上 下
25 / 277
第一章 異世界暮らし

第25話 伝説の剣

しおりを挟む

「どうしたんです?行かないんですか?」
 リルは俺の不審な動きに気づいて声をかける。

「あ~うん、ちょっと待っててくれる」
 俺は幽霊の男がいる場所に向う。


「どうも、もしかして意識があるのかな?
出来れば成仏したほうが良いと思うんだけど!」

「そうか!やはり君には私が見えているんだね。
良かった!助けてほしいんだ」

 これだけはっきりと意識があるのは珍しい、
大抵は自分が誰なのかまた何をしているのか
分からずボーッと突っ立てるのが浮遊霊なんだ
けど、この人は違う。強い思い意思があった
からこそこれだけ喋れるんだ。

「は~出来ることならやりますから
そうすれば成仏出来るんですか?」

「もちろんだ!何としてもあれを届けて欲しい」

 あれってなんだ?

「ここから少し離れた場所に洞窟がある。
そこに私の剣が刺さっている。それを我が子孫に
届けて欲しい」

「それって、届けることができる人なん
ですよね!」
 なんとなく見る限りこの人だいぶ前に
亡くなってる。
 届けてもこれなんですか?ってなるかも
しれないぞ。

「大丈夫だ!きっとまだ探しているはず!
『聖剣エクスキャリバー』を、これがなければ
世界を救うことは出来ない!」

 ……………なんですって?
 エクスキャリバー………良く聞く伝説の剣
だけど、偶然ってあるもんだな!

「ちなみにあなたの名前を聞いても」

「そうであった私の名はアーサー、宜しく頼む」

「…………あの~多分オレだと抜けないと
思うのですが~」

 よくある話では血筋の者じゃないと抜け
ないはず?


「それは問題無いだろ、私も力を貸そう。
だから是非とも頼む」
 頭を深々と下げるアーサーさん


「頭を上げて下さい。抜けるなら持っては
行きますから」

 アーサーさんに案内されついて行く。
 リルもレイチェルも良くわかっていないが
何も聞かずついて来てくれた。

 洞窟には特別な結界が張られており
レイチェルもこの洞窟を知らず驚いていた。
(興奮)


 中にはかなり装飾がされ輝いている剣が岩に
刺さっていた。

「これがエクスキャリバーか~カッケ~」
 
「この剣を持っていって欲しい。
すまないが剣の柄を持ってくれ」

「分かりました」
 俺は軽く握ろうと思って触ると
「カタン」……「あれ?」
 エクスキャリバーは地面に倒れた。

 アーサーさんが顎がはずれる勢いを超えて
地面につくほど驚いている。幽霊だから出来る
芸当だね!

「アーサーさんアーサーさんしっかり」
 肩を揺らし正気に戻そうとする。

「なんだね!君はもしかして私の子孫!」

「いえ、違いますから、動揺してますね。
まずは落ち着きましょうか」

 す~は~す~は~深呼吸をするアーサーさん
(幽霊です)

「どう言うことだ!これは女神様に認められ
なければ持つことが出来ないと聞いていた。
なぜ君が持つことができるのだ!」

 駄女神のせいかよ!ちなみに俺は認められて
無いけどな!

「なんでも良いんじゃないですか?
これ持ってけば良いんですね」

「なんか、君、急に不機嫌になっているが
どうしたのかね?」

 腹パンを思い出しただけです………

「それでこれをどこに持っていけばいいの
ですか?」

「この国の王に渡して欲しい」

 しまった忘れてた。今までの流れでこの人、
王様や~ん!つまり渡す相手は王族の人、どう
やって渡せば良いんだ?

「頼む!それではな!」

「ちょっ待ったー」
 アーサーさんは満足して消えてしまった。
 つまり成仏した。この後どうするの?

 俺はガックリと肩を落としリル達の方に
顔を向ける。
 
「蒼字(そうじ)さんだいぶ疲れていますし
 もう一日レイチェルさんの家に泊めて
貰いましょう」

「蒼字(そうじ)って、役者さんなの?
迫真の演技で驚いちゃったよ~」

 リルには心配され
 レイチェルには拍手までされた。

 更に肩を落とすことになったが、このまま
だといかんと思い、信じてくれるか不安だか
説明した。

 初めは何言ってるんだろうと不審な目で
見られていたが、リルは何故かあっさりと納得し
レイチェルに至っては新しい取り組みが見つ
かったと興奮していた。

「それにしても、これを渡すのは無理だと
思いますよ!」
 リルの言ってることはごもっともで、
俺も王族に会うなって不可能だと思う。

「うん、そうだね。それなら私が貰うって
いうのはどうかな~」

「ダメに決まってるだろ」
 エクスキャリバーが気になって仕方がないのは
分かる。恐らく相当凄い剣なのだから、しかし
アーサーさんとの約束があるし簡単には諦め
られない。

「何にしても、このダンジョンから脱出してから
考えるとするよ。レイチェル、悪いんだけど
上層に行く方法を教えてよ!」

「了解!まずはあそこ行こ~」
 レイチェルが先程の建物を指を差し案内
してくれた。

 中には階段があり、ここを降りていくと下層に
行けるんだと思うけど上層への階段はどこだ?

「レイチェルどの辺なんだ?特に何も見当たら
ないけど」

「隠し扉だから普通は分かんないよ!
実はこの壁の裏にある」

 レイチェルは鍵出しを壁に向けると、壁が
左右に移動し隠し部屋に入ることが出来た。
中には魔法陣が描かれており。やんわりと光を
放っている。

「ここから一気に地上まで移動することが
出来るよ!」

 なるほど!転移装置みたいなものかな、
これなら安全かつ早く登れる。最高だ!
レイチェル

「レイチェル本当に助かったよ!」

「え!そうそんな大したことないけどな~」
 何故か照れるレイチェル

「それじゃ俺達は行くな!」
 
「うん~ん」

 俺とリルが魔法陣の中に入ると徐々に光り出す。

「レイチェルさんありがとうございました」
 リルがお礼を言う。

「レイチェルまたな!気軽に来れないから
ちょくちょくは来れないけど、絶対また
来るよ!」
 俺は手を振り別れを言った。

 光は強くなり目の前も見えなくなってきた。
 少し浮遊感を感じ光が収まっていく。もう
移動したのか?


「あれ?…………なんで居るのレイチェル」
 まだ、移動してないのかな~

「蒼字(そうじ)さん、ここ地上だと思います」
 リルに言われ上を見ると空だった。

……「なんで!レイチェルが居るの?」

……「なんか…淋しくなっちゃって…ついて
来ちゃった!」


 お~い!………一年も潜ってればそうなるわ!



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...