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第216話 ペアネックレス

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 映画が終わって、アウレールとクリスタは手をつないで映画館を出る。アウレールはクリスタと手をつなぐことがこんなにうれしいことだとは思ってもいなかった。
 今は天にでも上るような気持である。アウレールはクリスタに言う。
 「食事には少し早いから歩こうか。」「はい。」
クリスタはほほを染めて返事をする。アウレールはクリスタの普段は見せない可愛らしさに心を撃ち抜かれる。彼は、今世界一の幸せ者は俺ではないかと考えてしまう。
 2人は街を歩きながらウインドウショッピングをする。そして、アウレールの目にネックレスが目に留まる。
 ネックレスはペンダントトップがハート形で2つに分かれていて合わせるとハート形になる恋人使用の対になっているものだ。
 「これいいね。」「ええ、かわいいわ。」
 「今日の記念に買ってもいいかな。」「でも高いわよ。」
 「小遣いはあるよ。このプレゼントはちょっと重いかな。」「そんなことないわ。大切にするわ。」
アウレールはネックレスを買うと1つをクリスタにプレゼントする。2人はネックレスを首にかけてペンダントトップを合わせてハート形にして笑いあう。
 2人を追跡していた男が無線を入れる。
 「スター7から各局、目標は思い出の品を買った。物は、ハート形のペアネックレス。繰り返すハート形のペアネックレス。」
アウレールとクリスタは尾行がついていることに全く気付いていない。自分たちのことで精一杯なのだ。アウレールはレストランを予約した時間が近づいたのでホテルのレストランに向かう。
 レストランに入るとウエイターが席に案内する。2人は未成年なのでぶどうジュースを注文する。グラスにジュースを注がれるとアウレールが言う。
 「クリスタのかわいさに。」「アウレールもかっこいいわよ。」
 「それじゃあ、初デートを祝って。」
2人は掲げたグラスを鳴らすとジュースを飲む。クリスタが笑いだす。
 「私たち背伸びしすぎていない。」「いつかはシャンパンで乾杯しよう。」
 「ええ、楽しみにしているわ。」
食事は穏やかで良い雰囲気で始まる。ここでも離れた席の男女が双眼鏡で2人を見ている。ウエイターが声をかける。
 「お客様、何をなさっているのですか。」「黙って、今、いいところなんだから。」
男女は動じず、双眼鏡で2人の観察を続ける。ウエイターはどうして良いのかわからずおろおろしている。
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