エンドロールに誰を流そう

大野

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どんな人間か

一握りの善意

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授業中、頭の中でずっと、今朝のことが再生されていた。

どういう状況なのか、未だにしっくりときていない。

「まつもと!まつもとはる!」
茫っと頬づえをつきながら今朝からの出来事を整理していたら、ふいに声が聞こえてきた。

「えっ、あ、すみません。」
授業中に茫っとしてしまっていたことと、先生があまりに大きな声で私の名前を呼んでいることに驚き、若干上ずった声で返事をする。

「どうした?茫っとするなんて珍しいな。体調でも悪いのか?」
先生が眉間に皺を寄せて教卓から私を見下ろす。

「いえ。」
心配してやったのになんだその無愛想な返事は。
といかにも聞こえてきそうな顔つきで、私を一瞥すると、
黒板に目線を戻し、この問題、解け。と
チョークで黒板をトントンと叩く。
振動でチョークから白い粉が舞う。






休み時間になると、
いつにも増して、教室が騒がしい。

1番前の廊下側の席なので、彼女の座る、ど真ん中の席は、目線をずらしただけでは目視できない。

それでも、彼女にたくさんの人が集まっていることは容易にわかる。

どうせ、話題にしたくて私に話しかけたんだわ。

そんなことだろうと思った。
と、席を立ち、お手洗いへ向かう。
その時、ちらりと意図的に彼女の方へ目を向けてみると、
あの、ひまわりのような笑顔はどこにもなく、
ただ、曖昧な笑顔を浮かべ
困ったように返事をする姿しか見て取れなかった。

えっ?あれ?あれれ??おかしいわ。そんなはず。だって、私に話しかけるなんて物好きだけなはずでしょう?本当に本について話したいがために私に話しかけたと言うの?
ただでさえ、無愛想で、異端な存在の私に?
違うわ、きっと、そうね、あれだわ、えっと、あれよ、そう!彼女はもう少し私と話してもっと大きな話題を作りたいのよ。
それまで出し惜しみして、私からも勘付かれないようにああやって演技をしているのだわ。


スタスタと早足で廊下を歩きながら、考える。

でももし、もし、本当に友達になりたいと思ってくれていたら。


淡い期待を抱き、そうこうしている間に
放課後がきた。
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