ちょくちょくは来れないけど、絶対また
来るよ!」
俺は手を振り別れを言った。
光は強くなり目の前も見えなくなってきた。
少し浮遊感を感じ光が収まっていく。もう
移動したのか?
「あれ?…………なんで居るのレイチェル」
まだ、移動してないのかな~
「蒼字(そうじ)さん、ここ地上だと思います」
リルに言われ上を見ると空だった。
……「なんで!レイチェルが居るの?」
……「なんか…淋しくなっちゃって…ついて
来ちゃった!」
お~い!………一年も潜ってればそうなるわ!
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