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過去編 結城とあゆみ悲劇までのカウントダウン 

過去編 戦場の覚悟

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「ごほごほゴホゴホ」
 血の匂いが立ち込める。今僕達は
砦の中にいる。なかは酷い状態だった。
通路等に怪我人が溢れかえっている。
医療室では賄いきれていないからだ、
決して医師や回復術師が働いていない
わけではない。数百いるであろう
怪我人に対応出来ていない。

 血の匂い、これは死の匂いでも
あるのだろう
僕が思う地獄がここにあった。

「八雲、大丈夫かワン」※ポチ

「ポチ、ありがとうかなりキツいけど
 大丈夫だよ!」※八雲

僕はもちろんのことみんな気分が
悪そうだ。健司さん、一樹さんは
あまりにも酷い光景に
 気分が悪くなり吐いていた。
 
 当然だ! 僕達日本人は平和な国で
生きてきた。僕達の日常にこんな
ものはない。でもきっとこの世界に
いる以上これが当たり前として
受け入れないといけない時が
すぐに来るだろう。

「皆さんこちらです!」※ガザイ

 少し広い会議室のような場所に
僕達は通された。

「お疲れ様です!………どうやら
皆さんには少々刺激が強すぎま
したかね!」※ガザイ

「気にするな。この程度慣れて貰わねば、
 これからの戦いでは死ぬだけだ!」
 ※ガンジール

 みんな反論する気はなく、ただただじっと
 黙っている。

「フッ、ガンジールさんは相変わらず
 厳しいですね!懐かしいです」

「なにをこの程度で! 生きるか死ぬか
我らは兵士はその環境に身を
置いているのだ。甘さを捨てねば
それが死に繋がる」※ガンジール

 ガンジールさんの厳しい一言は
先程の光景と相まって全員の心に
刺さった。

「ガザイ団長、現状魔王軍に
動きはないのか?」

「今のところは魔王軍の接近は
 確認されていません。安心は
出来ませんが!」 ※ガザイ

「そうだな、さっきの状況からして、
 次に同じく規模の軍が来れば
対応は困難か!」※ガンジール

「そう言うことです。
ですから皆さんが来てくれたことは
我々にとってはこれ以上ない朗報
なのです!」※ガザイ

「ガザイ団長はお優しいですな~
我らの今の姿を見てもそのように言って
頂けるとは、私は正直覚悟が
足らんかった!今本当にお役に
たてるとは思えん!」※梵字

「いえいえ、気にしないで下さい。
我々は間違っても貴方達だけに
頼るつもりはありません。
ですので力を貸して下さい」
 ※ガザイ

 ガザイ団長は深々と頭を下げる。

「うむ!頭を上げてくれ、ガザイ団長
 気を遣わせてしまったな!
 私達も精進せねばな!」※梵字

 ガザイ団長はにこやかな笑顔をした。

「先程も言いましたが、この砦の戦力が
足りていません。兵士の大半が
現在戦闘不能となっているからです。
皆さんには援軍が来るまで、
砦を守って頂きたいと考えています」

「ガザイ団長さん任せて私達が全力で
 この砦を守るから、ね!お兄ちゃん」
 ※あゆみ

「あゆみ突然だな!全く、でももちろん
頑張らせて頂きますのでご安心を!」
※結城

「はい、皆さん宜しくお願いします!」
※ガザイ

 その後、ガザイ団長に砦での注意点と
 今後の予定について確認し解散となった。

…………▽

「ここ景色言いな~」※八雲
 今僕は砦の中をポチとリームさんと散策、
 砦の側防塔で景色を見ていた。

「どうしたワン、ちょっと元気
ないんじゃねいか?」※ポチ

「元気がないって言うか、ショック
だったのかなまだ、現実感がなくて
ふわふわした感じ今はなんか
落ち着きたくってここに来たのかな?」
 ※八雲

「八雲がいた日本とは平和で
戦いがない世界から来ればそうなる。
しかし、こちらの世界では魔王が
現れたからには今後戦争は激化して
いくのじゃ!」※リーム

「覚悟しないとですね!」※八雲

 八雲は広大な景色を見ながら………!?

「リームさんあれってモンスターじゃ」
 ※八雲

「そうじゃな、あれはなかなかの
大きさじゃ」※リーム

「ワイバーンの群れワン
………こっちに来るワン」※ポチ

「ワイバーンの群れを発見、戦闘態勢」
拡声魔法により砦周辺に非常事態を
通達される。

「数は14、5と言ったところか、
 しかしかなり遠いが良く見えたのう~」
※リーム

「だんだんと身体能力が上がってきた
みたいで、今じゃ、自分の身体じゃない
みたいに動くから凄いですよね~」※八雲

「うむ!異世界人は転移の際に異界を通る。
 その時にギフトを授かると同時に身体に
 何らかの作用が発生し、肉体が変わると
 言われておるのじゃ!」※リーム

「ふ~ん! そうなんですね~」※八雲

「二人とも雑談はそのくらいで、
 そろそろ来るぞ!ワン」※ポチ

 砦の周りを獲物を選ぶように
廻るワイバーン!
 
「魔法障壁 展開せよ!」拡声魔法により
指示が飛ぶ。

「お~バリアだ!」※八雲

 何故かリームさんがニヤリと笑った。
『ストーム』

「ヘッ!?えーーーーわーーーー」

 突如足元に魔方陣が展開、突風が
下から吹き荒れ、気がついた時には
遥か上空に…………えーー( ゜Д゜)

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